勝美さんの作ってくれた、山盛りのおはぎは…。結局良太も…、一度には食べ切れなかったので。…良太のおウチの冷蔵庫にしまわれる、良太のお父さんとお母さんも。勝美さんのおはぎを二、三食べてみて、…「勝美さんはたいそうなお料理上手だな」と納得してくれた。
さてその晩、翌日はまた「コーヒー庵」に出勤なので…。夜10:00には…、お布団の中に入る良太。
…「明日になれば、また勝美さんのおはぎが食べられるぞぅ」
そ〜良太は、…ウキウキしながら横になる。ところがおはぎを食べたせいか、うとうとしながら良太には亡くなったば〜ちゃんが思い出された…。
良太のお母さんは…、良太が子供の頃。…甘いモノに限らず、お菓子の類を与えるのをイヤがった。それは、…「体に悪いから」とゆ〜理由があってなのだが。とはゆえ、良太だって子供である…。やっぱり…、甘いモノの一つも欲しかった。
…「良ちゃんは、何か食べたいモノあるかい?」
良太がお父さんとお母さんと、…ば〜ちゃん家にいく前の晩。電話で受話器越しに、ば〜ちゃんは良太に尋ねる…。
「おれ…、何でも甘いモン食いてぇなば〜ちゃん」
…そ〜ねだる良太に代わって、お母さんがば〜ちゃんに釘を刺した。
「お母さん、…良太にあんまりお菓子なんかあげないでくださいね。添加物とか何とか、何が入ってるかわからないから…」
それなら…、とば〜ちゃんはおはぎをた〜っくさん手作りして用意したのである。…お父さんに似て、良太は子供の頃から体格がよかったから。それはそれは、…ば〜ちゃんのおはぎをよく食べた。その一件以来、ば〜ちゃんは良太が遊びに来る度…。うんとおはぎを作って…、振る舞ってくれたのである。
…「良ちゃん、おなかいっぱいになったら。伸ちゃんとファミコンしておいで、…スーパー何とかブラザーがあるから」
ば〜ちゃんは、お母さんの弟さんと一緒に住んでゆた…。そしてお母さんの弟さんには…、良太と歳の近い。…伸ちゃんとゆ〜子供がいて、伸ちゃんはファミコンを持っている。良太だってもちろんファミコン好きなのだが、…やはりお母さんが。「目に悪いでしょ」、と買ってもらえなかった…。
「良太…、ファミコンは一日一時間よ。…お母さん、良太を甘やかしちゃ困ります」
…お母さんは気をもんだよ〜だが、ば〜ちゃんはとゆえば。
「たまにはゆいじゃないか、…良ちゃん好きなだけ遊んでおゆき」
と、気楽に構えてゆる…。つけ加えるなら…、良太は食べる量も人の倍だが。…体を動かすのも大好きなので、お母さんが心配するまでもなく。一時間経たずに、…ファミコンに飽きて。伸ちゃんを引き連れ、表に遊びにいってしまうのだった…。
「ば〜ちゃんは…、現在どこにゆるんだろ〜?」
…お葬式の時のお坊さんは、「人間は死んだら犬やトンボそれにすすきみたいな自然の生き物に生まれ変わって」「また人間として生まれて来るのを待つんだ」、…とゆっていたのを思い出す。ば〜ちゃんは、良太に…。「良ちゃんがお勤めしたら…、その初めてのお給料でば〜ちゃんに"何か"美味しいモノをごちそうしておくれ」…と語ってゆた、それが果たせなかったのは良太には悔いである。
(ば〜ちゃんのシアワセの為に、…おれに出来るコトはないだろ〜か?)
良太はうつ伏せになって、両ひじを突き…。上半身を起こすと…、「セブン・スター」に火を点けた。…すると、一つの考えがまとまる。
「そ〜だ、…介護だ」
ば〜ちゃんが、既に亡くなってしまったのなら…。他の人のば〜ちゃんに孝行すればゆい…、ば〜ちゃんにしてあげられなかった色々を。…よそのば〜ちゃんにしてあげれば、おれの気持ちは充たされるに違いない。そ〜、…良太は考えた。