どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その48

「大いなる海へ」のテーマ…

Mushi Mushi/Marcos Valle

https://youtu.be/ltGqcBlksxE

 

「いってらっしゃ〜いクリムさん…、応援してますがんばって下さい!!」

「熟したカツオブシ号」は、港街メンムの港をゆっくりと離れました…。埠頭に立った学生ラルムは、…離れてゆく「熟したカツオブシ号」に手を振ります。

…「ありがとーラルム、お手紙するからいって来るね」

戦士クリムは…、「熟したカツオブシ号」の甲板から手を振り返しました。

「ではクリム殿本船はこれより、パウル島に向かって進路を取りますぞ…!」

イヌミミのベテラン船長は、…パイプを吹かしながら戦士クリムに声をかけます。

…「パウル島に向かう、直接"魔の島"に向かうんじゃないの?」

甲板のへりによっかかりながら…、魔女ケレナは戦士クリムに質問しました。

パウル島は、私達神官にとっては聖地です…。私は神官になった時以来、…訪れてはいませんが。…ねこ女神"オー・ラロル"さまを祀る神殿をまとめる、中央神殿があって。大巫女サレムさまが…、治めてらっしゃるんです」

神官マルミは、舵の近くの階段に腰を下ろしています…。

「ぼくは、…ラルムから教えてもらったんだ。…女帝ゾフィネーヌは、地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"の力を操っている。だから…、女帝ゾフィネーヌを倒すには"メギムトゥ"も倒さなくちゃならない」

ゲンコツを、ギュッと握り締める戦士クリム…。

「その為には、…歴代の勇者ネコミミの勇気に鍛えられた。…伝説の聖にゃる剣、"おおトロの剣"を使いこなせるよ〜にならないと」

神官マルミは…、驚いて思わず立ちあがりました。

「まさかクリムさん、"聖戦士"を目指すおつもりですか…?」

静かにうなずく戦士クリムに、…魔女ケレナは気楽に言葉を接ぎます。

…「"聖戦士って、何かタイヘンらしいじゃない?やめとけば…、疲れるよ」

神官マルミも口調こそ深刻ですが、魔女ケレナと同じ意見のよ〜でした…。

「タイヘンなんてモノじゃありません、…"聖戦士"はただ強いだけではダメなんです!!…自らの悪に打ち克ちみんなの心を安らかにする、そんな内面的な強さが必要なんですから」

頭のうしろで…、両手を組む魔女ケレナ。

「ほら、やっぱり…。別にさ、…女帝ゾフィネーヌとか地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"なんて倒さなくてい〜じゃない?…何てゆったっけ、クリムは友達の巫女さんを助け出せれば充分なんでしょ」

戦士クリムは…、真っ直ぐ前を見詰めます。

「ぼくも最初はそ〜思ってた、サヘラは友達だからぼくが助けるんだって…。でもこの旅を続けるウチに気がついたんだ、…色んなトコロでみんなが困ってるって。…それは、女帝ゾフィネーヌと地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"の支配が原因なんだ。誰かが倒さなきゃ…、この苦しみには終わりがない。だったら、ぼくががんばろ〜と想ったんだ…!」

戦士クリムのあまりに力強い言葉に、…神官マルミと魔女ケレナは思わず顔を見合わせました。…それから戦士クリムが自分の船室に戻ってしまうと、神官マルミと魔女ケレナは2人で話を続けます。

「何だかクリムさん人が変わってしまったみたいですね…、急に頼もしくなってしまって」

楽しそ〜にニヤニヤする、魔女ケレナ…。

「そりゃあラルムとの間に、…ゆいコトあったんでしょ!!…もしかしたら、も〜誓いのキスを済ませちゃったりしたとか」

神官マルミは…、思わず首を左右にブルブル振りました。

「そんなクリムさん奥ゆかしいですから、先ずは文通からでも…」

腕を組んだ魔女ケレナは、…得意そ〜に語ります。

…「わかってないなぁ、マルミは!あ〜ゆう奥ゆかしそ〜なネコミミに限って…、いざとなったらダイタンなんだから」

神官マルミと魔女ケレナは、いつまでも楽しくおしゃべりを続けました…。