時は…、良太が「コーヒー庵」でアルバイトしてた頃にさかのぼる。ある日の「コーヒー庵」に、若いお父さんとお母さん…。それに小学校あがる前ぐらいのお兄ちゃんとさらに幼い弟さんからなる、…一家4人連れのお客さんが入店された。
…「いらっしゃいませ、4名さまですか?」
時刻は午後二時過ぎで…、正社員の伊藤さんはお昼やすみである。良太はメニュー表を取り出すと、テーブル席にご案内する…。お父さんとお母さんがメニューをご覧になる間に、…幼児用のイスを用意したりしてご注文を受けた。
…「繰り返させていたただきます、お飲み物は。ほどよいバランスのコーヒーお一つミルク・ティーお一つ、それからコーラがお一つ。お食事がミックス・ピザお一つスパゲッティ・カルボナーラお一つ…、そしてお子さまランチお一つですね?」
若いお母さんは思い出したよ〜に、良太に注文をつけ加える…。
「コーラはストロー二つと、…あと取り皿を一つ下さい。
…慣れてゆたから、すぐに察する良太だ。
(あぁそ〜か…、お兄ちゃんは1人でお子さまランチ食べられるけれど。弟さんは、まだお母さんと一緒なんだな…)
良太はうなずいて、…メニュー表を片づけた。
…「良太、ミックス・ピザ出るぞ」
しばらく経ち…、お飲み物やお料理を運ぶ良太。
(仲のゆい一家だな…)
その姿は、…自然と良太に勝美とのこれからを連想させる。…この4人家族のよ〜に、勝美さんと家族を形成して。どこか美味しいお店でランチを愉しむ…、そんなコトも自分の身に起きるかもわからない。
「店長、アイス・クリーム出します…」
お子さまランチは、…デザートに子供用の小さなアイス・クリームがつくのである。…それを冷凍ケースから取り出し、良太は器に盛りつけた。
「こちらお子さまランチのデザートの…、アイス・クリームになります」
そ〜ゆって、お兄ちゃんの前にアイス・クリームの器を出した時…。良太は、…弟さんと目が合ってしまう。
…(あっ、そりゃそ〜か)
おとなしい子なのだ…、騒いだり駄々をこねたりしない。ただそのくりっとしたつぶらな瞳いっぱいに、(ぼくもアイス・クリーム食べたい)と書いてあったのである…。幸い今なら、…正社員の伊藤さんもいない。…カウンターに戻った良太は、店長の目を盗んでアイス・クリームを取り出すと。器に盛って…、しれっと出してしまう。
「あの〜こちらのアイス・クリームはサービスになります、本来はお一つなんですが…」
しかし、…若い4人家族は喜んだ。…とりわけ弟さんの、はしゃぎよ〜といったらない。それを見た…、良太は想った。
(何もしバレたら、おれがお金を払えばゆいだけだ…。こんな小さな子供用アイス・クリーム、…原価50円もしないだろ〜よ)
…若い4人家族が退店され、洗いモノが下げられると。店長はすぐに気がつく…、(何でアイス・クリームの器が二つあるんだ)良太はまだわかっていない、飲食店とゆ〜のは…。この原価30円のアイス・クリームが一つ出るか二つ出るかで、…〜運命〜が変わってしまうのだ。…だが、店長は言葉を飲み込む。ここに〜世界の運命〜は…、救いに預かるコトが決定されたのだ。そして君にも、世界を救うコトが出来るのだから…。