アーシャ南の大陸に舞う その12

アーシャは…、墜落したメカ・ブラックドラゴンのコックピットから。気を失った、ボヘムを救出します…。

「プイプイ」、…ぺぺが倉庫で見つけてくれた長めのロープで。…も〜これ以上悪さをさせないよ〜、ボヘムをぐるぐるに縛りました。

「ぺぺ…、ど〜したらゆいんだろう?ボヘムは身動きが取れなくても、呪文を唱えてモンスターを喚び出すかもわからないし…」

「口をふさげば(殺してしまえそんな意味ではありませんよ)」とも、…アーシャの頭をかすめましたが。…そこまで、手荒な真似をするつもりはアーシャにはありません。

「プイプイ」…、ぺぺは気楽に答えます。

「そ〜よね、一度タマラン村に戻りましょう…。村長さんや誰か村の人が、…"何か"ゆい知恵をお持ちかもしれないし。…ぺぺ、ボヘムを運んでくれる?」

ぺぺはぐるぐるに巻かれたボヘムを担ぐと…、アーシャと共に「竜の角」を降ってゆきます。

「あ村長さん、いらっしゃってたんですか…?」

ぺぺが破壊した、…「竜の角」の入り口に村長さんが頭を丸めた男と共に二人を待っていました。

…「村の者がね、アーシャさまがきっと魔法の呪文でお困りになるだろうと。それで…、私は準備をして少し前に到着したんだよ。では、先生よろしくお願いします…」

村長の前に、…頭を丸めた男が一歩前に出ます。

…「そんな、村長さん私は先生と呼ばれる程の者ではありません。伝説の勇者アーシャさま…、お初にお目にかかります。私の名はマヘロ、タマラン村のすぐ近くのお寺で修行してゆる僧です…」

あいさつを受け、…アーシャは(ぺぺも)頭を下げました。

…「この度は、タイヘンなご迷惑をおかけしました。ボヘムのよ〜な堕落僧は…、本来私達僧自身が取り締まるハズを」

少し話が長くなりそ〜だな、とアーシャは思ったので要点を切り出します…。

「あの〜、…魔法の呪文はど〜すれば?」

…マヘロは、懐をゴソゴソやってお札を一枚取り出しました。

「実は…、魔法の呪文を唱えるのは。口ではなく心なのですよ、だからもし…。さるぐつわを噛ませたにしろ、…それは意味がないのです」

…ボヘムの額に、マヘロはお札を貼りつけます。

「これは"禁呪のお札"…、これでも〜ボヘムはモンスターを喚び出せません。ありがとうございましたアーシャさま、ボヘムの身柄は…。私達が責任を持ってお預かりします、…ダオカーナ寺院で厳しく罰していただくとしましょう」

…こ〜してアーシャとぺぺは、村長さんに連れられてタマラン村に帰って来ました。ソーナを助けてもらったタネシとフレルは…、是非自宅でアーシャ達をもてなしたいと願い出ます。

「タネシ、お前さんの気持ちはよくわかる…。だが、…お前さんのおウチにはお客さんをもてなす程大きさはないだろう。…ウチも大して変わらんが、お前さんのトコよりはな。今夜は私のおウチで…、アーシャさまご一行を歓待させていただくとするよ。よかったら、お前さんも来るとゆい…」

アーシャとぺぺは、…ホレロと共に村長さんのおウチでもてなされるコトになりました。

…「そりゃあご苦労だったね、ボヘムはなかなか手強かったワケだ」

ホレロがパイプの火を灰皿に落とすと…、村長の奥さんの声がします。

「みなさん、お食事のご用意が出来ましたよ…!!」

村長さんのおウチのお座敷にアーシャ達が座ると、…も〜お膳は据えられていました。

…「これが、ごはんですか?」

ごはんを初めて見るアーシャはど〜したらゆいかわかりません…、村長さんやタネシ達は2本の棒を器用に操って食べています。

「アーシャはおはしを使ったコトはないだろうから、自分のスプーンとフォークを持っておいで…。それで、…食べたらゆい」

…ホレロさんは、村長さんやタネシと一緒に。

村長の奥さんからお酌してもらって…、「何か」のお魚を突きながら。

お酒、「コマドリの鳴き声」を一杯飲ってゆました…。

縁側に座り、…お庭に積まれた。

…山のよ〜な、サツマイモをモリモリいただくぺぺ。

「アーシャさん…、このお魚は"アジ"ってゆ〜んですよ。味がゆいから"アジ"って呼ばれるぐらいですから、さぁごはんのお供に…!」

村長の奥さんにすすめられて、…アーシャは骨取りしてある「アジ」をフォークでほじり。

…ごはんにのせて、スプーンでパクリ。

「あぁ〜…、美味しい!!」

村長の奥さんも、思わずにっこりのアーシャの反応です…。

「そ〜でしょう、…このごはんは今年とれたばかりの新米ですからね。…こんなに美味しい想いが出来るのは、今だけですよ」

アーシャは…、すぐにごはんをたいらげると。村長の奥さんに、「おかわりください-!」

と、…元気よく告げたのでした。

 

アーシャ南の大陸に舞う その11

アーシャは…、やっつけたブラック・ドラゴンに歩み寄りました。しかし、突然の爆発がやっつけたブラック・ドラゴンに起きます…。

「何、…一体!!?」

…アーシャは驚いたモノの、体はとっさに反応し盾で爆発の炎を防ぎました。その隙に…、ボヘムがブラック・ドラゴンの頭に取りつきます。

「ハ〜ハッハ、ブラック・ドラゴンは不死身だ…。こ〜なったら、…私自身の手で決着をつけてやる!」

…ブラック・ドラゴンの頭は、コックピットがむき出しになっていました。ブラック・ドラゴンは…、古の勇者ブックに倒されたドラゴン同様。実はメカだったのです、ボヘムはコックピットに乗り込むとすぐに起動させました…。

「メカ・ブラックドラゴン、…発進!!」

…両足からジェットを噴射して、飛び立つメカ・ブラックドラゴン

「ボヘム…、そ〜はさせない!」

力いっぱいアーシャはジャンプして、掴まろうとしましたが…。

間一髪の差で、…メカ・ブラックドラゴンは浮上します。

…「メカ・ブラックドラゴンの力、今見せてやる。ふっふっふ…、覚悟するがい〜伝説の勇者アーシャ。死ね…!!」

ズギューン!、…アーシャはとっさに「魔法の盾」を構え「何か」を弾きました。

…「危なかった、これは火の玉だわ!!」

メカ・ブラックドラゴンは…、鼻先から火の玉を発射したのです。

「まだまだこんなモノじゃないぞう、逃げまどうがい〜…!!」

顔の先端の鼻の穴が機銃になってゆる、…メカ・ブラックドラゴンは。…左右交互に、連続して射撃がおこなえるのでした。

「必ずどこかに隙があるハズ…、それを見つけ出せば」

しばらくすると突如、メカ・ブラックドラゴンの機銃の発射がやみます…。

「くっそ〜、…やはり火の玉の再装填に時間がかかるか」

…ボヘムはその間も、ゆうゆうとメカ・ブラックドラゴンで空中を泳ぎ。アーシャに向かって…、今度は違う角度から銃撃を浴びせました。

「何とか防ぎ切れないコトはないわ、でもこのままでは反撃が出来ない…」

メカ・ブラックドラゴンの火の玉の機銃は、…属性が「火」ですから。…アーシャの構える、「魔法の盾」を貫けはしないのです。しかし何とゆっても…、メカ・ブラックドラゴンは近づいて来ませんから。反撃の手段が、アーシャにはありませんでした…。

「いつまで我慢が続くかな、…アーシャ?…今からでも遅くはない、降参して我が花嫁として。迎えられれば…、命だけは許してやろう!」

ドカ〜ン、その時です…!!

「ぺぺ!」、…ぺぺが大広間の扉を破壊して突撃して来たのです。

…「ぺぺ、お願い!!私が合図したら…、メカ・ブラックドラゴンに向かって私を投げて!」

ボヘムは、メカ・ブラックドラゴンを操縦し…。ぺぺに向けて、…火の玉の機銃を発射しました。…みなさんはご存知ですね、ぺぺろぐぅは熱いモノが大好きなのでだから通用しません。

「フン…、伝説の勇者が聞いて呆れるわ。そんな青いぺぺろぐぅに守られて、情けないとは思わんのか…?」

そのウチに、…メカ・ブラックドラゴンは火の玉機銃を再装填します。

…「今よ、ぺぺ!!」

ぴゅ〜い…、と口笛を吹くアーシャ。ぺぺはアーシャを両手で優しく担ぎ上げると、メカ・ブラックドラゴンめがけ大きく振り被って放りました…。アーシャの小柄な体は、…くるくる回って放物線を描きます。

…「ゲッそんなバカな、機銃を発射しろ急げメカ・ブラックドラゴン!」

ボヘムは操縦桿の…、機銃発射スイッチをガチャガチャしますがど〜にもなりません。

「観念しなさいボヘム、とりゃぁ〜…!!」

コックピットに、上空から「下突き攻撃」を二度決めるアーシャ…。

…ボヘムは気を失い、コントロールを奪われたメカ・ブラックドラゴンはあえなく墜落しました。

アーシャ南の大陸に舞う その10

ボヘムの喚び出したブラック・ドラゴンは、羽ばたいてゆっくり宙に舞い上がります…。言葉はしゃべれない…、ブラック・ドラゴンですが頭の中ではこんなコトを考えていました。

…「こんな小さな、それも女性なんぞを相手にするのにわざわざわしを喚びよって。しかし、…契約は契約だ。どれさっさと、力で捻りつぶしてやろう…」

アーシャの上空まで飛来すると…、ブラック・ドラゴンはゆっくり降りて来て。…両手のかぎ爪で引っかこ〜とします。

「すごい力、…さすがにドラゴンね!!」

アーシャは、少し後ろに退がると盾で受けとめました…。ブラック・ドラゴンは…、そんなアーシャを見てこのまま押し切れるだろ〜と考えます。…そこをかみ殺してやろ〜と、首を伸ばしました。しかし盾を捨てたアーシャは、…勇気を抱いて素早くブラック・ドラゴンの懐に飛び込むと。おなかめがけて、「上突き攻撃」を繰り出します…。

「グァっ!」…、思わず呻き声をあげるブラック・ドラゴン。…鱗におおわれていないおなかは、どのドラゴンにとっても弱点の一つでした。ブラック・ドラゴンは、…受けたダメージよりも。こんな小さな女性に傷つけられたコトに、腹を立てます…。

「このわしに痛い思いをさせるとは…、許されん。…どれわしの息吹で、一思いにドロドロに溶かしてくれる!!」

ブラック・ドラゴンは再び上昇し、…アーシャから少し離れました。すると空中で羽ばたいて、風を起こしたのです…。

「すごい風…、これでは身動きが」

…アーシャの足が止まったのを確認すると、ブラック・ドラゴンは満足そ〜に息を吸い込みました。アーシャは、…その瞬間たまたま足元にころがってゆる。酒びんの一つを、足先で宙に蹴り上げると…。落ちてきたトコロに合わせ…、ブラック・ドラゴンに向けてボレー・シュートを放ちます。

…「ゲゲっ!」

アーシャの蹴った酒びんは、…真っ直ぐブラック・ドラゴンの頭に直撃して粉々に砕けました。ダメージそのモノは大したコトはありませんが、ブラック・ドラゴンはクラクラして地上に降りて来ます…。

「これで条件は5分よ…、さぁいざ勝負ブラック・ドラゴン!!」

…アーシャは盾を拾って突撃すると、そのまま盾で体当たりをぶちかましました。

「グルルルゥ〜」、…ブラック・ドラゴンは体勢を崩しながらも反撃を試みます。ブラック・ドラゴンの両のかぎ爪を、その場で踏ん張って盾と剣で防ぐアーシャ…。しばらくの間…、ブラック・ドラゴンの両手のかぎ爪とアーシャの剣と盾で。…一進一退の攻防が。繰り広げられました。いつまでも決着がつかないのに焦れたブラック・ドラゴンは、…も〜一度長い首でアーシャにかみつこ〜とします。それをバク転でかわしたアーシャは、着地と同時に前にジャンプしてブラック・ドラゴンの頭を打ちました…。この時…、ブラック・ドラゴンは気がついたのです。

…「しまった、このわしでは。このちびスケに敵わない、…何とかして逃げなくては!」

…二、三歩後退りしたブラック・ドラゴンは、息を吸い込むと無理に息吹を吐き出そ〜としました。

「この時を待ってたの…、この勝負もらったわ!!」

アーシャは、先程ブラック・ドラゴンが息吹を吐き出そうとした時にピンと来たのです…。

「息吹を吐こうとする、…ドラゴンの開いた口こそ弱点だ」と。

…稲妻のよ〜に目にも留まらぬ速さで踏み込むと、その勢いのままに大きくジャンプしました。そしてブラック・ドラゴンが息吹を吐き出そ〜としたのと同時に…、開いた口に「カリフの剣」を突き立てたのです。

「グワッ、グワッ、グルワァ〜…!」

ブラック・ドラゴンは、…長い断末魔ののち地響きを立てて崩れ落ちました。

 

…こんにちは、トンデモあた坊やです。

申し訳ありません…、この一つの前の話。

「アーシャ南の大陸に舞う」 その9で、アーシャはペペを呼びます…。

そのぺぺは何をしてるのか、…この展開ではわからないですよね。

…本当は、どこかにボヘムとボヘムの配下のやり取りで。

「タイヘンですボヘムさま…、突然青いぺぺろぐぅが乱入し大暴れしてゆます!!」

とゆ〜のが入り、つまり現在「竜の塔」の下の階でモンスター達と戦ってるんです…。

いや、…忘れてたんですホント申し訳ありません!

 

アーシャ南の大陸に舞う その9

…アーシャは、サイクロプスの引く車に乗せられ。そのまま、…出迎えの僧と共に「竜の角」まで連れて来られました。

「さっさと、降りろ…!!」

出迎えの僧は…、アーシャにムチをピシャリとくれます。

…「失礼致しました、申し訳ありません」

本当なら、…アーシャはこんなユルいムチはいくらでも防げるのでした。しかし、今はソーナの代役…。悔しさをこらえ…、黙ってムチを受けたのです。…出迎えの僧の後ろについて登ってゆくと、やがて「竜の角」の大広間に出ました。

「ボヘムさま、…ただ今無事ソーナさまをお連れしました」

「おぉ、我が花嫁ソーナ…!遂に…、私の愛を受け入れる決心をしてくれたのだね」

…ボヘムと呼ばれる闇に堕落した僧は、何だかなよなよして少しもアーシャのタイプではありません。

「よしソーナ、…すぐに酒宴の準備をさせよ〜!!さ諸君座に着いてくれたまえ、祝杯だ…!」

アーシャは…、ボヘムに近づくとそっと耳打ちします。

…「あなた、早く二人切りになりたいの」

それを聞いたボヘムは、…好色にニヤリとしました。

「ソーナ、私の愛がそんなに待ち切れんか…?ゆいだろう…、たっぷり可愛がってやる。…諸君酒宴はまた後日とする、取り込み事ができたのでな」

ボヘムに仕える、…僧やモンスター達はみな不満そ〜でしたが。逆らうコトは出来ず、すごすご引きあげてゆきます…。

「ではアーシャ…、寝室へ参るとしよ〜。…その前に、誓いのキスを済ませんとな。これでお前は、…飽きるまで私のモノだ」

ボヘムはアーシャに近寄り、そのヴェールをあげよ〜とします…。

ガツン…、その時でした!!

…アーシャは、ボヘムに膝蹴りを入れます。

「グェっ、…な、何をする」

うずくまるボヘムの、胸ぐらを掴んだアーシャは…。そのまま…、豪快に一本背負いで投げ飛ばしました!

…ここで、少々解説させていただきます。何故アーシャは、…あんな言葉を口にしてまで。ボヘムに、酒宴を開かせまいとしたのでしょうか…?それは崇高にして勇気みなぎる…、アーシャらしい考えがあってのコトなのでした。…酒宴を開けば、ボヘムは必ずお酒に酔うでしょう。お酒に酔わせてしまえば、…アーシャが勝つのは実にたやすくなるハズ。しかし、アーシャは伝説の勇者として尊くて清い神さまに…。身も心も捧げてゆましたから…、それは卑怯者のするコトだと。…あえて、さけたのです。

「貴様何者だ、…さてはソーナではないな!!」

花かんむりとブーケを投げ捨て、スカートとヴェールを引きちぎったアーシャは…。「ぴゅ〜い」と口笛を吹き…、ぺぺに合図を送りました(ぺぺはどんなに離れてゆても心でアーシャの口笛を聞き取るのです)。

…そして、「カリフの剣」を引き抜き魔法の盾を構えて大きな声で名乗りました。

「私は、エスタハーンのアーシャ…!あなたの悪行を、…私は見逃してはおけません!!」

ボヘムは、よろめきながら立ち上がると…。優男だった表情が…、敵意と反感に醜くゆがみます。

…「おのれ〜、貴様が伝説の勇者と呼ばれるアーシャか!私の手で血祭りにあげてくれる、…そ〜すればあのザハスに代わって。聖なる山アルクロドは、私に支配されるのだ〜…!!」

ボヘムが呪文を唱えると…、大広間に魔法陣が浮かび上がりました。…そこから現れたのは、何とあのブラック・ドラゴンです!ブラック・ドラゴンは、…古に伝わる勇者ブックに倒されたドラゴンよりは、一回り小ぶりですが。それでも…、充分に危険な敵に違いありません。

「ボヘム、あなたがどんなモンスターを喚んでも…。私は背中を見せたりはしません、…さぁかかってらっしゃい!!」

 

 

アーシャ南の大陸に舞う その8

夜が明けて、…タマラン村の村長のおウチはすぐにアーシャの花嫁準備に使われました。…男性陣お断り、とゆ〜コトでホレロも村長もぺぺまでもが外に放り出されてしまいます。

「ど〜も…、これはタイヘンなコトになってしまった」

ホレロは、お気に入りのパイプを取り出すと火を点けました…。

「珍しい香りですな、…それはそ〜と。…まさか、アーシャさまはまだご結婚なされていますまいな」

村長は…、心配気にホレロに尋ねます。

「東の大陸で作られてる煙草でして、私のお気に入りなんです…。アーシャならまだですよ…、それが何かお気になるコトでも?」

…ぷかぷか煙を吐き出しながら、ホレロは答えました。

「ならゆいのです、…もしご結婚なさってゆるなら。いくら村の為とはゆえ、こんなコトはさせられませぬから…」

村長は…、安堵して胸を撫で下ろします。

「いやいや、むしろ想い人の一人もいなくては…。アーシャはゆい娘なのは間違いない、…伝説の勇者としての責任もある。…とはゆえ、ぺぺ何か知らないかい?」

「プイプイ?」

と、首を傾げたぺぺ…。

その時です…、村長のおウチから花嫁姿に身を包んだアーシャがしずしずと姿を現しました。

…「おぉ〜(プイプイ!!)!」

ホレロ、村長、ぺぺの三人は、…そのあまりの荘厳な美しさに声をあげます。

 

アーシャの花嫁姿のテーマ…

「東京は夜の七時(インストゥルメンタル)」 小西康陽

https://youtu.be/037NaO-yJdg

 

純白のドレス、花かんむり、手にしたブーケ、表情はヴェールで覆われてゆる為ハッキリしません…。

「ど〜ですかみなさん…、アーシャさまの花嫁姿は。…立派でしょう、これが本当のご結婚ならどんなによかったか」

アーシャの着つけた、…村長の奥さんがあとから出て来ました。

「アーシャさま、このドレスは特別に縫った品でして…。スカートの部分は…、力を込めれば引き裂けます。…決して、戦いのお邪魔にはなりません」

アーシャは、…コクンとうなずきます。

それからしばらくすると、モンスター達を引き連れた僧が…。

サイクロプスの引く車に乗って現れます…、村長と村長の奥さんは出迎えると。

…「これらの品々は、この村に古くから伝わる。遠い異国のモノでしてな、…ご結婚をお祝いして。引き出物として、花嫁に持たせたいと想います…。いえいえ花嫁は…、ボヘムさまをお慕いするあまり。…じかにお渡ししたいと、よろしいかな?」

僧は、…地面にツバを吐きました。

「勝手にしろ、ジジイ俺は忙しいんだ…!!時間を取らせるな…、さぁゆくぞソーナ!」

…村長と村長の奥さんは、こ〜してまんまとアーシャに。

愛用の「カリフの剣」と「魔法の盾」を持たせるのに、…成功したのです。

 

アーシャ南の大陸に舞う その7

アーシャ達は…、牛を引いた男にタマラン村の村長のおウチに案内されました。村長は、すでに白髪でしたがなかなかガッチリしたゆい体格です…。座敷の上座にあぐらをかく村長は、…アーシャにタマラン村の事情を打ち明けました。

…「このタマラン村を、災いが襲ったのが三年前」

村長は話し方こそボソボソしていますが…、その調子には毅然とした態度が見受けられます。

「この村から北西に進み、半日程ゆったトコロにある日突然塔が現れた…。塔は、…ねじくれていて先端に進むにつれ細くなってゆく。…私達は、それを竜の角のよ〜だと想った。塔の主はボヘム…、闇に堕落した僧だ」

アーシャは、とっさに港街ベリートでの戦いを思い出しました…。

「噂では、…ボヘムは元々ダオカーナ寺院で神さまに仕えていたらしい。…だが、ワレラ星人による"闇の誘惑"に勝てなかったのだろう。現在ではその手先となり…、このタマラン村にワレラ星人への供物を要求してゆる」

敵について少しでも知っておきたい、アーシャはそ〜想い質問します…。

「そのボヘムは、…どんな力を振るうのですか」

…村長はそのたくましい肩を落とし、うつむきました。

「魔法陣からモンスターを喚び出し…、意のままに操る。アーシャさま、あなたも知っておいでだろう…。このMWでは、…モンスター達は決して人間に悪意を持ってはいない。…モンスター達が暴れるのは、全てワレラ星人に操られてだから」

ぺぺは立ち上がって…、力を込めてうなずきます。

「プイプイ!!」

かつて、ワレラ星人に操られ"闇のしもべ"にされていた…。仲間のぺぺろぐぅ達を、…想ったのでした。

…「アーシャさま、是非我らが娘ソーナをお助け下さい!」

その時です…、いつの間にか村長のおウチの戸口の周りに出来てゆた人だかりから。

一組の夫婦が、アーシャの名を呼び訴えます…。

「タネシとフレルか、…まぁ入りなさい。…アーシャさまに、話を聞いてもらうとゆい」

夫婦は…、村長のおウチの座敷に上がると。涙を流しながら、アーシャに頭を下げました…。

「アーシャさま、…是非お聞き下さい!!…ボヘムはこれまで三年間、ずっとこのタマラン村に。無理な供物を捧げさせて来ました…、俺達はずっとそれに耐えてたんです。でも、今度ばかりは許せません…」

タネシは、…座敷のたたみをドスン!と叩きます。

…「ヤツは、私達の可愛い一人娘ソーナを。自分の妻として迎え入れるから差し出せ…、そ〜使いをよこしたのです!!逆らえばワレラ星人の呪いがある、そんな脅しと共に…。何とぞそのお力でソーナをお救い下さい、…アーシャさま!!」

…アーシャは、立ち上がって胸を張りその場にゆる全員に告げました。

「わかりました…、私は力の限りあなた達の為に戦います。私の戦いには、常に神さまのご加護があります…。闇に堕落したボヘムがどれだけのモンスターを操ろうと、…私は決して退きません!」

…村長のおウチの周りに集まってゆた人々は、一斉に歓喜につつまれます。しかし…、村長はフゥッとため息を吐きます。

「しかし、アーシャさまのお名前はあまりに知られ過ぎてゆる…。もし、…アーシャさまが戦いを挑めばボヘムは逃げ出してしまうかもわからん。…そして、アーシャさまがお去りになったら再び舞い戻ってくる。それでは同じコトの繰り返しだろう…、何の解決にもならない」

一人の若い娘が、声をあげタネシの胸に飛び込みました…。

「何かよい知恵をいただけませんでしょうか、…アーシャさま!!」

…「おぉソーナ、何てかわいそ〜な子だろう!!でも安心おし、…このアーシャさまは伝説の勇者だ。きっと、何とかして下さるから…」

ソーナを見たアーシャの頭の中に…、一つのアイディアが閃きます。…パッと見たトコロ、アーシャとソーナは年恰好が似てゆるそれなら。

「村長、…それならこんな案はいかがでしょう?ソーナさんの代わりに、別な若い娘を妻として捧げればよいのではないでしょうか…」

村長は…、びっくりたまげてひっくり返りそ〜になりました。

…「と、トンデモない!何と罰当たりなコトをおっしゃるのだ、…先程の勇気はど〜なされたのか?」

アーシャは、おしりをふると片目でウィンクします…。

「みなさん…、ど〜か勘違いなさらないで!!…妻として捧げられる別な娘とは、私です私♪」

アーシャ南の大陸に舞う その6

アーシャとぺぺは、ホレロに案内され港街ベリートを出て南に向かいます…。途中一晩野営し…、再び歩き続け現在は大きな森の中。…ホレロはらくだを引きながら、アーシャとぺぺを振り返りました。

「この森も、…も〜すぐだよ。その先には、タマラン村がある…。そこで…、少し休ませてもらおう」

…三人がしばらく歩くと、やがて森が切れそこには。

「うわぁ、…すご〜い!!」

「プイプイ…!」

田園風景が…、見渡す限り広がってゆます。…田んぼの中には、重そ〜に垂れるたわわに実った穂がいくつも。そして、…赤とんぼがそこら中を舞ってゆました。

「ホレロさん、これは何てゆ〜作物なんですか…?」

ホレロの帽子に…、赤とんぼが止まります。

…「アーシャ、これはね"イネ"だよ。垂れ下がった穂先についてゆる実の一つ一つが、…お米になるんだ。もちもちふっくらして、とても美味しいから…。タマラン村で…、食べさせてもらおうか?」

…その時アーシャの目に、田んぼに面した道を。向こうから、…牛を引いて歩いて来る男が見えました。

「きっと、実った"イネ"を刈り入れに来たんだろう…。でも…、それにしては元気が無いな」

…ホレロが口にするより早く、アーシャは牛を引く男に話しかけてゆます。

「お元気が無いよ〜に、…お見受け致しますが。もし私でお力になれるなら、何でもゆいつけで下さい…」

牛を引いた男は…、プイッとそっぽを向きました。

…「ダメだダメだ、おめぇさんみたいな。ひよわな女子じゃ、…こればっかりは手も足もでねぇよ!!兵士さん達が大勢、軍団ぐらいいねぇと…」

腰にさした剣を示しながら…、アーシャは牛を引いた男に名乗ります。

…「私は、エスタハーンのアーシャ。僭越ながら、…伝説の勇者と呼ばれてる者です」

牛を引いた男は、笑いをこらえませんでした…。

「笑かすでねぇ…、こ〜んなべっぴんな女子が伝説の勇者だってのかい!?…それなら、オラのがなんぼか強いだよ」

アーシャは、…正直ゆってカチンと来ます。

「じゃあオジさん、その手にしている杖で私を打ってみて下さい…。私は…、素手でお相手しますから」

…牛を引いた男も、ナめられたと思ったのでしょう。ムッとした様子で、…持ってる杖を振り上げました。

「そこまでゆ〜なら、オラ今むしゃくしゃしてるだ…。この杖で…、その可愛らしいツラをちょいと引っ叩かせてもらうだよ!!」

…そ〜ゆうと、牛を引いた男は力任せに杖を叩きつけます。

「アーシャ、…危ない!」

ホレロは、思わず声を出しました…。しかし…、アーシャは片手で二の腕の外側骨の硬いトコロを杖にぶつけると。…そのまま、杖を持つ腕にするすると絡みつき。すぐさま、…牛を引いた男を組み伏せてしまいます。

「まいった、降参だべ…」

アーシャはすぐに体を引き離し…、牛を引いた男を自由にしてあげました。

…「あんれまぁ、何て力の強い女子だ!!これなら、…もしかいしたらオラの村を救ってくれるかもわからんな!」

アーシャは、…にっこり笑うと頭を下げます。

「ごめんなさい痛くなかったですか、力ではないんです体術で…」