…「あの、もしかしたら聖戦士の試練ですか?」
大巫女サレムさまは、…驚異の直観でまたしてもピタリと見抜きました。
「はい、厳しい試練だとは重々承知ですが…」
「やらせて下さい…、ぼくは"ねこねこファンタージェン"のみんなを救いたいんです!!」
…穏便に話を進めよ〜とする神官マルミを制するよ〜に、戦士クリムの本音が飛び出します。
「それはわかりました、…でも口でゆ〜のはカンタンですよね?」
神官マルミは尚も、大巫女サレムさまを説得しよ〜と試みました…。
「戦士クリムの…、勇者としての評判はだ〜いぶ高まってゆます。…現に多くの」
そんな神官マルミに、…大巫女サレムさまは厳しい一瞥をくれます。余計な口出しはするべきでない、と神官マルミはすぐに悟りました…。
「クリムさん…、例えば。…あなたの足下におなかを空かせたねこちゃんがすり寄って来たとしましょ〜、可愛いですよね。あなたなら、…そんな時ど〜しますか?」
戦士クリムは、大巫女サレムさまの質問の意図がうまく見抜けません…。
「ばくならエサをあげます…、だっておなかを空かせてるんなら」
…戦士クリムの答えに、大巫女サレムさまは厳しい評価を下します。
「もしそのねこちゃんが実は悪魔ねこで、…ここ"ねこねこファンタージェン"でみんなを苦しめたとしたら。あなたは、その責任をど〜取られるんですか…?」
戦士クリムは…、何もゆい返せずうつむきました。
…「も〜一つ質問しましょ〜、ここに2枚のエサ皿があります。一つはねこ女神"オー・ラロル"さまに捧げる、…聖なるエサ皿。も〜一つは練習用の模造品です。どちらがホンモノだと想いますか、正直に答えて下さい…」
目をお皿のよ〜にして…、戦士クリムは観察します。…しかしどちらも銀で出来ていて、装飾も全く同じ。ど〜せならキレイな方が、…と戦士クリムは一枚を指差しました。
「そ〜仰ると想いました、こっちの方がキレイだからですよね…。でもよく考えてみて下さい…、昔から儀式でずっと使われて来てるんですよ。…そ〜考えれば、傷や汚れが少しある方が自然じゃないですか」
戦士クリムは、…悔しくてゲンコツをギュッと握ります。その時、大巫女サレムさまは戦士クリムのペンダントに気がつきました…。
「それ…、見せてもらってもゆいですか?…何だろ〜、すごく気になります」
学生ラルムから贈られた「雨の雫石」を、…戦士クリムは外して大巫女サレムさまに手渡します。
「こ、これは…!クリムさん…、あなたは既に"愛の合一"を果たされたんですか」
…大巫女サレムさまはワナワナ慄えて、危うく「雨の雫石」を取り落としそ〜になりました。大巫女サレムさまの問いに、…戦士クリムは静かにうなずきます。
「わかりました、それなら…。クリムさん…、あなたに聖戦士の試練を受ける許可を出したいと想います」
…戦士クリムは悦びをわかち合お〜と、神官マルミと顔を見合わせました。
「でも、…聖戦士の試練では。あなたは、自分の心の闇と戦わなければなりません…。そして一度喚び出してしまった心の闇は…、二度と元には戻せません。…クリムさん、ゆいですか?あなたの心が、…闇を征するのか。それとも闇に取り込まれてしまうかは、クリムさん自身にかかってます…」
力強くうなずく…、戦士クリム。
…「どんな時も、心に愛を忘れてはいけません。苦しい時は、…ラルムさんのお顔を思い浮かべて。一途な愛だけが、ねこ女神"オー・ラロル"さまのみ心に導かれるのです…」
戦士クリムと神官マルミは…、お礼をゆ〜と大巫女サレムさまのお部屋をあとにします。