西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その11

「何ィ〜敗走しただと、…それなら虎徹将軍はど〜した!!?」

…ここは蓮華洞、金角・銀角両大王は逃げ帰った妖怪から報告を受けました。

「それは…、三蔵法師のお供の一匹である。孫悟空がどこからともなく取り出した、とてつもなく大きいこん棒の一撃を受けられ…。あとからやって来た、…天の軍隊に捕らえられてございます」

…金角・銀角両大王に、恐れひれ伏し顔をあげられない手下の妖怪。

「フン…、どちらにせよお前らの命などど〜でもい〜コトだ。それよりも、芭蕉扇は持ち帰ったのだろ〜な、もしあれを失ったとゆ〜なら…」

手下の妖怪は、…ビクッとして芭蕉扇を差し出します。

…「将軍一体と兵50を出動させて、戻って来たのはたったの5体。ど〜するのだ兄者…、次は倍の数でゆくか?」

銀角大王は、手下の妖怪から芭蕉扇を納めました…。

「いや、…それではジリ貧になってしまう。…三蔵法師の三匹のお供は、噂に違わず相当手強いよ〜だな。力で押しても通用すまい…、将軍と兵を無駄に失うだけだ」

蓮華洞の中の、手下の妖怪達をへいげいする金角大王…。

「弟よここはな、…一つ知恵でゆこ〜じゃないか?…妖女を用いるのだ、あの三蔵法師を誘惑してたらし込ませる」

金角大王の意図に気づき…、銀角大王は高笑いします。

「そ〜か兄者、あいつの化け術を使わせるのだな…!」

金角大王も、…銀角大王にニヤッとしました。

…「そ〜だ弟、あいつならば三蔵法師のよ〜な朴念仁の。懐にも…、うまく入り込むだろ〜よ。我が妹じょうろを呼べ、出来る限り早急にな…!!」

ヒリついた緊張感を背に、…伝令の妖怪は走り出します。

…「なぁ兄者、アイツらまた攻めて来るかな?」

こちらは…、平頂山を登る三蔵法師一行。猪八戒は、先頭を進む孫悟空に心配そ〜に質問しました…。

「そりゃあ、…当然だろ〜な。…さっきの戦いは様子見だ、妖怪が兵を何体出したのかハッキリ確認出来なかったが」

退屈そ〜に…、如意棒をくるくる回す孫悟空

「お前の報告じゃ、…30体はいたんだろ…?…それなら妖怪は、全体で兵200を下るコトはあるまい。まだまだ…、妖怪の方が優勢なのさ」

沙悟浄が、三蔵法師の竜馬の後ろから口を挟みます…。

「フツーに考えれば、…次は数を増やすだろうね。…だんだんと、戦いは激しくなる」

はなくそをほじる…、孫悟空

「それなら、ハナシはラクなんだ…。相手は一回々々数を増やす、…こちらは一少しずつ撃退する。…もしそ〜なら、大して苦労もせず妖怪は全滅だわな」

孫悟空のモノゆいに…、煮え切らなさを感じる三蔵法師

「つまりあなたは、妖怪達は"何か“手を変えてくると…。計略を用いるとか、…そ〜ゆいたいのかね悟空」

孫悟空は、はなくそを飛ばしました…。

「現在の段階では何ともゆえません、…芭蕉扇の力で火攻めにして来るとか。…やり方は、いろいろ考えられます。ただ…、金角・銀角両大王は。天から、宝物を三つも盗み出した抜け目の無い妖怪です…。必ず、…何かしら企んで来るでしょう。…お師匠さま、戦いの基本は敵を侮らないコト。常に相手は自分より手強いと想定する…、それで初めて勝てる可能性が芽生えるってなモンなんですから」

みんな改めて、気持ちを引き締める三蔵法師一行だったのです…。