どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その43

「ねこの通り道亭」に戻って来た戦士クリムは、学生ラルムを食堂に案内します…。テーブルに着くなり…、学生ラルムはリュックからレポートの束を取り出しました。

…「これです、クリムさんに是非読んでいただきたくて!!タイトルはそ〜ですね、…"伝説の勇者クリム〜輝かしい栄光の軌跡〜とでもしましょ〜か」

「こ、こんなに、すごい…!」

学生ラルムが取り出したレポートの束は…、まるで電話帳ぐらいあったのです。

…「これでも、だ〜いぶ省略させてもらいました。書きあげた原稿は、…この3倍ぐらいあるんです」

テーブルにそびえるレポートの束を、戦士クリムは手に取ってパラパラめくりました…。しかし戦士クリムには本を読む習慣がなかった為…、読んでもあまり頭に入って来ません。

…「お茶にしよ〜ラルム、さっき買ったお菓子を出すね」

席を立つと戦士クリムは、…「みけねこチップス・あおさ味」を器に盛って「にゃん玉プリン」用のスプーンを用意します。お礼をゆってスプーンを受け取ると、学生ラルムはおぉとかムムッとかうなって「にゃん玉プリン」を食べ始めました…。

「ラルムは…、"ワンだふる大学"で何の勉強をしてゆるの?…勇者について、研究してるってゆってたけれど」

戦士クリムは、「ゴロゴロ、お茶」の栓を開けます…。

「ぼくは、…"勇者学"を専攻しています。"勇者学"は文字通り、勇者について研究する学問でして…」

口の周りをプリンとカラメルでいっぱいにしながら…、学生ラルムは続けました。

…「このねこねこファンタージェンは、これまで何度も。地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"のよ〜な、…いわゆる魔王の侵略を受けています。しかしその都度、"勇者"と呼ばれるネコミミが立ちあがり退けて来たのです」

「ふぅ〜ん、そ〜なんだ…」

パリンと音を立てて…、戦士クリムは「みけねこチップス・あおさ味」をほお張ります。

…「その過去立ちあがった勇者達が、何を大切にし何を守ったのか?それをぼく達は、…歴史をひも解いて明らかにしてゆるのです」

も〜一度レポートの束を手に取る、戦士クリム…。そこには…、こ〜ありました。

…「勇者クリムは、これまで勇者と呼ばれるネコミミの中で。最も偉大である、…と私は断言したい。"ねこねこファンタージェン"に於ける魔王との戦いは、永きに渡って来た…。その永い戦いの歴史の中では…、ねこ女神"オー・ラロル"さまに導かれた。…数多くの勇者が現れてゆる、確かに彼女達も偉業を成し遂げたのだ。しかしそれも、…伝説の勇者クリムとは比較にならない。何が、そんなにも伝説の勇者クリムを偉大たらしめるのか…?それは…、その崇高にして深遠なる心にある。…彼女の動機は、完全に無私にして無欲である。伝説の勇者クリムには、…悪魔ねこの誘惑など"ねこにとかげ"である。彼女のおこないは、全て善に捧げられ悪など入る余地はない…。その高潔にして清らかなる振る舞いは…」、戦士クリムはレポートを閉じました。…そして、こ〜切り出したのです。

「ラルムには、…誰か恋人っている?」

学生ラルムには、戦士クリムの質問がとうとつ過ぎてよくわかりませんでした…。しばらくよく考えてから…、答えます。

…「えっ、いませんケド」

戦士クリムの胸は、…熱く情熱に燃えあがりました。