「良太くん、…私ジェット・コースターとか。…ビュンビュン速いアトラクションが好きなんです、それもなるべく速いのが」
何かの折りに触れて…、勝美はこ〜良太に話したコトがある。それを憶えてゆた良太は、東京ウォーカーの遊園地特集号を…。買って取って置いたのだ、…今度のデートは遊園地にしよ〜と考えている。
…「スピードの出るジェット・コースターっちゅうと、やっぱり"富士急ハイランド"なんだな。とはゆえ…、ちょっと山梨県まではゆけないし」
デートで遊園地といえば、やっぱり東京ディズニー・ランドなのだろ〜が…。あまりスピードの出る、…アトラクションには恵まれてないし。…何よりあの人出では、正直良太としてはご遠慮申しでたかった。
「あっとしまえん…、なつかしい」
としまえんなら、そ〜ゆったアトラクションもそれなりにありそ〜だし…。場所としても、…練馬区なら遊びにいくのにちょ〜どゆい。
…「私も久し振りですとしまえん、子供の頃両親に何度か連れて来てもらいました」
さてそんなワケで…、デート当日のとしまえんであった。この頃のとしまえんは、すっかりさびれてしまっていて…。往時の華やかさは既になく、…ハッキリゆって人もまばらである。…でもそれが逆にラクでゆいね、と話しながら良太と勝美は園内を散策した。
「何乗ろっか…、勝美さんゴー・カートとかかなぁ?」
パンフレットを手に、勝美に提案する良太…。良太としては、…先ず軽めので、体を慣らすつもりである。
…「私は断然これ乗りたいですね、シャトル・ループ」
ところが勝美がご指名したのは…、としまえんで一、二を争うハードなアトラクションだ。さらにゆえば、「良太はお客さん少ないからラク」と…。のんきに構えていたが。それは、…完全に裏目に出る結果となる。
…「お客さま、こちらになります。今回は…、こちらのグループまでになります」
お客さんが少ないから、待ち時間が無いのだ…。これがのちに、…良太に悲劇をもたらす。…案内員の指導を受け、安全ベルト等を正しく装着すると。アナウンスが流れ…、アトラクションがスタートした。
「きゃ〜…、楽しい〜」
シャトル・ループは始まると、一気に加速し…。宙返りすると、…そのままタワーを駆けのぼる。…すると今度は、後ろ向きに走り出し反対にあるタワーを逆向きにのぼるのだ。そしてそのまま…、正面から降りて来てスタート地点に戻る。乗ってゆる時間こそ短いが、内容は非常に濃いとゆえるだろ〜…。シャトル・ループから降りて、…ホッと一息吐いてる良太に。…勝美は、こ〜ゆう。
「も〜一度乗りませんか…、良太くん?」
これである、繰り返しになるが待ち時間が無いのだ…。だから、…体も気もやすめるヒマがない。…そしてそのうえ、勝美は良太と一緒に。都合三度…、連続してシャトル・ループに乗った。
「ごめん勝美さん、ちょっとやすまして…」
朝ごはんの目玉焼きが、…おウチに帰って来そうになるのを感じた。…良太は、急きょその辺のベンチで横になる。うんうん唸ってる良太に…、勝美はにこにこしながら声をかけた。
「元気になったら、またシャトル・ループ乗りましょ〜ね良太くん…?」
良太は、…もうろうとしながらこ〜想う。
…「勝美さんは、何て三半規管の丈夫な娘なんだろ〜」と。