視覚的な音楽性について[水晶のドクロ]

「Seven Nation Army」 The White Stripes
 

物語ではないんですが、ちょっとした思いつきについて考えをまとめて記録しておこうと思い筆を執りました。

以前シーケンサーで作曲をしている時、スコア(の音符記号)を視覚的にデザインして配置し曲を書く事は出来ないか?と考えていたことがありました。
現在になって思い返せば、多分それはムリでしょう…。
ただそれでも、この"視覚的な音楽性"という発想・アイディア自体は面白いな!と心の中に留めておきました。
それから物語を書き始めて、最初はテーマをどう伝えるか?という技術にこだわっていました。
テーマをストーリーに織り込んでいくという作業を繰り返す内にそれが段々と自分の納得出来るモノになっていくと、次は文章表現が気になって来ます…。
文章というのは、当たり前ですが言葉・文字を連続させて構成します。
だからその意味を接げていって、ある種の説明を形造る行為を繰り返して行きました。
でも、ある時ちょっと気がついたんです。
言葉というのは、視覚的な音楽性を持っていると。
何て言えばいいんだろう…?
物語を文章で読む時、そこに書かれている言葉を目で見て確認しますよね?
その視認される言葉、つまり文字という「何か」はデザインとして人間の心にある印象をもたらすのではないか?と。
一つ一つの言葉・文字が読者の心に灯す「印象の火」を連ねていって、まるで幻燈のシンフォニーを奏でる…。
それがある時期から、ぼくが文章をデザインする際に目指している到達点になりました。
ぼくのブログを読んで下さってる方はもう既に知っていると思いますが、ぼくの文章は漢字・ひらがな。
カタカナと英語表記。
記号と、youtubeのサウンド等を使い分けて書いていきます。
個人的な雑感として、句点の使い方がずっと掴めずに苦労した思い出がありますね。
句点というのは、楽譜で言えば休符に当たります。
そして時間軸が一方向に連続している音楽という芸術ジャンルにとっては、リズムを作り出すのはこの休符…。
芸術というイメージを表現する創作活動に於いて、最も基本的であり且つまた最高の指針になるのがぼくはリズムだと考えています。
だから文章を構築していくにあたり、最もその表現の精度を高めてくれるのは"句点"であると、ぼくは結論を出しました。
物語の流れというグルーヴは、句点の打ち方で醸し出すのでしょう。
ちょうど、ギリシャのオリュンポス神殿に住まう神々の様に…。
少し、話が逸れましたね。
物語は、あくまで目で見て文章を読み進めるモノ。
ですから物語文学上の優れた文章表現とは、視覚から読者が思い浮かべる幻想としてのリズム・アンド・グルーヴではないでしょうか?
ぼくの作品は言葉・文字で奏でる、"想像"の音楽なのです…。
夢で流れる、言葉のシンフォニー。
この視覚的な音楽性というアイディアのインスピレーションは、John Cageの「Water Walk」という作品に端を発します。
後で動画をリンクしますので、ここでは細かく説明はしませんが…。
氏の「Water Walk」という作品は、楽器を殆ど用いない生活音とパントマイムの様な身体表現で物語を紡いでいくという画期的で斬新な音楽作品でした。
一切の言葉を語らないのにも関わらず、そこには叙情性豊かな小説がまるで朗読されているかの様です。
素晴らしい…。
感動しました。
John Cageの音楽のテーマは、非常にシンプルなんだ!!と思っています。
例えば有名な、「4'33"」…。
あれはつまり、「男は言葉で語らずに、背中で語るのが男らしい。」という事でしょう?
一般的に芸術のテーマは、それ程複雑ではない…。
それは家族で過ごす時間の大切さであったり、恋人を待つ電車のホームでの時間だったり…。
例えそれが宗教的なテーマであったとしても、毎日の日常の気分から乖離してはいけない。
何気なく空を見上げる瞬間と、神の偉大さを偲ぶ祈りには共通したノリがある。
それを結びつけていくのが、聖職者本来の仕事でしょう?
個人的には立派な信仰心を持つ方もいらっしゃるとはお見受けしますが、教会という社会勢力を形成した時そこには必ず権力への指向が内在し個性を殺そうとする…。
まあそれでも宗教的な"神の権威"は教会という社会集団にあるのではなく、個人的な信仰心にあるのですからね。
だって、イエスがそうだったでしょう?
そしてその道を歩みなさいと、彼は説いているのですから…。
ただし恋人に伝える愛の表現に無限のバリエーションがあるように、芸術とは技巧を凝らすモノだとは考えています。
ぼくの視覚的な音楽性というモティーフは、このJohn Cageの「Water Walk」の逆再生でした。
生活音とパントマイムからオペラの様に物語が書けるのならば、文章表現に寄って音楽が再生出来るハズ…。
そんなおもいつきで、毎日物語の文章をつづっています。
このコラムも、タイトルで示した通り「視覚的な音楽性」を奏でる技巧を尽くして執筆しました。
因みにかつて存在したTVゲーム・メーカーUPLの故・藤沢勉さんの駆使するテクニック、宗教的な啓示をエンターテイメント作品に面白可笑しく織り込んでしまうという手法もスゴいんですが…。
その話はまた、今度にしましょう。
楽しんでいただけたら、幸いです。
それでは、テーマ曲をお聞き下さい…。
ありがとうございました、失礼します。
 
テーマ曲…
「Water Walk」 John Cage