戦士クリムを先頭に、…神官マルミ、魔女ケレナの3人の旅は続きます。
…しかし、神官マルミと魔女ケレナのいがみ合いは日に日にエスカレートしてゆきました。
ある日…、3人はテントを張りキャンプします
「あれマルミ勉強してるの、何の本…?」
折りたたみのイスに腰かけて熱心に本を読む神官マルミに、…戦士クリムは声をかけました。
…「はいこれは、ねこ聖書"オー・ラロルの足音"とゆって。と〜っても尊い本なんです…、私ももっと勉強して理力に磨きをかけないといけませんから」
そこへたまたま通りかかった魔女ケレナが、キツい一言をお見舞いします…。
「ホントに才能あるなら、…勉強なんかしてないで自分で創意工夫すれば?」
…それを聞いた神官マルミの心は、パチパチ燃えあがりました。
また…、別なある日。戦士クリム達勇者のパーティが、魔物のむれをやっつけて一息吐いていると…。やすんでいる戦士クリムと神官マルミをよそに、…魔女ケレナはいそいそと魔物の落としたムギ袋を回収します。…そんな魔女ケレナの背中に、神官マルミはしみじみ語りかけました。
「見て下さいクリムさん…、あの魔女さんの憐れな生き方を。彼女は人生の価値をお金にしか見出せないんです、あぁねこ女神"オー・ラロル"さま迷える魔女をお導き下さい…」
魔女ケレナは、…獲物を狙うタカのよ〜に鋭く神官マルミをにらみつけます。
…間にはさまれた戦士クリムは、本当にタイヘンでした。心労に心労が重なり…、何だか食欲が湧きません。いつもならどんぶり3杯は食べるのに、今日は2杯ちょっとしか食べられなかったのです…。そんな戦士クリムを心配して、…神官マルミは穏やかに一声かけました。
…「クリムさん、何だか今日は食欲がないみたいですね。悩みゴトがあるなら仰って下さい…、私でよければお話伺いますよ」
戦士クリムが黙ってゆると、魔女ケレナは舌打ちして…。神官マルミにハッキリ聞こえるよ〜に、…つぶやきます。
…「デリカシーないわよね、フツー悩んでる時ってソッとしておいて欲しいモンじゃない?イヤね…、お節介で」
戦士クリムをはさんで、神官マルミと魔女ケレナの視線がぶつかりバチバチ火花を飛ばしました…。
そんな2人と毎日過ごしているので、…戦士クリムの気はドンドン重たくなって来ます。…しかしそんな戦士クリムも、ある日決心しました。
…「よぉ〜し決めた、今夜はすき焼きにするよ!!」
神官マルミと魔女ケレナは…、ハトが豆鉄砲くらったよ〜な表情です。
「え、えぇ…。クリムさんがそ〜仰るなら、…私は構いませんが」
…「アタシお肉はあんまり好きじゃないんだ、お野菜たっぷりにしてよ」
2人に向かって…、戦士クリムは買いモノカゴを突き出しました。
「じゃ、2人で買い出しいって来て…。ぼくはお出汁とか、…準備してるから」
…「えぇ〜!」
2人はそろって大きな声をあげ…、息を合わせたよ〜にソッポを向きます。それでも戦士クリムの決心は、ゆらぎません…。
「ダメだよ、…そんなコトゆったって。…ぼくこれまで、ずっと2人のワガママ聞いて来たんだから」
戦士クリムの勢いに押し切られ…、神官マルミと魔女ケレナはしぶしぶ買いモノカゴを手に買い出しに出発します。
実はこれは、戦士クリムの秘密の作戦なのでした…。例え仲が悪くとも、…一つのお鍋をつつけば。…たちまち、仲良しになってしまうとゆ〜。