戦士クリム達勇者のパーティ一行は、遥かな「シルク・どうろ」の西の端…。港街メンムにやって来ています…、女帝ゾフィネーヌの棲むマルトム・クルメ城を目指すには。…ここから船に乗り、「魔の島」に渡らなければなりません。しかし「魔の島」は恐ろしいトコロ、…地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の魔力がゆき渡っており。悪魔ねこや魔物で溢れ返っていますから、そんなトコロに立ち寄ってくれる船を見つけよ〜としてもなかなか見つかりません…。
「はぁ〜…、またダメかあ」
…ガッカリして、戦士クリムは肩を落としました。ちょうど今一隻の船を預かる船長さんに、…「魔の島」いきを断られたからです。戦士クリム達は何隻モノ船を当たり何人モノの船長さんと交渉を試みましたが、みんな「魔の島」を恐れて近づこ〜とはしません…。
「やっぱさ無理なんじゃないの…、"魔の島"なんて何のメリットもないし」
…頭のうしろで腕を組む、魔女ケレナ。
「そ〜ですよね、…"魔の島"だけじゃなくて。近くの海域も危険なんですから、船長さんは船員さんみなさんの…。生命を預かられてますから…、そ〜簡単にはうなずけないでしょ〜」
…深刻そ〜に、神官マルミは手を体の前で合わせました。
「まだまだぼくはあきらめない、…さぁ次の船へトライしよ〜!!」
片腕を天に突きあげ、戦士クリムはガッツ・ポーズを取ります…。しかし神官マルミと魔女ケレナは…、そろって戦士クリムに切り出しました。
…「クリムさんがんばるのもゆいですが、そろそろお茶にでもなさって休憩しませんか?」
「そ〜そ〜アタシもくたびれちゃった、…ず〜っと交渉続きで」
戦士クリムは、そんな2人を振り返ります…。
「それもそ〜だね…、ぼくもおなか空いたしおヤツにしよっか」
…戦士クリム達勇者のパーティ一行は、近くの甘味処「天楽庵」に向かいました。港街メンムで最も有名なお茶屋さん「天楽庵」は、…よく雑誌などにも取りあげられます。3人がのれんをくぐると、お店の中は若いネコミミ娘でいっぱいでした…。和装の店員さんが出て来て…、3人にこ〜告げます。
…「お客さまただ今あいにく満席でして、もしよろしければ少々お時間をいただけませんか?」
お店の外のお客さんの列に、…戦士クリム達も並びました。神官マルミと魔女ケレナは、何でもないおしゃべりに興じています…。戦士クリムがボンヤリしてゆると…、隣でおしゃべりしてる主婦達のお話が耳に入りました。
…「そ〜そ〜、それで市長さんの娘さんが。悪魔ねこにさらわれてしまったんですって、それで市長さんは。助け出してくれた方には何でもする、…そ〜仰ってるらしいの」
そのお話を耳にした、戦士クリムの瞳は輝きます…。
「これだよ…、マルミ、ケレナ!…早く市長さんの娘さんを助けにゆこ〜、そ〜すればきっとお礼に船を出してくれる」
そ〜叫ぶと、…矢も盾もたまらず戦士クリムは駆け出そ〜としました。
「待って下さい、クリムさんお茶を…」
神官マルミは言葉をかけますが…、戦士クリムの耳には入りません。…とっさに魔女ケレナが、戦士クリムにタックルします。
「ちょっとお茶が先でしょ、…がんばり過ぎだよクリムはさ」
クルッとずっこける戦士クリムですが、ど〜やら魔女ケレナの意見に納得してゆるよ〜でした…。
「そ〜だね…、ごめんごめん。…おなかが空いては戦にならぬともゆ〜し、先ずはおヤツにしよ〜。ホントごめん、…せっかちなぼくだね」
勇者のパーティの3人は、しばらく待って「天楽庵」に入ります…。
戦士クリムは…、クリームあんみつ3つ。
…神官マルミは、おしるこ。
魔女ケレナはところてん、…をそれぞれ注文しました。運ばれて来たお茶をゆっくりいただきながら、神官マルミはこんなコトを考えています…。もし自分だったら…、クリムさんを止められなかったろ〜。…自分の気持ちをハッキリ表現出来る、ケレナさんのおかげだと。