2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

我等キリシタン 後編

二人は部屋に戻り、する事も無いので、寝る事にしました。 パウロは、電気を消しました。 パウロ「おやすみ、マルタリア。」 マルタリア「おやすみなさい…。」 パウロは、布団の中に潜り込みましたが、寝付くことが出来ませんでした。 窓の外では、スズムシ…

我等キリシタン 中編

そしてその日が、やって来ました。二人は近くの街に雲で降り、そこからレンタカーで、宿まで行く事に、決めていました。それは、パウロの発案でした。パウロ「雲で降りてしまえば、それは便利じゃが、地上の道をゆっくりと楽しむ!それこそが、旅の醍醐味じ…

我等キリシタン 前編

使徒パウロは、天国と地上を結ぶ仕事を、していました。天国の議会で決まった事を、地上の法皇様に伝える。また、法皇様の困っている事に、耳を傾け、それを天国に伝え、皆で協議するのです。他にも、天国で刊行されている、信徒向けの雑誌に寄稿したり、地…

お知らせ

「I'll see you in my dreams」 Django Reinhardt https://youtu.be/hNRHHRjep3E どうも、こんにちは。 オートマールスム(白)です。 友達が、写真を撮っていまして…。 だからそれを、ぼくの物語と、合わせてみました。 各物語の、第一話の冒頭に、貼ってあり…

お掃除おばさん 5

マグダレーナは、ペトロの部屋に行きました。 そして、例の小瓶が欲しいと、頼みました。 ペトロは、もうそんな物の事は、すっかり忘れていて、少し経って、思い出しました。 ペトロ「ああ、あれか。構わんが…、どういう風の吹き回しかね?あの時は、何の興…

お掃除おばさん 4

ペトロとヨハネが、思い付きを断念してから、しばらく経ちました。 そして、戦場で命を落とした、伝次郎の魂が、天国にやって来たのです。 天国中、伝次郎の噂で、持ちきりでした。 彼は、聖杯に辿り着いた、パルツィバルの再来と呼ばれて、持て囃されました…

お掃除おばさん 3

それから、ヨハネは色々贈り物を、しようとしたり、食事に誘ったりしましたが、ことごとく失敗していました。ヨハネ「あのおばさんときたら、どういう心の作りをしているんだろう?もしかしたら、お父様がネジか何か、大事な部品を取り付け忘れて、それて生…

お掃除おばさん 2

ヨハネは、いそいそと部屋に戻りました。 そして、棚からチョコレートの箱を取り出し、可愛い包装紙でラッピングしたのです。 ヨハネは、こういうマメな作業が、大好きでした。 ヨハネ「よし、これでいい。女性の気を引くなら、甘くて美味しい物が、一番だ!…

お掃除おばさん 1

マグダレーナは、本当はマグダラのマリアという名前でした。でも皆んな、マグダレーナと呼んでいたので、本人も本当の名前を、忘れてしまう時が、ありました。マグダレーナは、天国のお掃除の仕事を、任されていました。彼女は、痩せていてひょろ長く女性で…

二人の預言者 6

エリヤとカルナは、歩き続けていました。 カルナ「おじいさーん、あたし達いつまで歩くの?もう、飽きたー。」 エリヤ「うん…。もうじき、ギリシャに入るな。わし達が向かっているのは、ギリシャの神々の一人、パーンの所じゃよ。そこに、お前さんを待ってる…

二人の預言者 5

一方モーゼは、カインに手を焼いていました。 カインは、モーゼが思い描いていた様な、ちゃんとした子では、なかったのです。 食べ物を与えれば、直に手で掴む。それを、ボロボロ食べこぼしては、服も床も、汚す。 毎晩の様に、寝小便は垂れる。 遊びに連れ…

二人の預言者 4

エリヤは相変わらず、人気のない道を選んで歩いていました。カルナは、その後をトボトボ、ついていきます。エリヤは、これまでの旅で、一度も物盗りや山賊の類に、出会わせたことが、ありません。それは、エリヤに言わせれば、「わしは、運がいいからさ。」…

二人の預言者 3

その頃モーゼは、大きな港町に入りました。 ここで船を手配し、一気に海路から、ギリシャに向かおうと、考えたのです。 モーゼが、市場を歩いていると、活気のある声が、前後左右から、響いていました。 市場には、肉や野菜、パンや果物等の、生活に必要なも…

二人の預言者 2

エリヤは先ず、街道に沿って、歩いて行きました。エリヤは、ごちゃごちゃした、人の多いところは嫌いだったので、脇の道、脇の道へと、入って行きました。それでも、方向感覚がしっかりしていたのと、若い頃、世界中を旅してまわっていた経験から、道に迷う…

二人の預言者 1

ある時天国で、酒宴が開かれておりました。 席に連なっていたのは、三人の偉大な賢者。 イエス・キリストと、預言者エリヤ。 それに、預言者モーゼです。 三人は、偉大な人の集まる天国でも、最も偉大な三人でしたし、同時に何でも話せる、良き友人でもあり…

また、まとめと、そして、はじまり

「In my head」 Madcon https://youtu.be/kaRljQahEZg クリスマスの奇跡〜真夏の夜の夢、までは、人間の強さについて、書きました。 人間誰もが、潜在的に持っている、神の崇高さです。 浦島太郎〜キリストの地獄巡りは、人が生きる、悲しさをテーマにしたつ…

キリストの地獄巡り

天国にいるキリストの耳に、ペトロからある報告が、届きました。 それは、人間界で暴れていた、ルシファーが人間に傷付けられ、地獄に潜んだ、というものでした。 ペトロは、勢いこんで言いました。 ペトロ「キリスト様、これはチャンスです!この、千載一遇…

春の嵐 後編

翌朝、早速アベルは、ノアの元に向かいました。 アベルは、ウキウキしていました。 アベル「やあ、ノア!元気かい?」 ノア「どうしたの、やけに機嫌がいいのね。何か、いいことでもあった?」 アベルは、水をやりながら、星の雫の話を切り出しました。 しか…

春の嵐 中編

しかしある日、アベルが水を汲んで行くと、ノアは成長していて、アベルと同じくらいの年に、なっていました。ノア「おはよう、アベル。どうしたの?私の花びらに、何かついてる?」アベル「そうじゃないけど…。」ノア「じゃあ、どうしたのよ!私の事、じっと…

春の嵐 前編

ここではない時。ここではない、どこか。牧畜を司る神、パーンがいました。その息子の名前は、アベル。このアベルこそが、この物語の主人公です。パーン「アベル。明日はお前一人で、この羊の面倒を、見なきゃならん。それが牧神としての、お前の最初の試練…

浦島太郎

昔々あるところに、浦島太郎という男が、いました。 浦島太郎は漁師をしていて、ある日海岸を歩っていると、子供達が亀をいじめていました。 浦島太郎「こらこら、子供達。亀をいじめちゃ、いかん。離しておやりなさい。」 子供達「うわあ!変人の、浦島だ。…

はじめに

「A minute」 Shellac https://youtu.be/XXzZ0GncaJc どうも、こんにちは。 オートマールスム(白)です。 もちろん、これからもお話は、書き続けます。 読んでくれてる人が、いようがいまいが、そんな事は関係ありません。 ただ、書きたいから書くのです。 で…

まとめ

「Earwig」 Pearson Sound https://youtu.be/-nljhlPTFCY 人は、他人の出した答えを、信じません。 人は皆、自分の想像したことを、信じてるんです。 人はどう生きるべきか? それは、もうとっくの昔に、イエス・キリストによって、答えが出ています。 しか…

真夏の夜の夢 11

ルシファーが、地獄に去ってしまったことで、館はもはや失われようと、していました。 あちこちが、ぐにゃぐにゃと歪み、どんどん崩れていきます。 その中心で、伝次郎は呆けた様に、ボンヤリとしていました。 そこに、アリスが飛び込んできました。 アリス…

真夏の夜の夢 10

翌朝伝次郎は、再びルシファーの部屋へと、向かいました。伝次郎「ルシファー!お前に、用があるだ。大人しく、出てくるだよ!」蛇がおどおどと、姿を見せました。蛇「また、あなた様でございますか…。はいはい、ルシファー様でしょ?言っておきますが、もう…

真夏の夜の夢 9

アリス「このルシファーの館に招かれる者は、皆遠くない将来…、いえ、近い未来に死すべき定の、者達なのです。」伝次郎は、びっくりして声を上げました。伝次郎「えっ!?この館に来ると、皆ころされちまうだか!」アリスは、ゆっくりと首を振り、言いました…

真夏の夜の夢 8

伝次郎は、またアリスを部屋に、呼びました。そして、今日の顛末を、残らず聞かせたのです。アリス「それは、何とも恐ろしい事を…。しかし、伝次郎様。私、思い上がったことを、お聞きしてもよろしいでしょうか?」伝次郎「聞くが、いいだ。遠慮はいらねぇよ…

真夏の夜の夢 7

翌朝伝次郎は、ルシファーの部屋へと、向かいました。伝次郎「おい、ルシファー!出てくるだ。」その剣幕に、蛇が驚いて出てきました。蛇「どうなさいました、伝次郎様!?」伝次郎「お前みたいな下っ端にゃ、用はねぇだ。さっさと、ルシファーを出すだよ!…

真夏の夜の夢 6

ある晩伝次郎は、いつもと同じ様に、娘を部屋に呼び、こう切り出しました。伝次郎「今まで、ありがとうな。でも物語りは、もういいだ。お前さんの頭の中には、まるで図書館が、丸ごと入ってるみてぇに、次から次へと、物語りが続くだな。余程頭が、いいんだ…

真夏の夜の夢 5

こうして伝次郎に、媚薬入りのワインが供されました。そのワインを飲むと、伝次郎は背筋がゾクゾクし、額から脂汗が流れてきました。伝次郎「何だべか、この妙な気分は…。何だか、寂しいような、切ないような、生まれて初めて感じる気分だべ。おら一体、どう…