再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その64

…「お待たせ良太くん、ここからはそんなにやるコトはないんだ。21:00になったら巡視回っててもらうから、…それまでに生活記録まとめといて」

施設の外の喫煙所から、戻って来る飯高主任…。生活記録とは…、その入居者さんがどのよ〜に行動したり発言されたかを。…客観的に記録しておき、介護士やナースさんだけでなく。ご家族さまや時にはご本人にも読んでいただけるよ〜、…記録したモノである。

「そ〜ゆえば川村さん、今日みたいなお豆腐とわかめのお味噌汁が好きだとゆってたな…」

介護士とはゆっても人間であるから…、仲のゆい入居者さんには記述が細かくなった。…忙しいとメンド臭い生活記録だが、時間の許す今。良太は書いていて楽しかった、…とはゆえ現在「幸楽苑」には。お一人病院に入院されて、7名しか入居されていないので時間はそんなにかからない…。それが終わってしまうと…、とくにやるコトがないのだ。…しばらくして、21:00になる。

「これ懐中電灯、…お部屋の中を照らす時は。くれぐれも入居者さまのお顔は照らさないよ〜に、それから寝息だけは必ず確認してね…。それが…、巡視の目的だから」

…「幸楽苑」は既に消灯されてゆるので、廊下は常夜灯に切り換わっていた。良太は、…入居者さまの各お部屋を回り。ベッドを懐中電灯で照らして、寝息をうかがう…。何しろ初めてであるし…、人によっては寝息はとても小さかったりするので。…時間がかかってしまったが、良太は何とか全員の寝息を確認出来た。

「あとは、…0:00のおムツ交換まで。P.H.S.に入る、ナース・コールに対応するだけだよ…。ぼくはさっきの書類に取りかかるから…、あとよろしく」

…そ〜ゆうと、飯高主任はノート・パソコンをテーブルのうえに広げる。一方の良太はぼんやりしながら、…時折入るナース・コールに対応した。ナース・コールの内容はさまざまで、リハビリ・パンツで就寝される入居者さんが「おトイレにいきたい」であるとか…。「眠れないから眠剤が欲しい」や…、「(ナース・コールの)スイッチが気になって押してみた」などなどである。…その都度対応してゆく良太だが、お昼の日勤の忙しさに比べれば何ともなかった。

(あぁ、…これが夜勤のツラさなんだ)

と、悟る良太…。夜勤はナースさんもいないので、…外線で連絡は出来ても。…基本的に自分で全て対応しなければならない、だから気は抜けずど〜しても神経はたかぶる。かといって…、体を動かす必要はあまりないのだ。忙しければ、それはそれで眠気はまぎれるのだが…。

「良太くん、…ぼく煙草吹かしたいから。…お先に一服ど〜ぞ、夜の間はそこのお庭で吹かしてもかまわないから。ぼく…、P.H.S.預かるよ」

23:30分を回った頃、飯高主任は良太に救いの手を差しのべる…。飯高主任のお話だと、…夜勤中は一人でもあるし。…喫煙に関しては、事実上「自由」となってしまっているのだ。ただ当然ナース・コールへの対応が優先であるし…、個人の裁量だが「ほどほどに」とゆ〜コトである。

…「も〜そろそろ、0:00かな。じゃあ良太くん、…そろそろおムツ回ろ〜。今日は二人いるからおムツ終わったら仮眠ね、良太くん先でゆいからがんばって…」

眠気でグラグラする頭を…、良太は「濃いめのマキシム」で無理やり目覚めさせた。…必死で三部屋回り、何とかおムツを交換すると。飯高主任に声をかけ、…休憩室に向かう良太。

「や〜っと少し眠れる、あ携帯電話のアラームセットしないと…」

ソファに横になる良太…、夜勤は業務そのモノはついていけるし。…むしろラクなぐらいだ、でもこの眠気をど〜したモノか?そ〜考える間もなく、…良太は眠りに落ちる。