春の嵐 後編

翌朝、早速アベルは、ノアの元に向かいました。

アベルは、ウキウキしていました。

アベル「やあ、ノア!元気かい?」

ノア「どうしたの、やけに機嫌がいいのね。何か、いいことでもあった?」

アベルは、水をやりながら、星の雫の話を切り出しました。

しかしノアの反応は、アベルの期待とは違った物でした。

ノア「少し、考えさせて…。父さんや母さんとも、相談してみないと…。」

アベル「そ、そうだよね…。こんな大事な事、そんなにすぐには、決められないよね。じゃあ、気持ちが決まったら、また話そう。」

それから何日か、二人の関係は、表面的には、何の変化もありませんでした。

しかしアベルは、ノアの笑顔に影がさすのを、見逃しませんでした。

ある日、ノアは言いました。

ノア「アベル、あの…、星の雫の事だけど…。」

アベルはドキッとしましたが、それは顔にはださず、明るく言いました。

アベル「ああ、うん。どうしよっか?ぼくは、君が人間になってくれたら嬉しいけど…。君には、君の都合があるだろうし。」

ノアは、真面目な顔で、言いました。

ノア「ごめん、アベル。私は、人間にはなれない。私には、両親も友達も、いる。それに何より、私がこれまでに生きてきた、その大切な思い出を捨てるなんて、出来ない。それに聞いて、アベル。私は明日、結婚するの。同じ花の精、タンポポの青年と。だから、もうあなたとは、会えない。ごめん…、ごめんなさい。アベル。」

ノアは、泣きじゃくりました。

アベルはその傍で、ずっと待ちました。

そして、ノアが落ち着いた頃、アベルはノアを抱き寄せ、優しくキスしました。

アベル「ぼくは君の事、忘れない。ぼくの心にいるのは、君だから。君だけだから!君も、忘れないで欲しい、ぼくの事。」

ノアは、身をよじって、アベルから身を引き離し、叫びました。

ノア「私、そんな事言えない!そんな事、出来っこない!アベル、私を困らせないで!」

アベルは、静かに言いました。

アベル「ごめん、ノア。ぼくは、幼い。君に比べて、幼な過ぎるんだ!さよなら、ノア。幸せになって!」

アベルは、走り出しました。

アベルは次の日も、その次の日も、羊の番をしました。

羊が、花を口にしないように、注意深く見張りながらも、ノアの事は、見ないように努めました。

ある日、何かの拍子に、ノアの姿が目に映りました。

ノアは、もう黄色いタンポポの花ではなく、綿毛をフサフサと、被っていました。

すると不意に、春の強い風が吹いてきて、綿毛を運んで行きました。

アベルはその様子を、いつまでもずっと、眺めていました。

 

テーマ曲 「Cherokee」 Charlie Parker

https://youtu.be/lf9b86WWfjw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

どうも、こんにちは。

オートマールスム(白)です。

アフリカの、コーヒー豆が好きです。ローストは、イタリアンで。

元ネタは、ゲイリー・オールドマン監督の「ニル・バイ・マウス」

人物の名前は…。

旧約聖書より、アベル

旧約聖書、ではなく、ゆうきまさみ先生の「機動警察パトレイバー」より、ノア(野明)。

だからテーマ曲はかけたCharlie Parkerさんの「Cherokee」と、この曲で迷いました。

「ぼくらのファミマ〜Electro-mix〜」 Rocketman

https://youtu.be/S6BVAAyTUeI

要は男目線か、女性目線で〆るかで迷ったんですが…。

やっぱりこの作品の展開なら、女性ノアの気分・感情を余韻として描くべきかなと。

ぶっちゃけこの物語…。

アベルくんは、全然悪くない。

彼は彼という年齢や経験の限界の範囲で、精一杯誠実に愛してると思う。

実はこの"おまけ"、後から書き足してます。

「Peace」 Tommy Flanagan

https://youtu.be/a-L492oAZio

書いた当時は、上手く恋愛が出来なかった自分自身への反省と満たせなかった「乙女心」というつもりだったんだすが…。

申し訳ないけど、現代女性の多くは恋愛に関して注文が多過ぎるよね!

どうしてそーなってしまったのかわからないケド、エゴを甘やかされて増長し切ってる女性があまりにも目について目について。

ぼく、この場でハッキリ書いてしまいますが…。

あのさセックスしたいのって、ぶっちゃけどっちなのよ?ってね。

あのさ〜、子供が欲しいのはどっち?

体の本能から、子供を産みたくなってしまうのはどっちなのさ?

それをね…、いい男ってのは優しいから「オレは君を抱きたいよ…。」って"女性に恥をかかせない為に優しい嘘をついているんでしょう?

ホント〜に単にリビドーで女性を犯そうとしてる男なんてゴミにもクズにも劣るし、いい男の優しい嘘を真に受けて「私の体が目当てなのね!」なんて言っちゃいけない。

そういうキチンとしたちゃ〜んとした、本音と建前を使い分けられる大人の男女でないと本気の恋愛ゲームは遊べません。

恋愛はダンスと同じ…。

呼吸とリズムが全てです!!

たださぁ…。

セックスを子作りの為とか言われると、ぶん殴りたくなるよね。

セックスってのは、愛し合う為にするんだよ。

だから子供が産まれるんだろ?

バカなのか、ホント?

もし、セックスが子作りの為ならな!!

レイプが認められるだろ!!!?

よく考えろ、少しはな!

それが論理だよ!!

それもこれもある年齢までは許されるけど、その先はない。

しっかりしろ、男。

そー考えると、AV男優さんてスゴいよね!

だってさ…、フツーセックスの上手い下手なんてバレないワケで隠し通していい男振ってるヤツなんてそこら中にいるじゃない?

当たり前の想像力があれば、人前でセックスしなくちゃならないという事がどれだけガッツや根性を必要とするかわかると思う。

これもやっぱり当たり前。

男というのは催す…。

愛されたいとそう強く愛する女性が求めれば求めるほど、男はそういう行為を望んでしまう。

だからこそ、金銭的に手軽でそれほど罪として重くない「エッチビデオ」というのは…。

人間にとって必要不可欠な、とても大切な娯楽だと考えられる。

それにさ、観てる「エッチビデオ」と愛する女性をどう愛したいか?はカンケーないからね。

だってそうだろ?

例えば推理小説を愛好する読者は、実際に犯罪事件に巻き込まれたいとは望んでいないだろ?

高等な「ごっこ遊び」なんだよ。

そういう風に生きてないから、"仮に"そうだったら!って仮定して一緒に一時夢想する。

後は、アイドルみたいにチヤホヤするな…。

これも、もうハッキリさせとこうぜ!

あのな、本当にモテている人はそういう噂は立たないんだ。

例えば、こう考えられるだろう…。

あるところに、一人の乙女がいる。

彼女はまだ女性というには幼く、その愛欲は目覚めたばかりだ。

そんな彼女の元に、ある勇敢な一人の騎士が訪れる。

彼女は口にした…。

「キャー!!ステキ!」

そんなワケないだろ?

何も言えずに、ただドキドキと胸が高鳴るのをひた隠しに隠すっていうのが「乙女」だよな?

声を掛けて欲しいけど、掛けられても上手く答えられないっていう不安に苛まれる。

そして話しても、自分の気持ちは何も言えない…。

そんな乙女の為に、騎士は命を賭けて冒険の旅に出るんだろ?

人間の感情にとっての"理の当然"を、社会的な振る舞いとしての常識を学んでくれ。

そして、礼節とは形式の遂行ではないと学んでくれ。

女性へ声を掛ける時に男が死んでも守らなければならないマナーなんて、ゲーテの著作にみんな書いてあるだろ。

TVばっかマンガばっか見てんなよ、大人のクセに!

だから、子供にナメられるんだ。

最後に…。

カッコつけるっていうのは、ダサいヘボが虚勢をはるなんていう自己顕示欲じゃあない。

周りのみんなが親しい人達が、安心出来る様に快く心地よく過ごせる様に、全力で気を吐いて自分でデザインしたキャラクターを演じるっていう事だ!

おい、そこのお前!!

お前さ、スゲーダセェ蚊のさえずりみたいな音出してうつむいてるバンドと自分のかき鳴らすギターの音色にお客さんがいい気持ちになっている事に納得して落ち着いてるバンド、どっちに金払う?

俺なら、いいサウンドに酔いたいね…。

だから、遊ばなきゃいけない。

人間にとって、本当に気持ちのいい事を学ばなきゃいけない。

自分が本当の愉しみを知らなかったら、どうしてそれを与えられるんだ?

その上で、自分が楽しかった瞬間を与えようじゃないか。

自分という経験に基づいた快・不快を、他人だったらどう受容するか?を想像する。

だから創作活動は、自分が楽しくないとダメなんだ。

自分が楽しかった瞬間を想起して、他人がそういう気分を味わえる出来事を再現する。

それが芸術だ!!

悔しかったら、自分が日々自然とやっている事を誰もが納得する様に説明出来るまで、客観性を磨いてみろ!

どうやるのかなんて、教えねーよ!!

これは、俺のメシの種なんだからな!!

自分の食い扶持ぐらい、自分で稼げ!

働かざる者、食うべからず!

後は、君の決断だよ…。

じゃね!

この作品では、満たされない恋を描こう、と思ってました。

これまで、満たされるヤツばかり、書いてきたので。
心残りなのは、もっと子供のピュアな心を、描きたかったんですが…。
大人になってしまいました。

う〜ん、ぼくの心が、どれだけ汚れているか、証明してしまったような、ものです。

今作は、完全にぼくの趣味ですからね。

だから自信は、全然ありません。

 

それでは、さようなら👋。