クリスマスの奇跡 6

シーン3 賭博場

お春「ここが、新三さんの家だ…。」

戸を開ける。

手下、ツボを振り上げ、博徒を煽っている。

手下「はい、丁ないか、丁ないか!半ないか、半ないか!コマが、揃いやした。」

手下、ツボの中にサイコロを入れ。

手下「いざ勝負、勝負!…、何だお前は!この大事なところで、邪魔をするんじゃねぇ…、おお、お春さんでございやすか。新三アニキは、奥におりやす。どうぞ、上がってください。」

新三、尊大な態度で、酒を飲んでいる。

手下「アニキ、失礼しやす。」

新三「人がいい気分で、酒を飲んでいるというのに…、不調法な奴だ。おや、お春さんかい?どうした、そんな思い詰めた顔をして。何か辛いことでも、あったのかい?この新三でよければ、喜んで話しを聞くよ。」

お春、新三の前に座り込んで。

お春「聞いて、新三さん。私は、あなたと一緒になると決めて、ここへ来たの。」

新三、客席へ向かって。

新三「馬鹿な女だが、いい女には違いない。俺にかかれば、どんな女でもイチコロさ。」

新三、真面目な顔をして。

新三「おお、可愛いお前。やっと私の真心に、気付いてくれたのか。私は、一生お前を愛する。どんな時も、お前を離さないと誓おう。」

お春、歓喜に満ちて。

お春「嬉しい、新三さん。私も一生、あなたについて行きます。」

新三、誠意を演出しながら。

新三「よしそれならば、善は急げだ。今からでも、私の部下を使って、一刻も早く、婚礼の儀をあげよう。」

新三、人相が変わって。

「おい、てめぇら。話は聞いたな?それならば、とっとと取り掛かるんだ。グズグズしてる奴は、ただじゃおかねぇぞ!」


庄助、一人立っている。

庄助「お春は、どうしただろうか?あの方角は、きっと新三のところに行ったのに、違いない。だが、新三は悪い男だ…。」

庄助、思慮深げに。

庄助「おれも、何か手を打っておかなければ、ならない。これからすぐにでも、村の仲間に相談しておこう。」

庄助、去っていく。