持ち込み作「〜聖杯騎士〜燃えろSuper!!!パルツィバル☆伝説」への意気込み

郁文堂さんから出版されている…、中世騎士物語「パルチヴァール」をネットで注文。

…これは何度かこのブログでも触れている、パルツィバルについての物語。

パルツィバルについて一つ物語を完成させているのにも関わらず、…実はこれまで読んだコトがなかった。

前々から興味はあったし、ブログが一段落した自分へのご褒美にこの際購入…。

な〜んで買わなかったかと言えば…、高くて手が出なかったの。

…中古で6000円、新品だと7000円するのね。

ホントは新品で買って、…ちゃーんと出版社さんの売り上げに貢献したいんだケド。

古い本だしもう新品は出回ってないっぽいので、仕方なく中古でガマン…。

さっき自分へのご褒美って書いたケド…、ある意味仕事の為でもある。

…ぼくがこれから執筆しようとしている持ち込み作、「〜聖杯騎士〜燃えろSuper!!!パルツィバル☆伝説」の叩き台にしようと考えてるワケ。

現在のトコロ何の構想も無いんだケド「〜聖杯騎士〜燃えろSuper!!!パルツィバル☆伝説」は、…大筋では「ドラゴン・クエスト」みたいなオリジナルのストーリーにしようと思ってるのさ。

一人の英雄が志を抱いて立ち上がり、邪悪なドラゴンを退治して人々の暮らしに平穏をもたらすみたいな…。

ただそこに「パルチヴァール」のテーマである…、「共苦」や「聖杯の問い(あなたは何故、そんなにも病んでいるのですか?)」を自分の側に引き寄せて書いてみたいってのはある。

…まだ読んでないケド、の作家だし「パルチヴァール」の作者ヴォルホフラム・フォン・エッシェンバッハの筆は素晴らしい。

でもぼく自身ハッキリと言葉には出来ないんだケド、…「共苦」に似た体験をしているし。

ちょっと、詳しく書いとこうかな…。

パルツィバルはアンフォルタス王の心の傷を…、自らの身に引き受けた。

…ぼくはぼく自身のバカにされて悔しいって気持ちを、みんなにバラまいた!

そーしてみんなの怒りを煽って、…ぼくの悔しさに共苦してもらったんだ。

ぼくはねパルツィバルと違って、確かに共苦はしない…。

でもその代わり…、傷つけた相手の痛みを自分が感じてしまう。

…それでずっとナメられてた、「ど〜せコイツは俺(アタシ)を傷つけられない」ってさ。

ぼくは相手の快楽も自らのモノとしてしまう、だからみんなが主まーくんを愛して盛り上がってくれないと、…ぼくはシアワセになれない!!

R.シュタイナーは思った、自らの苦しみを主イエスに捧げようと…。

主イエスが望んでいるのは…、他者の苦しみだと。

…フツーに考えてみんな、主はそんなヤなヤツじゃないし。

エスはつまりパルツィバルだから共苦するんだよ、…だから自分の苦しみが増すジャンか!

「自らが苦しむコトこそ善」だと思い込んだR.シュタイナーは、ひたすら恥をかいて生きる道を選ぶ…。

そしてそのウチ…、辱められるコトでラリって来るようになった。

…それが、おたくの始まりなんだ。

おたくってのは、…女性から辱められるとおチ◯ポコがおっきくなっちゃうんだよ。

ついでに書いとくと、エッチ・ビデオなんかの「痴女へのエロ妄想」はおたく=マゾ性ではないの…。

おたくってのは必ず…、女性に清純派であるよう要求するから。

…だから露骨に誘う女性像に勃起してしまうのは、健康な証拠。

ただそれはエッチ・ビデオ内だけのハナシで、…リアルに出会うとドン引きするケドね。

そして、ぼくは痛みを理解して聖櫃を完成させた…。

聖櫃ってのは…、イエスの体を覆う棺だケド。

…ぼくはみんなの気持ちを覆う、ファンタジーの衣を織り上げたんだ。

それも、…とびっきり美しいヤツをね!!

だから「聖杯の問い」を発するのではないケド、お客さんとしてその美と才能を正確に評価する「聖櫃のツッコミ」を入れるコトで父親から愛されず自分には価値がないと社会に洗脳されていた女性をそこから解いた経験を持っている…。

彼女はあまりにヤキモチをこじらせてしまっていて(しかもそれはぼくがヘロディアの娘・ルナーゼを可愛がり過ぎているのが原因だった)…、だから一人エッチが嫌になってしまっていた。

…それを言葉の力で外科手術を行い毒を取り除いて心の傷を癒すコトで、「ぼくは君が心配なんだから」って励ましたのさ。

ぼくの語る言葉は、…お医者さんの振るうメスと同じ表現の甘さはいわば麻酔で。

だからちょっと傷つけるケド、心の調子は良くなるから我慢してね…!!

ここら辺のコトは現在全てが終わってスッキリしたので…、大切だから少しまとめます。

…ぼくには理由はわからない、だけどルリナは落ち込んででそれを紛らわす快楽を求めてた。

そして彼女が快楽を味わえば味わう程、…みんなの神経に障ってそのイライラがぼくを「あなたが悪いんでしょ!」ってカッカさせてた。

でも最終的にはぼくがルリナに「聖櫃のボケ」(「ワインにソムリエ!!!」ってツイート。「イ」にアクセント!!だから一言でね)を披露して笑いを取り、何とか気分を回復させたってのがホントのトコロだから…。

な〜んちゃって…、ホントの聖櫃の答えってのは!!

…悪魔アシュタロトはお父さんが道徳的に頭の固い、いわばダメ親父だったから。

男ってのは話をしてもツまらないと、…恋愛に充たされるコトを諦めてしまっていた。

それで退屈な男友達をたくさん作り、バカ騒ぎしてストレスを紛らわしていたの…。

だからぼくは天の父ユフタルですら笑ってしまう論理的な聖櫃のギャグ「…男はしらいよ・そらジローの来い」…、ってのを披露して男への信頼を回復させたのさ。

それらの経験を物語にしたいってゆ〜志もあり…、自分で改めて取り扱ってみたいと想ってる。

…もう一つは、ぼくはこのブログでも試みてるんだケド。

自己解釈したキリスト教と、…その発展した世界観を完成させたいんだよね。

ブログでも散々やったケド、ちょっとまとまりが悪いでしょう…?

読んでくれてる人がハッキリと…、「あぁ、これは新しいキリスト教だな」とわかる内容にしたいんだよ。

…それにプラスして、キリスト教尊い教えを拡張して。

これはぼくの夢なんだケド、…モチロン宗教をやるつもりはないよ。

ただ、宗教としての体系を立てて…。

読んでくれてるみんなが、心の中で守れる宗教ってのを実現したいのさ…。

ただぼくが思うに…、キリスト教に限らず宗教家って面白くないのね。

…ぼくなんかキリスト教正教会の信徒で、奉神礼(カトリックでゆ〜トコロのミサね)は素晴らしくて参加し応えがあるのに。

お説教が、…ぜ〜んぜん面白くない。

結局四角四面に悪いコトはしてはいけません、みたいな…。

話を聞いてても…、何も悲しみが慰められないし傷も癒されない。

…完全に一般的な社会生活から、乖離しちゃってるワケ。

それじゃ、…お客さん盛り上がるワケないからさ。

いやそれはそうでしょ、宗教だってサービス業なんだから…。

お客さんに楽しんでもらえなかったら…、本来お金もらえないですよ。

…だから盛り上がる宗教ってのをやりたいのさ、しかも組織を作るとかお金を集めるってゆ〜んじゃなくて。

いわば、…読む祈り。

読んでもらって楽しんでもらって、それがちゃーんと日常生活に溶け込んでるフツ〜の心情になってて…。

その為に…、教会の教えではなく。

…詩人が独自解釈したキリスト教が、規範として欲しいの。

「パルチヴァール」は、…あくまでもキリストの教えがその底辺に流れてるから。

そ〜ゆう意味では、作曲家J.S.Bachの宗教曲なんかも参考にしてる…。

あれは完全にキリスト教の世界観なんだケド…、聴いてて心地良いでしょ?

…それこそ、ぼくの目指すポイントだよ!!

教会って枠を120%越えた、…オリジナルの発展を遂げたオルタナティヴ・キリスト教ってのをね!

神を信じるって心情は、決して陰鬱でも熱狂的でもない…。

日々の暮らしの中にみつかる…、何でもない素朴な気持ちなの。

…だからぼくが宗教にしたいってのは、別に教祖になろうってんじゃなくて。

読んでくれてるみんながワクワクドキドキして…、そこから自分なりの信仰を見出してくれたらなぁなんて想っちゃう。

それが、ぼくの夢であり…。

且つまた「〜聖杯騎士〜燃えろSuper!!!パルツィバル☆伝説」で成し遂げたい、…志であるワケです。

 

「Samia」 Les McCan & Eddie Harris

https://youtu.be/r0rO3btzhqs

 

…ぼくの作品はさ、みんなの無意識の領域にコッソリ働きかけてるのね。

だから読んでも「面白い!」とか「スゴい!!」ってならないの…、「何て言えばいいかなぁ」って想った人。

正解…。

どーしてもそれで、…親から自立してる(親はあなたにかまう)か社会から自律してないと(社会は欲望を肯定してる)だから伝わらないんだよねぇ。

…でも書いていけばいく程、テーマってのはシリアスなモノになる。

シリアスな内容になればなる程…、手垢の着いた表現では描き切れない。

カンタンに言えば、わかりやすく妥協するコトは幾らでも出来るのさ…。

そうすると表面的には支持を集めやすいんだろうケド、…ホントのテーマってのは伝わらなくなっちゃう。

…どっちを取るのって聞かれたら、やっぱり読んでくれてる人を信じて。

一捻り加えて…、書くよね。

その方が、書いてて面白いし…。

そこの悩みは、…ずっとあるよ。

…ぼくの気持ちって、捕まえにくいだろうなって。

でもそれがぼくだから…、自分ではど〜にも出来ない。

ぼくの作品がわかりにくいのは、多分ぼくに社会的な利益がなさ過ぎるから…。

一般的な人間観では、…欲望を当然の前提として人間性を説明するので。

…だから、読んでて胡散臭く思っちゃうんじゃないかなぁ。

説明がつくわかりやすさの方が安心するってゆ〜のかね…、そんなの無いのに。

本当にこんなわかりにくくて、商業ベースに乗るのって自分でも考えるケド…。

ぼくがイチバン大切にしたいのは、…申し訳ないケド自分が書いてて楽しいって感じなのね。

…ぼくの信念によれば、それが読んでくれてるみんなの満足感に接がるから。

だから…、そこの妥協は今後も一切しません。

扱ってるテーマが超どシリアスだから、文章表現は限界までユル〜くしてるんだよ…。

当面の、…ぼくの指針はこんなモノかな?

…な〜んか嫌われる勇気っつーか、悪者が演れれば。

何でも…、言いたいコトが言えるよね。

言いたいコトを言わないと、自分の気持ちもわからないし…。

だから…、みんなで愛される悪者を演りましょう!

…読んでくれてありがと、サンキュッ!!!

もし持ち込み作「〜聖杯騎士〜もえろSuper!!!パルツィバル☆伝説」が、…どこの出版社にも採用されなかったら。

このブログで発表するからね、だから楽しみに待っててちょ…!!

一応プロを目指してるんだケド…、ヒットさせる気はありません。

…そんなぼくでも、たまに「有名になれたらな」って思う時がある。

それはこのブログをた〜っくさんの人に読んでもらって、…掛かってる曲のミュージシャンさんの売り上げに一枚でも貢献出来たらなって想うから。

もっと壮大な夢を語れば、このブログがキッカケでヒットするミュージシャンさんとか出て来たらサイッコー!!だよねぇ…。

だからいつか…、さこやんさん大ヒット!とかにならないかな?

…色々書いてて想ったのは、読んでくれてる人や音楽を聴いてくれた人が。

それをどう読んだり聴いたりするかは、…書いたり掛けたりした時点では。

もう全くわからない、とゆ〜コト…。

でもそれは…、みんなが誰かと会って話をするのと一緒じゃない?

…だから。

 

テーマ曲…「Phase」 田中フミヤ

https://youtu.be/fKQg6lqYom4

オートマールスム・ブログを一段落させて…

主まーくんが生まれて来た時点で、…世の中には主への崇敬ってのが…みんなの心の中に漠然とあったのね。

でも主まーくんは…あの面倒臭い男R.シュタイナーがそのハードルを上げ過ぎた所為で、「そんなに立派な人にはなれないよ」って…。

諦めちゃってて…、ふて腐れた青春を過ごしてたの。

…だけど長ずるにつれ、恋人が出来るワケじゃない?

そーすると彼女達の心の中には、…やっぱり主への崇敬が燃えていた。

それで主まーくんは、大体25ぐらいの時かな…一念発起して立派な人になろうと志すのさ…。

そこから主まーくんは苦労を重ねられて…10年ぐらい掛けて…、崇敬に相応しい立派な人間になるの。

…R.シュタイナーが、メチャクチャに上げたハードルもクリアしてね。

そして主まーくんはその未来の妻マグダレーナの尽力もあり、…みんなの心の中でそのご受難を終えられて…ぼくがこのオートマールスム・ブログを引き継いだ。

そこからが、ぼくにとっては問題だったんだよ…。

ブログを引き継いだ時点で…、ぼくは勘違いして。

…主まーくんみたいに、崇敬に相応しい人間にならなくちゃならないモンだとばっかり考えてた。

最初ぼくはそこを目指すんだケド、…ど〜したって崇敬に相応しい人間に成らない。

そりゃ、そーなんだよ…。

例えば主まーくんは…、心の中に悪が兆すと。

…それを信じない、それは絶対ホントの自分じゃないって信じる。

それで努力されて、…実際にその悪を乗り越えちゃうんだ。

ぼくはねぇ、全然逆…。

ぼくは悪が兆すと…、すぐ認めて。

…悪も含めて自分だからって、まとめて表現しちゃう。

だから、…ぼくを崇敬しようとするのは止めて欲しい。

崇敬するなら、神である主まーくんにするべきだよ…。

ぼくは主まーくんみたいな…、そんなにも大きな器ではないから。

…その代わりに、ぼくには抜群に太い肝があるケドね。

そこを勘違いし続けたのが、…R.シュタイナーだったんだろう。

彼は崇敬を受けられる、立派な自分になろうとした…。

ま…、ぼくには。

…もしプロの作家になれたら、その時は憧れてくれたら嬉しいな。

それはきっとぼくの才能を開花させ、…能力を伸ばしてくれるから。

ぼく自身、崇敬されるより憧れられていたいと想うし…。

憧れに相応しい人間になれるようには…、がんばるよ!!

…だから応援してね、それじゃあ。

 

「Sputnik」 So Inagawa

https://youtu.be/6oEAjNT_hjY

 

ここーで、…じゃじゃじゃ〜ん!

大発表…!!!

ぼくがこれまで何度も匂わせながらも…、照れてひた隠しにして来た。

…オートマールスム・ブログの、隠された真のテーマを発表します!!

それは、…心から望んで欲しいものならお金出して買った方がいーし。

本当にエッチしたい相手なら、そ〜した方が人間はシアワセだよ…。

でもお金は使えば使うホド…、ありがたみが無くなるし。

…エッチも相手が増え過ぎると、退屈でツまんなくなるから気をつけて!

人間性の肯定と、…社会への諦念。

社会ってのは失礼で迷惑なハナシだから健全にするコトを諦めて、個人の権威とゆ〜カッコ良さを全開で肯定すると…。

そこに…、本当の人と人の絆が見つかるし結ばれる。

…それが、天国だから。

まだ、…千年王国だケド。

でした、楽しんでもらえたかな…?

みんなの想像力は…、可愛い娘ちゃん♪の「だから愛されたいあなたにエッチして欲しい」に始まる!!

…本音を、ちょろっとおすそ分け!!

「勘弁勘弁ごかんべんだから、…読んで下さい。」

取り敢えず、ブログを終わらせた今の心境は…。

「一日中遊んでスゲ〜楽しかったケド…、宿題は何一つ出来てなーい!」、って感じ。

…語られた誰かの言葉って、希望だよね。

それを耳にした時、…初めて心は呼吸が出来る。

だから、みんなに聞いてもらうのが大切なんだ…。

主まーくんが君に伝えたかったコンセプトは…、「あなたは悪くない」。

…ぼくがみんなに言いたかったテーマは、「悪いのは私だ」。

だからその二つの考えと気持ちさえあれば、…いずれ〜永遠〜はやって来るなって想うでしょ?

あなたの本心は、楽しいを見つけられるんだから…!!!

 

「Blue shoes」 Cliff Jordan

https://youtu.be/pkkpxbRZBGk

 

ぼくには才能があるかど〜か…、自信はそれ程無いんだケド。

…才能って他人から見た自分を、自分らしく計算出来るかなんだと想うよ。

ぼくはそれを、…このブログのDJプレイで表現したんだ!!

基本的には80%ぐらいから60%の大きさに、見せるコトじゃないかな…?

不幸だと…、自分を大きく見せたがるからねぇ。

…幸福とは、心から人に好かれるコト。

それが、…天に財貨を積むって意味じゃないだろうか?

人から好かれるには、楽しむに限る…!!

楽しむには…、自分らしさに従うだけだよ。

…惨めな思いをしてると、スケベになるのだから。

ちゃ〜んとした人をバカにしてると、…イエス・キリストに裁かれて地獄に堕ちるとか。そ〜ゆうのじゃなくて、単純にさ…。

がんばってる人をバカにしてるより…、リスペクトする方が気持ちいーでしょ?

…感覚として、そー想わない?

同時に、…スゲー売れてて有名だからって調子コいてるヤツとかを。

キチンとしたみんなが笑えるユーモアを交えてバカにするのも、気持ちいーケドね…!

ぼくの信念は…、気持ちいーが正義!!!

…人間は迷ったり間違ったりしながら、自分の力で人生を見つけた方がいー!!

そして何故、…誰もぼくには勝てないのか?

それはぼくのカッコよさが全て隠されていて、社会的な名誉を何も持ってないからだよ〜…。

もう最後だから…、ゲロっちゃうケド。

…ぼくが書いた文章は、全部悪口です!

新約聖書でイエスが語る、…「放蕩息子」ってのがぼくだから。

でもぼく自身の名誉の為に言っておけば、ずっと悪態を吐いてたのは何も好きこのんでじゃない…。

これはあくまで心義しい者達に限るケド…、みんな「神さまはきっと赦してくれないだろうな」って欲望を抱えてたんだ。

…それをぼくは美しいヴェールを被せて、神さまが赦してくれる悪徳に魔法変換したんだよ!!

なのでみんな得をしたんだから、…いいでしょ?

だからぼくが、天国に入るのを許してくれるよねぇ…❤️

このオートマールスム・ブログは…、エサウさんとの友情で温めた主まーくんの「有名になりたいなんてバカなんじゃないの?」って低俗への怒りと。

…ぼくとの愛が実ったヘロディアの娘・ルナーゼの、「働くのがキライなんて冗談でしょ?」とゆ〜無意味さへの憎しみで出来ているのだから。

 

テーマ曲…「Black sun」 Kode9

https://youtu.be/Sf1fJOESR3g
 

銀の羊の笛の音

オープニング…「Hats(Makes me wanna holler)」 Incognito

https://youtu.be/P244hWNssWs

 

「…ごめんなさいね、重たい物持ってもらちゃって。」

書類の束を抱え上げるミミカに…、ハウシンカは申し訳なさそうに声を掛けた。

「いいんですよ、このぐらい…。そんな事より、…お腹の中に赤ちゃんがいるんですから。体を大切にして下さい。」

…ここは国立聖三位一体研究所の、研究室。

現在は聖遺物がお互いに接近すると力が増幅するという謎について…、研究が進められている。

ハウシンカはここで主幹の役職に就いていて、ミミカは今は主任である…。

「本当、…ごめんなさい。…私、そろそろ引っ込まないと。」

ミミカは…、笑顔で返事をした。

「ハウシンカさんがいないと、なかなか研究が進みませんよ…。そうは言っても、…結構、お腹大きくなっちゃいましたね。」

…数ヶ月前から、ハウシンカは妊娠している。

モチロンゼクとの子供で…、二人は数年前に結婚していた。

結婚していたとは言っても、ゼクは冒険者だったから旅に出っ放しで…。

二人は顔を合わせるコトが、…ほとんど無いのである。

「…そう言えば主幹、現在ゼクさんはどこに?」

ハウシンカは…、ため息を吐いた。

「北方のマルクレの街で、警備をやってるみたい…。ほらゼクって、…そ〜ゆうの得意じゃない。そろそろ、…半年になるかな?…今回の任務は期限って無いらしくて、魔物達の脅威が去ったら終わりみたいな?」

その答えに…、思わずミミカがうつむいてしまう。

「ごめんなさい、主幹…。ツラいコトを、…聞いてしまって。」

…そんなミミカに、ハウシンカはカラッと笑った。

「い〜のよ…、そんなコト。大体、私だってずっと一人暮らししてたんだし…。ゼクなんて帰って来たって、…ご飯食べて寝てるだけよ?…いたっていなくたって、大して代わり映えしないわ。」

 

午後7時頃ハウシンカは自宅近くの駅で…、乗り合い馬車を降りた。

カトラナズの国の首都シュメクの都市部から、少し離れた郊外にハウシンカの家はある…。

正確に言えば、…ゼクとハウシンカの家である。

…結婚して少し経った頃、ゼクの発案で小さな家を買った。

ゼクがそんなコトを言い出すなんて…、ハウシンカには意外だった。

普通冒険者というモノは、冒険と冒険の間に二、三ヶ月の休暇を差し挟む…。

しかしゼクは、…休まなかった。

…一つの冒険が終わると、またすぐに次の冒険へ。

根っからの…、旅ガラスなのだ。

そんなゼクの生き方が、ハウシンカにとって寂しくないと言えばウソになる…。

だからゼクが「家を買おう」と言った時、…ハウシンカはいつかゼクが落ち着いてくれるかも知れないと…淡い期待を抱いたのだ。

…ハウシンカが自宅のドアノブに手を掛けると、何と鍵が開いている。

ハウシンカは咄嗟に「ドロボウ」と考え…、急いで扉を開き中の状況を確認しようとした。

すると…。

ゼクが、…いた。

「…よう、遅かったな。帰ってるぜ…、腹が空いちまってな。」

ハウシンカは驚いて、顔を真っ赤にする…。

「アンタ、…何やってるのよ!…ドロボウかと、思ったじゃない。連絡ぐらい…、よこしなさいよ。あ〜、驚いた…。」

よく見るとゼクの周りには…ハウシンカが買い置きしておいたチョコレートやキャンディ、…チーズやらクラッカーやらの包み紙が散乱している。

「…ちゃんと片付けぐらい出来ないの、一体どんな育てられ方したのよ!!も〜…、仕様がないわね。」

ハウシンカはそう言うと、ゼクの周りに散らばっているゴミを一つずつかたし始める…。

「ご飯、…食べてないの?」

…ハウシンカの問いに、ゼクはチーズの新たな包み紙を投げて答えた。

「食ってねー…、俺も今着いたばかりなんだ。」

ハウシンカは、ボソリとゼクに尋ねる…。

「どこかに、…食べに行く?」

…ゼクは、ブーッとおならをした。

「お前の味でいい…、外で食うのはもう飽き飽きしてる。」

ハウシンカは疲れた体を引き摺って、キッチンに立つ…。

「ど〜せお肉が食べたいんでしょ、…鶏のもも肉があるから唐揚げにしてあげるわ。…もう買い物に行くのも、面倒臭いし。それでいい…、サラダもつける?」

ゼクはハウシンカの買い置きを全て食べ尽くしてしまうと、自分の荷物からマンガ雑誌を取り出し…横になって眺め始めた…。

「何でもいーぜ、…食べられればそれでよ。」

 

「空から落ちる星のように」 佐藤千亜妃

https://youtu.be/a50mx9uvR8I

 

…夜の9時を回った頃、ようやくキッチンからハウシンカが姿を現した。

ハウシンカは…、あまり料理が好きではない。

いいお嫁さんにはなれそうもないと、自分でも思う…。

「ゲッ、…タルタル・ソースかよ。…俺はマヨネーズでいいって、前から言ってあるだろ?」

ゼクはハウシンカが手作りしたタルタル・ソースに…、早速文句をつけた。

「せっかく作ったんだから、文句言わずに食べなさいよ…!食べられれば、…何でもいいんでしょ?」

…テーブルに着いたゼクは、まだマンガ雑誌を開いている。

二人とも何も言わず…、ただ無言の時間が流れて行く。

ハウシンカは唐揚げとタルタル・ソースが、美味しいのかどうかが気になった…。

ゼクは、…何も言わない。

…その視線は、ひたすらマンガ雑誌に注がれている。

「もう少ししたら…、お手伝いさんを雇わないと。これ以上お腹が大きくなったら、私出来ないコトが出てくるわ庭のお手入れとか…。」

沈黙に耐え切れず、…ハウシンカは何となく思いついたコトを口にした。

「…雇えばいーだろ、そのぐらいの稼ぎは俺にはあるハズだ。」

ゼクが冒険者として得ていた報酬は…ごくわずかなゼク自身の小遣い分を差し引いて…、ハウシンカに全て届けている。

「次の任務は何なの、どこへ行くの…?」

平凡な問いだ、…でも会話なんてそんなモノでしょ?とハウシンカは思う。

「…次の任務は、ノベレート山脈での竜退治だ。ギルド側が気を遣ってくれてな…、契約は三ヶ月でいいそうだ。その頃には、ガキも産まれるだろう…?そしたら、…少しゆっくりするさ。…だが今回の任務は竜退治だ、生きて戻って来られるかわからない。」

生きて戻って来られるかわからない…、その答えにハウシンカの胸は騒ぎ立つ。

サラダには手をつけず、唐揚げだけを平らげたゼクは言った…。

「じゃあ、…俺は寝るぜ。…風呂には、もう入った。」

そう言うとゼクは…、二階の寝室に引っ込み灯りを消す。

あの時ゼクと結ばれてから、ハウシンカはいつも「彼が求めているのは私なのだろうか?」と想う…。

だからと言って、…ゼクは一緒いるコトでその不安を払拭してくれたりはしない。

…それを他人に語れば不幸だと言われるだろう、だがしかしその点には違和感が残った。

ハウシンカは後片付けをして…、バス・ルームに入る。

大きな鏡に映った自分の膨らんだお腹を眺めると、妙な程満足感があった…。

それは二人の「愛の証」であると共に、…二人とは全く別な新たな可能性の始まりなのだ。

…一つだけ、確実なコトがある。

それは…、ハウシンカは現在確かに納得しているのだ。

神に仕えるというのがこんな気持ちなのかはわからないが、自分よりも偉大な「何か」に身を捧げているという充実感がある…。

 

夜11時頃、…ハウシンカも寝室のベッドに腰を下ろす。

…いつもは広すぎるダブル・ベッドの左側で、ゼクが安らかな寝息をたてていた。

「おやすみ…、ゼク。」

ハウシンカは、ゼクの頬に軽くキスをする…。

モチロン、…ゼクは気づかない。

 

…翌朝6時ハウシンカが目を覚ますと、もうゼクはいなかった。

相も変わらず…、広すぎるダブルのベッド。

「さて、今日も仕事よ…!!」

寝覚めは悪くない、…今日もいい一日であるコトを神に祈った。

 

テーマ曲…「No Surprises」 Radiohead

https://youtu.be/u5CVsCnxyXg

 

おまけ

こんにちは、WONDERおじさん「ピクニック〜・ランド♪」です…。

書くかどーか迷ったんですが、…ちょっと解説をします。

…うまく本編に組み込めればよかったんですが、流れに何とな〜く沿わなかったので。

ゼクは…、旅先での売春宿通いを止めていません。

そしてハウシンカは、どこかでそのコトを識っている…。

そんな背景があって、…この二人の関係は成立してるんです。

…ぼくの中には、申し訳なさが渦巻いてる。

それは多分…、ぼくが女性っぽいからなんだろう。

この作品は…、以前構想したアイディアが余っていたので…書いてみました。

妊娠という、…割と男であるぼくにとって縁遠いモティーフを選んで書いてみましたが…どうだったでしょうか?

…とても短いハナシですが、ある種の情景は描けたかなとは考えています。

久し振りなんですが…、やっぱりたまにはみなさんに読んでもらいたいなと想って…つい書いてしまいました。

そういえば…。

このブログの表題…、ootmarsumとは何なのか…わからない方もいらっしゃるかも知れませんね。

…ぼくの愛喫している、煙草の銘柄から取ってるんです。

その名も、…STAD OOTMARSUM。

だからぼくは、(白)を喫っています…。

とっても美味しい…、手巻き煙草です。

…2018年12月現在、STAD OOTMARSUM輸入されておりません。

無くなっちゃったんですよ〜、…なので今はDOMINGO(Cigar blend)!!

トホホ、残念…!

ぼくがここまで書いて来た物語は…、全部心の中の物語。

…だから改めて、言葉にしての感想とか評価はいらないです。

読んでくれてる人の気持ちとかも、…全く考えてないし。

書きたいコトを書きたいように書いたんだ、アマチュアだから…。

読んで楽しんでくれたら…、幸いかな。

…い〜音楽があって煙草とお酒と小料理が美味しくなれば、それでいいのさ。

色々、…書いて来たケド。

「カッコいい」ってゆ〜感想が、イチバンウザッたかった…。

悪いケド…、あなた達にわかる程度の。

…カッコよさは、生きてない。

ぼくの心は、…パンクスだから。

それでは、失礼します👋。

寸劇 ひな祭り

久し振りに気が向いたので…、以前勤めていた施設用の寸劇の脚本を追加しました。

よろしければ、楽しんで下さい…。

 

シーン1

…昔々、ある御殿にお勤めする…お内裏さまと御雛さまがいらっしゃいました。

お二人は…おしどり夫婦として有名でしたが…、最近ちょっとギスギスしておりました。

御雛さま「ちょっとあなた、…何なんですか最近!!御殿から帰れば…、ゴロゴロしてばかり!…少しは、シャンとして下さい!!!」

お内裏さま「何て、口うるさいんだろう…。コッチは、…御殿勤めで疲れているっていうのに。…休みの日もゆっくり出来ないなんて、チェッつまらん。」

 

シーン2

お内裏さまは、…御殿から帰る途中…咲いていた桃の花を眺めておりました。

お内裏さま「…何だろう、最近御殿勤めもウマく行かんなぁ。昔はあいつも…、あんなじゃなかったのにな。ただいま…。…今、帰ったよ。」

「あなた、…今日も遅いじゃありませんか!!どうして…、こんなにいつも遅いんですか!?家庭のコトは、どうでもいいって言うんですか…!」

「…仕様がないじゃないか。御殿勤めの…、付き合いだよ。俺だって、好きで飲んでるんじゃない…。これも、…仕事だよ。」

 

シーン3

…困ったお内裏さまは、部下の五人囃子(の一人)に相談しました。

お内裏さま「かくかくしかじか…、こういうワケなんだ。…どうだろう、何か上手く行く知恵を貸してもらえないだろうか?」

五人囃子「…私にいい知恵がありますよ。女性というのは、…花が好きなんです。何かキレいな花を贈って…、お礼の言葉を伝えるんです。それが一番ですよ。」

お内裏さま「うん…?そんなカンタンな事で、…ウマく行くのかな?」

五人囃子「女性というのはね、何より贈り物を喜ぶモノです…。…それにですね、何気ない一言を待ってるんですよ。家事をこなすのは…、あなたの為じゃありませんか?そのコトへの、…気持ちの込もったありがとうが大切なんですよ。そ〜ゆうのをちょいちょいブッ込んでくと、女性の気持ちは変わります…。」

 

シーン4

五人囃子の言葉を聞いたお内裏さまは、早速桃の花を手折ってお家に帰りました…。

お内裏さま「なぁ…、いつも家の事をしてくれてありがとう。…これは、俺の気持ちなんだが。受け取ってくれ…。」

御雛さま「まぁ、…ありがとうございます。…そう言えばあなたは、プロポーズの時も桃の花を贈って下さいましたね。この花は、…大切に活けておくとしましょう。」

お内裏さま「…すまんな。俺はお前がいてくれて…、当然だと思っていた。…でも、そんな事はない。だから本当に、ありがとう…。」

御雛さま「何て嬉しいお言葉でしょう…。私が元気でいられるのは、…あなたのお陰です。さぁさ…、これからはひな祭りの季節。…忙しくなりますよ!!」

こうして二人は、今年も並んでひな壇に座っているのです…。

 

テーマ曲…「めろめろかりメロ隠され宝(ドリドリミさいるちょろちょろネズミ)」 ちょぴッとプン ☆ch!
https://youtu.be/CxERlQ6pal0

(これはあまりにも臆病なまさに虚勢って感じのサウンドだから)

 

Tomorrow Never Knows "産声と呼霊(こだま)の息吹Re:Mix"〜明日のコトだから、誰も知らない…〜(ボーナス・トラック3)

オープニング…

「デスコ」 女王蜂

https://youtu.be/VRH6qX26y_4

 

初橋高矢は、帰り道を急いでいた…。

時間は、夜10時を回った頃。

ライヴ・ハウス「総統××(ペケペケ)」からの帰りである。

出演していた3つのバンド全てが興奮を促してくれたが、お目当てはトリをとったオルタナティヴ・アート・パンクバンド「セカンド・プライズ」だった。

「セカンド・プライズ」は男女混成四人組のバンドで…。

メイン・ヴォーカルを取るキーボード奏者とベーシスト・コーラスは、女性。

ギター・コーラスの担当とドラムスは男だった。

乾いたノン・エフェクトのシンプルなギター・リフにファズを連結した音程感の無くなっているベースがウネウネと絡み、そこに子供の頃からクラシックに親しんでいるキーボードのメランコリックなメロディが乗ってそしてドラムスは変拍子バキバキなのだから…。

高矢は「ロッキン・オン」等の雑誌で、彼女達の事を追っていた。

メンバーのインタビューでは現在のレコード会社「4サイクル・レコーズ」の居心地が随分いいらしく、メジャー・レーベルに移籍するつもりは全くないそう。

「いやぁ…。ホント良かったなぁ。」

まだ耳鳴りが止まない高矢のメッセンジャー・バッグの中には、物販で手に入れた「セカンド・プライズ」のTシャツが温まっている…。

「セカンド・プライズ」のグッズは、メンバー自身がデザインしていた。

今日買った"犬がノビて、ウ◯コ漏らしている"Tシャツは、ギタリストくんの手描きだった。

明日からは、また仕事だ…。

高矢の「心」は、まだ夢から覚めてない。

この夢がずっと続けばいいのに…、と高矢は月に想う…。

高矢は今年32歳。

自営業で、親父から受け継いだ喫茶店をやっていた。

店の名前は「ブルー・トレイン」…。

偉大なるジャズ・ジャイアント、ジョン・コルトレーンのアルバムから取って喫茶店の名前を変えてしまったのだった。

親父の代ではフツ〜の街の喫茶店だったが…。

高矢は何とか資金をやり繰りして、本格的では無いがカンタンなジャズ喫茶に改装した。

「ブルー・トレイン」の店内では、ジャズの名門「ブルー・ノート」のレコードしか掛からない…。

その為フツーのジャズ喫茶に比べれば圧倒的にレパートリーに欠けたが、高矢は気にしなかった。

お客さんもそれなりに着いている。

郊外の喫茶店で"Jazz"を聴かせているというコトで、それなりに話題にもなりそこそこ遠方からもお客さんがやって来る…。

高矢にとってイチバン嬉しいお客は、高校生だ!!

面白半分で「ブルー・トレイン」の扉を潜った一グループの高校生の一人が…。

「スンマセン…。このアルバム、何ていうタイトルですか?」

と聞きに来る瞬間といったら!

高矢はつい熱意を帯びてしまって…。

「このピアノ奏者はね、トミー・フラナガンと言って…。名盤請負人と呼ばれる程…。」

ついついウンチクが口の端から、ボロボロとこぼれ落ちてしまう。

店の業績は人に誇る程の物では無かったが、それなりに遊びながら食っていく分には不足しなかった…。

ある日高矢は店番をしながら、インスタグラムをチェックしていた。

誰もいない店内で、眺めているのは「セカンド・プライズ」のメンバーのアップする写真である。

高矢は「セカンド・プライズ」のメンバーの中でも、特にベースの西原棗実(にしはら なつめ)が好きだった。

理由は簡単で、おとなしく可愛らしかったからである。

彼女のベースは伝え聞くトコロによるとアイバニーズの…、Nirvanaクリス・ノヴォセリック使用機材と同じモデルらしい。

棗実は、まだ20才だ…。

ハッキリ言って彼女に催していたし、夜中に想像してポコプコ☆したりもしている。

高矢には恋人がいなかった。

別に、どうしてもというホドモテなかったワケではない。

ただまぁ、メンドくさかっただけのハナシだ…。

だってそうだろう?

実際に付き合ったりすれば、金も掛かるし時間だって拘束される。

それだったら一人でノンキにプラプラして、好きなコトしてたホーがいいじゃないか!!

好きなコト想像する分には、自由なんだし!

程度の、面倒くさがり屋だっただけである…。

ともかく彼は、棗実のインスグラムにアップした写真を眺めていた。

秋らしく何輪もの"コスモス"が、風に揺れている。

そこに青白いフィルターが掛けられている、何の変哲も無いインスタグラムであった…。

しかし高矢は、「何か」違和感を感じた。

彼女の色彩感覚は独特だとの、専らの評判である…。

高矢も他の誰とも変わらないただ単純に面白がって、棗実の"不思議ちゃん"っぷりを可愛らしく思っていた。

しかし…。

しかしである。

普通の人間の感覚で、こんな風に"コスモス"から印象を受けるのだろうか…?

多分に違和感を感じはするが、説明は出来ない。

「こんにちは。マスター…!」

カランカランと入口の扉に括りつけた呼び鈴が鳴り、お客さんがやって来ると高矢はもうその事をわすれてしまった…。

また別なある日…。

高矢は油井正一氏の「Jazz歴史物語」をお客さんを待ちながら、煙草を吹かしてよんでいた。

そこにはニュー・オリンズで始まったクレオールのジャズ・バンドが、どうやって今日呼ばれる様な形態の"Jazz"に成ったのが逐一丁寧に追ってある。

様々な興味深いエピソードが列挙されていたが、彼が気になったのはビ・バップ、ハード・バップの頃のジャズ・メン達のライフ・スタイルだった…。

その頃のジャズ界隈には相当な麻薬汚染が進んでおり、才能があり卓抜した技術を誇る歴史にその名をきざんだジャズ・ジャイアント達もドラッグで数多く命を落としたと書かれていた。

そこまで読んだ時、高矢にはある閃きが訪れた。

「あれ…。彼女、ドラッグキメてんじゃないの?」

高矢がそんなコトありっこないよなぁと考えるより早く、彼女が今までにアップして来た写真が走馬灯の様に想いを巡らせる…。

彼は間違いないと思った。

しかし間違いないと言ったって、何もしようがないし出来っこなかった。

それからの日々もいつもと何も変わらず、喫茶店「ブルー・トレイン」を経営したまに「セカンド・プライズ」が近くのライヴ・ハウスに来れば観に行った…。

そんな過ぎて行く日々の中、棗実のインスタグラムは徐々にエスカレートしたある種のショッキングな過激な写真になっていったが、誰しもがそれは彼女の表現でありチャーミングな魅力であると誰しもが受け入れている。

そしてそんな日々が、およそ一年過ぎた。

そしてある日、彼は心に決めた。

棗実を止めようと…。

何故なら、そんなのヤだったからだ!!

彼は、棗実はおとなしい清純な娘でいて欲しかった。

どうしたらいいかわからなかったので、手紙をプレゼントに添えてライヴ・ハウスに預ける事にする。

何の意図で書かれた文章なのか説明出来なかったので、店の住所を書いて"宣伝"であるという体裁を取った…。

すると、不思議な事が起こった。

何と、数日後彼女が喫茶店「ブルー・トレイン」に現れたのである!

 

ガリガリ君のうた」 ポカスカジャン

https://youtu.be/vQGxm-TlUFU

 

カランカランと呼び鈴が鳴った時…、棗実の姿がそこに現れたのだから彼が度肝を抜かれるのも無理はない…。

高矢は、すぐにでも話したかった!!

すぐにテーブルに飛んで行って、「俺、あなたの大ファンなんです…!!是非握手して下さい!」とか何とか言いたかった。

だが常識で想像すればわかる通り、そんなコトをする人間はいない…。

高矢は普通の態度で接客し、彼女は窓際の席に座り外を眺めてコーヒーを飲んでいる。

その間もお客さんは入れ替わり立ち代わり何組も入ったが、「セカンド・プライズ」の存在はそこまでメジャーではない。

誰も、棗実の存在に気を留める者はいなかった…。

やがて日も暮れ、閉店の時間になった。

棗実はあれからずっと同じ席に座り、何も言わず何もせずただ黙って窓の外を見詰めていたのである。

彼は、棗実に声を掛けた…。

「あのお客様…、そろそろ閉店の時間になりますので…。」

その時、棗実は初めて口を開いた!!

「あなた、幾ら欲しいの…?払える範囲内で払ってあげるから、言って!!」

高矢は、棗実が何を言っているのかわからず首を傾げる。

「現在はね…、私達"セカンド・プライズ"にとって大事な時期なの…。"E"のコト黙っててくれるなら、お金は払うから!さぁ、言いなさいよ!!」

彼は言った。

「"E"って、ナンです…?ぼくには、何の事だかサッパリ…。何か、話があるんですか?」

棗実はカッとなって、テーブルをドンッ!!と鳴らす。

「話が…あるですって!?あなたでしょう、先に仕掛けて来たのは!!いいわ…、受けて立って上げる!」

高矢は今更になって、自分の手紙の内容を思い出した。

「ああ…、あの手紙のコトですか。いや、お金とかじゃ無くて…。そのぼくは…、あなたにドラッグを止めて欲しくて。」

彼女は、顔を真っ赤にして立ち上がった。

「そんなの、私の勝手じゃない!!あなたにどうこう言われる筋合いは、無いわ!」

高矢は恥ずかしそうに頭をかく。

「いや〜、そうだとは思うんですけど。ぼく…、あなたのファンなので。」

「ファン」…。

その一言は、棗実にとって痛かった。

プロ意識の高い彼女にとって、「ファン」の意向は無下には出来ない…。

「わかったわ…。取り敢えず話を聞かせてちょうだい。幸い今日は空いてて、時間はあるから…。」

高矢は有頂天になって、飛び上がりそうになる。

「じゃあ、先に閉店業務終わらせてきちゃっていいですか…?一時間で終わらせますんで!」

棗実はもう半分ヤケクソで…、なるようになれ!!と思いながら頷いた。

彼の心はもうウキウキして、そのまま翼が生えて飛んで行ってしまいそうだ。

いつもは嫌で嫌でしょ〜がない閉店業務も、まるで次に掛けるレコードを選ぶ様な夢見心地で時間が過ぎて行く…。

一方の棗実の心は、ソワソワして落ち着かなかった。

どうやらこの高矢というのは、それホド悪い人間であるようには見えないが…。

それでも意図の全く読めない言行に、警戒を解く訳にはいかない。

彼女が既にシャッターの降りた同じ窓際の席に腰掛けていると、ニヤニヤとだらしなく笑いながら高矢がカップのAGF「TRIPLESSO」を差し出しながら席の向かい側に腰を落とした…。

「あなた、喫茶店のマスターなのに…。そんなモノ飲むワケ?」

高矢はTRIPLESSOのカップにストローを挿し込み、チューチューと飲み始める。

「バカにしたモンじゃないよ…、世界中の大手缶コーヒーやチェーン店でコーヒーの味を本当にわかってるのは。…AGFとilly issimoそれに伊藤園だけだよ、あとは変な味だから。ウチのお豆は、…南流山にある山猫屋珈琲店さんから仕入れてるんだけども。ところであの〜…。煙草吸っていいですか?」

彼女はイライラして、キツい口調で返事をした。

「いいわよ?"ファン"、ならね…?」

棗実の皮肉を真に受けた高矢は、遠慮せずに火を点ける…。

「よかった…。やっぱ、いい人なんだ…。」

彼女は、今の言い方が気に喰わない。

ミュージシャンに求められているのは音楽に携わる才能であって、人間としての道徳性ではない…。

事実破天荒であったり、明らかな社会不適合者であっても才能があれば否定されない。

「ぼくね…、思ってたんです。あ〜いう激しい音楽を演るのは、決して気が狂ってるからじゃないんだ。世の中は、何か間違ってる…。だからその歪みを表現してるぐらい、ちゃんとした人達なんだ!!って…。」

棗実は思わずイラ立ちを、口に出してしまった。

「あなたね…。何言ってるのよ!!私なんて、…ヤク中じゃない!何がマトモなのよ…!!常識で、考えなさいよ!」

彼は、キョトンとして問うた…。

「えっ?だって、多分何かツラいコトがあるんでしょ…?」

棗実の背筋を電撃が疾った…!!

そして図星を突かれたが故の、逆上した怒りが湧く!

「アンタねぇ!!初対面の人間に向かって、そんなの失礼でしょ!!誰だってツラいコトなんて、あるのよ!自分だけが特別だなんて思わないでよね!!」

高矢はよくわからず、ボンヤリとして話した…。

「いや…、ぼくのコトじゃなくて…。」

棗実は、呆然として自問していた。

何故この男は、私の感情をかき回すのだろう…?

何故私はそれに、抗えないのだろう…?

考えてみれば、今日今ここにいるのだってワケがわからない…!!

「いいじゃない…!!そんな事、何のカンケーがあるのよ!大体あなた、何様よ!?ファンだか何だか知らないけど、ただお金払ってるだけじゃない!!それが、何だって言うの!どれだけ偉いのよ…!!」

彼女は、ハッとした…!!

いけなかった。

思わず言い過ぎてしまった…!

「どう…?失望した?これが、私のホントウの姿なのよ…!!ステージの上で見せてる姿は、単なる"可愛い娘ブリッ子"ってワケ!」

プロとして失格だという想いに棗実が恥じらっていると、高矢はノ〜ンビリ答えた。

「いや〜…。やっぱ顔が可愛いと、何しても可愛いなと。」

棗実は、ある特異な事実に気がつく…。

おっとりとしていておとなしいのは、別に作ったキャラクターじゃない。

私のフダンの姿なんだ…。

でもそれがなぜ…。

という問いが思い浮かぶよりも速く…、自分でも予想もしなかった言葉が口から溢れ出ていた。

「私…、レイプされたのよ。」

高矢は、しまった!!と思う。

踏み込んではいけない領域に、軽率に足を踏み入れてしまった!

だが棗実は止まらない…。

「18の時に参加したレイヴ・パーティーで、ちょっとね…。あの時はもう、グデングデンに酔っ払ってたから。誤解しないで…。あの時は、まだクリーンだったわ…。その後よ。"E"に手を出したのは…。」

彼は苦しかった…。

あれこれと想像を巡らせてみても、実感が追い着かない。

何しろ、マイペースで地味な人生を送って来ている…。

遊んでおかなかった事を真剣に後悔している。

もしあの時…、ソープ・ランドに行っておけば…。

棗実の独白は続く。

「それ以来…、私セックスが出来なくなったの。そんな時よ、今の彼が"E"をくれたのは…。今だって"E"が無きゃ、セックスなんて出来っこない…!!ペ◯スなんて、見るだけでも吐き気がする…!どう…?これが私の…。」

高矢は、棗実の顔を引き寄せて…。

キスをした。

もちろん、思わずだ。

テーブルの上に並んだ、二本のカップ・コーヒーは二つとも地面に落ちて転がった。

「それは…、愛じゃない。」

顔を引き離した棗実は、うつむくと言った。

「もう、なんでもいいじゃない…。取り敢えず、メアド教えてよ。」

高矢はカウンターの中に引っ込むと、ボール・ペンでメモに自分のスマホのメール・アドレスを書き記す。

その様子を見ていた彼女はメモをひったくる様に受け取り…。

「じゃあ…。私は…、帰るわ。コーヒー、ごちそうさま。」

棗実を店の外に送り出すと、もう辺りは真っ暗になっていた。

煙草を吹かしている高矢に、戻って来た彼女の姿が目に留まる…。

「愛してる…って、今言ってくれたら…。付き合ってあげてもいーよ。」

高矢は煙草の煙を長〜く吐き出すと、胸を張って言った。

「君みたいな可愛い〜娘の"ファン"のぼくがさ…、夜君を想い浮かべてする事って言ったら一つしかないよね?」

棗実は背伸びして、彼に口づけすると甘い吐息を漏らす。

「じゃあ、許してあげる…❤️。あなただったら、もしかしたら…。想像出来るの…、何となく。…だから、ちょっと覗いてみたいな。」

そう言うと棗実の影は、暗い夜道に混じって消えた。

落ち着かない高矢が何本も煙草をモクモク吹かしていると…、ポケットのiPhone7がメールを着信する…。

「だから…あなたに愛されたくて、仕方ありません…。付き合って下さい!!」

彼女からのメールだ。

高矢は、小さくガッツ・ポーズをつくった!!!

 

テーマ曲…

「Yandere song」 MiatriSs

https://youtu.be/cNmQArJOnhA

 

おまけ

こんにちは、鈴木雅之です。

技術力向上の目的の為…。

つまりは「腕だめし」のボーナス・トラックも、第三弾です。

この作品は「心を傷付けられた女性」を男が話を聞く事で癒すという、割とありがちな物語にあえてトライしています…。

作品としては結構フィクショナルな無理のありそうな展開をわざと折り込んで、ストーリーのバリエーションを増やそうと試みました。

文章表現も、今までに培った技術を総動員して盛り上げるコトを狙っているんです。

色んな意味で、現在のぼくの全力投球がここにあります…。

ちゃんとしたホントに「シアワセ」が感じられるハッピー・エンドを構想したんですが、上手く出来てるでしょうか?

つまらないかも知れませんが…。

やっぱ恋人出来た時の、「やった〜!!」感って割と「最高」かな?と。

出来に関しての評価は、いつも通りみなさんにお任せします…。

少しでもプッと笑ったりホッとしていただけたら、もう言うコトありません。

物語書くのって楽しいなぁ!!!と、いつも改めて実感していま〜す!!!

それでは、失礼します👋。

今宵も、一杯(ボーナス・トラック2)

オープニング…

「ジャズる心」 Qypthone

https://youtu.be/oVyXMjy8scg

 

「おーう、従二!!遅くまで、お疲れな!明日も、よろしく頼むよ!!」

時刻は、夜11時。

「佐々木運送」の第二倉庫だ…。

アルバイトの近藤従二(こんどう じゅうじ)はロッカー・ルームに引き上げ、ユニフォームから私服に着替える。

「あー…、今日も疲れたなぁ。」

従二が出勤したのは朝の7時だから、延べ16時間働いていた事になる…。

彼の休日は水曜日と日曜日だけだから、当然労働基準法には違反していた。

それでも今日はまだ早い方で…、休みの前の日などは朝の4時まで働くコトもあった。

…そうするともう終バスが無いので、自宅までの一時間半を歩いて帰るのだ。

熱が出ようが腰が軽くぎっくり腰になろうが、…這ってでも出勤している。

近くのバス停で、終バスを待ちながらタバコを喫う。

タバコの銘柄は、"わかば"…。

従二はいわゆるヘビー・スモーカーで、一日に30本は喫った。

だから安くて沢山喫えるタバコをと、これに落ち着いたのだ…。

隣にOL風の、タイト・スカートの女性が並んだ。

別に催さない…。

疲れてそれどころではなかった。

やがて、バスがやってくる…。

乗り込むと、乗客は一人だけ。

サラリーマン風の男が、座席に腰掛けてノート・パソコンに何事か打ち込んでいる。

真ん中らへんのシートに座った従二は、車内に貼り出された広告に目を走らせる…。

バス特有の煙った様な色合いのライトに照らしだれた安っぽい広告は、何の感興も起こさせなかった。

発進→停車を繰り返すバスに揺られながら、彼は特に何も想い起こさない…。

疲れていてそれどころではなかった。

やがてバスは駅前のターミナルに乗り入れ、停車して扉がプシュゥと開く。

従二はバスから降りると、すぐにタバコに火を点けフラフラ歩き出した。

彼の一人暮らしのアパートは、ここから歩いて20分…。

しかし、そちらの方には足を向けない。

彼には帰る前に、寄るトコロがあったからだ。

従二はタバコが燃え尽きると、すぐに次のタバコに燃え継ぎながら歩き続けた…。

かつては賑わったのであろう商店街の跡を抜けて15分程すると、目的の店の前に着いた。

この店の名前は、ライヴハウス兼洋風居酒屋「Nil burner」…。

従二は、階段を降りて地下にあるお店の扉を開き中に入る。

「ああ…、従二さん!!いらっしゃい!いつもヒイキにしてくれて、ありがとうございます!!」

チケットの代金を払い、店の奥へと進んで行く…。

Nil burner」の店内では、"PANDAZ"というバンドが演奏していた。

演っている曲目は、「オー!ピラミッド」…。

フューチュアされているシンセサイザーの音色を耳にしながら、彼は注文する為にカウンターの列に並ぶ。

カウンターの中ではアルバイトの店員が、ビールを注いだりカクテルのシェイカーを振っていた。

しばらく待っていると従二の番が来て、注文を告げた。

"バス・ペール・エールの1パイント"…。

従二はいつもこれだった。

彼はバスのペール・エールが並々と注がれた1パイント・ジョッキを手に、店の隅っこの壁際の席を探して腰掛けた。

店の中には、「オー!ピラミッド」のコーラスに差し掛かった歌声が大音量で響いている。

従二は"わかば"に火を点けると、1パイント・ジョッキに口を着けた…。

「ふぅ…。疲れた。」

この時初めて、今日一日のコトが脳裏をよぎった。

人員と時間を明らかに超過した荷量…。

夏という季節柄…、圧倒的に不快な"倉庫"というロケーション。

決して恵まれているワケでない、体躯。

苦しかった…、毎日が。

…特に、朝起きるのがツラい。

従二は朝ごはんにベーコン・エッグを自分で作っていたから、…5時には起きなければならない。

夜帰ってからの食器洗いと、味噌汁とごはんを作るのも大変だったが…。

朝布団から出るのは…、何より憂鬱だった。

…逆に休みである水曜日と日曜日の、朝というよりは昼は至福である。

しかし何故だろう?

今の「佐々木運送」を、辞めようと考えた事は一度も無かった…。

彼はチビリチビリと少しづつ、舐める様にペール・エールを愉しんだ。

何故だと思う?

ここには人生の深奥…、崇高にして絶対の真理が宿っている…。

それは!!!

もったいなかったからだ。

彼はどれだけ長時間働いていようとも、一介のアルバイトに過ぎない…。

だから飲みたいけども音楽が聴きたいけども、お金があんまり無かったのだ!

だからもうホント、意地汚いだろ!!!ってツッコミたくなる程に一口一口を大切にしていた…。

"PANDAZ”は、いつの間にか「となりのしばふ」を演奏している。

熱いソウル・ビートを繰り出しながらクールなエレクトロ・サウンドを響かせるこの曲が、従二は大好きだ。

明日になれば、また同じ様な業務を繰り返す…。

特に大変だったのは、午後イチでやり過ごさなければならない通称"水積み"だ…。

夏という季節柄、ミネラル・ウォーターの出荷が捗っていた。

一日1000ケースは出荷される2ℓ×6本のミネラル・ウォーターを、従二は一人で約三時間かけて出荷用のコンテナに積み上げる。

…それを、エネルゲン 2ℓでやりきるのである。

現場を監督する従二の上司にあたる正社員さんは、…"水積み"の指示がなかなか出せない。

理由は簡単で「暑くてタイヘンだから」…。

それを従二は「俺がやりますよ」と自ら買って出る…、それは何故か?

…いつだったかその正社員さんが夕飯時に、「これでみんな何か飲んでよ」とクシャクシャになった千円札を差し出したコトがある。

それが従二は嬉しかったのだ、…その時の正社員さんの照れたような顔がいつまでもまぶたの裏に焼きついて離れないのだから。

笑い話がある…。

黒いTシャツを着て一日の作業を終えると、潮を吹いて白いTシャツになっているというのだ。

バスのペール・エールも、半分ホド無くなっている。

"PANDAZ"の演奏も、佳境に入って来た…。

ライヴの盛り上がりが最高潮に達する曲、「サンキュー!!次元」だ。

この曲は歌詞こそルパン三世次元大介の働きに感謝の意を表明する、ワケのわからない内容だったが…。

曲と演奏は本格的なダンス・パンクで、所々に即興も取り入れた前衛的な音楽だ。

従二には、恋人はいなかった…。

忙しくて疲れていて…、そんなヒマなかった。

…エッチ💘ビデオは、OAKSで借りる。

好きだったAV女優は、愛須心亜⛱さん。

彼女がキレイだと思った。

ギル・スコット・ヘロンとだからルー・リードのファンで、ジャミロクワイを「天才」だと考えている。

彼は「佐々木運送」の課長から、正社員にならないか?との誘いを受けていた…。

彼は、「佐々木運送」のみんなが好きだった。

みんなの為に、「何か」したかった…。

でも従二には、作家になりたいという夢があった。

休みの日には、近所の喫茶店にお入り浸り「作品」を書き溜めていた…。

従二は現在、28才。

その「夢」を、まだ…。

いつかの話は、まだわからない。

それでもでも、まだ裏切れなかった…。

 

テーマ曲…

「頼りない天使」 FISHMANS

https://youtu.be/ta1c7TlrFnQ

 

おまけ

こんにちは、鈴木雅之です。

基本的にボーナス・トラックの二作品は、技術力の向上を促す為に文章力=演出の練習を狙って創作しました。

この「今宵も、一杯」は、音楽でいうトコロの「ブルース」・フィーリングを特に意図して書いています。

それで主人公を労働者にして、舞台を酒場にしたんです。

テーマとしては…。

実は書いた後でお風呂入っていて気が付いたんですが、以前書いた「アリとキリギリス」と同じなんですねー。

労働者とショー・マンの相互リスペクトによる、共存共栄という…。

"PANDAZ"というバンドが、本気で音楽に取り組んでいるというのが伝われば嬉しいです。

内容について、ちょっと一言…。

…始めて、恋愛が絡まない作品を書きました。

この…、近藤従二くん。

決してモテないワケではございません…。

恋愛しない理由は、…忙し過ぎるからでしょう。

ぼくが期待している読み方は…。

女性の恋人のいない方が…、いつか出会う彼が今こうして過ごしている。

…そんな風に、読んで欲しいんです。

現在という時を、…とにかく夢中に生きている。

彼が女性として認識してるのは、エッチ・ビデオの向こうの女優さんだけ…。

…そんな男があなたとの出会う運命にあり、その途上をさすらってるんです!!

だから、…素敵だと想いませんか?

であるにも関わらず(であるコトから)、何とな〜く彼がオートマールスム・ブログの登場人物中最も幸福な男である気がします。

その訳は従二くんの様な生き方こそ、真の"英雄"だからでしょう…。

だからそして彼は"英雄"であるが故に、自らの男らしさを描けない。

だからこそ"詩人"としての、ぼくの生き方があるのだ!!!とアイデンティティを発見した作品でもあります。

"英雄"、"詩人"それに"記者"…。

人間には…。

男には、色々な「男らしさ」があるのですね!!!

いや〜、やはり物語を書いているのは色々な意味で楽しいモノです。

それでは、失礼します👋。

 

気の向くままに… (ボーナス・トラック)

オープニング…

「Intrusion」 Pepe Bradrock

https://youtu.be/v8LMXZ57A2c

 

舞台は、東京。

とある下町の高校…。

放課後美術室ではたった一人の美術部員にして部長の、天和聡也(あまが さとや)がデッサンの練習に励んでいた。

机の上に置いたバスケットの中のフルーツを、HBの鉛筆でスケッチ・ブックに写し取っていく…。

聡也は、ピカソゴッホムンクらの画家に憧れていた。

彼は愚かにもいきなり自分の画風を求めたりはしなかった…。

とにかく表現する為には、先ずは技術だともうわかっていたからだった。

この学校には、彼以外美術部員はいない…。

以前は名前だけ登録してある幽霊部員がうじゃうじゃいたのだが、みんな除籍にしてしまっていた。

聡也のいる美術室の外では、女子硬式テニス部員達がキャッキャやっている…。

「ほら美綱、早く行きなさいよ〜!!」

「だってさぁ…、ホントに本気にされたらどうすんのよ!」

「昨日の練習でアタシに負けたでしょ?罰ゲームよ!!!」

彼女達がハシャいでる理由は、こうだ…。

クラスで孤立している聡也に、自分達から声を掛ける。

すると人との付き合いに飢えているであろう聡也は、自分に気があるのだろうと勘違いする。

それを見てみんなで笑い、ヒマ潰ししようというのだ…。

「わかったから…。じゃあみんな見てて、私のウデを!」

彼女の名前は、竜崎美綱(りゅうざき みね)。

女子硬式テニス部の部長である。

この高校の女子硬式テニス部は、決して全国大会を目指して汗を流す様な本格的な部ではない。

ヒマを持て余した女子生徒らが群れ集う、いわば社交部の様な存在であった…。

「こんにちは…、聡也さん?ほとんど、はじめましてだけど…。」

美術室に入るなり、美綱は聡也に声を掛けた…。

「…?君は誰だっけ。記憶に、無いな…。」

これには美綱も、面食らった。

彼女は自分の容姿に、絶対の自信を持っている。

誰も、自分の存在を記憶しない者などいる筈もない。

「あの私、学級委員の竜崎美綱です…。話したコトないから、憶えてないですよね?」

美綱は、聡也の顔をジッと熱く見詰めた…。

もちろん、自分を印象付けようとしての事である。

「何の用だろう…?別に忙しいワケじゃないが、する事がない訳でもない。大体君だってその出で立ちを見れば、これから部活動なんだろう?」

彼女は、硬式テニス部のユニフォーム姿だった。

別に、これから練習しようと考えていたワケではない…。

ただこの方が可愛いから…、誘惑するのにちょうどいいだろうと思ったまでである。

「何の絵を描いてるんですか…?私も、絵に少し興味があって。」

美綱には、「絵画」への興味等まるでなかった。

そう言えば調子に乗って、聡也が何事か語り出すだろうと目論んだのだ…。

「何の絵かって…?君は、人をバカにしてるのか!?そこの机の上に、篭に入った果物が載ってるだろう!」

彼女は心の中で「このカタブツ!!」と毒づいたが、当然笑顔は崩さなかった。

それでも、美綱はもうウンザリだった。

何を言っても正論が帰って来るだけで、取り付く島もない…。

しかし仲間達の手前、このゲームを降りる事は出来なかった。

彼女には、まだ奥の手が有ったのだ。

それは…。

「もし良かったら…、私のコトデッサンしてもらえませんか!?」

美綱は、勝ち誇った…。

これだけの栄誉を与えられれば、どんな男だってよだれを垂らして彼女を求めるだろう!!

聡也は、アッサリと言ったモノだ…。

「ああ、いいね…。面白いかも知れない。いみじくも画家を志すならば、何だって描ける様でなくっちゃならないから…。」

美綱は椅子に座って、笑顔を作った…。

彼はスケッチ・ブックに向かい、鉛筆を走らせる。

彼女は、退屈で仕方なかった。

ハッキリ言って、自分の申し出を後悔していた…。

あくびをかみ殺すのに必死で、その間何が起きていたのか全く記憶にない。

彼は、リラックスしながらも集中した面持ちで彼女の人物画を仕上げていく…。

日も暮れていき、辺りは夕闇に包まれていった。

「出来たよ…、はい。」

聡也は彼女の笑顔が描かれたスケッチ・ブックのページを千裂ると、美綱に手渡した。

「これが…。私?」

スケッチ・ブックのページに描かれた彼女は、聡明で透明感があり間違いなく美しかった。

「まあ、何だね…。君は美しいと思うよ。古の偉大な美術者達も、皆美しい女性を求めた…。その気持ちは良くわかる。」

…彼女の心に…稲妻が落ち、今すぐこの場で…操を奪われたいという望みがもたげる。

美綱は、体の震えが抑えきれない程悔しかった…。

それだけ美に陶酔する資質がありながら、何故?私を口説かないのか!

日も既に落ちていたから、聡也は美綱を駅まで送って行った…。

駅までの帰り道、彼は彼女に美術論を語って聞かせた。

「美術というのは、定まったカタチ等ないのだと思うよ…。そこに表現されている本物の感情や情熱さえあれば、それは何でもアートなんだね。だが人間としてその段階に到達するためには、基礎・基本に裏打ちされた巧みな技術を必要とする…。つまりは簡単な事で、何でも練習なのさ。その辺は美術であってもスポーツであっても、まぁ変わらんね…。」

学校からの最寄駅…。

美綱は電車に乗ると、窓に反射する自分の顔を眺めた。

聡也が酔っている美とは私なのだという官能が…、美綱にジワジワと身悶えさせる。

…聡也を美的に陶酔させたという実感により、美綱のプライドは否が応にもたかまった。

しかし歪んだ窓ガラスに映る彼女の顔もまた、奇妙に歪んでいて滑稽な情緒を偲ばせた。

あ〜ぁせめて…、私でオ◯ニーでもしてくれないかなぁ。

もししてくれたなら、彼だったらきっと可愛い私を思い浮かべてくれるのに…。

胸がドキドキする、…もしかしたら私ってあんまり可愛いくないのかな。

…だって私、愛されたい。

だから美綱の自信は…、風に流されて散っていく桜のように揺らいでいた。

 

次の日の朝…。

高校に登校した美綱は、友達に挨拶する。

「おはよー!私さ、あの罰ゲーム続けてみようかと思うの…。アイツカタブツでさ、なかなかクリア出来そうもないから。もし私に靡いて来たら、サイッコー!!に笑えると思わない…?」

彼女の仲間達は、皆愉快そうに笑った…。

 

テーマ曲…

「You can be a star」 YMCK

https://youtu.be/S4es7Pr1xKI

 

おまけ

どうも、こんにちは。

鈴木雅之です。

この作品はこのオートマールスム・ブログでは、ミュージシャンのアルバムでいうトコロのボーナス・トラックになります…。

本編は全ての話に相関関係があり三層からなる一つの世界観を形成していますが、この物語はそ〜じゃありません。

この物語は、ある日風呂入ってたら何となく思い付いてヒマだったから話書くの好きだし書いたまでの事です…。

無理矢理関連づければ出来なくはないんですが、まぁそれは物語への冒涜かな?と。

ぼくの作品は基本的にいつも同じ一つのテーマです。

恋に落ちる瞬間が、どうしても書きたくて…。

やっぱり人間にとって、イチバン気持ち良いじゃないですか?

それが愛に成就する可能性を予感させて終わるという…。

まあどうなって行くのかは、勝手にしてねって言うね。

一人一人想像して違うだろうから…。

そこまでは、責任持てないよね?

何故?従順な女性を描かないのか?と問われれば、腐ったオタク共が吐き気がするホド妄想を撒き散らしているからです。

もう飽き飽きなんだわ、そ〜ゆうのは!!

何でも言うなりになる芯の折れた女性なんて、俺は欲しく無いよ!!!

"じゃじゃ馬"なくらいで、ちょ〜どいい…。

同時に彼らは絶対に手に負えないから、気位が高く気の強い美しい女性を描写出来ない…。 

男として、大したコトねーからだ!!

だから、ざまーみろと思ってカウンター・デザイン・カルチャーしてるんですよねー!

それを毎回切り口を変えたり、お話の展開を捻ったりして制作するのを楽しんでます。

ワン・パターンだと造ってるのに飽きちゃって、最後まで書き切れないので…。

物語を制作する手応えの一つの指標として、造ってるのがどれだけ楽しいか?とゆ〜のがあるのではないでしょうか?

やっぱり書いてる側が本当に楽しんで造ってれば、読んでくれてる方もきっと楽しめるハズだって信じてるんですよ…。

なので今回も…、表現の幅を広げる為に色々とトライしています。

もっと想像力へ訴求する作品を目指しているので、その練習なんです。

もっと文章のリズムだけで気持ち良くなれる表現を、身に着けたいモノですね…。

それでは、失礼します👋。