それから三日経ち…、「熟したカツオブシ号」で過ごす戦士クリム達に。
大巫女サレムさまから、連絡がありました…。
「いきましょ〜クリムさん、…きっと聖戦士の試練の準備が整ったんですよ」
…「うん、よ〜しがんばるぞ!!」
戦士クリムは…、神官マルミと2人で中央神殿に向かいます。
「アタシはも〜い〜遊んでるから、もしかしたら彼の恋人になっちゃうかも…?」
そ〜ゆってハンサムなイヌミミ船員さんと、…魔女ケレナはビーチに遊びにいってしまいました。
…相変わらず道順が全く憶えられない戦士クリムは、神官マルミに先導してもらい大巫女サレムさまのお部屋に到着します。お部屋のドアをノックすると…、中から声がしました。
「開いてますから、遠慮なく入って下さい…」
2人は「失礼します」とあいさつして、…中に入ります。…お部屋の中に入ると、正面に大巫女サレムさま。その両わきには…、高位のハイ・プリーストが1人ずつ立ってゆました。大巫女サレムさまは、穏やかな口調で戦士クリムに尋ねます…。
「クリムさん、…これが本当に最後です。…この先はも〜引き返せません、あなたは聖戦士になる為"勇気の試練"を受ける覚悟がおありですね」
こっくりうなずく…、戦士クリム。
「ぼくは、みんなの為に戦います…。みんなの為に、…本当の勇者になりたいと想います」
…戦士クリムのハッキリした態度に、大巫女サレムさまも納得されたよ〜でした。
「わかりました…、それでは"勇気の試練"を始めたいと想います。私に、着いて来て下さい…」
大巫女サレムさまと2人のハイ・プリーストは、…お部屋を出るとどこかへ向かいます。…戦士クリムと神官マルミがあとから着いてゆくと、中央神殿の中心にあるエレベーターの前にやって来ました。
「"勇気の試練"はとてもシンプルです…、クリムさん。あなたが剣の間に入ったら、私は外からがんじょうな鍵をかけます…」
大巫女サレムさまのお話に、…戦士クリムと神官マルミは耳を傾けます。…やがてエレベーターが到着すると、乗り込んだ大巫女サレムさまは。スイッチ・パネルを操作して…、隠してあるスイッチをおしました。5人を乗せたエレベーターは、ゴウンゴウン降ってゆきます…。
「扉を開ける方法はとてもカンタン、…あなたが"おおトロの剣"を手にすればゆい。…たった、それだけです」
神官マルミは…、思わず口にしてしまいます。
「え、そんなにカンタンなんですか…?」
神官マルミの言葉に、…大巫女サレムさまは肩をピクッとさせました。…「また余計なコトをゆってしまった」、と神官マルミは心の中で反省します。
エレベーターは…、地下七階で停まりました。エレベーターを降りると真っ直ぐな一本道になっており、等間隔に並んだランプの他には灯りは見当たりません…。イチバン奥まで進むと、…大きな扉がゆく手をさえぎります。…大巫女サレムさまは、ハイ・プリーストに指示を与えると。2人はそれぞれ左右一枚ずつの扉の取手をつかみ…、扉を開きました。
「ではクリムさん、ご健闘を祈ります…。ねこ女神"オー・ラロル"さまのみ心が、…あなたと共に歩むコトを!」
…手を合わせて、神官マルミも祈ります。
「クリムさん…、がんばって下さい!!」
戦士クリムはだまってうなずくと、扉の向こうの闇の中へ消えていきました…。
祈りを捧げる神官マルミに、…大巫女サレムさまは告げました。
…「い〜ですかマルミさん、この2人のハイ・プリーストは。中央神殿で最強の2人なのです…、何故そんな2人を。わざわざ私がともなってゆるか、おわかりですか…?」
神官マルミには、…大巫女サレムさまの真意ははかりかねたのです。
…「私だって、誰であるにしろ"勇気の試練"を受けたがってるのなら。受けさせてあげたいのです…、しかしそれは厳しく戒めなければなりません。あなたにも、いまにその意味がわかるでしょ〜…」
大巫女サレムさまの横顔が、…神官マルミにはどこかさびしく見えたのでした。
…戦士クリムは乏しい灯りを頼りに、「おおトロの剣」に辿り着きます。
「これが"おおトロの剣"…、よし早速。はっ…?」
その場から、…とっさに飛び退く戦士クリム。…その瞬間戦士クリムの背後で、何者かの振るう剣が闇に閃きました。
「何者だきみは…、卑怯じゃないかうしろから斬りかかるなんて」
何者かはゆっくり「おおトロの剣」に歩み寄ると、そのまま台座から引き抜きます…。
「フフフ、…アタシはお前の心の影だ!…そ〜だねぇ、シャドウ・クリムとでも名乗っておこ〜か」
突如現れたシャドウ・クリムは…、戦士クリムにうり二つでした。しかし髪の毛が真っ黒なトコロだけが、違っています…。