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Black Swan -overload- 44

「セト、あなたはエマを妻として永遠に愛することを誓いますか?」

ソクロは、司祭としてセトに問うた。
「はい、…誓います。」
今度はエマに向かって、同じことを問う。
「エマ…、あなたは妻として…。」
ヘムの村の発掘現場での出来事から、数年の月日が流れた…。
今日は、セトとエマの結婚式である。
セトとエマはあれから色々あったが、遂に結ばれたのだ。
それは、セトとエマだけではない。
あの時あの場に居合わせた者達の間には、友情に似た「何か」が芽生え、今に至るまでその付き合いは続いていた。
…ザハイム研究所は、国立聖三位一体研究所と名前を変えた。
ソクロは、厳かに語る。
「では、誓いのキスを。」
セトはエマのウェディング・ヴェールを掲げ、そっと口づけした。
ブラック・スワンというチームは、既にない。
ソクロは司祭になり教会で儀式を執り行っていた。
ローランドは、ローランドで父親が病気で倒れたのをキッカケにデ・シーカ工房を継いでいる。
エマはブーケを投げた。
ハウシンカは手を伸ばしたが、結局トルカが手にする。
そのトルカに、ローランドが鼻の下を伸ばして近づいた。
「ブーケを取ったってことは、もうそろそろ…。」
トルカは、ピシャリとはねつける。
「まだあなたは、今のお仕事半人前でしょ?ちゃんと、工房が軌道に乗ったら考えます!」
ローランドは、教会の隅っこで肩を落としていた。
ゼクは、冒険者を続けている。セトからの強い推挙もあり騎士になる話もあったのだが、ゼクはその道を選ばなかった。
冒険者の方が、気楽だからよ…。
ゼクは、いつもそう言っていた。
ゼクは結婚式の終わった教会を後にすると、披露宴の行われるホテルへと向かう。
目当ては、披露宴ではない。
ホテルのバーだ。
ゼクは、バーテンに告げた。
ボウモアテンペストを、ロックで頼むよ。ダブルで…。」
目の前で、グラスに琥珀色の液体が注がれる。
アイラ・モルト特有のピート臭が、鼻をついた。
ゼクは、もう有名人だ。
再生した左腕の剛腕っぷりから、「鉄腕」と呼ばれ畏れられていた。
ブラック・スワンを解散した後は、仲間を持たない。
大抵のことは、一人でこなしていた。
もう今は、祈祷さえ自分で挙げる。
ゼクは煙草を吹かした。
少し前から、ハイ・ライトに変えている。
安くて美味いんだ…。
人に聞かれると、ゼクはそう答えた。
「も〜、どこ行ったのかと思ったら。こんな所にいたのね!」
黒いドレス姿のハウシンカが、近づいて来た。
「そのドレス、似合ってるぜ。」
ゼクは、ボソッと言った。
「何言ってるの?まさか、もう酔ってるんじゃないでしょうね。」
ハウシンカは腕を組んで、仁王立ちしている。
ゼクは煙草を弄びながら、迷っていた。
「何よ、まだふざけたこと言おうとしてるの?」
「ここのホテルの部屋をとってある…。今夜、どうだ?」
ハウシンカは驚いて、口をポカンと開けた。
「珍しい…。気の利いたこと、するわね!いいじゃない?ちゃんとしたホテルなんて、久し振りだわ…。」
ゼクは、思案している。
言うべきか言わざるべきか、迷っていた。
「ここってさー、夜景キレーなのよね…。ちょっと、いいかも。」
ハウシンカは、本当に嬉しそうだった。
ゼクは、迷うのが面倒になった。
「ハウシンカ…、愛してるんだ。俺達も、そろそろ結婚するか?」
ポケットから、ダイヤモンドをあしらったプラチナの指輪を取り出す。
台座になるケースはない。
以前に、どこかに行ってしまったのだ。
ハウシンカは、ハッとして振り向いた。
…涙が出そうだった。
だが次の瞬間には、いつもの調子で話している。
「そういうことはさ、夜景を見ながら話してよ…。本当、だからあなたってデリカシーがないわよね!」
 
テーマ曲 「Stay Free」 The Clash
 
おまけ。
どうも、こんにちは。
さすらい人ラルゴです。
恥ずかしいので、ここで作者として明らかにしたいと思ってることがあります。
このブログの作品に「ラルゴ」という登場人物が登場しますが、基本的には彼は「真夏の夜の夢」の伝次郎とアリスの間に生まれた「再臨物語」の岡崎良太です。
ぼくもラルゴを名乗っていますが、作者として登場している訳ではありません。
それと、これは物語の展開上で説明の余地が無かったので飛ばした設定です。
サモン・ジェネレーターが無くても、ドラゴン攻めて来たじゃん!って思いませんでした?
これは影の国としては、サモン・ジェネレーターで召喚しなくてもドラゴンによる攻撃は可能なんです。
しかしドラゴンが直接飛行して襲来すると、カトラナズの国のヴァルキリーや天使悪魔に発見・迎撃されてしまう…。
サモン・ジェネレーターで召喚すれば攻撃目標に直接到達可能で、攻撃後撤退するという作戦でした。
 
「Eple」 Royksopp
 
さて、「Black Swan -overload-」ですが…。
この作品は、ぼくが18才の時の処女作「OVERLOAD」のリメイクです。
「OVERLOAD」はめっぽう弱いヘタレ剣士のゼクがぐちぐち言い続け、それをしっかり者のハウシンカに慰められるというどーしよーもない内容でした。
当然、全く面白くありません。
その後何度も色々書き直しましたが、面白くはならずある日自宅の庭で燃やしました。
そんな物語が書きたいけど書けない日々を送っているある日、The Clashの「Stay Free」を耳にします。
衝撃を受けましたね。
自分が物語として表現したかった感情は、全てこの曲に描かれていると思いました。
同時にこの曲に相応しい物語を書く為には、自分には全く実力が足りないことも痛感していて…。
ぼくはその憧れを飲み込み、強さを求めて生きていく道を選んだのです。
そんな訳で、ゼクとハウシンカにはぼくの夢と挫折が全て詰まっていました。
その物語をもう一度取りあげようと考えたのは、退院してしばらく物語から離れていたある日、フと思ったのです。
ゼクは、ある日のぼくでした。
ハウシンカは、その頃のぼくの女性の好みを全て兼ね備えていた。
そんな、最悪だったけどぼくにとってはかけがえのない青春の日々を、ゴミとして燃やしてしまっていいのだろうか?と。
物語は、当時の原型をほとんど留めていません。
キャラクターの設定も、一新しました。
でも描きたかった、テーマなんて大層なものではなく、空気は間違いなくあの日のぼくが夢見たそれです。
「OVERLOAD」から「Black Swan -overload-」まで、本当に色々ありました。
でもそれらの日々が、間違いなくぼくの青春の日々であり、この作品を完成させることが作中のゼクの最後の姿と同じ様に、大人になることなんだとぼくは納得しています。
「OVERLOAD」の元ネタは、当時大流行した「Trainspotting」。
映画も勿論観てますが(「Lust For Life」、最高に盛り上がりますね。)、大好きだったのはアーヴィン・ウェルシュの原作。
本当に、本がボロボロになるまで読み込んで…。
ぼくの物語制作の基本スタイルは、全てアーヴィン・ウェルシュの丸パクリだと言うのはヒミツです。
オルタナティヴな音楽の歌詞から、アイディア
を引っ張ってくる。
既成の作家に、挑戦的な態度を取る。
悪態の吐き方。
そして何より、弱い者の立場に立つ。
だから…。
ゼクは、どこかでレンツなんです。
レンツがぼくの想像力の中で、詩的変容を遂げた姿。
彼が、幸せに成る未来を描きたくて…。
あんなにいい感じに書けたかな?という思いはありますが。
トレイン・スポッティングと言えば、ドラッグの描写…。
ぼくも若いというよりも幼い頃、ドラッグでワルでカッコいいな〜!なんて秘かに興味はありました。
しかしアーヴィン・ウェルシュの著作群を読み進め、音楽にのめり込んでいく内に段々と恐怖に変わっていったのです。
音楽を愛好する人は、ドラッグの恐怖というのは思い当たるハズ。
特にこの、"ヘロイン"…。
ヘロインというドラッグは、どれほど多くの人達の命を奪った事か!
日本にいるとほとんどの人には実感する機会は無いんでしょうが、海外ではそれこそ身近な脅威なんでしょう。
ドラッグの問題は難しい…。
ぼくがドラッグについて考えているのは、先ずドラッグは気持ちよくは無い。
言葉で表現すれば、「変なきもち…。」。
そして何故?人はドラッグに走るのかという問題について、トレイン・スポッティングを読み終わってから考えていたのですが…。
二つのパターンが考えられると思います。
一つは暴力に傷つけられて残った、その癒えない傷口の苦しみから逃れる為です。
暴力に傷つけられる事の恐ろしさは、その瞬間の痛みではありません。
その傷は心に残る…。
しかし更に恐ろしいのは、傷つけた相手の暴力を振るう異常な倒錯したリビドーの虚妄が記憶の中で何度も何度も迫って来る事でしょう。
その悪夢を終わらせる方法はある。
しかしその道のりは平坦ではなく、長く曲がりくねっている。
しかし異常倒錯リビドーの悪夢は、すぐに襲ってきます。
下手をすれば、その相手が目の前に再び現れて迫って来る事もあるでしょう…。
そんな時その相手の異常倒錯リビドーからモヤモヤと立ち昇る虚妄を越える。
つまり自分の被害者意識や出来れば戦いを避けたいという弱い気持ちを超えて自分自身という理性を取り戻し、暴漢という完璧な精神異常者を気力で圧倒し彼らの無知蒙昧で独り善がりな公衆の面前で突如オナニーを始める様な不快極まりない行為を退けるには、ドラッグの「変なきもち…。」を利用するのが一番手っ取り早い。
わかりますか?
手っ取り早く言ってあげましょう…。
暴力を振るう人間が、被害者に対し精神的に優位に立てるのは「俺はお前を傷つけるのが、気持ちいいんだ…!お前が悲鳴を上げれば上げる程、俺の快楽は高まる!!」と解釈しているからです。
だから、強気に出て来る。
暴力を振るう者は、必ず「それは相手が望んだ事だ!」と正当化するのです。
その暴漢が快楽だと解釈している"虚妄"を、ドラッグの「快楽」=「変なきもち…。」で乗り越えて戦いの主導権を握ろうとしているという事なんですよ!!
だからドラッグは、「体に悪い事なんて、止めなさい!!」と簡単に制止出来るモノではないでしょう…。
心についた傷を守らざるをえない者にとっては、アイデンティティの問題なんですから。
アイデンティティだと…?下らない!健康の方が、大事に決まってじゃねぇか!」
と答えを出してしまう男とは、ぼくは話をしたくない…。
カッコ悪リぃ…!!
女性かよ!
そーゆう人って、例えば煙草を吸ってる人がいた時にたったそれだけの理由で自分の方が上だ!!って解釈して自己納得出来る人なんでしょうねぇ。
あ〜ヤダヤダ!!
そ〜ゆう人、キライ!
 
 
 
「Chameleon」 Harbie Hancock
 
そんな訳で、ゼク・ダーントのビジュアルはやはり若き日のユアン・マクレガー
ついでに他のキャラのビジュアルは…。
ローランド・ラグレル…ブラッド・ピット
ソクロ・ワイズマン…スティーヴン・セガール
ハウシンカ・エマーソン…ニコール・キッドマン
トルカ・モニアス…クロエ・モレッツ
セト・ナラハニムル…ジョニー・デップ
ルカーシ・ダンテス…ジョージ・クルーニー
エマ・タウンゼント…能年玲奈
狗香炉・尾洲割…アンソニー・ホプキンス
フィル・グライムノート…ジャン・レノ
ドク丸・タナカ…ニコラス・ケイジ
ガウェイン・エマーソン…ゲイリー・オールドマン
ミズク・モーナク…フランシス・マクドーマンド
絶対者ラルゴ…池田秀一
ロムス・ハリストス(声)…駒塚由衣
てな具合でした。
想像するのは、タダだから。
ぼくがカッコいいと思う俳優さんは、高倉健さんです。
通院している病院の最寄駅の煙草屋さんに、古〜い健さんの広告が飾ってあって…。
煙草を咥えながら、一点を厳しく見詰めている。
あ〜いう風に何も語らずとも、佇まいが多くを語ってる男になりたいモノです!!
高倉健さんの様な本当にいい男に、カッコいいと女性達が憧れる性的なノーマルさがまだあの頃はあったんですね。
愛され方もわからないままただキャーキャー騒ぐ事しか知らない女性達の不快な劣情の対象になるだけで、「オレってカッコいいからモテてるぜ!」と勘違いしているひたすらヘラヘラする以外何の才能もない軽佻浮薄な変態であるイケメンくん達には想像する事も出来ない様な境地でしょう。
そう言われると、思っていたんだよね〜。
バカだなあ…、気にしないけど!!
オートマールスム・ブログも、完結です。
コンセプトは「宗教」「芸術」「哲学」の、ドッキング!。
テーマは、「死は悲しいけど…、不幸じゃない。」
テーマ曲の選曲の基準は、「苦しみを共有しやる気が出て、明日働く事が楽しみになる。」でした。
基本的に時代の音楽性に合わせて変化する「ブルース・フィーリング」を、テーマにしています。
それがクラシックであってもジャズであってもガレージ〜パンク〜ポスト・パンク〜ノー・ウェイヴ〜グランジ〜オルタナであってもテクノもエレクトロもソウルもファンクも、根源にあるのはブルース!
そして同時に、そこにはパンク・スピリットがある。
ぼくはベートーヴェンはパンクスだと考えていて、彼は絶対に屈服しなかったし自分のスタイルを貫いた。
ベートーヴェンの曲は、明らかに心の怒りを燃え上がらせているからね。
それと改めて好きな音楽を聴き直して行った時に、古いゲーム・ミュージックというのは「IDM」を聴いている時と非常に近い印象を受けました。
ゲーム・ミュージックは元々シンセサイザーで演奏されているサウンドだし、ジャンルとしてはエレクトロなんでしょうね!
それはもう本当に数え切れない程の曲をかけましたが、曲をかけて伝えたかった事があるなら「一緒にがんばろうぜ!!」なのです。
上手く出来たかどうか、読んだあなたが判断して下さい。
笑い話ですが…。
これを書いている時点で、
・レコード約100枚
・CD約20枚
・CDプレーヤーを持っていない
という音楽環境でした。
実は…。
主にウィキペディアで調べて、知らないバンドの曲をかけていたという。
ピッチフォークなんかは、参考にしてますケドね。
さらにはWiFiないからYoutubeも曲の全体を聴いてるのは、殆ど無く…。
まぁぶっちゃけ、知らない曲を聴きもせずに掛けているというのが本当です。
何でかけてるの?と、聞かれたら…。
そう思った、(閃いた)から。
ゲームも一部(大体)そう…。
楽器なんかもそうですよ。
ぼくはそもそも、機材に録音すらしたコトありません。
コードなんか一つも知らないし、シンセに到っては店頭に並んでるのを"ポチッ"と触っただけ…。
サウンドハウスのHPで調べたんです!!
エッヘン!
本と絵画は別。
紹介してるのは、「パルチヴァール」を除いては読んでますし観てます。
お金が無いんです、ハッキリ言って…❤️!!
あと…、ラリってねぇよ!!
ぼくがこのブログで表現したかったテーマの一つに、物質的な事実関係が証拠として裏付け無くても「思ったらやってみたら…?」があります。
まあ失礼だろ〜とは、自分で思ったんですが…。
なので全部想像です。
だってファンタジーだから…。
愛してると、感じちゃう!!!
もしホントに良かったら、教えてね!!!
読んで下さって、ありがとう。
ぼくにとってこのブログの完成は、全ての物語の始まりに過ぎませんから…。
また、会いましょう!!
 
「Cissy Strut」 The Meters