アーシャ南の大陸に舞う その9

…アーシャは、サイクロプスの引く車に乗せられ。そのまま、…出迎えの僧と共に「竜の角」まで連れて来られました。

「さっさと、降りろ…!!」

出迎えの僧は…、アーシャにムチをピシャリとくれます。

…「失礼致しました、申し訳ありません」

本当なら、…アーシャはこんなユルいムチはいくらでも防げるのでした。しかし、今はソーナの代役…。悔しさをこらえ…、黙ってムチを受けたのです。…出迎えの僧の後ろについて登ってゆくと、やがて「竜の角」の大広間に出ました。

「ボヘムさま、…ただ今無事ソーナさまをお連れしました」

「おぉ、我が花嫁ソーナ…!遂に…、私の愛を受け入れる決心をしてくれたのだね」

…ボヘムと呼ばれる闇に堕落した僧は、何だかなよなよして少しもアーシャのタイプではありません。

「よしソーナ、…すぐに酒宴の準備をさせよ〜!!さ諸君座に着いてくれたまえ、祝杯だ…!」

アーシャは…、ボヘムに近づくとそっと耳打ちします。

…「あなた、早く二人切りになりたいの」

それを聞いたボヘムは、…好色にニヤリとしました。

「ソーナ、私の愛がそんなに待ち切れんか…?ゆいだろう…、たっぷり可愛がってやる。…諸君酒宴はまた後日とする、取り込み事ができたのでな」

ボヘムに仕える、…僧やモンスター達はみな不満そ〜でしたが。逆らうコトは出来ず、すごすご引きあげてゆきます…。

「ではアーシャ…、寝室へ参るとしよ〜。…その前に、誓いのキスを済ませんとな。これでお前は、…飽きるまで私のモノだ」

ボヘムはアーシャに近寄り、そのヴェールをあげよ〜とします…。

ガツン…、その時でした!!

…アーシャは、ボヘムに膝蹴りを入れます。

「グェっ、…な、何をする」

うずくまるボヘムの、胸ぐらを掴んだアーシャは…。そのまま…、豪快に一本背負いで投げ飛ばしました!

…ここで、少々解説させていただきます。何故アーシャは、…あんな言葉を口にしてまで。ボヘムに、酒宴を開かせまいとしたのでしょうか…?それは崇高にして勇気みなぎる…、アーシャらしい考えがあってのコトなのでした。…酒宴を開けば、ボヘムは必ずお酒に酔うでしょう。お酒に酔わせてしまえば、…アーシャが勝つのは実にたやすくなるハズ。しかし、アーシャは伝説の勇者として尊くて清い神さまに…。身も心も捧げてゆましたから…、それは卑怯者のするコトだと。…あえて、さけたのです。

「貴様何者だ、…さてはソーナではないな!!」

花かんむりとブーケを投げ捨て、スカートとヴェールを引きちぎったアーシャは…。「ぴゅ〜い」と口笛を吹き…、ぺぺに合図を送りました(ぺぺはどんなに離れてゆても心でアーシャの口笛を聞き取るのです)。

…そして、「カリフの剣」を引き抜き魔法の盾を構えて大きな声で名乗りました。

「私は、エスタハーンのアーシャ…!あなたの悪行を、…私は見逃してはおけません!!」

ボヘムは、よろめきながら立ち上がると…。優男だった表情が…、敵意と反感に醜くゆがみます。

…「おのれ〜、貴様が伝説の勇者と呼ばれるアーシャか!私の手で血祭りにあげてくれる、…そ〜すればあのザハスに代わって。聖なる山アルクロドは、私に支配されるのだ〜…!!」

ボヘムが呪文を唱えると…、大広間に魔法陣が浮かび上がりました。…そこから現れたのは、何とあのブラック・ドラゴンです!ブラック・ドラゴンは、…古に伝わる勇者ブックに倒されたドラゴンよりは、一回り小ぶりですが。それでも…、充分に危険な敵に違いありません。

「ボヘム、あなたがどんなモンスターを喚んでも…。私は背中を見せたりはしません、…さぁかかってらっしゃい!!」

 

 

アーシャ南の大陸に舞う その8

夜が明けて、…タマラン村の村長のおウチはすぐにアーシャの花嫁準備に使われました。…男性陣お断り、とゆ〜コトでホレロも村長もぺぺまでもが外に放り出されてしまいます。

「ど〜も…、これはタイヘンなコトになってしまった」

ホレロは、お気に入りのパイプを取り出すと火を点けました…。

「珍しい香りですな、…それはそ〜と。…まさか、アーシャさまはまだご結婚なされていますまいな」

村長は…、心配気にホレロに尋ねます。

「東の大陸で作られてる煙草でして、私のお気に入りなんです…。アーシャならまだですよ…、それが何かお気になるコトでも?」

…ぷかぷか煙を吐き出しながら、ホレロは答えました。

「ならゆいのです、…もしご結婚なさってゆるなら。いくら村の為とはゆえ、こんなコトはさせられませぬから…」

村長は…、安堵して胸を撫で下ろします。

「いやいや、むしろ想い人の一人もいなくては…。アーシャはゆい娘なのは間違いない、…伝説の勇者としての責任もある。…とはゆえ、ぺぺ何か知らないかい?」

「プイプイ?」

と、首を傾げたぺぺ…。

その時です…、村長のおウチから花嫁姿に身を包んだアーシャがしずしずと姿を現しました。

…「おぉ〜(プイプイ!!)!」

ホレロ、村長、ぺぺの三人は、…そのあまりの荘厳な美しさに声をあげます。

 

アーシャの花嫁姿のテーマ…

「東京は夜の七時(インストゥルメンタル)」 小西康陽

https://youtu.be/037NaO-yJdg

 

純白のドレス、花かんむり、手にしたブーケ、表情はヴェールで覆われてゆる為ハッキリしません…。

「ど〜ですかみなさん…、アーシャさまの花嫁姿は。…立派でしょう、これが本当のご結婚ならどんなによかったか」

アーシャの着つけた、…村長の奥さんがあとから出て来ました。

「アーシャさま、このドレスは特別に縫った品でして…。スカートの部分は…、力を込めれば引き裂けます。…決して、戦いのお邪魔にはなりません」

アーシャは、…コクンとうなずきます。

それからしばらくすると、モンスター達を引き連れた僧が…。

サイクロプスの引く車に乗って現れます…、村長と村長の奥さんは出迎えると。

…「これらの品々は、この村に古くから伝わる。遠い異国のモノでしてな、…ご結婚をお祝いして。引き出物として、花嫁に持たせたいと想います…。いえいえ花嫁は…、ボヘムさまをお慕いするあまり。…じかにお渡ししたいと、よろしいかな?」

僧は、…地面にツバを吐きました。

「勝手にしろ、ジジイ俺は忙しいんだ…!!時間を取らせるな…、さぁゆくぞソーナ!」

…村長と村長の奥さんは、こ〜してまんまとアーシャに。

愛用の「カリフの剣」と「魔法の盾」を持たせるのに、…成功したのです。

 

アーシャ南の大陸に舞う その7

アーシャ達は…、牛を引いた男にタマラン村の村長のおウチに案内されました。村長は、すでに白髪でしたがなかなかガッチリしたゆい体格です…。座敷の上座にあぐらをかく村長は、…アーシャにタマラン村の事情を打ち明けました。

…「このタマラン村を、災いが襲ったのが三年前」

村長は話し方こそボソボソしていますが…、その調子には毅然とした態度が見受けられます。

「この村から北西に進み、半日程ゆったトコロにある日突然塔が現れた…。塔は、…ねじくれていて先端に進むにつれ細くなってゆく。…私達は、それを竜の角のよ〜だと想った。塔の主はボヘム…、闇に堕落した僧だ」

アーシャは、とっさに港街ベリートでの戦いを思い出しました…。

「噂では、…ボヘムは元々ダオカーナ寺院で神さまに仕えていたらしい。…だが、ワレラ星人による"闇の誘惑"に勝てなかったのだろう。現在ではその手先となり…、このタマラン村にワレラ星人への供物を要求してゆる」

敵について少しでも知っておきたい、アーシャはそ〜想い質問します…。

「そのボヘムは、…どんな力を振るうのですか」

…村長はそのたくましい肩を落とし、うつむきました。

「魔法陣からモンスターを喚び出し…、意のままに操る。アーシャさま、あなたも知っておいでだろう…。このMWでは、…モンスター達は決して人間に悪意を持ってはいない。…モンスター達が暴れるのは、全てワレラ星人に操られてだから」

ぺぺは立ち上がって…、力を込めてうなずきます。

「プイプイ!!」

かつて、ワレラ星人に操られ"闇のしもべ"にされていた…。仲間のぺぺろぐぅ達を、…想ったのでした。

…「アーシャさま、是非我らが娘ソーナをお助け下さい!」

その時です…、いつの間にか村長のおウチの戸口の周りに出来てゆた人だかりから。

一組の夫婦が、アーシャの名を呼び訴えます…。

「タネシとフレルか、…まぁ入りなさい。…アーシャさまに、話を聞いてもらうとゆい」

夫婦は…、村長のおウチの座敷に上がると。涙を流しながら、アーシャに頭を下げました…。

「アーシャさま、…是非お聞き下さい!!…ボヘムはこれまで三年間、ずっとこのタマラン村に。無理な供物を捧げさせて来ました…、俺達はずっとそれに耐えてたんです。でも、今度ばかりは許せません…」

タネシは、…座敷のたたみをドスン!と叩きます。

…「ヤツは、私達の可愛い一人娘ソーナを。自分の妻として迎え入れるから差し出せ…、そ〜使いをよこしたのです!!逆らえばワレラ星人の呪いがある、そんな脅しと共に…。何とぞそのお力でソーナをお救い下さい、…アーシャさま!!」

…アーシャは、立ち上がって胸を張りその場にゆる全員に告げました。

「わかりました…、私は力の限りあなた達の為に戦います。私の戦いには、常に神さまのご加護があります…。闇に堕落したボヘムがどれだけのモンスターを操ろうと、…私は決して退きません!」

…村長のおウチの周りに集まってゆた人々は、一斉に歓喜につつまれます。しかし…、村長はフゥッとため息を吐きます。

「しかし、アーシャさまのお名前はあまりに知られ過ぎてゆる…。もし、…アーシャさまが戦いを挑めばボヘムは逃げ出してしまうかもわからん。…そして、アーシャさまがお去りになったら再び舞い戻ってくる。それでは同じコトの繰り返しだろう…、何の解決にもならない」

一人の若い娘が、声をあげタネシの胸に飛び込みました…。

「何かよい知恵をいただけませんでしょうか、…アーシャさま!!」

…「おぉソーナ、何てかわいそ〜な子だろう!!でも安心おし、…このアーシャさまは伝説の勇者だ。きっと、何とかして下さるから…」

ソーナを見たアーシャの頭の中に…、一つのアイディアが閃きます。…パッと見たトコロ、アーシャとソーナは年恰好が似てゆるそれなら。

「村長、…それならこんな案はいかがでしょう?ソーナさんの代わりに、別な若い娘を妻として捧げればよいのではないでしょうか…」

村長は…、びっくりたまげてひっくり返りそ〜になりました。

…「と、トンデモない!何と罰当たりなコトをおっしゃるのだ、…先程の勇気はど〜なされたのか?」

アーシャは、おしりをふると片目でウィンクします…。

「みなさん…、ど〜か勘違いなさらないで!!…妻として捧げられる別な娘とは、私です私♪」

アーシャ南の大陸に舞う その6

アーシャとぺぺは、ホレロに案内され港街ベリートを出て南に向かいます…。途中一晩野営し…、再び歩き続け現在は大きな森の中。…ホレロはらくだを引きながら、アーシャとぺぺを振り返りました。

「この森も、…も〜すぐだよ。その先には、タマラン村がある…。そこで…、少し休ませてもらおう」

…三人がしばらく歩くと、やがて森が切れそこには。

「うわぁ、…すご〜い!!」

「プイプイ…!」

田園風景が…、見渡す限り広がってゆます。…田んぼの中には、重そ〜に垂れるたわわに実った穂がいくつも。そして、…赤とんぼがそこら中を舞ってゆました。

「ホレロさん、これは何てゆ〜作物なんですか…?」

ホレロの帽子に…、赤とんぼが止まります。

…「アーシャ、これはね"イネ"だよ。垂れ下がった穂先についてゆる実の一つ一つが、…お米になるんだ。もちもちふっくらして、とても美味しいから…。タマラン村で…、食べさせてもらおうか?」

…その時アーシャの目に、田んぼに面した道を。向こうから、…牛を引いて歩いて来る男が見えました。

「きっと、実った"イネ"を刈り入れに来たんだろう…。でも…、それにしては元気が無いな」

…ホレロが口にするより早く、アーシャは牛を引く男に話しかけてゆます。

「お元気が無いよ〜に、…お見受け致しますが。もし私でお力になれるなら、何でもゆいつけで下さい…」

牛を引いた男は…、プイッとそっぽを向きました。

…「ダメだダメだ、おめぇさんみたいな。ひよわな女子じゃ、…こればっかりは手も足もでねぇよ!!兵士さん達が大勢、軍団ぐらいいねぇと…」

腰にさした剣を示しながら…、アーシャは牛を引いた男に名乗ります。

…「私は、エスタハーンのアーシャ。僭越ながら、…伝説の勇者と呼ばれてる者です」

牛を引いた男は、笑いをこらえませんでした…。

「笑かすでねぇ…、こ〜んなべっぴんな女子が伝説の勇者だってのかい!?…それなら、オラのがなんぼか強いだよ」

アーシャは、…正直ゆってカチンと来ます。

「じゃあオジさん、その手にしている杖で私を打ってみて下さい…。私は…、素手でお相手しますから」

…牛を引いた男も、ナめられたと思ったのでしょう。ムッとした様子で、…持ってる杖を振り上げました。

「そこまでゆ〜なら、オラ今むしゃくしゃしてるだ…。この杖で…、その可愛らしいツラをちょいと引っ叩かせてもらうだよ!!」

…そ〜ゆうと、牛を引いた男は力任せに杖を叩きつけます。

「アーシャ、…危ない!」

ホレロは、思わず声を出しました…。しかし…、アーシャは片手で二の腕の外側骨の硬いトコロを杖にぶつけると。…そのまま、杖を持つ腕にするすると絡みつき。すぐさま、…牛を引いた男を組み伏せてしまいます。

「まいった、降参だべ…」

アーシャはすぐに体を引き離し…、牛を引いた男を自由にしてあげました。

…「あんれまぁ、何て力の強い女子だ!!これなら、…もしかいしたらオラの村を救ってくれるかもわからんな!」

アーシャは、…にっこり笑うと頭を下げます。

「ごめんなさい痛くなかったですか、力ではないんです体術で…」

 

 

アーシャ南の大陸に舞う その5

…出発の準備を整えたアーシャ(荷物はまだ宿に置いてあります)は、港街ベリートの朝を一人歩ってゆます。いつも一緒のぺぺも、…今日は宿に残して来ました。それには、こんなワケがあるのです…。

「えっ…、出発の時間を少し遅らせて欲しいって?

…驚いた、ホレロはアーシャに聞き返しました。

「この旅は、…私のじゃないからそれは構わないが。ダオカーナ寺院まで、ここから歩いて約3日はかかる…。出発するなら早いに越したコトはない…、それは急ぎなのかね?」

…アーシャ、小さく静かにうなずきます。

「それじゃ仕方ない、…まぁアーシャがゆい出すぐらいだ。相当大切な用事なんだろう、それじゃゆっておいで…」

「プイプイ」…、一緒に宿を出よ〜とするぺぺをアーシャは制しました。

…「ぺぺを連れてゆかないのかい、そ〜かそ〜かも〜何も聞かないよ。じゃぺぺは、…私とその辺をブラブラしよう。何か、美味しいお店でも見つかるかも知れないから…」

ホレロとぺぺを宿に残して…、アーシャは一人街へ出てゆきます。

…アーシャが向かう先は、果たして郵便屋さんでした。

入り口から、…受付に向かいます。

「私、エスタハーンのアーシャとゆいます…。私宛ての手紙って…、届いてないですか?」

…受付の年輩の女性はちょっと驚いて、でもすぐににっこり笑顔で応対してくれました。

「おはようございます、…伝説の勇者アーシャさんですね。えぇ、一通届いてますよ…。エスタハーンの村から…、ご両親からかな?」

…アーシャはガッカリです、いやモチロンご両親からのお手紙は嬉しかったのです。しかし、…アーシャが期待してゆたのは。肩を落としたアーシャが、その場を立ち去ろうとすると…。

「ごめんなさい…、アーシャさんちょっと待って。…も〜一通来てました、天空のお城からです。うっかりしてたわ、…私」

アーシャの瞳に輝きが戻りました、受付に駆け寄るとお手紙を大切に受け取りました…。

ドキドキしながら…、宛名を確認すると。

…それは、やっぱりメリクル(天空の城の民"兄")からだったのです!!

近くの喫茶店に席を取ると、…アーシャはソッと封を切りました。

そこには、「親愛なるアーシャへ…。無事港街ベリートに着いて…、このお手紙を受け取ってくれると信じてゆる。…アーシャ、南の大陸に着いても油断は出来ない。天空のお城にも、…近頃南の大陸のモンスター達が不穏だと。報告がたびたび入って来ている、君の今度の旅も困難を極めるだろう…。しかし諦めてはいけない…、私は君の旅の無事を。…いつもいつでも神さまに祈ってゆる、それでは」

アーシャは、…ここでいつまでもこ〜して。メリクルからのお手紙を眺めてゆたい、そ〜想ったのです…。懐から便箋を取り出すと…、こ〜ペンを走らせました。

「…尊貴なる王子、メリクルさまへ。南の大陸への船旅は、…つつがなく終わりました。仰る通り、この港街ベリートにも闇の気配が迫っています…。私は聖なる山アルクロドに抱かれた…、ダオカーナ寺院を目指し。…闇の根源を断つつもりです、…メリクルさまは日々のご政務いかがですか?ご体調など崩されてゆませんか、よろしくご健勝なる日々を…。私も…、日々神さまにお祈り致しております」

…アーシャはそ〜記すと、昨晩押しておいたコスモスの花を挟み封を閉じました。

 

アーシャ南の大陸に舞う その4

「オジさん…、一体何があったんですか?」

怯えてすっかり腰を抜かしている、ターバンを巻いた男をアーシャは助け起こしました…。

「お、お嬢さん、…連中はも〜ゆっちまったのかい?」

…アーシャは、安心してもらおうとにっこり微笑みます。

「大丈夫ですよ…、も〜みんなやっつけましたから」

男は気持ちを取り戻して辺りを見回すと、モンスター達は既にに倒れてゆました…。

「いや、…私にもワケがわからないんだ。…お坊さんが、托鉢をやってたから」

兵士さん達が続々と集まって来て…、アーシャに倒されたモンスター達を次々とお縄にかけていきます。

「それで、私はこれもご縁だろうと想って…。少しばかりお支払いしたんだよ、…そしたら急に目の玉を見開いて」

…ターバンを巻いた男は、よほど恐ろしいモノを見たのか。顔がまだ…、引きつっていました。

「"お前には、ワレラ星人さまの思し召しがあるだろうよ…"なんて呪わしく吐き捨てると、…急に"何か"の呪文を唱えて。…魔法陣から、モンスターを次々に喚び出したんだ」

その時…、集まってゆる兵士さん達の一人がアーシャに声をかけます。

「見たトコロ、あなたは旅のお方かな…?」

アーシャは、…立ち上がると振り返りました。

…「ええそ〜です、このオジさんをよろしくお願いします」

アーシャは立ち去ろうとしましたが…、兵士さん達の一人に呼び止められました。

「これ程の業をお持ちとは、ただ者とは想えませんね…。もしよろしければ、…お名前をお聞かせ願いませんか?」

…アーシャは少しためらいます、しかしやがてハッキリと。

「私はエスタハーンからやって来た…、アーシャとゆいます」

兵士さん達の一人は、ビックリして大きくのけぞりました…。

エスタハーンのアーシャ、…つ、つまりそれは。…お、おいみんな、こちらのお方は伝説の勇者アーシャさまだぞ!!」

兵士さん達は…、ワラワラアーシャの前に集まると。

みんなで、一斉に平伏してしまいます…!

「まさか、…あの伝説の勇者アーシャさまが。…この港街ベリートにお越しとは知らず、と、とんだご無礼をつかまつりました!!」

あまりの事態に…、アーシャはちょっとポカンとしてしまいました。

「いや、私はそれ程の者では…」

そこへ、…ホレロを片手に担いだぺぺがゆっくり走って来ます。

「プイプイ」

「…いや〜、やっと片づいたみたいだね。それにしても…、ど〜したんだいこれは。みなさんで、何かの儀式でも執り行ってるのかな…?」

兵士さん達の一人は、…すぐぺぺにも気がつきました。

…「おぉ〜、コチラがアーシャさまのご相棒。MWに一匹しかいないとゆわれる…、青いぺぺろぐぅ殿ですなぁ」

アーシャ達の周りを、兵士さん達はぐるりと取り囲み…。

「伝説の勇者アーシャさまは、…まさしく戦の女神!…ぺぺ殿ともども、私達一同是非そのご栄光にあやかりたく何とぞ。一人々々と…、握手をお願い出来ませんか!!?」

「そうだゆいぞ、お願い致しますアーシャさま…!」

アーシャは、…少しドギマギしてしまいましたが。

…「私でよろしければ、喜んで」

と…、ぺぺと共に兵士さん達みなさんと。

一人々々、握手を交わしました…。

アーシャ南の大陸に舞う その3

…と、その時でした。

「うわぁ、…誰か誰か助けてくれ〜!!」

港街ベリート平和な静寂は、誰かの叫び声により打ち破られます…。

「ぺぺ…、ぺぺはホレロさんをお願い!…ホレロさん、ちょっとゆって来ます!!」

「プイプイ」、…ぺぺはホレロさんを片手で抱え上げました。

アーシャは、騒ぎのする方へまっしぐらに駆け出します…。

「あっちだあっち…、兵士さん達はまだ来ないのか!?」

…アーシャが辿り着くと、頭にターバンを巻いたオジさんがウェア・ウルフに襲われているではありませんか!!

アーシャは木の葉が風に舞うよ〜に剣を腰から引き抜くと、…目にも留まらぬ早さでウェア・ウルフに一撃をお見舞いしました。

「ぎゃい〜ん、邪魔するならこ〜だぞ…!」

すぐさまカウンターで…、アーシャに向けて何発ものパンチを繰り出すウェア・ウルフ。

…「そんなのも〜ずっと前から知ってるわ、それっ!!」

アーシャは華麗にバク転を決めると、…ウェア・ウルフから距離を取りました。よく周りを見渡すと、モンスターは一体ではなく集団ではありませんか…!体の大きなサイクロプスとウェア・ウルフ…、それにやや小柄でも力は強いオークが2体。

…「こいつは、アーシャだぞ!!お前達、…取り囲んでやっつけてしまえ!」

モンスター達の影から、…男の怒鳴り声がします。ここからではよく見えませんが、ど〜やら頭を丸めているよ〜でした…。

「そ〜はさせない…、こっちからいくわよ!!」

…アーシャは素早く距離を縮めると、再びウェア・ウルフに斬りつけます。

「ぐわ〜、…やられた!」

ウェア・ウルフは、今度こそバッタリ地面に倒れました…。

「さぁかかって来なさい…、モタモタするなら!!」

…アーシャは勢いよくジャンプして飛び込むと、着地の際に左右のオークを次々に斬ってやっつけます。

「こ〜よ、…んっ?」

「ぐお〜っ…!」

アーシャの着地を狙って…、サイクロプスが自分の体に劣らない巨大な金棒を振り下ろして来ました!!

…「重い、一撃!」

アーシャは盾を宿に置いて来てしまったので、…剣を水平にして片手を刃の峰に添えて受け止めます。

そのままサイクロプスは、力でアーシャを押し潰そ〜としました…。下手に降り被れば…、自分よりアーシャの方がずっと素早いとわかっていたからです。

…「これならど〜、思い知りなさい!!」

両手で支えている剣に角度をつけ、…金棒を受け流すアーシャ。するとアーシャは、全力で体ごとぶつかってサイクロプスを突きました…。

「ぐぉぐぉ…、ぐぉ〜ん!」

…地響きを立てながら、地面に倒れ伏すサイクロプス

「くそっ、…おのれおぼえていろ!!」

頭を丸め僧衣に身を包んだ男は、口の中で「何か」ゴニョゴニョと唱えます…。

「見ろ…、あれは魔法陣だ!」

…頭を丸めた男の前に、魔法陣が浮かび上がりました。

「あいつは魔法使いか、…いや闇に堕落した僧だ!!」

集まって来た兵士さん達が、周りを取り囲み始めます…。

「くくく…、ではさらばだぁ〜!」

…頭を丸めた男が、魔法陣の上に歩みを進めると。

不思議なコトに、…そのまま体が沈んでいき煙のよ〜に消えてしまいました。