顔を益々真っ赤にして怒る…、ダンツ。
「何を仰られるのですか、僧正さま…!!ゆ〜にコト欠いて、…まさかこのわしに女性と聖なる山アルクロドに登れとは。…ダオカーナに入門した時の、わしの誓言をお忘れですか!?」
アーシャだって負けてはいません…、釣り込まれてついカッとなってしまいます。
「僧正さま、私だってこんな偏屈な方はごめんです…!!"女性だから聖域には入ってはいけない"、…そんな考え時代錯誤だと思います」
…ネルムは、扇子を取り出し鷹揚にあおぎ始めました。
「ま、ま…、ゆいから。とにかく、お二人共お座んなさい…」
角の立たないネルムのゆい方に、…二人は勢いを削がれてつい従ってしまいます。
…「ゆいか、これはわしの考えだが。現在大切なのは…、一にも二にもアルクロド山頂の。神さまの像を修復するコトであろう、違うかな…?」
ダンツは、…渋々ですがうなずきました。
…「全く仰せの通りでございましょう、神さまの像さえ元に戻れば。その威光は地の彼方まで満ち…、僧達の悪夢もやむのですから。」
扇子を、ひらひらさせるネルム…。
「だから私は、…職人さん達と資材を積んだ車から成る。…工作隊を出発させたいのである、では何がその問題になるかなダンツよ?」
ダンツにはモチロン面白くはありませんが…、ネルムのゆい分は筋が通ってゆます。
「それは、当然聖なる山アルクロドに溢れる…。モンスター達の脅威です、…工作隊を出発させる。…そのお考えはまことに結構ですが、とても生きては辿り着けますまい」
ネルムは…、ニンマリと笑いました。
「で、あろ〜…?だからこその、…アーシャさまとぺぺさまなのだよ。…お二方に協力を要請し、工作隊を防衛していただければ。工作隊はアルクロド山頂に到着できる…、それとも"何か"の?お主ら僧達に、工作隊を守り切れるとでもゆ〜気かの…?」
悔し涙をこらえるダンツ、…しかし出来ないモノは出来ないのです。
…「残念ですが、不可能です。わしらにも武術の心得はありますが…、とても力及びませぬ」
ネルムは、扇子をピシャリと閉じました…。
「ダンツ、…お主にももはや依存はあるまいな。…アーシャさまぺぺさま、私から改めてお願い申す。このダンツと工作隊を…、アルクロド山頂までお届けしていただきたいのです」
慇懃に頭を下げるネルムに、アーシャは少し困ってしまいます…。
「そんな、…私こそカッとなってしまって。申し訳ありませんでした…。当然ですが、…お引き受け致します。…そ〜だ、僧正さま私からも一つお願いがあるのです」
ネルムは…、扇子を懐にしまいます。
「ありがとうございます、このダオカーナには…。モンスター達と渡り合って、…自分自身の身を守れるのは。…ダンツ一人だけなのです、そしてこのダオカーナもいつ闇の勢力に攻撃を受けるかわかりませんから。…、これ以上の手は割くのは難しいのですよ。ところで、アーシャさまの頼み事とあれば何なりと…」
アーシャは膝を揃えて正座し、…両手を着いて頭を下げました。
…「私が所持してゆる、伝説の装備三点セットを。このダオカーナ寺院に奉納していただきたいのです…、やはり神さまのみ元にお返ししよ〜と想うので」
ネルムは、嬉しそ〜に笑顔になります…。
「それはそれは、…素晴らしいお心がけです。…伝説の装備は、元々このダオカーナ寺院でお預かりしていたモノ。そ〜でしたか…、アーシャさまの手元でワレラ星人を退けたなら。伝説の装備にとっても、本望だったでしょう…」
ホッとするアーシャ、…伝説の装備をいつまでも。…自分のトコロに引き留めておくのは、不遜な気がしてゆたのでした。
「話は決まりましたな…、ではアーシャさまとぺぺさまは。出発の日まで、私の部屋をお使い下さい…。
ダンツも、…腹に据えたのか面をあげます。
…「それでは、僧正さまはどちらで休まれるのですか?」
既に…、立ちあがってゆるネルム。
「そりゃあ、僧房しかなかろう…。ずい分久し振りであるが、…キレイにしてあるかのう?」