雲の彼方のラフ・スケッチ 後編

 次の日の朝、良太は男二人の洗濯物を洗濯機に放り込み、純平はみんなの朝ごはんの仕度をしている。

「おい良太、もうベーコン・エッグが焼けるぞ」

 座って、ゴンゴン回る洗濯機を眺める良太に、純平は声をかけた。

「じゃあ、勝美さん呼んでくる」

 良太は階段を上がると、あんまり気にしてなければいいけど、と思いながら二階のふすまを手でノックする。

「勝美さん、朝ごはん出来たって」

 部屋の中でモゾモゾする音と共に、何やらむにゃむにゃ言う声がした。

「アタシ何か疲れちゃった、もう少し寝かせて。朝ごはんは、置いといてくれれば後で食べるから」

 勝美の返事に、うなだれて階段を下りる良太。

「勝美さん、まだ寝てたいってさ」

 良太の言葉に、純平は動じないように見える。

「そうか、じゃあ先に食っちまおう」

 ちゃぶ台に向かい合わせになり、二人で朝ごはんを食べ始めた。

「やっぱり、勝美さん気にしてんのかな」

 昨日の温泉で、お土産に買った野沢菜漬けに良太ははしをのばす。

「それはそうだろうな」

 純平も、野沢菜漬けでごはんをかき込んだ。

「おれ、悪いことしちゃったかな」

 消えいってしまいそうなほど、良太は小さくなってしまう。

「まぁ、あまり気にするなよ。でも、今日は一日、勝美を一人にさせてやろう。それ食ったら、洗濯物干して、車でどこか行こうじゃないか。お前にも、気晴らしが必要だろうし」

 良太は、汁椀を口元に運んだ。

「純平、お前お料理出来るんだ。このお味噌汁、いい味してる」

 突然の言葉に、純平は少し驚く。

「何言ってるんだ。そりゃ毎日やってれば、誰でも格好はつく」

 純平は、一人暮らしなのだ。

 そのまま二人は、純平の運転でどこと目的地を決めないままに、ドライブに出た。この辺りは、長野県でも特に観光地ではないから、車の通りは少ない。

「おれ、勝美さんに謝ろうかな」

 浮かない表情で、良太がつぶやく。

「どうして?」

 聞き流してもいいつぶやきを、純平はあえて問う。

「だって、おれが悪いんじゃないか。おれがバカなんだ、余計なこと言っちゃって」

 良太の気持ちは、純平にもわからなくはない。純平は、どう言ったものか思案した。

「なぁ、勝美さん傷ついたのかなぁ?」

 良太だって、やはり気になっているのである。ただ不器用だから、うまく言葉に出来ない。

「う〜ん、そんなことはないだろう。お前だって、いい加減な気持ちで告白したわけじゃないんだし」

 言葉を選んで、慎重に答える純平。

「こういう時は、あれこれ言葉をかけても逆効果だ、とおれは思うんだ。かえって、関係がこじれるだけで。時間が解決してくれるんじゃないか、どちらにも誠意があるんだから。おっ、道の駅だ。良太、土産物でも選んで来よう」

 純平は、ジーナを道の駅の駐車場に停めた。車の数は、それほど多くはない。二人は分かれて、それぞれのお土産を物色する。純平が興味のあるのはお酒だ。酒販のコーナーを見つけると、そこには色とりどりの地ビールが並んでいる。純平もまだ18歳だが、雰囲気が大人びているため、これまで誰からも飲酒も喫煙もとがめられたことがなかった。

「お〜い、純平」 

 地ビールの一つを手に取って眺めていると、良太の声がする。

「お前と勝美さんのご実家に、巨峰一房ずつ送っといたから」

 これだから、と純平は思う。

「いいのか、巨峰なんて高いのに」

 良太は両手に、あれもこれもお土産を下げていた。

「いいから、気にしないでくれよ。せっかく遊びに来てもらっちゃったんだから、そのお礼」

 良太の親切な気持ちは、疑う余地もない。ただその経済感覚は、一人暮らしの純平とも奨学金を借りて進学した勝美とも違っていた。

 その日は一日車を走らせ、長野市まで出た。そこを観光し、夕方帰って来る。

「純平、おれちょっとお酒飲みたいんだよね」

 もちろん、良太は未成年だ。幼い雰囲気の良太は、純平と一緒でないと飲み屋さんには入れてもらえない。

「まぁ、時間的に余裕はあるが」

 あまり賛成出来ない純平だ。未成年がお酒を飲むことではない、それは自分も同じである。ただ振られて飲む、というのはいかがなものか。大抵の場合、いいお酒にはならない。

「いいじゃないか、おれスウィングされちゃったんだし。どうせなら、パ〜ッとやりたいよ」

 良太の言う「スウィングされた」というのは、「振られた」という意味だろう。仕方ないか、と折れた純平は、通りに面した一軒の居酒屋に車を停めた。

「いらっしゃい」

 カウンターの向こうにいる女将さんは、おばあさんで店内には演歌がかかっている。壁には、昔来店したのだろう。芸能人のサインが、二、三飾ってあった。お座敷へ案内されると、純平は早速煙草を吹かす。

「いいなお前は、煙草すえるから」

 どこかしらはしゃいだ空気の良太に、純平は落ち着かないものを覚えた。良太は生ビールを、純平はウーロン茶。それにおつまみに、冷奴ともつ煮を注文する。

「スウィングされちゃったおれに、かんぱ〜い!」

 運ばれて来た生ビールを、良太は上機嫌にゴクゴク飲んだ。最初の一口で、三分の一ぐらい空けてしまう。

「遠くで呼んでる〜、声がする〜」

 おつまみが運ばれて来る頃には、もう一杯飲み終わってしまった。すぐに次の一杯を、良太は注文する。

「おいおい、あんまり無茶するなよ」

 止めても無駄なのはわかっているが、一応声をかける純平。良太はそのままジャッキを重ね、普段飲みつけないものだから三十分ぐらいでぐでんぐでんになってしまった。

「あぁ、何でおれはいい男じゃないんだろう」

 その頃から、だんだん良太の雲行きが怪しくなって来る。お酒の勢いか、いつもの良太とは目つきが変わっている。

「何で、おれはお前と飲んでるんだ。どうして勝美さんじゃないんだ」

 純平の予想通り、良太は次第に絡み始めた。

「純平、お前はモテるもんな。だから、別れたってかまわないんだろ。でも、おれは初恋だったんだ」

 黙ってうなずいていた純平だったが、徐々にひどくなる酔態に、連れて来た責任を感じ口を開いた。

「良太、あのな」

 良太の顔は真っ赤で、まるでおさるさんである。

「お前の飲んでるそのお酒、お金を出してくれてるのは誰だ?」

 ムグムグッとして、良太は答えられない。何故なら良太のふところに入ってるのは、お小遣いだからだ。

「良太、勝美はどうしてる?勝美は、ここに来るお金はどうやって手に入れた?」

 何も言い返せない良太だ。勝美はアルバイトして、自分で稼いだお金だ。それに自分の遊ぶお金だけではない、家にも充分なお金を入れているのだ。

「お前は親に甘える、勝美は自立を目指してる。これじゃ勝美にとって、お前は頼りにならないだろ?」

 酔ったいい気分は、すっかり冷めてしまう。

「う、うん……」

 次第に、良太の目から涙があふれて来る。食べかけの冷奴ともつの煮込みを純平の方へ押しやると、テーブルへ突っ伏した。

「ごめん、お前は何も悪くないよ。勝美さんだってそうだ……」

 泣き続けるうち、そのまま良太は寝入ってしまう。少し厳しく言い過ぎたか、そう思って煙草に火を点けると、スマホがメッセージを受信した。どうせ仕事の話だろう。お盆休みぐらい放っておいてくれ、と思いポケットから取り出すと、勝美からだ。そこにはこうあった。

「純平、私はあなたのことが……」

 メッセージは、そこで途切れている。全文を読むには、アプリを立ち上げなくてはならない。純平はスマホをテーブルに投げ出すと、煙草を口にし長く吹かした。

「……」

 勝美の期待に、気がつかなかったわけではない。そして純平自身、決して悪く思うはずもなかった。何でも自分で試してみる、それが純平の生き方だ。だからお試しで付き合ってみる、それもあり得なくないのだ。純平は、新しい煙草に火を点ける。だが、それでは良太の気持ちはどうなる?同情しているのではなかった。純平は、決して家庭での幸せに恵まれていたわけではない。実家での暮らしには、いつも父の暴力があった。それを見限るように実家をあとにした純平にとって、素直な生き方の良太は、弟のようでもありまた癒しなのだ。

「良太そろそろ行こう、勝美が待ってるぞ」

 純平は、良太を起こす。純平にとって、勝美は大切な存在だ。だが良太だって、同じくらい大切なのである。だから、この三人がいい。三人でバカをやって、泣いて笑って。それが、いつまでも続いて欲しいのだ。純平は、メッセージを読まないことに決めた。

 良太の別荘に帰ると、二階の電気はまだついている。だがそれは、気にしてもどうにもならないではないか。

 その翌日の朝。

「おはよう、二人とも早く起きなさいよ。今日は、アタシが朝ごはん作るから」

 良太と純平は、勝美の声で目を覚ました。二人がお布団から出て来ると、勝美はお台所に立っている。

「昨日は、帰って来るの遅かったじゃない。もしかして、怪しいお店にでも行ってたの?」

 トイレに入った純平は、スマホを取り出してアプリを起動した。昨日のメッセージは、削除されている。

「勝美さんのお料理は、しょっぱいからいいんだよ。ごはんがいっぱい、食べられるから」

 良太もいつもの調子だ。そういえば、良太のお母さんは料理上手なことを、純平は思い出す。

「今日は、いつ頃出発するの?もう荷物はまとめてあるけど」

 フライパンを洗いながら、勝美は純平に尋ねた。

「朝ごはん食べたら、すぐに出よう。おれは明日仕事だから、道が混むといけない」

 良太は、つまらなそうにしている。

「そんなに早く帰っちゃうのかぁ、ゆっくりしてけばいいのに」

 食器を片づけると、純平は自分の荷物をまとめた。とはいっても、二泊三日だから着替えぐらいのものだ。外に出ると、勝美が待っている。

「色々あったけど、あ〜楽しかった〜」

 そう言って、勝美は伸びをした。良太も出て来てお見送りだ、車に荷物を運ぶのを手伝う。

「また来年も来ようね、それじゃ良太!」

 純平は車を発進させた。一人残された良太は、別荘に戻るとお家に電話をかける。

「もしもし、あ、お母さん?おれ、帰ったらアルバイト見つけようと思うんだ。そうしたら、もうお小遣いいらないから」

 

・エンディング・テーマ

「リアルサウンド 〜風のリグレット〜 オリジナルサウンドトラック(鈴木慶一)」より

風のリグレット・メインテーマ〜Piano Version by Nana

風のリグレット・メインテーマ〜Orchestra Version

 

https://youtube.com/playlist?list=PLc6YDEM4RFVs&si=2tUM-f23Eld1mlKc

 

 

 

 

雲の彼方のラフ・スケッチ 前編

「そ〜ら〜を自由に〜、と〜びた〜いな〜」

 8月の暑い夕方、一人の青年が歌いながら、自転車で坂道を登る。自転車のチェーンはさびだらけで、青年がペダルをこぐ度、キイキイ音を立てた。

「うわっ、あっついな。避暑地といっても、夏は夏だ」

 場所は長野県の山の中、野沢温泉村へと続く坂道である。青年の名前は、岡崎良太。良太は今年で、18歳になる。介護士を目指し、専門学校に通っているが、夏休みを利用し、この近くの両親の別荘に遊びに来ていた。

「うんしょううんしょう、えっあと2kmもあるの?まだ、半分じゃないか〜」

 空は、夕焼けで真っ赤に染まっている。それなら、明日も晴れるだろう。空気がいいから、空が高かった。

「ゴクッゴクッ、やっぱ夏は麦茶だな!」

 自分で淹れた麦茶を、満足そうに飲み干す。別荘には、一週間のつもりで滞在している。昨日着いたばかりだから、今日は二日目だ。

「おぉ、ようやく建物が見えて来たな。や〜っと、上り坂が終わる」

 こうして、良太は日も暮れつつある温泉村へと辿り着いた。さてここから、早速温泉を目指すのだが、野沢には宿が経営している温泉の他に、無料で入れる共同浴場もたくさんある。そのどこを選ぶかで、良太は迷った。

「う〜ん、どこのお風呂がいちばん熱いのだろう?」

 パンフレットを眺めて、温泉村の中をほっつき歩く。良太は、熱いお風呂が好きなのだ。

「まぁいいや、ここにするか」

 どれだけ迷っても、入ってみないことにはわからない。良太は取り敢えず、と手近な共同浴場に入った。脱衣所で服を脱ぎ、裸になって浴場の扉を開く。ラッキーなことに誰もいない、まるで貸し切りだ。手桶でお湯をすくい体を流す。

「うわっ、あっつい!」

 お湯の流れた後の肌が、赤く染まる。良太好みの、熱い温泉だ。

(いや〜、こりゃいいや。これからは、ここに通おう)

    お湯に浸かると、体からドンドン汗が流れて来る。悪いものは、みんな体の外へ流れ出てしまうのだろう。しかし5分ぐらい浸かっていると、もういいかな、という感じになって来た。

(いや、こんなすぐ上がったらもったいない。せっかくここまで来たんだから、もっと楽しまなくちゃ)

    そう自分に言い聞かせて、良太は我慢する。

 それからしばらく経って、良太が入ってから15分。その間、体から絶え間なく汗が流れていた。心なしか、頭も少しくらくらする気がする。しかし、良太は諦めなかった。

(いや、このぐらいで負けちゃダメだ。そんな根性では、これからの人生の困難にも立ち向かえないぞ)

    屁理屈をひねり出して、上がりたい気持ちを抑えつけようとする良太だが、次第に気持ちが悪くなって来る。これではどうにもならない、とようやく温泉から上がろうとするが、体に力が入らない。

(こ、このままでは、死んでしまう!)

    良太は這うように、浴槽からにじり出た。そのまま芋虫のように、脱衣所まで出て来る。脱衣所にエアコンはないが、扇風機が回っていた。首振りをオフにして、かじりつくように風を浴びる。

 幸い、それほどひどい湯当たりではなかったらしい。しばらく休んでいると歩けるようになったので、服を着ると表の自動販売機で、スポーツ・ドリンクを買って飲んだ。

「こんなことしてるから、純平からバカだって言われちゃうんだよな」

 冷たいスポーツ・ドリンクで水分補給しながら、そのまま扇風機に当たっていると、だんだん元気が出て来た。

「さぁ〜て、帰るか」

 ペット・ボトルをゴミ箱に放り込むと、自転車を押して野沢温泉村を後にする。もう十分に温泉は堪能した、良太の頭の中は帰り道のことでいっぱいである。来る時は、4kmの上り坂であったのだ。ということは、帰り道はそれが全部下りになる。あの、周りには山しかない下り坂を、ずっとブレーキをかけずに飛ばしたら、さぞかし気持ちいいことであろう。

 翌朝、目を覚ました良太はトイレへ入った。用を足しながら、換気用の小さな窓から外を眺めると、朝露に湿る葉っぱの上にあまがえるが乗っている。

「かえるさん、おはよ〜」

 さて、まずごはんを炊こう。炊飯器からお釜を取り出すと、お米を計って研ぎ始めた。適当に研いだら、お水を張って炊飯のスイッチを入れる。

「どんなことでっも〜、楽しくし〜ちゃう〜」

 次は、お洗濯。昨日と一昨日着たものを、クシャクシャにまるめると、洗濯機に放り込んだ。後は水位だけ設定したら、こっちもスイッチ・オン。どちらも、終わるまで時間がかかるから、朝のお散歩に出掛けることにした。外に出ると、気持ちのいい青空である。まだ時間が早いから、それほど気温は上がっていない。それにたとえ日中でも、山の中だから湿度が高くないため、決してムシムシはしないのだ。良太の別荘は、大きな流れの千曲川に沿った、県道に面しているから、その県道を歩き始める。

「おはよう、良ちゃん」

 少し歩いたところで、畑仕事をしているおばあさんからご挨拶された。良太も「おはようございます 」と挨拶を返す。

「よかったら、お野菜持っていきな。今採ったばかりのやつだから」

 おばあさんは、クシャクシャのレジ袋を広げると、これでもかとたくさんのなすとプチ・トマトを入れて持たせてくれた。お礼を言って、受け取る良太。実はこのおばあさんは、冬の間、別荘を管理してくれているのだ。それにしても、サービス満点である。レジ袋を下げる右手が、ズシリと重い。

 しばらく歩いたところで引き返し、別荘に帰って来ると、自炊の続きだ。お台所に立つと、先ほどもらったなすに包丁を入れる。切り方は適当だ、へたを取ることだけ忘れなければいい。それと、昨日駅前のスーパーで買っておいた油揚げを刻んで、お鍋に水を張るとガス・コンロにかけた。

「よし、今日はベーコン・エッグだぞ!」

 フライパンに油を引いて、火にかけて温める。それから玉子を落としてベーコンを並べたら、しばらく待つだけだ。ジュウジュウと、玉子とベーコンの焼けるいいにおいがする。ところが、なのだ。

「あれれ、黄身が固まらないな」

 そうなのだ、良太はふたを閉じることを知らなかった。だからいつまで待っても、黄身は固まらない。

「え〜、何だか黒くなってきちゃったぞ」

 焼き方が足らない、と思った良太は、いつまでも焼き続ける。しかし、だんだん玉子とベーコンが焦げ始めて来た。それでも良太は、ど〜しても半熟のベーコン・エッグが食べたいのだが、いい加減限界である。

「うわわっ、も〜ダメだ」

 これ以上焦げたら、もう食べられなくなってしまう。泣く泣く、焦げた玉子とベーコンをお皿に移した。

「あ〜美味いなぁ、自分で作ると何でも美味い」

 ごはんはお水が足らなくてカチカチだし、ベーコン・エッグはこげこげ。お味噌汁もなすの灰汁を取ってないから、少し苦かった。それでも、良太は満足である。自炊するなんて、調理実習以来のことなのだから。

 食後に麦茶を飲んでいると、どこから紛れ込んだのか、部屋の隅にキリギリスがいる。

「へ〜、自然が豊かだと大きく育つんだな。おはよ〜、キリギリスさん」

 親指よりも大きなキリギリスを指でつまむと、戸を開けて外に放す。

「ごめんね、悪いけどここは、おれの住むところなんだ」

 そう言うと、良太は食べ終わったお茶碗とお皿を片付け始めた。

 その日の夜、良太の友人篠原純平と鈴代勝美が車で到着する。

「お〜い、待ってたよ、お疲れさま」

 別荘の敷地内に、純平の運転する軽自動車を誘導する良太。

「やっと着いた、いや結構かかったな」

 車を停めると、純平は降りてすぐに煙草に火を点けた。

「あ〜疲れた、本当に何もないところね」

 続いて降りた勝美は、大きく伸びる。純平と勝美は、良太と同じ高校の同級生だ。いわゆる悪友というやつで、いつもこの3人でつるんでは遊んでいる。

「さすがに空気がキレイだ、水もうまいだろう」

 高校卒業後、純平は地元の運送会社に勤めた。今は倉庫で、食品や飲料を管理している。

「お土産に、玉子焼き作って来たから。良太、好きでしょ」

 勝美は保育士を目指し、短大に通っている。実家が裕福でないため、奨学金を借りて入学した。

「ありがと〜。勝美さんの玉子焼きは、しょっぱいからいいよね。お母さんのは、甘くって」

 玉子焼きを受け取ると、二人を別荘に案内する。純平と勝美は、車から荷物を下ろして運んだ。

「純平は、おれと一緒に一階で寝起きしてくれ。二階は二部屋あるんだけど、勝美さん好きな方使ってくれてかまわないよ」

 荷物を運び終えたら、夕ごはんだ。

「この辺コンビニが全然ないから、食べるものが何も買えなかったの」

 そう言って、おなかを抱える勝美。

「大丈夫、そんなこともあろうかと、おれがカレーを作っといたから」

 良太はキッチンで、お鍋のカレーを温め始める。

「えー、良太のカレー?大丈夫なの、味は」

 照れたように、良太は頭をかく。

「大丈夫だよ、ちゃんとカレーの味がするし、食べられるよ」

 勝美は、困ったように笑った。

「食べられるって、ちゃんと味見したの?」

 外で煙草をすっていた純平も、リビングに戻って来る。

「それにしても、はらが減ったな。このにおいは、カレーか。そりゃ、ありがたい。近くのお店は、この時間でもうみんな閉まってるんだよ計算外だった」

 良太は、お皿にごはんとカレーを盛って、テーブルに運んだ。その間に、純平と勝美は洗面所で手を洗う。

「いただきま〜す!」

 時間の遅い夕食だ、3人は良太のカレーを食べ始めた。

「野菜の大きさが、バラバラじゃない。キャンプで作るカレーみたいになってる」

 なんだかんだいいながらも、しっかり食べる勝美。

「うん、悪くないな、特に野菜の味がいい。上出来じゃないか、良太」

 純平の言葉に、良太はホッと胸をなでおろした。

 翌朝、朝食を済ませると、純平の提案で海を見に行くこととなった。千曲川沿いの県道を車で走らせると、2時間ぐらいで新潟県に出る。

「日本海ってさキレイだし、夏の間は波も穏やかでいいっていうよね。アタシ、水着持ってくればよかったかな」

 車の中で、勝美ははしゃぎっぱなしだ。一方良太は、水着、というフレーズにドキッとする。

「純平の車、カッコいいよな。ジーナっていうんだっけ、やっぱりおれも車の免許取ろうかな」

 麦茶の入ったペット・ボトルに、良太は口をつけた。先ほどのドキドキが、まだ治らない。

「あっ、コンビニだ。純平、停めてよ」

 1時間半車で走って、ようやく一軒のコンビニだ。

「アタシ、生茶買って来るね」

 純平が車を停めると、勝美はいそいそと買い物に行ってしまう。お店の外に据えつけてある灰皿で、煙草を吹かす純平に、良太はそっと自分の気持ちを打ち明けた。

「なぁ純平、おれやっぱり今夜、勝美さんに告白するよ」

 純平は、目を伏せる。

「それは、かまわんがな。どうせなら、もっと雰囲気のあるところで告白した方が、いいんじゃないか」

 落ち着かなそうに、良太は麦茶を何度も口に運んだ。

「いや、こういうことは、決めた時がいいんだよ。おれの気持ちも盛り上がるし、鉄は熱いうちに打てっていうだろ」

 純平の煙草は、もう燃え尽きかけている。

「ただそうすると、友達には戻れないかも知れないぞ。それは、覚悟してるのか?」

 良太の目は、ある一点を見詰めていた。

「そうかも知れない、でも、ずっと想ってたんだ、高校生だったときから。そろそろ決着させたいんだ、この恋に。お前にも、迷惑かけるかも知れないが、そしたらゴメン」

 純平は、灰皿に煙草の吸い殻を押し付ける。

「おれのことは、気にしなくていい」

 純平の返事に、良太はカラッと笑った。

「余計な話をして、悪かった。おれも、コーラでも買って来るよ」

 その夕方、海から帰った3人は、その足で野沢温泉村に遊びに行く。

「いや〜、いいお湯だった」

 ひとっ風呂浴びると、良太は表の自動販売機でコーラを買った。

「確かにな、暑い中、熱い風呂に入るのもいいもんだ」

 純平は、缶コーヒーである。

「本当に、この後告白するのか?」

 煙草に火を点ける、純平。

「うん、ゆうごはん食べたらね」

 コーラをゴクゴク、良太は飲んだ。

「そういえば、純平は恋人とはうまくいってんの?」

 良太は、何の気なしに質問する。

「もう別れたよ、2ヶ月、いや3ヶ月になるかな」

 携帯灰皿に、純平は灰を落とした。

「えっ、そりゃ聞いちゃいけなかったかな」

 びっくりする、良太である。以前、一度会わせてもらったことがあるのだが、おとなしい感じの女性で、あまり自分のことを語らない純平とは、ピッタリのカップルだと思ったのだ。

「かまわんよ、ケンカ別れじゃないからな」

 純平の答えは、良太をさらにびっくりさせる。高校生の頃から、純平には常に恋人がいた。良太には、想像もつかない世界である。

「聞いてもいいんだったら、何で別れたのか教えてくれよ」

 良太は、決して下品な根性で訊ねているのではない。むしろその疑問は、純粋なぐらいなのだ。

「どう言ったらいいか。そうだな、つぐみとは性格は合ってた。口数も多くないから、うるさくもない。趣味とかセンスも、ちょうどよかった」

 別れた恋人は、つぐみというのである。

「じゃあ、何で別れるんだよ。理想的な相手じゃないか」

 興奮した良太は、コーラをこぼしそうになった。

「うん……、燃えなくなっちまったんだよ。話は合う、一緒にいて居心地はいい。でも、それだけなんだ。何だか、友達みたいになってな。お互いに求めるものがない、というか。このままだったら、恋人である必要がないんじゃないかって、二人で話し合ったんだ」

 無性にのどが渇いた良太は、残ったコーラを一気に飲み干す。純平の話は、チンプンカンプンだ。

「それなら、別れる必要ないじゃん」

 良太の言葉に耳を傾けながら、純平は携帯灰皿で吸い殻をもみ消す。

「まぁ、お前の言う通りなのかも知れんよ。それでも……」

「お待たせ〜、いいお湯ね」

 純平の言葉をさえぎるように、勝美が浴場から姿を現す。ほんのりと赤みがさした湯上がり姿に、良太の胸は高鳴った。

「またコーラ飲んでるの、良太は子供ね」

 そういえば、純平のコーヒーはブラックである。それに気がつくと、良太は頭をかいた。

 本当は、こう言いたいのだ。「勝美さん、キレイだね」と。でも言える訳がない。純平がいるから、ではなかった。純平なら、きっと許してくれる。それに、良太は思うのだ。きっと純平なら、肝心な時には言うのだろうな。

 それから、三人で夕ごはんを食べに行く。わざわざ長野県まで遊びに来たのだから、おそばを食べなければ始まらない。

「ネットで調べたんだが、なかなか評判がいいんだよ」

 お店は、純平にお任せだ。野沢村の美味しいおそば屋さんを、うまく見つけてくれたらしい。

「へ〜、そりゃ楽しみだな」

 グルメには、あまり興味のない良太だ。おなかいっぱい食べられれば、それでいい。

「いらっしゃいませ」

 ご年配の店員さんに案内されて、三人はテーブル席に着いた。

「ざるともり、どっちにしようかな。ねぇ、純平はどっちにする?」

 メニューと、にらめっこする勝美。

「おれは、ざるかな」

 純平は、来る前から決まっていたようだ。

「じゃあ、アタシもざるにしようっと。良太は、どうする?」

「おれ、天丼」

 場の雰囲気がおかしくなる。

「お前、ここまで来てそば食わないのか」

 ケロッと答える、良太だ。

「だって、おなか空くじゃん、おそばって」

 注文を終えると、しばらくしてまず、ざるそばから運ばれて来る。

「おっ、こりゃあ美味い。口当たりは滑らかだけど、さすがのコシだな」

「打ち立てだからだろうけど、香りもすごくいい。やっぱり、本場ね」

 おそばを愉しむ二人は、どちらももう一枚お願いした。そうこうしている内に、良太の天丼も運ばれて来る。

「どうしたんだ、良太。天丼はどうだ」

 黙ってもぐもぐしている良太に、純平は心配になった。

「いや、この天ぷらももちろん美味いよ。でも、このお漬け物がやけに印象に残るんだ」

 良太の言う「お漬け物」とは、なすの奈良漬けである。不思議に思った純平は、一切れわけてもらう。

「本当だ。歯応えもいいし、華やかに香るな。こりゃあ、このお店の自家製だぞ」

 かじって、純平も驚いた。

「すいませ〜ん」

 良太は、店員さんを呼ぶ。

「はい、何でしょう?」

 奈良漬けを指差して、良太は尋ねた。

「お金払いますんで、このお漬け物とごはんだけ、おかわり出来ませんか?」

 店員さんは、少し驚いたようだ。

「そのぐらいでしたら、サービス致しますよ。お代は、ごはんの分だけで大丈夫です」

 純平は、結局ざるそばを3枚いただき、三人は食事を終えた。さぁ、いよいよだ。

「煙草、すってくるよ」

 純平は「がんばれよ」、と良太に目で合図を送り、お店の外に出る。良太と純平は、もちろん打ち合わせ済みだ。純平は、すぐには帰って来ない。

「勝美さん、おれ……」

 単刀直入に、良太は切り出そうとした。

「ちょっと待って、良太。どうせなら、面白いこと言ってよ」

 お茶をすする勝美に、茶化されてしまう。そうなのだ、いつもこの空気が越えられないのだ。意欲が、しぼんでしまいそうになる。だが、ここで踏ん張らなければ、いつ踏ん張るのだ。

「おれ、勝美さんが好きなんだ」

 勝美は、目を逸らした。

「それって、友達としてじゃなくって?」

 良太の胸は、不安と期待が渦を巻いている。三人でつるみ出したのは、高校に入学してすぐ、同じクラスになってからだ。それからは、クラスが変わっても関係は変わらない。勝美さんのお家は、貧しいのだ。勝美さんは、ずっとアルバイトしてその家計を支えている。そんな彼女の、少しでも助けになれれば、と思う。

「ごめん、良太。アタシは、友達としてしか考えられない」

 良太は何か言いたかったが、言葉が見つからない。しばらく二人は、そのまま時間を過ごす。やがて、純平が戻って来たが、結果は火を見るより明らかであった。

 

フェミニズムとセックス

 これは、ちょっとしたアドバイスですが、乳房を刺激する前に、前戯として10分から15分ぐらい、話をしながらフェザー・タッチで、体をさすってあければいいと思います。

 

 乳房の刺激の仕方は、ポルノのいわゆる「痴女もの」を観て勉強したらいいでしょう。女優さんが男の胸をどのように刺激するのか、を参考にするのです。

 

 乳房のあとは、握り拳を作って、親指を内側に曲げて人差し指で握ります(親指は、中指まで握りません)。そして、出っぱった親指の関節の骨でクリトリスを刺激するんです。そうすると、指が疲れないんですね。だから、時間をかけてじっくりと愉しめます。クリトリスへの刺激としても、独特な気持ちよさがあるそうですよ。

 さらに親指の骨でクリトリスを刺激すると、人差し指や中指は自由になるので、それで同時に女性のおくの方を刺激していただくコトも可能になります。

 ちなみに、ぼくはクリトリスを薔薇の蕾。おくの方を赤いツツジ、と呼んでいます。

 

 この辺でクンニリングスして、女性に一度オルガズムを迎えてもらいましょう。そしたら今度は、へらちよ(フェラチオ)してもらいますが、男は我慢。ちなみに、ぼくちん殿下はアイスを愛する人との69が最☆高に大好きでしゅね♪

 

 もう一つは、挿入の方法。正常位をアレンジしたものなのですが、正常位で挿入する時、女性は下に寝ますね。そして脚を開いて、その間に入って男が膝立ちになり、女性のももを自分のももで支えるでしょう。その時男は腕を、多分女性のわきの下近くについて、上半身を支えると思うのですが、この腕を使うのです。

 女性が下に寝て脚を開いたら、自分はそこに膝立ちで入ります。そうしたら、女性の右ひざの裏に自分の左腕を。女性の左ひざの裏に、自分の右腕を通して上半身を支えるのです。つまり男は、両腕で女性の下半身を抱えるようにします。これだと、挿入する際しっかりと入るので、変な体位で挿入するより、男も女性も気持ちよくなれるんですよ。ダーリンに、がんばってもらいましょう!

 本当のことを書くと、こうして挿入して気持ちのいいのは男なのです。ただ、ぼくは挿入というのはずっとサービスして来た男の、最後のお愉しみだと思っているので申し訳ありません。セックスに於いて女性が求めるのは、必ずしもペニスではないでしょう。男女関係って、とっても不思議でしゅねぇ。

 

 セックスは、トータルで1回30分から40分ぐらいが目安だと思いますよ。ぼくは、セックスは必ずしも子供を設けるためではないと思う。もし子供のためなら、女性がオルガズムを迎える必要ってないんですね。だからセックスは、先ず愛する二人がお互い愛し合うためのもの。そのためにも、女性の満足が中心になるべきだと思っています。相手が喜んだら、自分も嬉しいでしょう?だから、それを愉しみましょう🕺🏻。

 

 おまけで、書いておきます。ぼくは、男がポルノ鑑賞するのは、仕方がないという考え方です。男の精巣では、毎日新しい精子が作られます。しかし新しい精子が作られるためには、古い精子を排出しなければなりません。そのためには、オナニーして射精するしかない。男にとってオナニーは、女性の生理のような役割があるのです。そして男は女性のように知性が高くないので、オナニーするためには事実上ポルノが必要になってしまうのです。だからこれを読まれた女性は、ダーリンの性機能が健康であるためにはポルノも必要なんだ、と大目に見てあげて下さいね、男を代表してぼくからお願いします。

 

 もう一つ、おまけ。本当は、乳房ではなくポインポインとお呼びしたいんでしゅね〜。大きかったら、ボインボインでしゅ♪ペニスのことは、チン太くんとでもお呼び下しゃいましぇ。チン太くんのフル・ネームは、ポコ・チン太でしゅよ?

商業作品とアート作品

・ぼくの考えに、少し間違いがあった。

 『One Peace』みたいな商業作品が必要以上に流行することで、アート作品のマーケットがおびやかされるのではないか、とぼくは考えていたのだけれど、それは間違いだと思う。

 ぼくが青春を過ごした90年代には、小室哲哉さんとか安室奈美恵さんなどが流行っていた。ぼくが好きなのは、もっと圧倒的にマーケットの小さい渋谷系だけれど、小室哲哉さん達の流行に、マーケットが押されていたわけではなかった。むしろ小室哲哉さんみたいな、大きな市場で活躍する方達によって、レコード会社がうるおっていたから、逆に渋谷系に分類される、規模の小さいバンドもC.D.が発売出来ていた、みたいな現実があったんだよね。

 だから、商業的作品が流行することによって、アート作品の販売がひっ迫するなんてことはないのさ。むしろ逆で、『One Peace』なんかが売れに売れることで市場が活性されて、ぼくらもおこぼれに預かれるのだから、せいぜいがんばって欲しいね♪

日本のもの作り

・ぼくは90年代に青春を過ごしてるから、ファッションといえば、やっぱりアメ・カジに落ち着く。アメ・カジといえばジーンズだけれども、高いものを買うほどお金はない。そうすると、エドウィンが最高なんだよね。4万も5万もお金出してジーンズはくなら、リーバイスとかリーディーゼルとかおシャレなんだけど、そこまでしたくない。1万円ちょっとで、おシャレしようと想うと日本のエドウィンがいい。

 同じように万年筆も、10万ぐらい出して本当にいいのを買おうと想えば、パーカーとかペリカンになる。でもそうじゃなくて、1万円ぐらいでバッチリ使い込めるヤツとなれば、それは日本のパイロットなわけ。

 自転車だって、そうなのさ。ぼくがお金持ちなら、100万ぐらいするイタリアン・スチールに乗るだろう。でも日本には、ミヤタがある。ミヤタなら、10万ちょっとぐらいでスイスイ乗れる旅行用のロード・バイク、ランドナーを発売してる。

 お金に糸目はつけないから、どこまでも贅沢しようと想えば、海外からそういうのが出てる。でも安くていいもの、つまりコスト・パフォーマンスとなれば、日本製品なのさ。誰だか忘れちゃったけれど、あるミュージシャンさんが来日した際に、缶コーヒーの美味しさに驚いてたし。それだってすごいバリスタとかに頼んだら、やっぱ海外なんでしょ?例えると、三つ星高級レストランだと海外には勝てない。それでも日本には、ミシュラン・ガイドには決してのらない、実は美味しいラーメン屋さんならあるんだから♪

残された謎

 ぼくは普段生活していて、疑問に想うことがある。聖書では、人間は神さまが泥をこねて造られて、そのはなに息を吹き込まれたとある。つまり、人間は神さまが造られたと。このイメージはぼくの詩的悟性にピンと来て、読んだ瞬間なるほどと想った。

 ところが、科学的には違う。人間は、猿から進化したと。学者さん達が研究した結果などを見たら読んだりすると、色んな証拠があってそれはそれでなるほどなと想う。

 この二つの考え方には、今のところ共通点という橋がかかっていない。ぼくはキリスト教原理主義者じゃないから、「人間が猿から進化したなんて神への冒涜である」とか言わないし、唯物論者でもないから、「神が人間を造ったというのはお伽話である」とも想わない。

 詩的現実と物理的事実。この二つが人間の頭の中で、まだ整理整頓されていない。でも、ぼくは想う。いつかこの謎は解かれる、多くの人達が考え研究するうちに、二つの考え方が実は一つであったと証明されるだろう。

書かないお話のメモ

・多分ぼくの才能では、面白く書けないので実際には執筆しませんが、物語についてのアイディアが湧いたのでここにメモしておきます。

 

「子供達の夢」

 舞台は、日本。とある売れっ子ロック・バンドのフロント・マンが、ヘロイン中毒で逮捕され芸能界を追放される。リハビリを終えヘロイン中毒を克服した彼だが、芸能界は受け入れてはくれない。何かお仕事を見つけねば、と自宅のマンションでくすぶっていると、ある日自分の初恋が保育士のお姉さんだったことを思い出す。「それならば」と一念発起して保育士の資格を取り、保育園に勤務する。ところが保育士のお仕事はたいへん!子供達は言うことを聞かないし、幼いので何かと神経を使わなくてはならない。だが、学芸会の出し物で歌の才能を発揮し、子供達に歌い方を教えて大成功を収めるのをキッカケに子供達との信頼関係を築き、やがて芸能界では感じられなかった人間との絆や奉仕する喜びを見出して、地味だけれども充実した人生を愛するというお話。

 

・これは、ぼくの身近で実際に起こったエピソードが元になってるんですが、翔太はつぐみが好き、つぐみは修平が好き。でも修平は翔太と親友だから、友情を優先してつぐみとは付き合わない。そんなお話もいつか書いてみたいですね。