二人の預言者 6

エリヤとカルナは、歩き続けていました。

カルナ「おじいさーん、あたし達いつまで歩くの?もう、飽きたー。」

エリヤ「うん…。もうじき、ギリシャに入るな。わし達が向かっているのは、ギリシャの神々の一人、パーンの所じゃよ。そこに、お前さんを待ってる人が、おるでな…。」

カルナは、いつもの調子でいいました。

カルナ「バッカじゃない?あたし、ギリシャに知り合いなんて、一人もいなーい。」

 

一方モーゼも、準備を進めていました。

モーゼ「遅れていた、船の準備も整った。カイン、よくお聞き。これから、この船に乗って、ギリシャへ行く。そして、牧畜の神、パーンのところに行くんだ。パーンは、ギリシャの出来事に、広く通じているから、きっとお前の、お父さんやお母さんについても、何かわかるだろう。」

しかしカインは、返事をする代わりに、大きなオナラをしました。

 

エリヤは、パーンの家のドアを、ノックしました。

パーン「はい、お入りください…。これはエリヤ様、ご無沙汰しております。」

エリヤとカルナは、家の中に通され、パーンと共に、テーブルを囲みました。

パーン「おい、アベル。お客様だよ。エリヤ様と、ええと…。」

アベルは、エリヤの名前を聞いて、大喜びで飛び出して来ました。

アベル「エリヤ様!お久しぶりです。」

アベルは、エリヤの事を大変、尊敬しておりました。

アベル「また、色々なお話を、聞かせて下さい!エリヤ様のお話は、本当に為になります。それになにより、面白くて…、ぼくはエリヤ様から聞いた話を、よく一人で思い返すんです。そして、これはこういう意味だろうか、いやああいう意味に違いない、とやってるんです。おや、こちらの女性は…?」

アベルとカルナの、視線が絡み合った時、そこに火花が飛び散りました。

エリヤは、何も知らない様な顔をして、のほほんと座っておりました。

アベル「ノア…?いや、ノアじゃない。ノアは、死んだんだ…。でも、似ている。この感じ…。」

カルナ「アベル…。聞いた事がある、その響き。でも、思い出せない…。あなたは、誰?なぜ、こんなにもあたしの心を、かき乱すの?」

モーゼ「失礼…。誰もいないんだろうか?ノックは、したんだが…。あっ!」

二人は、お互いを強く求め合い、激しく抱き合いました。

それを見たカインは、立ったまま、小便を垂れました。

アベル「ノア…。君は、ノアなんだね?ぼくには、わかる。このつぶらな瞳、白いうなじ…。」

カルナ「アベル…、アベル…。あたし、恥ずかしい。汚れてるの、あたし。体も、心も…。」

アベル「いいんだ、ノア。ぼくには、これまでの君なんて、関係ない。ぼく達は、これからを築いていくんだから…。」

アベルはカルナに、熱く口づけしました。

モーゼはよくわからず、エリヤに助け舟を求めました。

モーゼ「エリヤ様、これはどういう事でしょう?」

エリヤ「うむ。お前さんも、知っておろう…。アベルとノアの、恋の行方を。この女、カルナの魂は、生まれ変わったノアの、それなんじゃ…。確かに、カルナの物腰や言い様は、ノアのそれとは、違う。それは、環境の所為もあるし、本人の隠されていた、資質でもある。」

その時、パーンが叫びました。

パーン「カイン!お前は、カインじゃないか!」

パーンが、カインを抱きしめると、カインは大きな音を立てて、鼻水をすすりました。

パーン「ありがとうございます、モーゼ様…。このカインは、生まれて間もない頃、人さらいにさらわれてしまって、それ以来行方もわからず…。よかったなあ、カイン!」

カインも、心の奥底で、何かを感じ取ったのか、涙を流しました。

モーゼ「う〜ん。私にはよくわからないんですが、これでよかったんでしょうか?」

エリヤは、染み染み言いました。

エリヤ「うん、まあ、そういう事よ…。あまり、理屈で考えるな。しかしわしは、お前さんに話があってな…。」

そう言われて、とっさにモーゼは、身構えました。

しかしエリヤは、頭を深々と下げて、こう言いました。

エリヤ「いや、モーゼ君。わしは今まで、君の事を侮っておった。しかし、君はカインを、ちゃんとここまで、連れてきてくれた。きっと、聖霊のお導きじゃろう…。それにな。」

エリヤは、頭を掻きながら、続けました。

エリヤ「規律や律法というものも、必要なんじゃなぁ…。わしは、骨身に沁み行ったよ。確かにこのカルナの、胸の内には、清らかな愛の炎が、宿っておる。しかし…、正直わしの手には負えんよ。随分、くたびれた。」

モーゼは、感激しながら、言いました。

モーゼ「いえ、エリヤ様。それは、私の言うべき事でしょう。人の魂の本質を、一目で見抜くなど、とても私にはできません。私が、カインをここに連れてきたのは、単なる偶然に過ぎません。それに…。」

モーゼは、疲れた笑みを、浮かべました。

モーゼ「カインに、随分教えられました。人が生きるということは、とても理屈では、割り切れないと…。子供の世話というものは、本当に大変なんですね。私は、私が母にかけた苦労を思うと、とても頭が上がりませんよ。」

エリヤは、嬉しそうにいいました。

エリヤ「いや、わしらはこの旅で、お互い重要な事を、学んだようじゃな…。では、これから二人で、ゼウスとヘラの元を訪れ、与えられた務めを、果たすとしようかの。」

モーゼも、清々しい思いで、頷きました。

モーゼ「はい、そういたしましょう!」

オリュンポスの山へと、向かう道すがら、エリヤはぼやきました。

エリヤ「しかしイエス殿も、人が悪い。こんないたずらをするなら、何か一言、声を掛けて欲しかったわい。」

モーゼは、すかさず反論しました。

モーゼ「エリヤ様、それは違います。これこそが、キリスト様の尊い知恵なのです。それがあなたには、わからないんですか?」

エリヤは、うるさそうに言いました。

エリヤ「若造。わかっていないのは、お前さんの方じゃ。わしはな、イエス殿の真心を、痛い程感じておるよ。だからこそ、悪態を吐くのじゃ。その男の…。」

二人の話は、いつまでも尽きないようでした。

 

テーマ曲 「きみがその気なら」 チャットモンチー

チャットモンチー 『きみがその気なら』(Full Ver.) - YouTube

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

どうも、こんにちは。

オートマールスム(白)です。

好きな洋服のブランドは、ALL ORDINARIES。

作品の元ネタは、山下和美先生の「天才柳沢教授の生活」。

人物の名前は…。

旧約聖書より、カイン。

あとの、カトル、マイワ、ルシロは適当です。

寝てたら、思い付きました。

この作品は、異なる価値観を持った、二人の人間が、旅を通じて、お互いの存在を、認めて行いく、という内容です。

どちらかが偉かったり、どちらかが物分かりがいい。

そうならないように、気をつけました。

ぼくにとっても、あなたにとっても、きっとこういう相手が、いる筈です。

そういう相手は、自分にとって、かけがえのない人だったり、しますよね。

因みに、エリヤが飲んでいるウィスキーは、アイリッシュ・ウィスキーのジェムソンです。

結構高いじゃんって、思いました?

ぼくも普段は、もっと安いの飲んでます。

ここからは、後日記述しています…。

先日、チャットモンチーのライヴを初めて見て…。

本当に心から感動しました。

お二人はもうある程度と社会的地位を築かれていて、カッチリとしたファン層も固まっている…。

ハッキリ言えば、求められる「チャットモンチー像」が確立している訳です。

その中で敢えていい意味で、"求められるファンの期待"を裏切るドコロかぶっちぎった新しい表現のライヴに度肝を抜かれました。

もう一つは…。

ぼく、ずっとチャットモンチーのファンだったんです。

ライヴには行ってませんでしたが…。

人生のある時期にもう本当に毎日がツラくて死んでしまいたかった日々に、何度も何度もチャットモンチーを掛けて、カラオケに行っては歌っていました。

何だろうな…?

やっぱり一生懸命がんばっている人の言葉は、説得力があるよね。

だからチャットモンチーは、いいんだと思う…。

ぼくがチャットモンチーでイチバン好きな曲は、後で物語のタイトルにもしますが「意気地アリ」。

これはぼくの想像だけど…。

作詞の福岡晃子さんは、絶対そういう女性ではない!!

そういう女性がそう言いたくなくなってしまう程のヤキモキと、同時にそう強がって表現してしまう乙女心に胸がキュンキュン❤️です。

また同時にそうした歌詞に、ああいう勢いのあるロック・ナンバーな曲を着ける橋本絵栞子さんのセンス!

素敵です…。

チャットモンチーの曲には色んな曲がありますが、どれも手抜きがない。

ぼく、「ドッペルゲンガー」が好きで…。

いやいや…ぼくチャットモンチーがイチバン好きなんで、語っていけばキリがないのでこの辺で。

それでは、さようなら👋。