どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その54

…立ちあがって、懸命に「はにゃ〜ぶさの剣」を構える戦士クリム。しかしシャドウ・クリムの「稲光の咆哮」のダメージは大きく、…若干足にキてゆました。

「ぼくは、どんなコトがあってもあきらめない…。そ〜…、母さんから教わったんだ!!」

…戦士クリムは走り出し、体を回転させます。

「やはりそ〜来るか、…わかり切ってるがな」

やはりシャドウ・クリムも、戦士クリムに向かって駆け出して体をひねりました…。

「灼熱の旋風…!」、大爆発が起き剣の間は煙で充たされます。…煙がじょじょに引くと、立っているのはシャドウ・クリムです。

「まだわからないのか、…アタシとお前の力は互角なんだ。それなら、より強い剣を手にしてゆるアタシが勝つのは当たり前じゃないか…」

小さくつぶやく…、戦士クリム。

…「うぅ強い、とても敵わない」

戦士クリムには立ちあがる力は既になく、…剣を握るコトすら出来ません。そんな戦士クリムにとどめを刺そ〜と、シャドウ・クリムはゆっくり近づいて来ました…。

「遊びは終わりだ…、さよ〜ならクリム」

…その時です、「クリムさ〜ん!!」

薄れてゆく戦士クリムの意識に、…学生ラルムの声が響きます。

「ラルム、ぼくはも〜ダメだ…。心の闇に…、敗れてしまった」

…すると戦士クリムが胸に下げてゆる「雨の雫石が輝き出し、その体は空中高く引きあげられました。幻を見る、…戦士クリム。

どこかのお部屋で、学生ラルムは教授から叱られています…。

「君ね…、君の提出した論文は主観的過ぎるよ。…確かにこのクリムとゆ〜ネコミミは勇者だと評判だが、君はあんまりにも高く評価し過ぎじゃないかい?まだ大した功績もないのに、…論文ってのは客観的な事実の積み重ねだよ。君が盛りあがるのは勝手だが、大学としてはこんな稚拙な内容を認めるコトは出来んね…」

教授の手から論文を引ったくると…、学生ラルムはお部屋を駆け出してゆきました。…学生ラルムの目には、悔し涙が光っています。

また、…別な幻に切りかわります。別なイヌミミの学生と、学生ラルムは印刷所にいました…。

「よしラルム…、今お前の論文をジャンジャン印刷してるからよ!!…お前の論文はすごく面白い、読ませるよな。印刷したら大学中のみんなに読んでもらうんだ、…頭の固い教授連中をギャフンとゆわせてやろ〜ゼ。なに礼はいらねぇ、おれはこの勇者クリムってのにホれたんだ…」

また…、新しい幻が現れます。…学生ラルムは、草原に立っている一本の木に話しかけてゆます。

「ぼくはホントに、…あんな素敵なクリムさんに相応しい男なのかな?ぼくにはわからない、でも現在のぼくに出来るのは…。1人でも多くの人に論文を読んでもらって…、勇者クリムを応援してもらうだけだ。…クリムさん、ぼくはあなたを愛します。何にも、…出来ないけれど」

不思議なコトが、起きました…。戦士クリムが意識を取り戻すと…、シャドウ・クリムはまだ近づいて来てません。…ど〜やら戦士クリムが幻を見てゆた間は、時間が経っていないよ〜です。「はにゃ〜ぶさの剣」を手に、…戦士クリムは立ちあがりました。その様子を見て、シャドウ・クリムは驚きの声をあげます…。

「何ィそんなハズはない…、お前にはもはや戦う力は残ってないのに!」

…戦士クリムは、体中に不思議な気力が満ち々々てゆるのを感じていました。