再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その6

今日の良太は、…夏期講習の授業が始まる。…10分前には着席してゆた、5分後には勝美もやって来る。

「おはよう…、勝美さん」

「おはようございます…」

会話はそれだけである、…そして英語の授業が始まった。…真面目に授業を受ける、今日の良太である。1時間半はすぐに経ち…、5分のやすみ時間。

「勝美さん、今日も一緒にお昼いかない…?おれ、…お袋に頼んでお弁当作ってもらったよ」

…静かにうなずく勝美、だがやはりそれ以上は口にしない。やがても〜1時間半が経ち…、良太が待ちに待ったお昼やすみだ。テキストやノートを片づけ、また二人で人気の無い公園へと向かう…。

「勝美さん、…部活は何か演ってた?」

…昨日と同じ、公園の中央にすえられてゆるベンチに座った二人。

「テニス部だったんです…、でも私運動は全然ダメで。いつも一回戦負け、でも一度だけ二回戦に進めました…」

お弁当の包みの、…結び目を解く勝美。

…「ゆい体つきですよね良太さん、何の部活なさってたんですか?」

良太のお弁当は…、勝美の3倍はある。お母さん特製の、親子丼である…。

「おれ、…柔道部だったんだ。…ウチの学校は、柔道部強くて。まぁそれで…、選んだんだけれども。おれ、県大会で準々決勝までゆったんだよ…」

良太が自覚出来る、…数少ない過去の誇りだ。…勝美も驚いてるよ〜で、してやったりの良太である。

…「大学も、柔道部の強さで選ぶんですか?」

親子丼をかき込む…、良太の手が止まった。良太は、うつむいてやがて語り始める…。

「柔道は、…も〜ゆいんだ。…おれ、高校最後の県大会で準々決勝まで進んだ。でも…、そこで初めて。試合で、投げられて一本負けしたのさ…」

無性にのどが渇き、…500mℓのペット・ボトルに入った。…お〜いお茶を、ごくごく飲む良太。

「おれに勝った、…そいつはそのまま。…全国大会にいったよ、そりゃそ〜だろ〜。動きがまるで違う…、技の動きの始まりが。全く見えなかった、あれは練習じゃど〜にもならない…。ま、…才能ってヤツだね」

…もぐもぐ梅干しをかみ、飲み込むと勝美はゆった。

「大学では…、何をなさるんですか良太さん?」

それはコッチが聞きたいコトだよ、良太は思った…。

「まだ決まってない、…自分が何をしたいのかわからないから」

…勝美はそんな良太を心配そ〜に見詰め、しばらく考えてから口を開く。

「部活動をそんなにがんばってたんですから…、大丈夫ですよ。良太さんは、きっとまた"何か"に一生懸命打ち込まれると想います…」

あぁ気持ちが伝わってるな、…良太はそ〜実感した。…良太が、うまくまとめられない。自分の気持ちの…、切れぎれになった断片が。勝美を通じて、一つにまとまってゆく気がするのだ…。

明日は、…必ず勝美の将来の希望を聞こうと思う。…今日は、も〜お昼やすみも終わりだから。そしたら決めよ〜…、と考えていた。