再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その43

「良太くん今日はど〜もありがとう…、とっても楽しかった」

春日部のJazz・バー「Marble」を出ると、勝美は良太にお礼をゆ〜…。

良太は3ヶ月経って、…ようやく「勝美を"Marble"に連れてゆく」とゆ〜約束を果たした。

…「生のJazzを聴くの、本当に久し振りなんです。子供の頃お父さんに…、東京までJazzフェスに連れてゆってもらって以来でしたから」

もちろんだが、良太は宣言した通り…。全額おごった、…二人で25000円は良太にとって。…決して安い金額ではないが。

「また機会を見つけて来よ〜ね…、おれも二回目だけどやっぱりよかったから」

しかし、それでも勝美さんに悦んでもらう為なら…。仕方がないと良太は考えた、…自分は男なんだ。…男はこらえなくちゃダメだ、それが良太の想う「男らしさ」である。

それから次の週…、良太が次のデートど〜するか?勝美に電話を入れると。

「今度のデートは、良太くんのおウチにしませんか…?また、…ゆっくりJazzでも聴きましょ〜」

…と、勝美はゆった。珍しいコトもあるなぁ…、それが良太の感想である。これまで勝美は、デートのゆき先についてほとんど口を挟んだ試しがなかった…。

「おれはそれでゆいよ、…じゃあウチにおいで」

…良太には反対する理由がないから、それで決まる。

そして…、デート当日。自宅から最寄り駅の姫宮まで、良太が迎えにいくと…。勝美は、…ずい分大きなトート・バッグを下げてゆた。

…「あれ勝美さん、やけに大きな荷物だね。レコードでも持って来たの…、何にせよおれが持つよ」

勝美のお荷物を、手にするとずっしり重い…。何だろ〜か?、…とあれこれ想像してみても中身はまるでわからなかった。…良太のおウチに着くと、勝美はお荷物を開けるよ〜促す。

「わっやった…、おはぎだ」

勝美の大きなトート・バッグには、山盛りのおはぎが詰め込まれていたのだ…。

「私、…良太くんのお母さんにお聞きしたんです。…"良太くんのイチバン好きな食べモノは何ですか"、って。そしたら…、"おはぎよ"と仰ったので」

良太は、山盛りのおはぎを一つ手に取ると…。パクッと、…いただく。

…「うんそ〜なんだ、昔まだば〜ちゃんが生きてた頃。遊びにゆくと必ず…、おはぎをおなかいっぱい食べさせてくれたんだ。それがおれ、いつも愉しみでね…」

うつむいた勝美は、…涙をこぼした。

…「ごめんなさい、良太くん。私のわがままで…、"Marble"でのお金全部払ってもらっちゃって」

ちゃぶ台のうえに、おはぎを広げた良太は…。次から次に、…パクパク食べ続ける。

…「そんなん、気にしなくてゆいんだから。勝美さん楽しかったでしょ…、おれにとってはそれが何より何より。それにしても美味いおはぎだ、ば〜ちゃんの味を思い出すなぁ…。ほら、…勝美さんも食べたらゆいよ」

…良太は口の周りにあんをつけながら、無心におはぎをほおばった。