どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その44

燃え立つ胸の内を、…戦士クリムは学生ラルムに伝えます。

…「ラルムには、ラルムには誰か好きな人はいない?」

学生ラルムは…、特に考えず即答しました。

「ぼくは、クリムさん好きですよ…。"ワンだふる大学"の仲間達も、…みんな気のゆい連中ですから」

…カァッと、顔を真っ赤に染める戦士クリム。

「違うよ…、そ〜ゆう意味じゃなくて!!」

戦士クリムの勢いに、学生ラルムはタジタジです…。

「あの、…ぼく何か失礼なコト口にしましたか?」

…「ラルムのバカ、わからず屋!」

そ〜戦士クリムは叫ぶと…、ドアをバタンと閉じて食堂から出ていってしまいました。食堂に取り残された学生ラルムは、このまま帰るワケにもゆかずポツンと座っています…。

「ただいま、…あお客さんですか?…こんにちは」

食堂に顔を出したのは…、帰って来た神官マルミでした。

「あっあなたは、勇者クリムさんを補佐する神官マルミさんではありませんか…。ど〜も、…はじめまして」

…学生ラルムは神官マルミに自己紹介を済ませ、これまでの戦士クリムとのいきさつを明かします。学生ラルムの向かいにソッと座ると…、神官マルミは真面目にこ〜切り出しました。

「初めてお会いするのに失礼ですけれど、それはラルムさんが悪いと想います…」

神官マルミの言葉は、…学生ラルムにとって全くの予想外です。

…「マルミさん、取材とゆ〜のはですね。必ず相手を好きにならなければ…、そ〜して初めて相手のお気持ちを理解出来るんです!!」

神官マルミは想います、この学生ラルムとゆ〜イヌミミくんは…。頭はゆいけれどもおバカさんなのだ、…このいわば「天才おバカさん」に戦士クリムの気持ちを。…ど〜伝えたモノか、思案しました。

「ラルムさん…、ラルムさんにとってクリムさん。いやネコミミは、単なる研究対象に過ぎないのですか…?」

腕を組んで考える、…学生ラルム。

…「確かに、あなたの仰るコトは大切です。ぼくだって学者のはしくれですから…、クリムさんへの学術的興味は否定しません。しかしそれが、彼女の気持ちを傷つけるよ〜であってはいけない…。その人格が尊重されなければ、…研究など何の価値も持たないでしょ〜」

…神官マルミは、出方を変えます。

「ラルムさんの仰りよ〜は…、一々もっともです。それでは、フツーに考えてですよ…。一人のネコミミが、…イヌミミくんに"誰か好きな人いる?"と質問する時。…それは、どんな想いだと想いますか?」

両ひじをテーブルに着いた学生ラルムは…、そのまま両手を組み合わせました。

「人間の心理を洞察するのは、本当に難しい…。様々なケースが考えられますが、…どれも推測の域を出ません。…しかし最も一般的なパターンとしては、えっいやそんなまさか」

ゆっくりうなずく…、神官マルミ。

「そ〜でしょ〜、やっとわかって下さったんですね…」

神官マルミは学生ラルムに戦士クリムのお部屋番号を教えると、…そのまま自分のお部屋に引っ込みます。…再び一人取り残された学生ラルムは、ソワソワ落ち着かず。「みけねこチップス・あおさ味をツまんだり…、「ゴロゴロ、お茶」をあおりました。しかし、やがて気持ちが落ち着くとつぶやきます…。

「ぼくだってイヌミミなんだ、…やってやるさ!」

…戦士クリムのお部屋の前に立った学生ラルムは、コンコンコンとドアをノックしました。戦士クリムからは…、何の返事もありません。学生ラルムはクリムさんはきっと聞いている、と信じてドア越しにこ〜告げます…。

「クリムさん、…ぼくですラルムです。…いくら何でも明日では急なので、あさってにしましょ〜。あさっての午前10時に…、港街メンムの名物。遊園地"にゃんダー・ワールド"のニャンちゅう銅像の前で待ってて下さい、その日必ずぼくの気持ちをお伝えしますから…」

それだけ伝えると、…学生ラルムは「ねこの通り道亭」を去っていきました。