2015-01-01から1年間の記事一覧

すばらしい日々(Grunge Spirits) 4

ゼロムはある日、押入れを整頓していた。 要るのか要らないのか、わからない物がゴチャゴチャと出て来て…。 人の持ち物なのだし、とやかく言う事ではないのだが、余りにも酷いよなとは考えた。 その中に、皮のケースに包まれた、一本のギターがあった。 ネッ…

すばらしい日々(Grunge Spirits) 3

ゼロムは、あちこちに散歩した。オレンジのTOMOSはもちろんあったが、空気がきれいだった所為だろうか、体を動かしてみたいという衝動を感じたし、何より自分の脚でどこまで行けるのかを試してみたかった。ゼロムは、山脈に沿って走る県道を、ずっと歩いて行…

すばらしい日々(Grunge Spirits) 2

ゼロムは一週間程かけて、別荘の掃除をした。ガスを開栓したり、布団を陽に当てたり、日々はすぐに過ぎてしまう。…それらの事を、全て自力で為したわけではない。彼から頼んだ事は、何もなかった。ゼロムはシャイだったし、人見知りだったから。この藤沢村の…

すばらしい日々(Grunge Spirits) 1

「すばやくなりたい」 ユニコーン https://youtu.be/fHI4BjO-k1w ゼロムは17才の夏休みに、長野に旅に出る事にした。 ゼロムには、若干ではあるが鬱病の気があり、学校にあまり通っていなかった。 母コラクは、そんなゼロムを心配して、知り合いの別荘への旅…

力を抱きし女性

オープニング… 「And so it goes」 Jet Black Crayon https://youtu.be/zkh8gNTScGY 随分、古い話である。 エレナは、抗いし巫女と呼ばれる以前は、ギリシャでパラス・アテナと呼ばれていた。 エレナはある夜、ダビデ王の元を訪れていた。 彼女は率直に、ダ…

帰ってきた男達 まとめ

「Do it all the time」I Don't Know How But They Found Me https://youtu.be/hXzPxBhhmY8 申し訳ありませんでした。 力尽きてしまい…、物語を書ききれませんでした。 構想は存在しているので、ここに粗筋として掲載させてもらい、続編の代わりとさせて頂き…

帰ってきた男達 18

赤き竜は、天女の屍肉に頭からかぶりつき、骨ごと噛み砕いて飲み込みました。赤き竜「うむ…、いい味だ。天使程ではないが…。地獄の亡者共は、ロクな味がせんからな。久しぶりに、楽しめたぞ。」浦島太郎は、自分の策が上手くいったと、考えました。浦島太郎…

帰ってきた男達 17

赤き竜は、頭を低くして身構え、今にも飛びかかってきそうな様子でした。赤き竜「グルル…、グワァー!」赤き竜の猛き唸り声をものともせず、金時は口を開きました。金時「赤き竜よ、勝敗はもはや決した…。抗っても、お前は滅びるだけだ。」赤き竜は、一際激…

帰ってきた男達 16

浦島太郎は、バカにした様に大声で叫びました。浦島太郎「おい桃太郎、何をやってるんだ?わざわざ秘められた胎まで、戦を見物しに来たのかい!さては、その今生丸とかいう刀は、ただのハッタリだな。」桃太郎は、うつむいて怒りに身を震わせました。桃太郎…

帰ってきた男達 15

赤き竜は、まるで大地震で裂けていく大地の様に、口を開いて、金時を飲み込もうとしました。金時「芸がないな…。まるで、ワン・パターンだ。」金時は、退がりながら弓をつがえ、立て続けに三回、矢を放ちました。赤き竜「グワォォー!」金時の放った矢は、狙…

帰ってきた男達 14

空飛ぶ牛車は、地の果てにある、悪魔達が「秘められた胎」と呼ぶ、地の裂け目の上空に来ていました。 裂け目の内側からは、地を揺るがす唸り声が、響いています。 桃太郎は、呟きました。 桃太郎「すごい声だなあ…。もうずっと、聞こえているぞ。」 浦島太郎…

帰ってきた男達 13

浦島太郎は、ウキウキしながら話を続けました。浦島太郎「赤き竜は、天国の連中と潰しあってもらう!どうだい、楽しみじゃないか?」金時達三人は、呆気に取られました。浦島太郎「わからないかな?天国には先ず、コノンがいる。コノン・ケルビム。」コノン…

帰ってきた男達 12

雛鳥の間を出た金時を、金時の倍ほどもある、豪華な甲冑に身を固めた大男が、すぐに呼び止めました。大男「金時殿!よろしく頼みます。拙者、貴殿の指揮下に入る、海鳴将軍でござる!力を尽くし貴君の為、ひいては我等連合軍の勝利の為に、戦いますぞ。」金…

帰ってきた男達 11

浦島太郎は、口を開きました。浦島太郎「金時くん、早速だが何して遊ぶ?私はね、最近スーパーファミコン、というマシンに凝ってるんだ。こいつは、スゴイぞ。何でも、出来る!こいつを使って、桃太郎電鉄をやろうか?それとも、いただきストリートがいいか…

帰ってきた男達 10

坂田金時は桃太郎を伴って、天神様の治める鳳の城に来ていました。今度の大戦の為の、作戦会議が開かれていたからです。作戦会議室として用意された、雛鳥の間には円卓が設えられ、ルシファーを中心に、左右に天神様と竜神様、そしてルシファーの真向かいに…

寸劇 節分(桃太郎)

「Switch」 chelmico https://youtu.be/A72O_EUDYh8 ついでなので、こっちもアップしときます。 先日の、節分のイベントで使った、台本です。 寸劇の合間に、豆撒きが入り…、という構成になってます。 桃太郎登場桃太郎「ぼくは、桃太郎!鬼ヶ島から逃げた鬼…

寸劇 金太郎 後編

シーン3 さくらんぼ狩り 金太郎、元気に登場する。 金太郎「おっかさん!おいら山のみんなと、おっかさんの大好きなさくらんぼ狩りに行ってくるよ。熟れたさくらんぼを、たらふく食わしてやるかんな!」 お母さん、頷いて。 お母さん「ありがとう、金太郎。…

寸劇 金太郎 前編

申し訳ないです。物語の更新が、途絶えてしまっていて…。施設のレクで寸劇をやる事になって、金太郎をノーアレンジで、台本にしました。基本みんな、認知症が入ってますからね。作家性ゼロなので面白くはありませんが、記念にアップしたいと思います。司会進…

コノンによる福音書

「Jacarico(Taste of saRaDa)」 JaccaPoP https://youtu.be/lQNXDRC7Ip8 ⚪︎神の存在証明 おたくが望んでるのは、…わかりやすさと味付けの濃さだよ。 そしてその二つこそが、アートとエンターティメントを殺す…! もしアートが死んじゃったら…、ぼくらはど〜…

帰ってきた男達 9

金時は、湯から上がると、火照った体を冷やす為、庭で涼んでいました。 大きく息を吸い込むと、誰にともなく、呟いたのです。 金時「田舎は、空気がいい…。足柄山も、同じ事だ。」 そこにおじいさんが、キセル片手に、タバコ盆を下げて、歩いてきました。 お…

帰ってきた男達 8

坂田金時は、桃太郎の家を訪れていました。金時、おじいさんと桃太郎の三人は、囲炉裏を囲んで座っています。おじいさん「ふむ…。金時殿、お主の話はようわかった。これからの大戦への備えとして、桃太郎を副官に欲しい…。まあ、そういうことじゃな。」金時…

帰ってきた男達 7

再治鬼は、一振りの太刀を携えて、金太郎の前に姿を現しました。その太刀を、金太郎の前に突き出しながら、再治鬼は言いました。再治鬼「名は、白鏡…。わしの、最高傑作じゃ。」金時は受け取ると、スラリと刀身を抜き放ち、光にかざしました。白鏡は陽の光を…

帰ってきた男達 6

坂田金時は海の上で、亀吉の背に揺られていました。金時「亀吉よ、随分気持ちよさそうだな。お前、海は好きか?」亀吉は、ニコニコしながら答えました。亀吉「はい〜。大〜好きで、ご〜ざいま〜す。私〜は海にい〜ると、心がウキ〜ウキするん〜です。」金時…

帰ってきた男達 5

竜は、ものすごい勢いで、コノンに向かって、炎を吹きかけました。 コノンは、人間とは思えない跳躍力で、竜を飛び越え、その背後に着地します。 コノン「お前は、もう逃げられない。覚悟しろ!」 コノンは、竜を飛び越える際に、片方の翼を、剣で斬り落とし…

帰ってきた男達 4

こうしてコノンは、港で働きました。いつしか、重たくて持ち上げるのに困難な物、取り扱いに慎重を要する物は、自然とコノンが受け持つように、なっていったのです。勿論コノンは、文句一つ言いません。寧ろそれが、嬉しかったのかもしれませんが、コノンは…

帰ってきた男達 3

次の日からコノンは、港で働き始めました。港には早速、大きな船が入って来ます。船の中は、積荷でいっぱいです。船が桟橋につくと、すぐにタラップが掛けられ、コノン達は走って、船に乗り込みました。船の船長は、コノン達を怒鳴りつけました。船長「お前…

帰って来た男達 2

ある若い男がイングランドの、小さな港町を訪れました。時刻は、夕方。男は、決して清潔とは言えそうにない、一軒のパブに入って行きました。男「何でもいい。ビールをくれ。」男の前に、バスのペールエールが出てきました。男は、喉が渇いていたのか、ゴク…

アリとキリギリス

更新に間が空いてしまったので、小話を挟みたいと、思います。 昔々あるところに、キリギリスがいました。 名前を、キリギ・リス安と言います。 季節は、夏でした。 リス安は、昼も夜も、寝る間を惜しんで、ヴァイオリンの練習に取り組んでいました。 それと…

帰ってきた男達 1

オープニング・テーマ… 「Symphony No.3」 W.Furtwangler/J.Keilberth https://youtu.be/418boMRww8k あるところに、双子の赤ん坊がいました。 赤ん坊は一つの揺りかごに、並んですやすや寝ていました。 母親は、そのすぐ脇でうたたねしていました。 すると…

聖書・ルカ伝 6

ルカは、夜の公園のベンチに、一人寂しく座っていました。 手には、そこの自販機で買った、オランジーナが握られています。 ルカは、ちっとも面白くなかったのです。 コピンの事が。 何とかして言いくるめてやりたくて、必死に知恵を巡らしました。 ルカ「あ…