どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その60

「きみで最後だ、…やぁぁ〜!!」

…最後の一体の魔物、メイジちゃんねこを聖戦士クリムは「おおトロの剣」で退治します。

「さ〜よお〜なら〜…、やってらんな〜い」

メイジちゃんねこは、ねこ地獄へカッ飛んでいきました…。

「ふぅっ、…魔物達を片づけたらスッキリした」

…額の汗をぬぐって、魔女ケレナはさわやかに宣言します。

「出たトコ勝負でど〜なるかと想いましたが…、案外何とかなるモンですね」

神官マルミは手拭いを取り出し、「ねこの手も借りたいメイス」の汚れをふきとりました…。

「よぉ〜し、…このまま正面からゆっちゃうよ」

…やる気を出した聖戦士クリムの提案に、神官マルミと魔女ケレナもうなずきます。3人は城門を目指して…、城壁に沿って歩き出します。

「マルトム・クルメ城って、ずい分大きいんだね…」

歩きながら振り返った聖戦士クリムは、…つぶやきました。

…「元々マルトム・クルメ城は、イチバン最初の勇者。パリンによって建てられたと伝えられてゆます…、"ねこねこファンタージェン"を平和で安らかに治める為に」

神官マルミは、聖戦士クリムに説明します…。

「勇者パリンって、…聖戦士を超えた勇者なんでしょ。…何てゆったけ、聖慈英王?」

魔女ケレナの方に…、聖戦士クリムは向き直りました。

「ケレナ、勇者パリンって知ってるんだ…?」

魔女ケレナは、…慌てて両手を振ります。

…「そんなに詳しいワケじゃないケドね、それにしてもクリム。勇者パリンについて…、何も知らないの?」

聖戦士クリムに、説明を始める神官マルミ…。

「勇者パリンは、…勇者の中の勇者と呼ばれていて。…旧き古の時代、まだ"ねこねこファンタージェン"がゆるゆる混沌としてた頃。聖慈英王として君臨し…、秩序と繁栄をもたらしたのが勇者パリンです。今も残る"ねこねこファンタージェン"各地の歴史ある都市は、勇者パリンの都市計画に基づいて…。造営された街も、…少なくないんですよ」

…聖戦士クリムは、両腕を組んでうんうんうなずきました。

「そりゃあ…、偉い勇者だったんだねぇ」

髪をかきあげる、魔女ケレナ…。

「そして、…いつの頃からか女帝ゾフィネーヌが現れた」

…神官マルミは、魔女ケレナを見詰めます。

「女帝ゾフィネーヌについては…、やはり魔女ですからケレナさんが詳しいと想います」

お話がまるっ切りチンプンカンプンな、聖戦士クリム…。

「何々、…女帝ゾフィネーヌは何をしたの?」

…魔女ケレナは、嫌悪をあらわにしました。

「アイツは…、元々はアタシ達と同じ魔女ネコミミだったの。ど〜せ大した才能もなかったんでしょ、それで魔法の力を悪用して…。このマルトム・クルメ城に保管されてた、…"王者のメダル"を奪った。…"王者のメダル"は勇者パリンが身につけてゆたメダルで、持つモノにすさまじい知恵と力を与える。その力で地獄の破壊ねこ"メギムトゥの封印を解いて…、女帝なんて名乗ってるのさ」

魔女ケレナの言葉を補足する、神官マルミ…。

「そ〜なんです、…女帝ゾフィネーヌの女帝たるゆえんは。…実は聖慈英王の証、"王者のメダル"にあります。もしそれを女帝ゾフィネーヌから取り戻せたなら…、その時はクリムさんが次の聖慈英王に」

その時、鋭い声が響き渡ります…。

「よく来たね、…アンタ達!!…ゾフィネーヌさまの治めるこのマルトム・クルメ城で、おしゃべりなんてずい分余裕じゃないの。でも今にその顔が恐怖に引きつるコトになるよ…、ここがアンタ達の墓場になるんだから」

声の主は、雷の悪魔ねこ「カミマル」でした…。3人はいつの間にか、…城門の前までやって来てしまっていたのです。

…「カミマル、あの時の借りは今こそ返すよ!」

聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナは…、それぞれの武器を構えて雷の悪魔ねこ「カミマル」に対峙しました。