どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その40

戦士クリムは…、「ねこの通り道亭」に一人歩いて帰ります。自分の部屋に戻ると、ベッドに仰向けになって天井を見詰めました…。無邪気に感動して自分をホめてくれる、…学生ラルムの姿がボウっと浮かんでは消えてゆきます。

…「別にぼくは、勇者になりたいワケじゃないんだ」

素敵なおよめさん…、一瞬そんな言葉が脳裏をよぎりました。壁に向かって、戦士クリムは体を転がします…。ど〜してだろ〜、…何も悲しくないのに胸が締めつけられる。

…やがて、夕ごはんの時間になりました。今日の夕ごはんは、「ねこの通り道亭」女将の手作り煮込みハンバーグです。アルミ・ホイルの中でグツグツ煮える煮込みハンバーグに…、神官マルミも魔女ケレナも満足そ〜でした。

「ごはん美味しいと、旅は愉しいですよね…」

「ホ〜ント、…ここはゆい宿だわ」

…ナイフとフォークを手にして、二人は早速食べ始めます。

「あっ…、美味しい!!」

しかし戦士クリムは、一応アルミ・ホイルは開いたモノの…。煮込みハンバーグのうえに乗る、…しめじをフォークでつつくだけでした。

…「ど〜したんですクリムさん美味しいですよ、それともおなかでも痛いんですか?」

「アタシわかった…、おひるいっぱい食べたんでしょ?どっかに、美味しいお店でも見つけて…」

神官マルミの心配も魔女ケレナの冗談も、…現在の戦士クリムには現実にはなりません。

…「ごちそ〜さま」

戦士クリムは…、席を立ちます。

「クリムさん、本当に調子が悪いんじゃ…」

「ど〜したのよクリム、…こんなに美味しいのに」

…二人は驚いて目を見張りましたが、戦士クリムは部屋に戻ってしまいました。

部屋でボンヤリしている…、戦士クリム。すると、誰かが部屋をノックします…。それでも、…戦士クリムは黙ってゆました。ど〜返事をしたらゆいのか、わからなかったからです…。やがて、…ドアは開きました。

…「ほら、やっぱりいるじゃない。クリム、アタシ達これから飲みにゆこ〜って相談してたの。まぐろカツの美味しいお店見つけちゃって…、飲んでウさを晴そ」

「いきましょ〜よ、クリムさん…。ケレナさんのお話だと本当に美味しいらしくて、…たまの休日なんですから」

…ドアを開けたのは、魔女ケレナと神官マルミです。うつむいたまま…、戦士クリムは小声で返事をしました。

「い〜よ、ぼくは…」

ど〜もただゴトではない、…と神官マルミは察します。

…「クリムさんど〜なさったんです、全然元気がないじゃないですか?今朝はなんでもなさそ〜だったのに…、ツラいコトは一人で抱えると押しつぶされちゃいますから」

戦士クリムは、顔をあげません…。

「ぼくにも、…わからないんだ」

…ど〜声をかけたモノか、神官マルミも迷いました。

「アタシ…、わかっちゃった!」

突然大きな声をあげる、魔女ケレナ…。

「ズバリ恋でしょ、…クリム」

…戦士クリムは、ビクッと身を震わせます。意外な思いつきに…、神官マルミはキョトンとしてゆました。

「えっそんな、そ〜なんですかクリムさん…?」

頭のうしろで腕を組んだ魔女ケレナは、…してやったりとゆ〜表情です。

…「そ〜に決まってるじゃ〜ん、さぁさぁクリム白状しなさい」

神官マルミと魔女ケレナに迫られて…、戦士クリムも遂に決心しました。

「うん、そ〜かも知れない…。でも、…自分でもわからなくて」

…神官マルミと魔女ケレナは、顔を見合わせるとニヤッととします。