どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その9

戦士クリムと神官マルミは話し合い、…二人で一緒に旅をするコトに決めます。…二人は歩いてカトレム川を北上し、橋を渡ってコラヌワ地方に入りました。

「あのさマルミ…、巫女と神官って何が違うのかな?」

丁寧に説明する、神官マルミ…。

「巫女さまは、…神官よりも位階がうえなんですよ。…祈りを捧げねこ女神"オー・ラロル"さまの、ご神託を受け取られるのが巫女さまで。それを私達神官が…、み教えとしてみなさまに伝えるんです」

戦士クリムにとっては、ちょっと意外です…。

「へー、…サヘラってそんな偉かったんだ」

…二人が旅人の道を歩いて進むと、だんだん辺りが暗くなって参りました。宿の取れる街や村は近くには見当たりません…、神官マルミは野営を提案します。戦士クリムも賛成です、夜道にはどんな魔物が潜んでるかわかりません…。

「そ〜だね、…も〜今日はこの辺で休むとしよ〜」

…テントを張る戦士クリムと、火を起こして夕ごはんの準備をする神官マルミ。今日の夕ごはんは…、マルミ特製の「手作り」カレーでした。ほっかほかのカレー・ライスを、戦士クリムはスプーンで口に運びます…。

「うん、…こりゃあ美味しいっ!!」

…にっこり笑顔の、神官マルミ。

「それなら…、よかったです」

あっとゆ〜間にたいらげて、戦士クリムはおかわりしました…。

「マルミは、…お料理じょうずなんだねぇ」

…照れながら、神官マルミは美味しさの秘密を教えてくれます。

「このカレーには…、ほんのわずかですケド隠し味にチョコが入ってるんです。それで、コクが出るんですよ…」

その時、…テントの方から何やら物音がゴソゴソ聞こえました。

…「誰だ、そこで何やってる!」

カレー・ライスのお皿を地面に置くと…、戦士クリムは叫びます。するとテントの方から、ヒソヒソ話す声が聞こえました…。

「マズいにゃ〜」

「見つかったにゃ!!」

「ズラかるにゃん!」

暗くてよく見えませんが、…だいたい三人ぐらいの人影が走り去ろ〜としてゆます。

…「待てっどろぼう、逃さないぞ!!」

戦士クリムは運動神経バツグンですから…、かけっこだってお手のモノ(足ですが)。

すぐに追いついて、一人にタックルを仕かけました…。

「ボスぅ〜、…捕まったにゃあ」

…残りの二人が、うしろを振り返ります。

「ボス…、早く逃げましょ〜にゃ」

「しかし仲間は見捨てられんにゃから、しょーがない…」

立ちあがって、…先に名乗る戦士クリム。

…「ぼくはキトランの村の戦士クリム、お前達一体何モノだ!?」

三人のどろぼうは…、観音開きにポジションを取ると。

「よくぞ、よくぞよくぞ聞いてくれたんにゃ、ボス、カンちゃん…!!」

「手下1号、…チィちゃん」

…「手下2号、ミィちゃん」

三人で声をそろえて両手を開き…、バッチリポーズを決めます。

「にゃんにゃにゃ〜ん、われら世界をまたにかける…。悪党、…盗賊一味の"うひょねこ団にゃ〜!」

…戦士クリムは、呆れてしまってモノもゆえません。

「ハッハッハ…、恐れ入ったかにゃ?」

無言でげんこつを振りあげる、戦士クリム…。

カンちゃんは、…ビクッととしてヒラ謝りでした。

…「す、すまんにゃ。その代わりとゆっちゃ何にゃが、…ゆいお話があるにゃんよ?」

あとからゆっくり走って来た…、神官マルミがとりなします。

「せっかくですから、クリムさんお話だけでもうかがってみませんか…?」

戦士クリムが振りあげたげんこつを下ろすのを確認すると、…「うひょねこ団」の三人もホッと一息でした。