2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧
更新に間が空いてしまったので、小話を挟みたいと、思います。 昔々あるところに、キリギリスがいました。 名前を、キリギ・リス安と言います。 季節は、夏でした。 リス安は、昼も夜も、寝る間を惜しんで、ヴァイオリンの練習に取り組んでいました。 それと…
ルカは、夜の公園のベンチに、一人寂しく座っていました。 手には、そこの自販機で買った、オランジーナが握られています。 ルカは、ちっとも面白くなかったのです。 コピンの事が。 何とかして言いくるめてやりたくて、必死に知恵を巡らしました。 ルカ「あ…
その夜の事です。コピンは空を飛んで、天国の周りを回っていました。コピン「異常、何にもありませんです!」コピン達天使は、天国の周りを、交代でパトロールしていたのです。ルシファーが、天国に攻め入ろうとしている、という情報を、天国でもキャッチし…
ルカは、書きかけの原稿を持って、天国をウロウロしました。誰でも、良かったのです。暇そうで、自分の作品を否定しなそうなら。ルカは議会の隣にある、事務所を訪ねました。そこではマルタリアが、パソコンに向かって、議事録を入力していました。マルタリ…
ルカは、深く思い詰めていました。 ルカ「このまま、ヨハネの認識が普及していく事で、人々は冷静さを失い、自分の思いのみに囚われるようになるだろう…。そうして、誰も彼もが、他者への慈しみや思いやり、そうした美しい感情を失い、自分のエゴを追い求め…
ノンは、その晩夢を見ました。 ノンは、花畑の真ん中に立っていて、空には月が出ていました。 ノン「あー、気持ちいい!なんて、いい気分なんだ。お月様、こんばんは。」 ノンが、月にご挨拶すると、突然花達が、一斉に歌い出しました。 花達は、こう歌って…
「悪魔城ドラキュラシリーズ・ジャズアレンジメドレー」 Lakshmix https://youtu.be/iWRtbvtfYkc ヨハネと同じ、福音史家のルカは、天国にある自分の書斎で、オヤツの天乃屋の歌舞伎揚げと一緒に、缶のオランジーナを飲んでいました。 手にしていたのは、「…
アベルは、家に帰りました。 アベル「あっ、カルナ!ただいま…。父さんは?この時間だと、まだ牧場かな。」 カルナは、微笑んで言いました。 カルナ「アベル、お帰りなさい。そうよ、その通り。最近ね、カインを連れて行ってるの。カインに出来るかどうかは…
エリヤとアベルは、地の果ての岸辺で、船が通りがかるのを待って、野営していました。アベルが、考えた通り、沢山の荷物を用意しておいた事は、正解だったのです。野営している間、アベルはエリヤに、沢山の質問をぶつけました。キリストについて。妻につい…
エリヤは、再び尋ねました。エリヤ「では、人間とは何なのか?人間自身が持っているもの、それは何か。教えてくれ、アリウォル・ドゥガ!」アリウォルは、答えました。アリウォル「それは、私…。私とは心であり、意思である。」エリヤは、疲れを感じていまし…
エリヤとアベルは、やっとの思いで、星々の頂に辿り着きました。そこは、青白い光が平たく、広場のようになっていました。アベル「遂に、山頂かあ…。うわあ、ここから見える星は、本当にすごいな!」二人の頭上では、星々がギラギラと、本当に音を立てている…
エリヤは、アベルに呼びかけることを、試みました。 エリヤ「アベル、何故お前は、わしがお前さんを馬鹿にしていると、そんな風に考えるのかね?」 アベルは、即座に答えました。 アベル「それは、ぼくがギリシャの、辺境の地に住んでいて、そこから出た事が…
二人の目の前に、悲しみの山の、巨大な峰が、迫ってきました。その時二人の身に、不思議な事が起こりました。一歩、また一歩と進んでいくうち、段々と目が見えなくなってきたのです。アベルはおかしいと思い、エリヤに言いました。アベル「エリヤ様、どうし…
カルナの幻は、自ら口を聞きました。幻「アベル、冒険の旅、がんばって!私もがんばってる。毎日大変なの…。家事をこなしたり、カインの面倒を見たり。」アベルは、ウンウンと頷きました。アベル「そうだろう、カルナ…。生きるって事は、生易しい事じゃない…
エリヤとアベルは、ゴド船長の船を降り、地の果てへと、辿り着きました。ゴド船長は、去り際に言い残して行きました。ゴド「随分先にはなっちまうが、一応帰りには、ここへ寄っていく。それまで、お前達の命があれば、だがな…。」エリヤは、呑気に言いました…