「ど〜も〜、…おはようございます」
…時刻は朝8:10、勤務は8:30からだが。良太は既に着替えを済ませ…、グループ・ホーム「幸楽苑」の職員用喫煙所で。出勤してくる他の職員にあいさつしながら、「セブン・スター」を吹かしてゆる…。煙草が燃え尽きたら、…さぁお仕事だ。
…「村田さんおはよ〜ございます、川村さんもおはよ〜ございます。今日の朝ごはんは…、いかがですか?」
夜勤の介護士に介助されながら、川村さんは「うん、おいしいよ」と返事をする…。さすがに全員とはいかないが、…大抵の入居者さんに良太はあいさつし。…すでに食事の終わってるトレーを、下膳し始めた。
「おはよ〜良太くん…、先ず下膳からあっも〜やってるか」
食堂に姿を現す、近藤副主任…。
「近藤副主任、…飯島さんとおトイレゆきます」
…良太は、飯島さんの車イスを押しておトイレへ向かう。
「すぐいくから…、ちょっと待って」
配膳カートへ、空のトレーを近藤副主任は運んでゆた…。
「ごめんなさい、…あたしおしっこ出ちゃいそ〜」
…おトイレへ入ると、飯島さんは良太へ訴える。「しようがない」と覚悟を決めると…、体を密着させ飯島さんを立ちあがらせる良太。
「これからズボンを下ろすので、ちょっと待って下さい…」
飯島さんに便座の脇に取りつけてある、…介助バーに掴まってもらい。…その間に、飯島さんのズボンとリハビリ・パンツを下ろした。
「ごめん遅くなった…、やっぱりも〜一人で出来るね」
トイレのドアが開いて、近藤副主任が顔を覗かせる…。
「さぁいきますよ、…それっ」
…良太は飯島さんの腰に手を添えると、体を回転してもらいゆっくり便座に座っていただいた。
「おトイレ済んだら…、そこのボタンを押して下さい」
特別養護老人ホームのよ〜に、大きくておトイレがいくつもある施設だと…。一人の入居者さんが排泄を済ませてる間に、…別な入居者さんを。…他のおトイレに誘導したりするのだが、「幸楽苑」はおトイレ二つしかないのでそこまで目まぐるしくはない。
「申し訳ないです近藤副主任…、飯島さんが我慢出来ないと仰るので」
うんうんうなずく、近藤副主任…。
「いや逆によかったんじゃないかな、…ぼくもも〜そろそろ。…良太くん一人立ちだと考えてたんだ、さっきのおトイレへの。移乗も安定してたし…、よし一人でやってみよ〜か?」
そ〜ゆうと、近藤副主任は良太を離れ下膳を始めた…。素直に嬉しい、…良太である。…すると近藤副主任のP.H.S.に、飯島さんの入ってるおトイレからコールが入った。良太は近藤副主任に声をかけ…、おトイレへ入る。
「お待たせしました、も〜お済みになりましたか…?」
うなずく飯島さんに、…また腰と肩を支え立ちあがってもらった。…今度は車イスのひじかけに掴まり立ちしてる間に、尿取りパッドがズレないよ〜。リハビリ・パンツをあげズボンもあげる。
「今度は車イスに移りますから…、せ〜の」
腰を支える良太に体重を預けながら、飯島さんは体を回転させうまく車イスに座った…。良太が車イスを押して、…飯島さんとおトイレから出ると。…他の介護士が、別な入居者さんを連れて待っている。