「熟したカツオブシ号」は、…パウル島を離れ遥か洋上にありました。…その甲板には、聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナ。そしてパイプを吹かすベテラン船長と…、たくさんの船員さん達の姿があります。潮風を涼しそ〜に浴びる聖戦士クリムに、神官マルミが話しかけました…。
「クリムさん、…遂に最後の戦いが近づいてますね」
…船のへりに手をつく聖戦士クリムは、海を眺めたまま返事をします。
「そ〜だね長い旅だったよ〜なそ〜でもないよ〜な…、不思議な気持ちだよ」
魔女ケレナは、マストの支柱に寄っかかってゆました…。
「何ゆってんのクリム、…年寄りじゃないんだから。…アタシ達これからでしょ、花の咲くのは長いんだから」
指を一本立てる…、神官マルミ。
「それでも、私達のにゃん生で最も大きな戦いになるのは間違いないでしょ〜…。何しろ、…あの地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"と戦わなくてはならないんですから」
…振り返って拳を握り締めた聖戦士クリムは、悔しそ〜に語ります。
「それにまだ…、雷の悪魔ねこ"カミマル"がゆる。ぼくはカミマルと決着をつけなくちゃならない、あの時にぼくが倒していれば…」
フワ〜っとあくびをする、…魔女ケレナ。
…「そ〜だったね、クリムは一度カミマルに敗れてるんだっけ。でもさ…、現在なら楽勝なんじゃない?クリムも相当強くなってるし、アタシ達もいるし…。それに何より、…"おおトロの剣"もあるんだから」
…聖戦士クリムは、ニッコリ笑って力こぶを作りました。
「そ〜だよどんなに苦しくても…、みんなで力を合わせればきっと乗り越えられるさ!!」
ツられて、神官マルミも魔女ケレナもニッと笑います…。
夜、…聖戦士クリムは自分の船室でお酒を飲んでゆました。…銘柄は、「三毛」の本醸造。「三毛」は聖戦士クリムの生まれ故郷である…、キトランの村に蔵元があり。メルマク山のキレイな雪解け水から、醸造されているのです…。だからキトランの村の戦士ネコミミ達は、…誰もがみんな「三毛」を愛飲してゆるのでした。
…「ふぅ、やっぱり美味しい」
グイッと飲み干したおちょこを…、聖戦士クリムは机のうえにおきます。色々なコトが、思い出されました…。これまでの冒険、…どこか憎めない「うひょねこ団」。…キトランの村の戦士ネコミミ達、しかし何よりお母さんがしのばれたのです。
「お母さん元気かな…、心配なんかしてないとゆいケド」
聖戦士クリムは、ずっとお母さんにお手紙を送り続けていました…。港街メンムに長く滞在した時、…一度その返事を受け取ったのですが。
…「元気だから、心配しないで」
とだけ…、書かれていたのです。
「素っ気ないんだもん、お母さん…」
聖戦士クリムのお母さんは現在でこそ主婦ですが、…その昔は。…バトル・アックスを両手で振り回す、それはそれは勇猛果敢な戦士ネコミミでした。そんな聖戦士クリムのお母さんが…、クリムに教えたのは一つだけ。それはどんなコトも決して諦めてはならない、でした…。聖戦士クリムは自由奔放に育てられましたが、…クリムが「何か」投げ出しそ〜になると。…お母さんは烈火の如く怒り出し、決して許さなかったのです。
「そ〜だ…、どんな時も決して諦めちゃダメだ!ラルム、ぼくに力を貸して…」
その時、…トントントンとドアをノックする音が聞こえました。…聖戦士クリムがドアを開けると、そこには神官マルミと魔女ケレナが立っています。
「や〜ぱり…、1人で飲んでましたねクリムさん。食堂へゆきましょ〜よ、シェフが新鮮なおすしを握って下さってるんです…」
既に出来あがってる、…魔女ケレナ。
…「ちょっとクリム、アンタ付き合い悪くない?何さ1人でなんか飲んじゃって…、そんなシケたお酒のどこが美味しいのよ。ゆいからこっち来て、アタシの注いだお酒を飲みなさ〜い…」
聖戦士クリムは笑いながら、…神官マルミと魔女ケレナと一緒に食堂へ向かいました。