貧しき仲にも礼儀あり

季節は夏である…、時刻は夜7:00を回った頃。白瀬拓馬(しらせ たくま)は東武野田線の運河駅で降りると、駅前のコンビニエンス・ストアで「ハイ・ライト」を吹かした…。昨今はこんな世の中である、…煙草を吹かす場所にも苦労するのだ。…フィルターギリギリまで吹かした拓馬は、お礼にコンビニエンス・ストアで缶コーヒーを一本買う。

拓馬のお仕事は警備員だ…、同じ流山市内のスーパーを警備している。店内での業務はまだエアコンがあるから快適なのだが、一歩店外に出れば…。半袖とはゆえ生地のしっかりしたユニフォームでの業務は、…この季節決してラクではない。

…さてアパートに帰り、シャワーを浴びて夕ごはんを食べてしまえば。あとは寝るだけだ…、だけれどもその前にど〜してもあと一本は煙草を吹かしたい。しかしここはアパートである、もし室内をヤニで汚しでもすれば…。退室時にいくら取られるかわからない、…それならばベランダでもと想うが。…それはそれで、他の入居者の手前はばかられる。周りの目を気にしなくてもゆい場所となると…、近所に人気のない公園があるにはあるが。歩いて10分はかかるのだ、それはさすがにメンドくさいのである…。

「また、…ご厄介になるかなぁ」

…拓馬はそ〜つぶやくが、実質的には毎日だ。アパートの敷地内に大家さんのおウチがあり…、大家さんは喫煙者である。

「ごめん下さ〜い…」

大家さんのおウチのインターフォンを押す拓馬、…そして当然だが大家さんが出て来た。

…「あらあなたまた来たの、でもせっかくだから寄っていきなさいよ」

大家さんのダンナさんはずい分前に亡くなってゆて…、大家さんは一人で過ごしているのである。ここで拓馬は大家さんのお話につきあう代わり、煙草を吹かさせてもらってゆた…。

「ウチの亡くなったダンナは、…本当に横柄でね」

…大家さんのお話は大したコトはない、いわば愚痴なのである。きっかけは拓馬がベランダで煙草を吹かしてゆたら…、他の入居者から苦情が出たのだ。それで大家さんは、ど〜せならウチで吹かしたらゆいと呼んでくれたのである…。何せここはエアコンの効いた広い応接間である、…そのうえボトル・コーヒーではあるが。…アイス・コーヒーまで出してもらってゆた。

「煙草なら遠慮しないで…、私のを吹かしなさいよ」

大家さんの煙草は「エコー」なのだが、さらに煙草までわけてくれると来たら…。拓馬は、…王侯貴族にでもなったよ〜な心地である。…お給料日前でお金が無くなると、煙草も持たずに出かけたりしていた。

さて…、今日はお給料日だ。勤務が終わると、そのままスーパーで買いモノをしてゆく…。何かしら気の利いたモノがないか、…店内を物色していると。…賞味期限が近かったり商品入れ替えの、棚を見かけた。

「これなら…、悦んでくれるかな?」

一個200円のチョコ・ブラウニーが、半額である…。二個手に取った拓馬は、…他のモノも買ってレジに向かった。…会計を済ませると、そのままサービス・カウンターに立ち寄る。棚一杯に…、煙草が並んでいた。番号を確認する、よし「エコー」は18番だ…。サービス・カウンターの店員さんに、…拓馬は声をかける。

…「18番の煙草を、一つ下さい」

 

・申し訳ありません…、「どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜」は今週やすませて下さ〜い。

少しだけ、この作品について解説させていただくと…。

大家さんが「何故拓馬くんとお話したがるか?」、…とゆった時。

…大家さんはダンナさんが遺したアパートで生計を立てているので、ダンナさんの愚痴はゆいにくいのです。

それが関係のない拓馬くんになら好きなだけゆえる…、だから拓馬くんをもてなすとゆ〜事実もあります♪