どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その20

勇者のパーティをその背に乗せた、…二羽の怪鳥クックーシカは。…大きな翼を広げ、ゆったりと海岸線を流してゆます。大きなため息を吐く…、盗賊カンちゃん。

「はぁ〜結局終わってみれば、全て骨折り損にゃあ〜…」

クックーシカの一羽の手綱を取る盗賊カンちゃんは、…サメザメと涙を流しました。…そんな盗賊カンちゃんの様子を見て、戦士クリムと神官マルミは何とか励ましたいと。想いましたが…、かける言葉が見当たりません。と突然、チィちゃんとミィちゃんが思わぬ発見をします…。

「あ、…ラーメン屋さんにゃん!!」

…「おなか減ったにゃ、食べたいにゃんボス!」

しかしそれを聞いても…、盗賊カンちゃんはどこか遠くを見詰めていました。戦士クリムはこれを、「チャンスだ」と捉えます…。「元気の出ない時は美味しいモノを食べるのが何より」、…と考えたからでした。

…「カンちゃん、クックーシカを降ろそ〜。ぼくもおなか空いた…、あそこで夕ごはんにしよ〜」

ハッと我に帰った、盗賊カンちゃんは…。

「にゃにを、…のんきなコトを」

…とつぶやきますが、戦士クリムの意見に従いクックーシカをラーメン屋さんの前に着陸させます。ラーメン屋さんの名前は…、「福々軒」5人がのれんをくぐると、「はいらっしゃい!!」と威勢のゆい声が響きました…。戦士クリムは、…チャーシューメン大盛り二人前。…神官マルミは、チャーハン(小)サイズ。盗賊カンちゃんは…、麻婆豆腐定食。チィちゃんとミィちゃんは、2人で味噌ラーメン一人前です…。テーブルに突っ伏して、…お経のよ〜にブツブツ唱える盗賊カンちゃん。

…「何であの時、初めからクックーシカに。海賊のお宝を積まなかったんにゃ…、なんでにゃろなんでにゃろ」

戦士クリムと神官マルミは、あまりに気落ちする…。盗賊カンちゃんを、…何とか励まそ〜としました。

…「どっちにしたって、あんなにたくさんの財宝は運び出せなかったよ」

「そ〜です…、みんな無事だったんですから何よりじゃありませんか」

そ〜こ〜する間に、注文した料理が次々と運ばれて来ました…。

「カンちゃんほら料理が運ばれて来たよ、…いただきま〜す!」

…チャーシューメンを一気にズルズルっとすする、戦士クリム。

「んっ…、こりゃ美味しいぞ!!」

神官マルミも、チャーハンを口に運びます…。

「ホンット、…いい塩梅の味加減ですね」

…チィちゃんとミイちゃんも、お汁を少しこぼしながら。味噌ラーメンを自分のお椀によそって…、食べ始めました。

「美味いっ、にゃん…!!」

「ボスも食べてみるにゃ、…美味しいんにゃから」

…盗賊カンちゃんもブツブツゆいながら、麻婆豆腐定食にれんげを伸ばします。

「ん…、こ、こりゃ美味いにゃ!」

本当は、おなかがペコペコだった盗賊カンちゃん…。も〜夢中になって、…アッとゆ〜間に麻婆豆腐定食をたいらげてしまいました。…そして盗賊カンちゃんは、シアワセそ〜におなかをポンッと叩きます。

「まぁ…、過ぎたコトにくよくよしても始まらにゃんから」

そんな盗賊カンちゃんを、チィちゃんとミィちゃんもはやします…。

「ボス、…そ〜にゃんにゃ。…次のお宝が、"うひょねこ団“を待ってるんにゃ!!」

「そ〜にゃそ〜にゃ…、次のターゲットは何にゃボス!?」

イスをガタンと倒し、盗賊カンちゃんは立ちあがりました…。

「そ〜にゃ、…我ら"うひょねこ団"の本当の狙いは。…伝説の秘宝"オーマ・ノ・マグロ"、"オーマ・ノ・マグロ"を手にするその日まで。豪邸にゃんかに…、住んでる場合じゃないんにゃ〜!!」

パチパチ拍手して、チィちゃんとミィちゃんは盗賊カンちゃんをホめそやします…。

「"オーマ・ノ・マグロ"の、…解体ショーを演るんにゃ!」

…「ホントに、おまんじゅうより美味しいのかにゃあ?」

がま口から3人分のお勘定を取り出し…、盗賊カンちゃんはテーブルのうえに置きました。

「チィちゃんミィちゃん、さぁゆくにゃ…。一日も早く、…"オーマ・ノ・マグロ"を独占してこそ。…"うひょねこ団"は、世界一の悪党と呼ばれるに相応しくなるんにゃ!!」

チィちゃんとミィちゃんも…、席を立って盗賊カンちゃんに続きます。戦士クリムと神官マルミを振り返る、盗賊カンちゃん…。

「クリム、マルミ、…まぁ世話になったとゆ〜か。…お世話したんにゃ、お礼ではにゃいが。"うひょねこ団"手下3号と4号の地位は…、空けといてにゃるんにゃ。もし食っていけなくにゃったら、手下ににゃったらゆいにゃ…。それではさらばにゃ、…にゃ〜にゃっにゃっにゃ!」

…調子のゆいコトばかり吹いて去った盗賊カンちゃんに、戦士クリムと神官マルミは顔を見合わせて笑いました。