再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その19

「夏もも〜終わっちまうから、…それまでには何とか」

…八月もお盆を周り、季節は「残暑」とゆわれる頃である。良太と勝美は…、夏の始まりに付き合い出し。毎週末には、必ずデートを繰り返してゆた…。だが、…いくトコロとゆえば。…いつも、大宮、春日部、良太のおウチで代わり映えがしない。勝美は…、それに不満をもらしたりしなかったが。良太としては、夏が終わるまでに…。二人の間に、…何かしら「一大イベント」を用意したかったのだ。

…「ナンジャ・タウンゆいなぁ、でもお金無いし」

そしてすがるよ〜な気持ちで…、良太がめくっているのは東京ウォーカーである。東京ウォーカーには、さまざまなイベントやデート・スポットが紹介されてゆた…。

「こんなんデート出来たら、…とはいえ車も運転出来ないんだよ」

…実際、お金がかかって困るのは良太だけではない。勝美もバイトしてゆないから…、遠出するよ〜な余裕のあるハズもない。さらにゆえば、車も無いから公共交通機関の利用出来る場所に限られた…。

「おっこれなんかど〜だ、…その手があったか花火大会」

東京ウォーカーは、何ページか割いて「花火特集を組んでいる。良太は…、考えた。もっとお互いのおウチから近い、花火大会だっていくらでもあるのだ…。それを敢えて華やかな東京まで出てゆって、…鑑賞してこそ「夏の一大イベント」とゆえるんじゃないか?と。

…その日の夕方、いつものよ〜に走り込みと筋トレを済ませ。夕ごはんを食べてから…、勝美さんのおウチに電話をかけた。

「もしもし鈴代です、あぁ良太さんいつもお世話になってます…。今、…勝美に接ぎますから」

…保留音が流れ、「もしもし」と勝美が電話に出る。

「もしもし勝美さん…、おれだよ良太」

「こんばんは良太くん」、と丁寧にご挨拶する勝美…。

「ど〜したんです、…"何か"ご用事ですか?」

…少しハスキーな、勝美の声を良太は可愛いと想った。

「来週の次の土曜日さぁ…、つまり再来週ね。東京の荒川河川敷まで、花火大会にゆかない…?いや埼京線だからそんな遠くないんだ、…浮間舟渡って駅なんだけど」

…良太は受話器越しに、「どこで開催されるのか?」を説明する。

「再来週大丈夫です…、楽しみにしてますから」

電話を切ると、良太はさっさと寝ちまおうと…。お風呂に入った、…この企画は勝美の心に届くだろ〜か?…話した感じフツーだったケド、まぁまんがじゃないから。そんなわかりやすくリアクションしないか…、などなど少々頭を悩ませる。

それから、二週間後…。間に、…一度デートを挟み。…花火大会の開催される、土曜日がやって来た。浮間舟渡駅埼京線なので…、大宮駅で待ち合わせる。お昼はそれぞれ済ませ。待ち合わせの時刻、午後2:30…。良太が先に着き勝美を待っていると、…そこに現れた勝美は。

…「良太くん、こんにちは」

何と…、浴衣姿である。

「お母さんに着つけてもらいました、せっかくの花火大会だから…」

勝美の浴衣は、…藍色の生地に。大輪のぼたんの花と葉とくきがあしらわれてゆた。

…「すっごい可愛いよ、勝美さんすっごい」

自分のお粗末な語彙が…、悲しくなる良太だったが。嬉しさは抑えきれず、思わずバカみたいなゆい方をしてしまう…。

「これお母さんから譲ってもらったんです、…お母さんが若い頃着てたのを」

…そ〜ゆうと、勝美は恥ずかしそ〜に笑った。そんな勝美に…、良太の頭の中でこんなセリフが浮かぶ。

「花火より、君の方が美しいよ…」

良太は、…いざ花火が始まっても。…そんなん口が裂けたって、ゆえっこないとわかっていた。それでも…、こんなにも可愛らしい勝美が。自分を恋人として選んでくれたコトが、何よりも誇らしい気持ちである…。