どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その71

「何だいこのぐらいの傷、ぼくはまだ全然へこたれてなんかいないよっ!!」

 ガバッと勢いよく起き上がる聖戦士クリムは、「おおトロの剣」を構えます。

「私だって、こんなの気にしませんから!」

「アタシだってそうさ、"炎のヘクトム"なんかで決着がつくと想われたら困るのよね!!」

 神官マルミも魔女ケレナも、まだまだ元気いっぱいでした。

「おとなしく観念すれば、それだけ苦しみも少なくなると云うのに。まぁよいであろう、私もまだなぶる愉しみが足りんトコロではある。踏みにじって叩き潰してやろう、炎のヘクトム!」

 呪文を唱えた女帝ゾフィネーヌのてのひらから、再び6発の火の玉が魔女ケレナに向かって放たれます。

「ケレナさんこれで防いで、う〜さ〜ぎ〜お〜いし〜か〜の〜や〜ま〜」

 神官マルミが理力を詠唱すると、魔女ケレナのすぐわきにバリアーが出現しました。

「ありがとマルミ、アタシって一方的にやられるの性に合わないの、炎のヘクトム重ねがけ!!」

 神官マルミの用意したバリアーに守られながら、魔女ケレナも魔法で応戦します。女帝ゾフィネーヌと魔女ケレナがお互いに撃ち合った魔法の火の玉が、空中で激突し爆発しました。魔女ケレナが撃ち墜とし切れなかった炎のヘクトムは、バリアーに当たってぼよんぼよん跳ね飛ばされます。

「ケレナ、ゾフィネーヌから距離をとるんだ。格闘するのは、ぼくに任せて!」

 魔女ケレナの後方から、聖戦士クリムが猛然とダッシュをかけました。

「オッケー、アタシは後方から援護するわ。クリム、任せたよ!!」

 聖戦士クリムと魔女ケレナは、すれ違いざまにハイ・タッチを交わします。

「ゾフィネーヌいくよ、"おおトロの剣"の威力みせてあげる、灼熱の旋風!」

 走り込んだ聖戦士クリムは、そのまま体を炎の渦と化させました。

「フン、全くツまらんな。全く見飽きたと云うモノだ、その灼熱の何とやらは。私は神になるのだ、神はお前のようなちっぽけなる存在に斟酌せん!!」

 無数の剣が、女帝ゾフィネーヌと地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の周りを回転し始めます。炎をまとって回転する聖戦士クリムと、無数の刃の竜巻が激突しました。

「勇者とやら、その程度の力なのか?退屈であくびがでそうだ、どれもう少し剣を早く回してやろう」

「もう少し、もう少しなんだ。あと少し、ぼくに力があれば」

 聖戦士クリムの「灼熱の旋風」と女帝ゾフィネーヌの「剣の舞い」の激突はは、「剣の舞い」に軍配があがりそうです。全力で回転する聖戦士クリムですが、徐々に徐々に押し返されていきました。

「クリムさんがんばって下さい、さ〜い〜た〜さ〜い〜た〜チューリップのは〜な〜が〜!」

 理力を神官マルミが歌うと、女帝ゾフィネーヌの周りを金色の輪が取り囲みます。

「ええいうっとしい、こんなモノが何になると云うのだ!!」

 女帝ゾフィネーヌは金色の輪を掴むと、そんまま力任せにねじ伏せました。しかしその時、ほんの一瞬ですが「剣の舞い」の回転スピードが、わずかに落ちたのです。

「よし今がチャンスだ、いくよこれがぼくの全力全開だ!」

 そのほんのわずかなチャンスを逃さず、聖戦士クリムは無数の剣の竜巻を突破していき一撃を加えました。

「ぐ、ぐわ〜、神である私が、こんなちっぽけなる存在に傷を負わされただと。これは冒涜である、決してあってはならんコトだ!!」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥの唸り声と、女帝ゾフィネーヌの怨嗟の苦しみが、マルトム・クルメ城の大広間に響き渡ります。

先週に引き続きお知らせ

 「どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜」を愉しみにして下さってるお客さんには、大変申し訳ありません。ぼくのプライヴェートが忙しくなってしまい、いつ更新出来るか何ともいえなくなってしまいました。

 ただお約束します必ず完結させますので、隙を見ての更新になると想います重ねて申し訳ありません。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その70

…「早々に滅ぶがよい、己の分もわきまえず。"ねこねこファンタージェン"の真の支配者たるこの私に刃向かう愚か者共よ、…炎のヘクトム!!」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」と一つになった女帝ゾフィネーヌは、魔法の呪文を唱えると両手を大きく開きます…。するとそこから六発もの「炎のヘクトム」が…、散弾銃のよ〜に炸裂しました。

…「スゴい魔法力だ、でもしっかりと防御すれば平気さ!」

先程持ち換えた「にくきゅう印の大楯」をしっかり構え聖戦士クリムは火の玉を受け止め、…神官マルミも「にゃんねこの法衣」のすそをしっかり抑えて飛びあがります。魔女ケレナの運動神経もなかなかのモノ、素早く飛び散る火の玉をかい潜ります…。

「甘く見てもらっては困る…、私の力はこんなモノではない。…少しずつ戦慄させてやろ〜、雷のタムカン!!」

高く掲げられた女帝ゾフィネーヌの右手から、…3筋の稲妻がほとばしりました。3筋の稲妻はまるでレーザー・ビームのように、大広間のじゅうたんを焦がしながら一直線に聖戦士クリムを狙います…。

「何てスゴいパワーなんだ…、これはとても防ぎ切れない!」

…聖戦士クリムは「にくきゅう印の大楯」で防ごうとしましたが、3筋の稲妻が直撃すると。盾を構える右手がガクガク揺れてしまい、…やがて吹き飛ばされました。

「クリム、大丈夫…!!?」

「ゾフィネーヌあなたは魔法の力はスゴいですが…、武器を取って戦えますか!」

…聖戦士クリムに魔女ケレナが声をかけるより早く、女帝ゾフィネーヌの注意が聖戦士クリム逸れてる隙に神官マルミは「ねこの手も借りたいメイス」を振りあげ走り寄ります。

「全知にして全能である私には、…一分の隙も存在しない。見よ、そして思い知れ、剣の舞い…!!」

てのひらを天に差し向け両腕を掲げたゾフィネーヌの叫びに応じて…、無数の剣が出現しました。…そしてその宙に浮かぶ無数の剣は、竜巻のよ〜に回り神官マルミに襲いかかります。

「こんなのが何ですか、…イタッイタタッ、キャア〜!」

竜巻のよ〜に回る剣のいくつかを、「ねこの手も借りたいメイス」で打ち落とした神官マルミですが…。剣の数があまりに多くその回転が早かった為…、遂に巻き込まれて尻もちをつきました。

…「どれだけパワーがあっても、その図体でしょ?ど〜やってアタシの魔法をかわすの、…雷のタムカン!!」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」と一つになった女帝ゾフィネーヌの頭上に、魔女ケレナは魔法の呪文を唱えて雷雲を発生させます…。

「これだけ教えてやってもわからんとはな…、どれだけ浅はかなのか。…いや下らん、実に下らん!」

女帝ゾフィネーヌが腕を組むと、…今まで見ていた姿がまるで陽炎であるかのよ〜にかき消えました。

「えっ何それ、そんな魔法ないよ…!!」

背後に殺気を感じて魔女ケレナが振り向くと…、そこには地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の真っ黒な巨体と女帝ゾフィネーヌの姿があったのです。

…「そなた、魔女だな?そなたは、…仕えるべき主を見誤ったのだ。真に仕えるべきはこの私であったとゆ〜のに、だがも〜遅い炎のヘクトム!」

こんなに至近距離から火の玉の散弾銃を浴びせられては、魔女ケレナもかわしよ〜がありません…。

「うっ…、く、くっそ」

…魔女ケレナは「炎のヘクトム」を重ねがけして何発かは撃ち墜としますが、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」と女帝ゾフィネーヌの圧倒的なパワーの前にうつ伏せに倒れてしまいました。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その69

世にも奇妙に踊りながら、…女帝ゾフィネーヌは聞いたコトもない呪文を唱えました。

…「うわっ、何だ!!?」

女帝ゾフィネーヌをいただく玉座の前の階段の下に…、まばゆい光を放ちながら魔法陣が描かれます。魔法陣を描く線は輝き、そのまぶしさに勇者のパーティ一行は思わず目を覆いました…。

「この偉大にして叡智そのモノたる私、…地獄の支配者。…破壊ねこ"メギムトゥ"を喚び出すのは、一体何者であるかにゃん?」

女帝ゾフィネーヌの唱える呪文が終わると…、魔法陣は完成され光を失い。そこには恐るべき、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の巨体が横たわったのです…。

しかし地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の姿は、…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナを恐怖とは違った意味で驚愕させました。

…「何だろ〜、この姿」

「何てゆ〜か…、みっともないですよね?」

「ヤダ〜こんなヤツ、ただのオッさんじゃん…」

それもそのハズ白い毛並みの地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は、…まるまると太った体にはら巻き一丁とゆ〜出立ちだったのです。

…おなかをポリポリかきながら、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は眠そ〜に声を発しました。

「そこにいるのはゾフィネーヌかにゃ…、とゆ〜コトは。遂にサヘラが、私の為に"神さまの焼きサンマ"を焼く気になったのかにゃ…?どれどれ"神さまの焼きサンマ"はどこかにゃ、…おかしいにゃにゃんの香りもしないにゃ〜」

…ゴロゴロしながら都合のい〜コトばかり口にする、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の前に女帝ゾフィネーヌはひざまずきます。

「私を始めとして全ての魔物が敬愛してやまない…、王者にして主であらせられる"メギムトゥ"さま。ご機嫌うるわしゅう存じます早速ですが…。あなたさまのおん前では虫ケラにも劣る、…小さな私の訴えにお耳をお貸し下されば光栄です」

…地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は、面倒くさそ〜に頭をかきました。

「不肖この私…、女帝と呼ばれるゾフィネーヌめは。"メギムトゥ"さまに一刻も早く"神さまの焼きサンマ"を、ご献上つかまつらんと日々懸命に努力して参りました…。しかしところが、…そこにボンヤリ突っ立って。…地獄の支配者でああらせられる「メギムトゥ」さまに、何の敬意を示さない勇者を名乗る連中が。力づくで私達から…、サヘラを」

「勇者…?」

「勇者」と聞くと、…地獄の破壊ねこ「メギムトゥの眠そ〜な瞳がパッチリ開いたのです。

…「勇者とかゆ〜ネコミミは、この世界には必要ないんにゃ。何故なら私に従えない頭の悪いネコミミ共は…、その勇者とやらを心の支えにしているからにゃ。勇者ががんばってゆると聞けばごちそうを振る舞い、勇者が困ってゆると聞けば何とか助けよ〜とする…。その勇者とかゆ〜何とも厄介者を中心に、…ネコミミ共の心は一つになってしまう。…思えばサヘラが強情を張るのも、勇者が助けに来てくれると希望を抱くからに違いにゃい。希望なんて…、この"ねこねこファンタージェン"には必要ないんにゃ。希望なんてモノが存在するから、ネコミミ共は支配されにゃい…。ネコミミ共の希望をくじかなければならんよ〜にゃ、…その為には先ず勇者をズタズタに引き裂くコトにゃ〜!!」

…突然、マルトム・クルメ城全体がゴ・ゴ・ゴと揺れ始めました。

「みんな…、大丈夫!?」

「見て下さいクリムさん、あの"メギムトゥ"の姿…」

真っ白だった地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の毛色は、…だんだんドス黒く変化して逆立ちます。

…「勇者は許せんにゃ〜、今こそネコミミ共の希望をくじき。私が「オー・ラロル」に…、取って代わる時が来たのにゃ〜!!」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の姿に、女帝ゾフィネーヌは陶酔して見入りました…。

「おぉ、…何とご立派なお姿で。…このゾフィネーヌもあなたさまと一つになります、この私の全てを供物としてお受け取り下さい」

「ツまんない…、勘違いだね!」

魔女ケレナは、吐き捨てます…。地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は巨大な体をムックリ起きあがらせ、…その額に女帝ゾフィネーヌが重なりました。

…「世界を支配するのは、力なのだ。強い者は弱い者より優れており…、何があっても抗うコトは許されぬ。私は"オー・ラロル"より、力において優れている…。私こそ"ねこねこファンタージェン"に君臨し、…全てのネコミミは私の意のままになるべきなのだ!!」

…神官マルミの方を、聖戦士クリムは見ます。

「いよいよ…、本当に最後の戦いだね」

神官マルミは、魔女ケレナと視線を合わせました…。

「ここまで、…色んなコトがありました」

…聖戦士クリムに、魔女ケレナはウィンクします。

「まぁでも…、これが最後だから」

3人の勇者は、声をそろえてこ〜ゆいました…。

「精一杯、…がんばろ〜!」

…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの胸はとっても高鳴っていましたが、不思議と落ち着いてもゆました。

何となく予感していたのです…、がんばれば何とかなるよと。こ〜して、最後の戦いの幕が切って落とされました…。

 

「最後の死闘」のテーマ…

Babalon/Andrew.W.K.

https://youtu.be/oI8y36733ag

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その68

「グズグズゆってんじゃないよ、それっ炎のヘクトム…!!」

ドルイドちゃんねこに向かって…、魔女ケレナは炎の玉を放ちます。

…「ムンムンこっちは忙しいとゆ〜のに、う〜さ〜ぎ〜お〜いしか〜の〜や〜ま〜」

「隙だらけです、…私のコトだって忘れてもらっちゃ困りますよ!」

「ふるさと」を邪な言葉で歌い始めるドルイドちゃんねこを阻むよ〜に、神官マルミは「ねこの手も借りたいメイス」で打ちかかりました…。

「何とやかましネコミミだ…、ぐわぁ」

ドルイドちゃんねこは「悪魔ねこのひとみ」を振りかざし神官マルミの攻撃を防ご〜としましたが、そこに炎のヘクトムが直撃します。

「一度うまくいったんだ、…も〜一度試す価値はある。ゆくぞ、稲光の咆哮…!!」

得意な連続攻撃「ねこキックの嵐」で優位に立った聖戦士クリムは…、バーサーカーちゃんねこに立ち直るヒマを与えずさらに必殺の一撃を連続で繰り出しました。

…「ぎゃっにゃ、チョコマカとうっとおしいヤツタイ」

バーサーカーちゃんねこも必死で防御しますが、…だ〜いぶ疲れて来たのか息もゼェゼェとあがっています。

ドルイドちゃんねこよ何をふざけておるのだ、さっさと理力で聖戦士クリムの足を止め我らの勝利に貢献せよ…!」

ピリピリしながら女帝ゾフィネーヌは…、炎のヘクトムでドルイドちゃんねこを攻撃する神官マルミを狙いました。

…「そんな遠くから唱えても、当たりませんよ〜だ!!」

ちろりと舌を出して、…神官マルミは走ってその場を離れ火の玉をかわします。

「は、はい、ゾフィネーヌさま今すぐに…。地震の悪魔ねこナヤワさま…、必ず憎き敵の血と肉をお捧げ致します。…咲いた〜咲いた〜、チューリップの花が〜」

神官マルミが自分から離れると、…ドルイドちゃんねこはすかさず「チューリップ」の理力を歌いました。バーサーカーちゃんねこを追い詰める、聖戦士クリムの周りをグレーの光が取り囲みます…。

「頼むよ"ステンレスの丸盾"…、こんなのきっと突破出来る!」

…聖戦士クリムは「ステンレスの丸盾」を体の正面に構えて、グレーの光の輪に自分から飛び込みました。一点の水アカもないピカピカに磨きあげられた「ステンレスの丸盾」は(これは普段から神官マルミが使う度丁寧にお手入れしてるからなのです)、…キラッと輝いて理力「チューリップ」を打ち破ります。さても〜何をやってもうまくいかないコトに、バーサーカーちゃんねこはカンカンでした…。

「にゃぎゃ〜こ〜なったら力で勝負タイ…、聖戦士クリム決着をつけるタイよ!!」

…一方の聖戦士クリムは、「おおトロの剣」を天高くかざして応えます。

「い〜よ、…受けて立つさ!」

二振りの斧を高く振りあげて、バーサーカーちゃんねこは突っ込んで来ました…。

「ぎゃぎゃにゃ〜許さんタイ…、本気タイソニック・ストレングス!!」

…聖戦士クリムも全力疾走しながら、体を回転させます。

「ぼくはいつだって本気さ、…いつもいつだって灼熱の旋風…!」

強大な一撃「ソニック・ストレングス」が振り下ろされるその刹那…、聖戦士クリムは「灼熱の旋風」で。…バーサーカーちゃんねこの体の脇を駆け抜け、斬り裂いたのでした。

「にゃお〜ん、…まだまだ納得しとらんタ〜イ」

地獄までカッ飛んでゆくバーサーカーちゃんねこを見て、ドルイドちゃんねこはつぶやきます…。

「アワワこれは敵わない…、急いで逃げないと」

…慌てて逃げ出そ〜とするドルイドちゃんねこの前に、神官マルミが立ちはだかりました。

「こら、…こんなに悪さをして今さらどこに逃げるんですか。思い知りなさい、私の必殺技"百裂おしりたたき…!!」

ぴこぴこぴこぴこと目にも留まらぬ早業で…、神官マルミはドルイドちゃんねこのおしりを引っ叩きます。

…「こ、降参です、さよ〜なら〜」

たちまちドルイドちゃんねこのおしりは、…小高い丘のよ〜にはれあがり地獄に飛んでいってしまいました。

「アンタさぁいつまで余裕こいてんのよ、いい加減降りて来たら…!?」

そ〜叫ぶと魔女ケレナは…、玉座から見下ろす女帝ゾフィネーヌに雷のタムカンの魔法を唱えます。…女帝ゾフィネーヌの頭上にもくもく黒い雲が湧き、ピシャリと鋭い稲妻が光ります。

「そなた達は、…私を本気で怒らせてしまったのだ」

うるさいハエを追い払うよ〜に、女帝ゾフィネーヌは疾る雷の一撃を片手でかる〜く払いのけました…。

「そなた達は…、ただ叩き潰すだけでは私の気が治らん。…徹底的に心をへし折り、このきばで直に生き血をすすってやるとしよ〜。名誉であろ〜、…安心しろ。生まれて来たコトを後悔するまで苦しめてやる、ハ〜ハッハッハ!!」

そ〜宣告すると、女帝ゾフィネーヌは音も立てずに玉座から立ちあがったのです…。

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その67

「え〜い、…しっかりしないと!!」

…頭を振って、聖戦士クリムは気を取り直します。神官マルミも立ちあがり…、「ねこの手も借りたいメイス」を強く握りました。

「2人とも大丈夫みたいね、離れてて…。風の精霊シルフよ、…アンタの力見せてあげな雷のタムカン!」

…もくもくと黒い煙が立ちのぼったかと思うと、たちまち一筋の稲妻がバーサーカーちゃんねこに疾ります。

「ど〜…、やった?」

片膝を紫のじゅうたんについたバーサーカーちゃんねこは、おもむろにむっくり立ちあがりました…。

「にゃぎゃ〜、…この程度じゃやられんタイ。…この借りは、77倍にして返すタイ!!」

聖戦士クリムも神官マルミも…、その光景に目をまるくします。

「スゴい体力だ、そ〜だ…。マルミ、…"ステンレスの丸盾"を貸してくれない?」

…「え、ゆいですケド」

聖戦士クリムのゆ〜コトが…、神官マルミには不思議でした。聖戦士クリムは「にくきゅう印の大楯を使いこなす体力があるのに、何故わざわざ一回り小さい「ステンレスの丸盾」に持ち換えるのでしょ〜…?

「"ステンレスの丸盾"なら、…ドルイドちゃんねこの理力を防げる。…どちらにしたってあのバーサーカーちゃんねこの攻撃は、盾では防げないよ」

神官マルミも納得出来ました…、そ〜なのです。神官マルミの装備してゆる「ステンレスの丸盾」は、ねこ女神「オー・ラロル」さまの祝福が備わっていて…。邪なる言葉を、…通しません。

…「バーサーカーちゃんねこの相手をするのは、マルミには少し危ない。だからぼくが引き受ける…、マルミはケレナと協力してドルイドちゃんねこを頼むよ!」

聖戦士クリムの提案に、神官マルミも魔女ケレナもうなずきました…。

「え〜い何をゴチャゴチャと、…さっさと降参するがい〜。…諦めて命乞いせよ、雷のタムカン!!」

玉座から響く…、女帝ゾフィネーヌの叫び。聖戦士クリム達勇者のパーティ一行は、急いでバラバラに散らばります…。女帝ゾフィネーヌの喚ぶ渦を巻く黒い雲から放たれた稲妻は、…紫のじゅうたんを焦がしました。

…「よぉ〜し改めてゆくよ、稲光の咆哮!」

稲妻をまとう聖戦士クリムは…、バーサーカーちゃんねこに勢いよく激突します。

「ぎゃにゃ〜、パワーなら負けんタイ…。力で、…押し返してやるタイ!!」

…二振りの斧をクロスさせて、「稲光の咆哮」をしっかり防いだ。バーサーカーちゃんねこは…、そのまま力任せに斧を振りあげました。

「そんなの百も承知さ、それっ…!」

素早いジャンプで飛び越えた聖戦士クリムは、…そのままバーサーカーちゃんねこの背後に着地します。

…「パワーはスゴいケド、スピードなら負けないさ。これならど〜だ…、"ねこキックの嵐"!!」

聖戦士クリムは、文字通り嵐のよ〜な…。目にも鮮やかな、…連続攻撃を繰り出しました。

…「ぎゃにゃっ、う〜んこうるさいヤツタイ」

バーサーカーちゃんねこが口で何とゆお〜と…、聖戦士クリムがスピードで圧倒したのは事実です。

「コッチも負けてらんないね、さぁドルイドちゃんねこ炎のヘクトム重ねがけだよ…!」

魔女ケレナのてのひらから炎の玉が二発飛び、…ドルイドちゃんねこを正確に狙いました。

…「結果は同じです学習しませんね、う〜さ〜ぎお〜いし〜か〜の〜や〜ま〜」

同じよ〜に「ふるさと」の理力で…、ドルイドちゃんねこは緑のバリアーを発生させます。

「こらドルイドちゃんねこ、油断大敵です…。万能な理力なんて、…ありませんから」

…そこを狙いすませて、神官マルミは駆け込みました。

「な、何〜…、これは厄介な」

「悪魔ねこのひとみ」を振りあげる間もなく、神官マルミは「ねこの手も借りたいメイス」でどるどちゃんねこを打ちます…。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その66

「にゃぎゃ〜…、やったるタイ!!」

二本の斧を振りあげてバーサーカーちゃんねこは、勇者のパーティにまっすぐ突撃して来ました…。

「よぉ〜し、…ぼくが受けて立つ!」

…聖戦士クリムは体の正面に「おおトロの剣」を構えて、バーサーカーちゃんねこを迎え撃ちます。

「愚か者め…、闇の精霊アーリマンよ。我に力を貸すがよい、ホルト・ルドランゴ…」

玉座に腰かけたまま女帝ゾフィネーヌが魔法の呪文を唱えると、…聖戦士クリムの周りに闇のロープが現れグルグル巻きに縛られてしまいました。

…「何だ、こんなモノ!!」

力任せに振り解こうと聖戦士クリムは全身に力を入れますが…、闇のロープはネバネバしてまとわりつきます。

「チッ、メンド〜なコトしてくれるジャン…。炎の精霊サラマンダーよろしく、…炎のヘクトム!」

…魔女ケレナは聖戦士クリムを援護しよ〜と、バーサーカーちゃんねこ目がけて火の玉を放ちました。

「ちっちっ…、甘いですねぇ。地震の悪魔ねこ"ナヤワ"さま、我ら魔物をお守り下さい…。う〜さ〜ぎお〜いし、…か〜の〜や〜ま〜」

…悪魔ねこの力で呪いの言葉を発する、ドルイドちゃんねこ。するとバーサーカーちゃんねこの周りに…、緑色のバリアーが生じます。魔女ケレナの放った火の玉は、ドルイドちゃんねこの「ふるさと」に不快な音を立て弾き飛ばされました…。

「ぎゃにゃにゃ〜、…いくタイ、ソニック・ストレングス!!」

…必殺の一撃を炸裂させる、バーサーカーちゃんねこ。

「足は自由なんだ…、それで充分!」

聖戦士クリムは、「ホルト・ルドランゴ」に体を縛られたままうしろにジャンプします…。しかしバーサーカーちゃんねこのソニック・ストレングスは、…ただ斧を振り下ろすだけではありません。…大理石の床を砕くその一撃は、衝撃波をも発生させるのでした。

「うわぁ…」、「ソニック・ストレングス」の衝撃波に煽られ聖戦士クリムはうまく着地出来ず倒れます。

「大丈夫ですか、クリムさん…。間に合って、…ぶんぶんぶんはちが飛ぶ〜」

…神官マルミは急いで、理力の誓言を歌いました。理力「ぶんぶんぶん」は…、異常な状態にある仲間をスッキリシャッキリさせる誓言です。闇のロープから解き放たれた聖戦士クリムは、すぐに立ちあがりました…。

「なかなかスゴい威力だね、…でも何でもないさ。…じゃあ、こっちからゆくよ!!」

聖戦士クリムは「おおトロの剣」を振りあげて…、バーサーカーちゃんねこに打ちかかります。

「単純なるバカ者は、操縦しやすいですね…。雷の悪魔ねこ"カミマル"さま、…あなたのお力をお借りします。…ぞ〜さんぞ〜さん、お〜はながながいのね」

指先から血のように真っ赤な光を輝かせるドルイドちゃんねこ…、すると聖戦士クリムは目がくらんでしまいよく前が見えません。

「う、う〜ん、頭がクラクラする…」

「にゃぎゃ〜ん、…こいつを喰らうタイ!」

…そこへすかさず、バーサーカーちゃんねこの二振りの斧が襲いかかりました。

「私が相手です…、どれだけ力に差があっても。決して逃げたりしませんから…」

神官マルミは出来るだけ勢いをつけて、…バーサーカーちゃんねこに体当たりします。…そしてそのまま、「ねこの手も借りたいメイス」でバーサーカーちゃんねこを打ちました。

「こ〜んなひよわな一撃…、蚊にでも刺された方がよほどかゆいタイ!!」

両腕をグルグル動かして、バーサーカーちゃんねこは神官マルミを攻め立てます…。

「何のこれしき、…キャア!」

…神官マルミは必死に防御しますが、とても耐え切れず思わずしりもちをついてしまいました。