どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その59

「熟したカツオブシ号」は海のうえで停泊し、一艘のボートを下ろしてゆます…。ボートに乗っているのは…、聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナ。…それから魔女ケレナが仲良しの、ハンサムなイヌミミ船員さん。パイプを吹かしたベテラン船長さんや他の船員さん達は、…みんな「熟したカツオブシ号」のうえから手を振っていました。

「がんばって下さ〜い、ご健闘を祈ります…!!」

ゆっくりと下されたボートは…、無事着水して発進します。…そ〜なのです、「魔の島」はも〜目と鼻の先でした。ハンサムなイヌミミ船員さんのこぐボートは、…波に揺られながら確実に「魔の島」に近づいてゆきます。黙って前を見詰める、聖戦士クリム…。

「見えて来ましたね…、あれが"マルトム・クルメ城"」

…そ〜つぶやく神官マルミの視線の先には、ドス黒い雲が渦を巻く「マルトム・クルメ城」のシルエットが浮かんでいました。ボートはゆっくり「魔の島」に近づき、…「マルトム・クルメ城」をぐるりと囲む断崖絶壁に沿って進みます。しばらく進むと、小さな桟橋が見えて来ました…。ここは…、「マルトム・クルメ城」に武器や食料を運び込む搬入口。…オールを操って、ハンサムなイヌミミ船員さんは桟橋にボートを接近させます。聖戦士クリムと神官マルミは、…すぐに桟橋に飛び移りました。しかし魔女ケレナは…。

「あなたがいなかったら寂しくて死んじゃう…、アタシってホントは弱いのよ」

…と、ハンサムなイヌミミ船員さんとイチャイチャし始めます。ひとしきりラブラブすると、…よ〜やく魔女ケレナも桟橋に移りました。3人は断崖をくり抜いて造られた階段を、慎重に登っていきます…。岩の階段を登り終えると…、そこは大きな門が構えられ門番がゆました。

…「お前見たコトない顔にゃにゃ〜、名前を名乗るんにゃ調べるにゃ」

門番のばーばりんちゃんねこは、…聖戦士クリム達勇者のパーティ一行をとても怪しみます。神官マルミは、うまく話を進めよ〜として口を開きますが…。

「アタシ最近戦ってないから…、メッチャイラついてんのよね。…メンドくさいハナシは、あとにしてもらえる!?」

そ〜ゆうと魔女ケレナは、…魔法を重ねがけして炎のヘクトムを二発連続で放ちました。大きな音を立てて、木で出来た大きな扉は吹き飛びます…。近くをパトロールしているきゅうけっきちゃんねこは…、城内に異変を知らせるべく急旋回しました。

…「オラオラ、ナめてんじゃないわよ!!」

狙いを定めた魔女ケレナは、…空を飛ぶきゅうけっきちゃんねこも撃ち墜としてしまいます。

「な、何を考えてるんにゃお前達、ゾフィネーヌさまに逆らったら…」

扉の向こうは見回りの魔物の詰所になってゆて…、騒ぎを聞きつけた魔物達がワラワラやって来ました。…目と目を合わせる、聖戦士クリムと神官マルミ。

「しょ〜がないよね、…も〜」

「えぇ、ここまで来たら小細工しても仕方ありませんし…」

聖戦士クリムは「おおトロの剣」を抜き…、神官マルミは「ねこの手も借りたいメイス」を構えます。

…「ぼくはキトランの村の、聖戦士クリム。誰であっても、お相手するぞ!」

聖戦士クリムの名前を聞くと、…魔物達は動揺してザワつき始めました。魔物達の中で体がひときわ大きい、トロ〜ルちゃんねこは聖戦士クリムに負けじを大きな声で呼びかけます…。

「え〜い勇者がどんなに手強くても…、ヤツらはたった3人しかいないんだぞ。…取り囲んで、袋叩きにしてしまえ〜」

トロ〜ルちゃんねこの大声を合図に、…魔物達は一斉に襲いかかって来ました。

「戦うつもりならば、容赦はしない…」

目にも留まらぬ早業で大きくジャンプした聖戦士クリムは…、そのまま着地と同時にトロ〜ルちゃんねこを一撃で倒します。

…「ギ、ギニャ〜、何だか格が違う」

手近なメイジちゃんねこを、…神官マルミも「ねこの手も借りたいメイス」で引っ叩きました。あとはも〜、ひっちゃかめっちゃかの大混戦です…。しかし指揮を執っていたトロ〜ルちゃんねこを倒されてしまった魔物達の指揮は低く…、正直ゆえばみんな逃げ出したかったのでした。…聖戦士クリム達勇者のパーティ一行は、数の差をモノともせず魔物達を撃破してゆったのです。