どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その50

帆をめいっぱい拡げて、…風を受けた「熟したカツオブシ号」はグングン海を進みました。…無事パウル島に到着し、錨を下ろして停泊します。戦士クリム達勇者のパーティ一行は…、港の管理員さん達の用意してくれたタラップを降りました。

「大巫女サレムさまは、一見するとボンヤリしたお方に思われるかもわかりませんが…。内には荒れ狂う海のよ〜な、…激しい情熱を秘めたお方です。…くれぐれも、そそうのないよ〜にしないと」

こわばった表情で…、神官マルミは注意を促します。

「ど〜したのマルミ、そんなに緊張して…。別に魔物を相手にしよ〜ってワケじゃないんだから、…リラックスリラックス」

…魔女ケレナは、あくまでお気楽でした。

「そ〜なんですけれど…、サレムさまホントにおっかないんです。私一度だけ怒らせてしまったんんですが、雷のタムカンなんて問題になりませんよ…」

3人は神官マルミの案内で、…中央神殿まで歩きます。…ヤシの木々の向こうに見えて来た中央神殿はとても大きく、東京ドームの五倍はありました。

「うっわ〜…、ずいぶん大きいね!!」

戦士クリムは、感嘆のため息をもらします…。

「そ〜ですね、…ここは巫女さまや神官。…それに事務や他のスタッフも合わせると、常時5000人はねこ女神"オー・ラロル"さまに仕えてますから。ねこ女神"オー・ラロル"さまをお祀りする神殿はモチロンですが…、神官のタマゴ達が通う神学校や寄宿舎ですとか色々併設されてゆて。まさしく、神殿の中の神殿なんです…」

中央神殿に足を踏み入れると、…巨大な外観に相応しく中は迷路のよ〜でした。

…「ぼくは一体、現在どこにいるんだろ〜?」

も〜既に自分がどこにいるのかわからない…、戦士クリム。神官マルミを先頭に入り組んだ建物の中を進むと、先ずは受け付けです…。マルミは神官なので、…身元を証明する手続きは必要ありませんでした。…整理券を渡され、待合室で大巫女サレムさまとの謁見を待ちます。

「も〜信じられな〜い…、一体どれだけ人を待たせれば気が済むワケ!二時間よ、二時間…。こんなしん気くさ〜い建物に、…これ以上閉じ込められたら」

…魔女ケレナはシビれを切らして、髪の毛をクシャクシャにしました。

「仕方ありませんよ…、"ねこねこファンタージェン"中から。ネコミミが、サレムさまとの謁見を求めて集まるんですから…」

穏当な正論を述べて諭そ〜とする神官マルミですが、…魔女ケレナは限界です。

…「も〜い〜、アタシはビーチで遊んで来る。だって見てよ…、この輝く陽光、白い砂浜にエメラルド・グリーンの海。い〜んだ、"熟したカツオブシ号"にハンサムな船員さんがいたから一緒に遊ぼ〜っと…」

そ〜ゆい残すと、…魔女ケレナはプリプリしながら「熟したカツオブシ号」に戻ってしまいました。…あとに残された神官マルミと戦士クリムは、そこからさらに三時間待ってよ〜やく順番が回って来ます。大巫女サレムさま直属のハイ・プリーストの1人に案内され…、執務室のドアが開かれました。そこには月よりも美しく輝く、大巫女サレムさまが机の向こうに座ってゆます…。

「あなたが、…勇者クリムさん?」

…大巫女サレムさまは、驚異の直観で戦士クリムが名乗るより先に。その正体を…、見抜いてしまいました。

「立ってらっしゃると疲れるでしょう、ど〜ぞおかけになって下さい…。私は大巫女なんてゆわれてますが、…そんなに偉くありませんから。…取り敢えずおかけになって。お話はそれからにしましょ〜」

戦士クリムと神官マルミは…、促されるままに設えてあるイスに腰かけます。