「やったにゃ、これで海賊のお宝は全部"うひょねこ団"のモノにゃ〜…!!」
「ボス…、袋を用意しましたにゃん」
…「早くいただきましょ〜にゃ!」
とんでもなく大きな麻袋に、…「うひょねこ団」は海賊の財宝をこれでもかと放り込みます。にやけっ放しの、盗賊カンちゃん…。
「この海賊の財宝…、みんな売り払って。…ハリウッド・セレブもビックリの、プールつき大々々豪邸に住むにゃん」
チィちゃんとミィちゃんも、…海賊の財宝を袋に詰めるのに夢中でした。
「ボス、テニス・コートもつけるにゃ〜…!!」
「おまんじゅう…、100万個食べたいにゃん!」
…一方の戦士クリムは、これまでずっと一緒だった「どう?の剣」をしみじみ眺めてゆます。
「"どう?の剣"くん、…今までありがと〜。ツラい時も苦しい時も、共に戦って来たよね…」
そんな戦士クリムに…、神官マルミは穏やかに微笑みかけました。
…「よほどその剣に、愛着が湧いてるんですね。それだけ大切にされれば、…きっと本望ですよ」
照れたよ〜に笑う、戦士クリム…。
「うん…、そ〜だとゆいな」
…荷物の中に、戦士クリムは「どう?の剣」をしまいます。
「さクリムさん、…"はにゃ〜ぶさの剣"があなたを待ってますよ」
神官マルミは、「はにゃ〜ぶさの剣」に戦士クリムを促しました…。
「うん…、そ〜だね楽しみだな!!」
…足元に気をつけながら、戦士クリムは財宝の山を登っていきます。財宝の山の頂点に突き刺さる「はにゃ〜ぶさの剣」を、…戦士クリムは勢いよく引き抜きました。
「"はにゃ〜ぶさの剣"くん、これからよろしくね…!」
戦士クリムは…、「はにゃ〜ぶさの剣」を天高く掲げます。…そんな戦士クリムに、神官マルミはちいさな拍手を送りました。
ところが突如ゴ・ゴ・ゴと地響きが鳴り始め、…何と海賊船は沈みだしたではありませんか。
慌てて財宝の山を滑り降りる、戦士クリム…。
「マルミ急ご〜…、早くロープを登らないと間に合わなくなる!!」
…神官マルミは、てのひらをポンッと叩きます。
「クリムさん、…ダークエルフ・シスターズの乗って来た。怪鳥クックーシカがいるじゃありませんか、あれに乗って脱出しましょ〜…!」
大きくうなずく戦士クリム…、神官マルミと共に怪鳥クックーシカの一羽に乗りました。
…「"うひょねこ団欲張ってると危険だよ、早くクックーシカに乗るんだ」
海賊の財宝でいっぱいになった、…麻袋を持ちあげよ〜と「うひょねこ団」はがんばりましたが。詰め込みすぎたせいか、持ちあげるのはおろかビクともしません…。
「ボス…、お宝はも〜諦めるんにゃ!!」
…「生命あっての、物種にゃんか!」
チィちゃんとミィちゃんに説得されて、…盗賊カンちゃんもよ〜やくはらをくくります。
「えぇ〜いも〜しょ〜がにゃい、"うひょねこ団"撤収にゃ…」
海賊船は…、既に音を立てて崩れ始めてゆました。…「うひょねこ団」は何とか、も〜一羽の怪鳥クックーシカに辿り着きます。「うひょねこ団」がも〜一羽の怪鳥クックーシカに乗るのを確認すると、…戦士クリムは手綱を引きます。
「はいどうっ、いくんだクックーシカ…!!」
その巨大な翼を広げ…、怪鳥クックーシカは羽ばたきました。…二羽の怪鳥クックーシカが、海に沈も〜とする海賊船から離れ洞窟の中を飛翔します。
「ふうっ、…間一髪だったね」
大きなため息を吐く、戦士クリム…。
「本当に…、ど〜なるかと想いましたけれど」
…神官マルミも、一安心したよ〜でした。
「お宝がプールつきの豪邸が、…みんなみんな海の中にゃ〜!」
海賊船が沈んでいく地響きに混ざって、盗賊カンちゃんの絶叫がこだまします…。
「まぁ…、しょ〜がないにゃ」
…「あきらめが肝心にゃん」
特に気にする様子もない、…チィちゃんとミィちゃん。
「あっ、2人共それは何にゃ…?」
それもそのハズ…、チィちゃんはダイヤモンドのネックレスを。…ミィちゃんはエメラルドとルビーの指輪を、それぞれくすねてゆたのですから。