どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その69

世にも奇妙に踊りながら、…女帝ゾフィネーヌは聞いたコトもない呪文を唱えました。

…「うわっ、何だ!!?」

女帝ゾフィネーヌをいただく玉座の前の階段の下に…、まばゆい光を放ちながら魔法陣が描かれます。魔法陣を描く線は輝き、そのまぶしさに勇者のパーティ一行は思わず目を覆いました…。

「この偉大にして叡智そのモノたる私、…地獄の支配者。…破壊ねこ"メギムトゥ"を喚び出すのは、一体何者であるかにゃん?」

女帝ゾフィネーヌの唱える呪文が終わると…、魔法陣は完成され光を失い。そこには恐るべき、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の巨体が横たわったのです…。

しかし地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の姿は、…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナを恐怖とは違った意味で驚愕させました。

…「何だろ〜、この姿」

「何てゆ〜か…、みっともないですよね?」

「ヤダ〜こんなヤツ、ただのオッさんじゃん…」

それもそのハズ白い毛並みの地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は、…まるまると太った体にはら巻き一丁とゆ〜出立ちだったのです。

…おなかをポリポリかきながら、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は眠そ〜に声を発しました。

「そこにいるのはゾフィネーヌかにゃ…、とゆ〜コトは。遂にサヘラが、私の為に"神さまの焼きサンマ"を焼く気になったのかにゃ…?どれどれ"神さまの焼きサンマ"はどこかにゃ、…おかしいにゃにゃんの香りもしないにゃ〜」

…ゴロゴロしながら都合のい〜コトばかり口にする、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の前に女帝ゾフィネーヌはひざまずきます。

「私を始めとして全ての魔物が敬愛してやまない…、王者にして主であらせられる"メギムトゥ"さま。ご機嫌うるわしゅう存じます早速ですが…。あなたさまのおん前では虫ケラにも劣る、…小さな私の訴えにお耳をお貸し下されば光栄です」

…地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は、面倒くさそ〜に頭をかきました。

「不肖この私…、女帝と呼ばれるゾフィネーヌめは。"メギムトゥ"さまに一刻も早く"神さまの焼きサンマ"を、ご献上つかまつらんと日々懸命に努力して参りました…。しかしところが、…そこにボンヤリ突っ立って。…地獄の支配者でああらせられる「メギムトゥ」さまに、何の敬意を示さない勇者を名乗る連中が。力づくで私達から…、サヘラを」

「勇者…?」

「勇者」と聞くと、…地獄の破壊ねこ「メギムトゥの眠そ〜な瞳がパッチリ開いたのです。

…「勇者とかゆ〜ネコミミは、この世界には必要ないんにゃ。何故なら私に従えない頭の悪いネコミミ共は…、その勇者とやらを心の支えにしているからにゃ。勇者ががんばってゆると聞けばごちそうを振る舞い、勇者が困ってゆると聞けば何とか助けよ〜とする…。その勇者とかゆ〜何とも厄介者を中心に、…ネコミミ共の心は一つになってしまう。…思えばサヘラが強情を張るのも、勇者が助けに来てくれると希望を抱くからに違いにゃい。希望なんて…、この"ねこねこファンタージェン"には必要ないんにゃ。希望なんてモノが存在するから、ネコミミ共は支配されにゃい…。ネコミミ共の希望をくじかなければならんよ〜にゃ、…その為には先ず勇者をズタズタに引き裂くコトにゃ〜!!」

…突然、マルトム・クルメ城全体がゴ・ゴ・ゴと揺れ始めました。

「みんな…、大丈夫!?」

「見て下さいクリムさん、あの"メギムトゥ"の姿…」

真っ白だった地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の毛色は、…だんだんドス黒く変化して逆立ちます。

…「勇者は許せんにゃ〜、今こそネコミミ共の希望をくじき。私が「オー・ラロル」に…、取って代わる時が来たのにゃ〜!!」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の姿に、女帝ゾフィネーヌは陶酔して見入りました…。

「おぉ、…何とご立派なお姿で。…このゾフィネーヌもあなたさまと一つになります、この私の全てを供物としてお受け取り下さい」

「ツまんない…、勘違いだね!」

魔女ケレナは、吐き捨てます…。地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」は巨大な体をムックリ起きあがらせ、…その額に女帝ゾフィネーヌが重なりました。

…「世界を支配するのは、力なのだ。強い者は弱い者より優れており…、何があっても抗うコトは許されぬ。私は"オー・ラロル"より、力において優れている…。私こそ"ねこねこファンタージェン"に君臨し、…全てのネコミミは私の意のままになるべきなのだ!!」

…神官マルミの方を、聖戦士クリムは見ます。

「いよいよ…、本当に最後の戦いだね」

神官マルミは、魔女ケレナと視線を合わせました…。

「ここまで、…色んなコトがありました」

…聖戦士クリムに、魔女ケレナはウィンクします。

「まぁでも…、これが最後だから」

3人の勇者は、声をそろえてこ〜ゆいました…。

「精一杯、…がんばろ〜!」

…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの胸はとっても高鳴っていましたが、不思議と落ち着いてもゆました。

何となく予感していたのです…、がんばれば何とかなるよと。こ〜して、最後の戦いの幕が切って落とされました…。

 

「最後の死闘」のテーマ…

Babalon/Andrew.W.K.

https://youtu.be/oI8y36733ag