どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その46

…港街メンムの名物「ニャンダー・ワールド」の正面に立ってゆる「にゃんちゅうの銅像」の前で、戦士クリムは学生ラルムを待っていました。戦士クリムが視線をあげると、…向こうから学生ラルムが走って来ます。学生ラルムは、ブルー・ジーンズにオレンジのTシャツそのうえから白のシャツを羽織っていました…。戦士クリムを見るなり…、何だか学生ラルムは震えています。…それに、決して戦士クリムと視線を合わせません。

「ど〜したの」、…戦士クリムが顔を覗き込むと学生ラルムはそっぽを向いてしまいました。

「クリムさん、おシャレですね…」

よ〜やくそれだけを…、学生ラルムは口にします。

…戦士クリムは、昨日選んだ白のカット・ソーにデニムのスカート。そして貝がらのイヤリングにピンクのルージュを引いて、…黒い革のローファーを履いてゆました。

「それじゃ、ゆきましょ〜か…」

「うん…」、二人は並んで「ニャンダー・ワールド」に入園します。…「ニャンダー・ワールド」には、様々な乗り物が目白押しでした。

「どこにします、…ぼくならどこでも」

ラルムの声をさえぎるよ〜に、戦士クリムは大きな声をあげます…。

「あれ乗ろ〜よ…、ジェット・コースター!!」

…戦士クリムの一声に、学生ラルムは一瞬ギョッとしました。学生ラルムはど〜してか少しモジモジすると、…こ〜戦士クリムに伝えます。

「い〜でしょ〜クリムさん、こ〜みえてもぼくとてイヌミミです…。どんな敵にでも…、立ち向かって見せましょ〜」

…二人はジェット・コースターの列に、並んで待ちました。しばらく待つと、…スタッフに誘導されてジェット・コースターに乗り込みます。

「楽しみだなぁ、ねラルム…?」

ワクワクして待ち切れない様子の戦士クリムとは対象的に…、学生ラルムは下を向いて何やらブツブツゆっていました。…そ〜こうしてゆる間にジェット・コースターは発進し、レールのうえを登ってゆきます。そして坂道の頂点まで来ると、…そこから一気に加速します。

「キャーッ…!」

ジェット・コースターが大好きな…、戦士クリム。…ジェット・コースターは上昇したり急降下したり、それに急旋回からの宙返りと目まぐるしくレールのうえを走りました。

「あ〜楽しい、…あれっラルムど〜したの。大丈夫、しっかりして…」

はしゃぐ戦士クリムの横で…、学生ラルムはいつの間にか失神してぐったりしています。…戦士クリムは、学生ラルムをおぶってベンチまで運びます。

「このラルム、…一生の不覚です。たかだかジェット・コースターに、遅れをとるとは…」

二人は…、再び園内を散策しました。…すると今度は、戦士クリムはお化け屋敷を見つけます。

「ラルム今度はお化け屋敷ゆこ〜、…ぼくハラハラドキドキするの大好きなんだ!!」

戦士クリムの提案に、学生ラルムは一瞬ビクッとしました…。しばらくモジモジしたのち…、こ〜戦士クリムに告げます。

…「い〜でしょ〜クリムさん、先程は面目を失いましたが。今度は倍にして取り戻させていただきます、…何の々々お化け屋敷ぐらい」

「ニャンダー・ワールド」のお化け屋敷は、スタッフが魔物に扮して待ち構えておりタイヘン怖いと評判だったのでした…。二人はダンジョンを模した暗い館内を…、ゆっくり歩いて進んでゆきます。

…「お〜ま〜え〜も、な〜か〜ま〜にな〜れ〜」

何とゾンビちゃんねこの仮装をしたスタッフが、…ものかげから飛び出して来ました。

「キャー…」

怖がって楽しも〜とする…、戦士クリム。

…「ギャアアアァァ〜!」

しかし学生ラルムは戦士クリムの悲鳴を遥かにうわ回る、…お化け屋敷の外まで響く大々々絶叫だったのです。そしてそのまま、学生ラルムは失神しました…。戦士クリムは…、学生ラルムをおぶってベンチまで運びます。…目を覚ました学生ラルムは、すっかり落ち込んでうつむいてしまいました。

「全くお恥ずかしい限りですが、…クリムさんぼくは。タイヘンな怖がり屋なのです、治そ〜治そ〜と何度も怖いコトに挑戦するのですが一向に…」

うなだれる学生ラルムに…、戦士クリムはこ〜声をかけます。

…「ぼく、ソフト・クリーム食べたいな。"ニャンダー・ワールド"の名物なんでしょ、…超特大の"ニャンちゅうのあたま"」

ベンチから立ちあがる、学生ラルム…。

「あ、ああそ〜ですね…、ではゆきましょ〜か」

…学生ラルムは怖がりな自分を許せないよ〜ですが、その右手を戦士クリムの左手がそっと包みました。