アーシャ南の大陸に舞う その6

アーシャとぺぺは、ホレロに案内され港街ベリートを出て南に向かいます…。途中一晩野営し…、再び歩き続け現在は大きな森の中。…ホレロはらくだを引きながら、アーシャとぺぺを振り返りました。

「この森も、…も〜すぐだよ。その先には、タマラン村がある…。そこで…、少し休ませてもらおう」

…三人がしばらく歩くと、やがて森が切れそこには。

「うわぁ、…すご〜い!!」

「プイプイ…!」

田園風景が…、見渡す限り広がってゆます。…田んぼの中には、重そ〜に垂れるたわわに実った穂がいくつも。そして、…赤とんぼがそこら中を舞ってゆました。

「ホレロさん、これは何てゆ〜作物なんですか…?」

ホレロの帽子に…、赤とんぼが止まります。

…「アーシャ、これはね"イネ"だよ。垂れ下がった穂先についてゆる実の一つ一つが、…お米になるんだ。もちもちふっくらして、とても美味しいから…。タマラン村で…、食べさせてもらおうか?」

…その時アーシャの目に、田んぼに面した道を。向こうから、…牛を引いて歩いて来る男が見えました。

「きっと、実った"イネ"を刈り入れに来たんだろう…。でも…、それにしては元気が無いな」

…ホレロが口にするより早く、アーシャは牛を引く男に話しかけてゆます。

「お元気が無いよ〜に、…お見受け致しますが。もし私でお力になれるなら、何でもゆいつけで下さい…」

牛を引いた男は…、プイッとそっぽを向きました。

…「ダメだダメだ、おめぇさんみたいな。ひよわな女子じゃ、…こればっかりは手も足もでねぇよ!!兵士さん達が大勢、軍団ぐらいいねぇと…」

腰にさした剣を示しながら…、アーシャは牛を引いた男に名乗ります。

…「私は、エスタハーンのアーシャ。僭越ながら、…伝説の勇者と呼ばれてる者です」

牛を引いた男は、笑いをこらえませんでした…。

「笑かすでねぇ…、こ〜んなべっぴんな女子が伝説の勇者だってのかい!?…それなら、オラのがなんぼか強いだよ」

アーシャは、…正直ゆってカチンと来ます。

「じゃあオジさん、その手にしている杖で私を打ってみて下さい…。私は…、素手でお相手しますから」

…牛を引いた男も、ナめられたと思ったのでしょう。ムッとした様子で、…持ってる杖を振り上げました。

「そこまでゆ〜なら、オラ今むしゃくしゃしてるだ…。この杖で…、その可愛らしいツラをちょいと引っ叩かせてもらうだよ!!」

…そ〜ゆうと、牛を引いた男は力任せに杖を叩きつけます。

「アーシャ、…危ない!」

ホレロは、思わず声を出しました…。しかし…、アーシャは片手で二の腕の外側骨の硬いトコロを杖にぶつけると。…そのまま、杖を持つ腕にするすると絡みつき。すぐさま、…牛を引いた男を組み伏せてしまいます。

「まいった、降参だべ…」

アーシャはすぐに体を引き離し…、牛を引いた男を自由にしてあげました。

…「あんれまぁ、何て力の強い女子だ!!これなら、…もしかいしたらオラの村を救ってくれるかもわからんな!」

アーシャは、…にっこり笑うと頭を下げます。

「ごめんなさい痛くなかったですか、力ではないんです体術で…」