再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その5

「そろそろだな…、ゆくか」

夕方17:00を回った頃、予備校の復習をしてゆた良太は…。ジーンズからジャージに履きかえ、…一階に降り麦茶を一杯飲むと外に出る。

…「いっちに〜、さんし〜」

5分ぐらい準備運動すると…、陽が傾く中駆け出した。最初は、ゆっくりから…。走りながら、…勝美を思い出す良太。

…「勝美さん、可愛いなぁ」

季節は夏だから…、すぐに汗が吹き出して来る。古利根川まで走って来ると、橋を渡り北上した…。夏のランニングが、…良太はどちらかとゆ〜と好きである。…むしむしした暑さのさ中、汗をダラダラ流しながら走ってると。「走ってるな」とゆ〜実感が湧き…、むしろ興奮するとゆっても過言ではない。

(今頃何してるだろ〜、勝美さんは…)

木に留まったセミが、…ジージー泣いていた。…もしかしたら、勝美さんは家族の夕ごはんとかも作るのかも知れない。だとしたらきっと…、今頃キッチンに立ってゆるだろ〜。あんなゆい娘の、お父さんとお母さんは…。どんなに立派で、…幸せな家族だろ〜。

…再び古利根川の橋を渡り、今度は南下する。

(どこの大学狙ってるんだろ…、将来の夢はあるのかな)

それを思うと、良太の気分は少し沈んだ…。他人のコトを、…ど〜こ〜ゆってる場合ではない。…良太自身に、将来の希望がないのだから。どこかの会社に勤めるのだろ〜が…、どこかに勤めてゆる自分をイメージ出来ない。

流れる汗を、首にかけたタオルで拭う…。

(勝美さんが付き合ってくれるとしたら、…それに相応しい魅力がなくっちゃ)

…強くはないが、南風だから逆風であった。良太は、自分に他人を惹きつける「何か」があるとは考えられない。今のトコロ…、スーパー・ファミコンだけが唯一の趣味である。ファッションにも詳しいハズもなく、去年初めてジーンズ・メイトにゆった…。

「さぁゆくぞ、…ラスト・スパートだ」

…100mをダッシュで駆け抜け、残り10分は歩いて帰宅する都合45分だ。家に着くと…、再び麦茶を一杯飲み干し。部屋へ戻る、一つ6kgのダンベルを両手に持ち…。片方ずつ、…交互に引きあげた。

…とても見込みがあるとは思えない恋愛だったが、もし自分に恋人が出来るとすれば。それは勝美さんに違いない…、と良太の心のどこかが告げてゆる。良太は、まだ女性とお付き合いした経験はない…。高校に通ってた頃、…一部のクラス・メイトはそ〜ゆう話に夢中だったが。…特に好きだった娘がいるワケでもなく、縁が無かった。

ダンベルあげで…、二の腕、背中、肩を鍛えると。今度は、腕立て伏せを始める…。

中学生だった頃、…同じクラスに憧れていた娘ならゆた。…クラスの委員長で、勉強もスポーツも抜群だった女の子である。

(まぁ…、あれは恋愛とは)

良太も、当然自分でわかっていた…。成績優秀でスポーツ万能とゆ〜、…彼女を取り巻く環境に幼く憧れただけである。

…腹筋、背筋を終え、最後はスクワットこちらも45分。そのあとに、ストレッチ体を休めたら。一階から…、何やら美味しそ〜な香りが漂って来てゆる。そしたら、夕ごはんだ…。