再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その74

グループ・ホーム「幸楽苑」で…、良太が始めた体操は。3ヶ月経った現在、それなりに順調であった…。認知症のそれ程進行してゆない入居者さんを中心に、…「体にゆいし気分も晴れるから続けて欲しい」とリクエストがあり。…良太は、勝美からプリント・アウトしてもらった用紙を。ファイルに挟んで生活記録などの…、他の書類と一緒にしまい。誰でも見られるよ〜にしたので、今では施設としての業務として定着している…。

さて体操を成功させた良太は、…そろそろ「何か」新しい企画にチャレンジしよ〜と。…意気込んで、また勝美のアパートでインターネットを用いレクリエーションについて検索した。それはそれなりに成果はあったが…、本格的にレクリエーションを定期的に行うには。やはり書籍がひつようになるな、と良太は痛感して改めて新宿の紀伊國屋書店さんを訪ねよ〜と心に決めた…。

そんなコトを考えながら、…またせっかく大宮まで来たのだから。…帰り道Disk Unionに立ち寄って、Jazzレコードをチェックする良太である。そしてレジに向かお〜とすると…、途中で咲華を見かけたので声をかけた。良太があげたJazzのカセット・テープがよかったとか何とか、世間話を二、三すると咲華はこんなコトを口にする…。

「お願いがあるんです、…良太さん」

…「あぁきっとJazzが気に入ってもっと聴きたくなったんだな」、と良太は考え快諾した。その予想は大きくゆえば間違ってはいなかったが…、咲華の言葉は良太の想像とは異なっている。

「春日部に"Marble"って、Jazzバーがあるらしいんです…。でも一人でゆくのは怖いから、…良太さん着いて来てくれませんか?」

…快諾してしまった手前断るワケにもいかず、仕方なく連絡先を交換した。それからしばらく…、良太は咲華を主にメールでやり取りする運びとなる。何度かやり取りするウチに、咲華はまだ18歳でとある国立大学の一年生であるとか…。実家は岩手でも、…有数の資産家の一人娘であるなどがわかって来た。

…それから何ヶ月か経ち、い〜加減に良太も断り切れず。春日部で待ち合わせて…、Jazzバー「Marble」に連れてゆく。

「いらっしゃいませ、良太さんいつもありがと〜ございます…。今日はかつ、…いえ失礼しました」

…マスターにテーブル席をお願いし、咲華と二人向かい合わせに腰かけた。咲華もそれでゆいとゆ〜ので…、取り敢えず生ビールを二杯注文する。やがてJazzの生演奏も始まり、店内は熱気に包まれた…。自然みんなお酒が進むが、…良太は最初の生ビールを初めてお酒を飲むよ〜にちびちび粘る。…一方咲華は生ビールをあっさり飲み干すと、あとは良太が頼も〜と想ったコトすらない。ビンテージのワインのボトルを開けて…、自分もコクコク飲み。良太にも、仕切りに飲むよ〜進めた…。

「心配しないで下さい私が持ちますから、…良太さんはここに連れて来て下さっただけで充分です」

…そして咲華は、少しずつ自分の話を始めた。渋谷系に憧れて…、東京まで出て来たけれど。東京には文化がない、やたらと大きなショッピング・センターが雑多に並んでるだけで…。全然歴史に裏づけられてないから、…私は岩手の方がずっとおシャレだと想うと。

Jazzの生演奏が終わると、…咲華は良太に。…自分は大学を卒業したら、岩手に戻る。そして家業を継ぐのだが…、その為には誰かにおむこさんとして御堂家に入ってもらわねばならないなどを話す。良太は咲華の意図が理解出来ず、何故そんなお話をおれにするのか?と考えながらも黙っていた…。そんなコトより、…良太は早くおウチに帰りたいのである。…もし咲華との関係が勝美にバレたらと思うと、気が気ではなくこの何ヶ月Jazzもろくすっぽ耳に入らなかった。すると咲華は…、「失礼します」と席を立つ。それがおトイレであるのは、さしもの良太でも察した…。安堵する良太、…「よしこれをチャンスにも〜帰ろ〜」…その時、良太の携帯電話がメールを着信する。良太は…、いなづまに打たれたよ〜にドキッとした。慌てて携帯電話を取り出すと、勝美からではなく咲華からである…。ホッと一息吐く良太の目に、…こんなメールの文言が目に入った。

…「良太さんに恋人がいらっしゃるのは知ってます、だから一度だけ私を抱いて下さい」