学生ラルムはペンとメモを取り出すと、勢い込んで戦士クリムに質問します…。
「クリムさん…、クリムさんの強さの秘訣はどこにあるのでしょ〜?…普段はどんなトレーニングなさってるのですか、また好きな四文字熟語は?」
矢継ぎばやな学生ラルムの質問に、…戦士クリムはボンヤリしてしまいました。
「そ、そんなに一度に聞かれても…」
ハッとして…、学生ラルムはペンとメモをしまいます。
…「すいませんクリムさん、ぼくとしたコトがうっかりして。こんなトコで話すのもナンですから、…どこか喫茶店にでも入りませんか?」
戦士クリムはコクンと小さくうなずくと、学生ラルムのあとに着いていきました…。さて…、2人は喫茶店「ひだまり」でテーブルをはさんで向かい合います。…学生ラルムはココアを、戦士クリムはバナナ・シェーキを注文しました。
「さて、…じゃあクリムさん」
ペンとメモを改めて取り出す学生ラルムは、戦士クリムに質問を切り出します…。
「クリムさんは…、どんなキッカケで勇者を目指されたのですか?」
…学生ラルムの顔に、知性を感じる戦士クリム。
「キッカケなんてゆわれても、…ぼく勇者になろ〜としたコトないよ」
学生ラルムは、ペンを強く握りしめムムム…と唸りました…。
「それではクリムさんは…、自ら勇者を志したのではなく。…自然そ〜呼ばれるよ〜になっていた、そ〜ゆうコトですか!!?」
戦士クリムが恥ずかしいと想ってゆると、…ちょ〜ど店員さんが注文の品を運んで来てくれます。
「うん、そ〜かな…。あんまり…、ピンと来ないケド」
…フムフム一人うなずいて、学生ラルムはメモを取っていました。
「な、な、何と、…勇者クリムさんは全く無欲そのモノなお人柄であったと。そして名誉などとは関係なく世界を救おうとなさってる、うんうんゆいぞゆいぞ…」
あまりに学生ラルムが自分を熱心に見詰めるので…、戦士クリムは視線を少し逸らします。…何だか、顔がアッツいのでした。
「ではクリムさんクリムさんは勇者になるつもりはなかった、…そ〜仰いましたが。それにしては、あまりに多くのネコミミ娘達を救い過ぎています…。そのうえ…、ほとんどお礼を受け取ってゆないではありませんか?」
…期待を込めて、身を乗り出す学生ラルム。
「えっそんな、…だって困ってるんだから」
戦士クリムには学生ラルムの期待がよくわからず、ど〜答えてゆいのかわかりません…。
「す、素晴らしい…、何て素晴らしいお人柄なんだ。…クリムさんあなたはぼくの想像を遥かにうわ回る、まさに本当の勇者だ!」
学生ラルムは戦士クリムの両手を取ると、…ブンブン上下させます。戦士クリムは、学生ラルムが自分の手に触れると、ほんのり心が温まるのを知りました…。その後も学生ラルムはさまざまな質問を…、戦士クリムにぶつけます。…それは全て勇者としての冒険についてであり、戦士クリムも何となく答えていったのでした。やがて学生ラルムは、…メモを懐にしまいます。
「これだけお答えいただければ、も〜充分です…。大切なお時間をぼくの為に割いて下さって…、ありがと〜ございました。…それでは、失礼致します」
「え、…う、うん」
学生ラルムは頭を下げると、伝票を手にレジへ向かいました…。その背中をジッと眺める…、戦士クリム。