戦士クリムと神官マルミは話し合い、…二人で一緒に旅をするコトに決めます。…二人は歩いてカトレム川を北上し、橋を渡ってコラヌワ地方に入りました。
「あのさマルミ…、巫女と神官って何が違うのかな?」
丁寧に説明する、神官マルミ…。
「巫女さまは、…神官よりも位階がうえなんですよ。…祈りを捧げねこ女神"オー・ラロル"さまの、ご神託を受け取られるのが巫女さまで。それを私達神官が…、み教えとしてみなさまに伝えるんです」
戦士クリムにとっては、ちょっと意外です…。
「へー、…サヘラってそんな偉かったんだ」
…二人が旅人の道を歩いて進むと、だんだん辺りが暗くなって参りました。宿の取れる街や村は近くには見当たりません…、神官マルミは野営を提案します。戦士クリムも賛成です、夜道にはどんな魔物が潜んでるかわかりません…。
「そ〜だね、…も〜今日はこの辺で休むとしよ〜」
…テントを張る戦士クリムと、火を起こして夕ごはんの準備をする神官マルミ。今日の夕ごはんは…、マルミ特製の「手作り」カレーでした。ほっかほかのカレー・ライスを、戦士クリムはスプーンで口に運びます…。
「うん、…こりゃあ美味しいっ!!」
…にっこり笑顔の、神官マルミ。
「それなら…、よかったです」
あっとゆ〜間にたいらげて、戦士クリムはおかわりしました…。
「マルミは、…お料理じょうずなんだねぇ」
…照れながら、神官マルミは美味しさの秘密を教えてくれます。
「このカレーには…、ほんのわずかですケド隠し味にチョコが入ってるんです。それで、コクが出るんですよ…」
その時、…テントの方から何やら物音がゴソゴソ聞こえました。
…「誰だ、そこで何やってる!」
カレー・ライスのお皿を地面に置くと…、戦士クリムは叫びます。するとテントの方から、ヒソヒソ話す声が聞こえました…。
「マズいにゃ〜」
「見つかったにゃ!!」
「ズラかるにゃん!」
暗くてよく見えませんが、…だいたい三人ぐらいの人影が走り去ろ〜としてゆます。
…「待てっどろぼう、逃さないぞ!!」
戦士クリムは運動神経バツグンですから…、かけっこだってお手のモノ(足ですが)。
すぐに追いついて、一人にタックルを仕かけました…。
「ボスぅ〜、…捕まったにゃあ」
…残りの二人が、うしろを振り返ります。
「ボス…、早く逃げましょ〜にゃ」
「しかし仲間は見捨てられんにゃから、しょーがない…」
立ちあがって、…先に名乗る戦士クリム。
…「ぼくはキトランの村の戦士クリム、お前達一体何モノだ!?」
三人のどろぼうは…、観音開きにポジションを取ると。
「よくぞ、よくぞよくぞ聞いてくれたんにゃ、ボス、カンちゃん…!!」
「手下1号、…チィちゃん」
…「手下2号、ミィちゃん」
三人で声をそろえて両手を開き…、バッチリポーズを決めます。
「にゃんにゃにゃ〜ん、われら世界をまたにかける…。悪党、…盗賊一味の"うひょねこ団にゃ〜!」
…戦士クリムは、呆れてしまってモノもゆえません。
「ハッハッハ…、恐れ入ったかにゃ?」
無言でげんこつを振りあげる、戦士クリム…。
カンちゃんは、…ビクッととしてヒラ謝りでした。
…「す、すまんにゃ。その代わりとゆっちゃ何にゃが、…ゆいお話があるにゃんよ?」
あとからゆっくり走って来た…、神官マルミがとりなします。
「せっかくですから、クリムさんお話だけでもうかがってみませんか…?」
戦士クリムが振りあげたげんこつを下ろすのを確認すると、…「うひょねこ団」の三人もホッと一息でした。