髪の毛を片手でかきあげる魔女ケレナ、長い髪の毛がフワリと舞います…。
「お二人さん見たトコ…、ど〜やらアタシと同じ旅の途中みたいね。…もし何なら、アタシが仲間になってあげなくもないわ」
戦士クリムの顔が、…パッとほころびました。
「ホント…!!?助かるよ…、さっきみたいなのがまた起きないとも限らないから」
…一方神官マルミの心中は複雑です、魔女ケレナの何とな〜くうえから目線なゆい方が気に入りません。
「でも条件があるよ、…魔物達を倒したあとに落とすムギ。あれを毎回、半分はアタシにちょうだい…。まぁそれだってアタシの才能を考慮すれば…、安過ぎるケド」
…ビックリする、神官マルミ。
「ダメです、…そんなの絶対許せません!みんなで戦ってるんですから、公平にわけないと…。そ〜でしょ〜…、クリムさん?」
…振り返って戦士クリムに詰め寄る、神官マルミ。
「えっいや、…ぼくはどっちでもい〜かな〜なんて」
そんな2人のやり取りを見て、魔女ケレナは背を向けました…。
「モノの値打ちもわからないおバカさんを…、相手にしてるヒマは。…アタシにはないの、申し訳ないけれどアタシの腕を買いたい人なんて。いくらでもいるから、…それじゃせいぜいがんばってね」
立ち去ろ〜とする魔女ケレナの腕を、戦士クリムは取って引きとめます…。
「待ってケレナ…、わかったこ〜しよ〜。…魔物達をやっつけたムギは、半分ケレナが取る。で1/3をマルミにわけて、…残りをぼくがもらう。それで、い〜ね…?」
魔女ケレナは深緑の髪を…、手ですいてとかしました。
…「まあまあものわかりがい〜じゃない、よく考えれば大儲けだってわかるわよ。アタシにとってはツラいわ、…このあり余る才能をこんなに安売りしてるんだから」
全然納得出来ない神官マルミは、戦士クリムに向かって抗議します…。
「ダメですったら…、私はお金を問題にしてるんじゃありません」
…魔女ケレナは、イライラを隠さず神官マルミを指差しました。
「アンタ、…クラスは何?例えば、巫女とかだったりするワケ…?」
魔女ケレナが何をいいたいのかわからず…、神官マルミは普通に答えます。
…「あの、神官ですよ」
背中をのけ反らせて、…魔女ケレナは笑います。
「うわっ、マジダッサ…!!神官なんてただのお荷物なのに…、アンタ本気でゆってるの?」
…ピキッと音を立てて、神官マルミの形相が一変しました。
「あ・な・た、…ちょっと失礼にも程があるんじゃありませんか〜!」
怪しいステップを踏んで、神官マルミはこれまで聞いたコトのない不思議なお経を唱え始めます…。それを見たケレナも…、すぐに身構えます。
…「アンタやる気、い〜わこのケンカ買ってあげよ〜じゃない。神官なんて、…グズでのろまな役立たずだって証明してあげる!!」
魔女ケレナも体をくねらせ、魔法の呪文を唱えました…。
「わかった…、わかったー!!」
…おなかの底から、戦士クリムは大きな声を出します。
「魔物達の落とすムギは、…3人で仲良く三等分する。い〜ね…!?」
さっきの形相はどこへやら…、神官マルミはケロッとこ躍りしてゆました。
…「さすがクリムさん、そ〜ですよがんばってるのはみんな一緒ですから」
戦士クリムはすかさず、…ムクれてる魔女ケレナに耳打ちします。
「あのねケレナ、半分に足りない分はあとでぼくからこっそり渡すから…」
クールに笑う…、魔女ケレナ。
…「それならい〜わ、アンタなかなか見ドコロあるじゃない。アンタなら話がわかりそ〜だし、…一緒に旅してあげる」
そ〜ゆって魔女ケレナは、戦士クリムの背中をバシッと叩きました…。こ〜して三人の旅が始まります…、しかし戦士クリムの胸のウチは。…モヤモヤして晴れませんでした、何しろ共に旅をしてるとはいっても。神官マルミと魔女ケレナは、…目も合わせないのですから。