アーシャ南の大陸に舞う その7

アーシャ達は…、牛を引いた男にタマラン村の村長のおウチに案内されました。村長は、すでに白髪でしたがなかなかガッチリしたゆい体格です…。座敷の上座にあぐらをかく村長は、…アーシャにタマラン村の事情を打ち明けました。

…「このタマラン村を、災いが襲ったのが三年前」

村長は話し方こそボソボソしていますが…、その調子には毅然とした態度が見受けられます。

「この村から北西に進み、半日程ゆったトコロにある日突然塔が現れた…。塔は、…ねじくれていて先端に進むにつれ細くなってゆく。…私達は、それを竜の角のよ〜だと想った。塔の主はボヘム…、闇に堕落した僧だ」

アーシャは、とっさに港街ベリートでの戦いを思い出しました…。

「噂では、…ボヘムは元々ダオカーナ寺院で神さまに仕えていたらしい。…だが、ワレラ星人による"闇の誘惑"に勝てなかったのだろう。現在ではその手先となり…、このタマラン村にワレラ星人への供物を要求してゆる」

敵について少しでも知っておきたい、アーシャはそ〜想い質問します…。

「そのボヘムは、…どんな力を振るうのですか」

…村長はそのたくましい肩を落とし、うつむきました。

「魔法陣からモンスターを喚び出し…、意のままに操る。アーシャさま、あなたも知っておいでだろう…。このMWでは、…モンスター達は決して人間に悪意を持ってはいない。…モンスター達が暴れるのは、全てワレラ星人に操られてだから」

ぺぺは立ち上がって…、力を込めてうなずきます。

「プイプイ!!」

かつて、ワレラ星人に操られ"闇のしもべ"にされていた…。仲間のぺぺろぐぅ達を、…想ったのでした。

…「アーシャさま、是非我らが娘ソーナをお助け下さい!」

その時です…、いつの間にか村長のおウチの戸口の周りに出来てゆた人だかりから。

一組の夫婦が、アーシャの名を呼び訴えます…。

「タネシとフレルか、…まぁ入りなさい。…アーシャさまに、話を聞いてもらうとゆい」

夫婦は…、村長のおウチの座敷に上がると。涙を流しながら、アーシャに頭を下げました…。

「アーシャさま、…是非お聞き下さい!!…ボヘムはこれまで三年間、ずっとこのタマラン村に。無理な供物を捧げさせて来ました…、俺達はずっとそれに耐えてたんです。でも、今度ばかりは許せません…」

タネシは、…座敷のたたみをドスン!と叩きます。

…「ヤツは、私達の可愛い一人娘ソーナを。自分の妻として迎え入れるから差し出せ…、そ〜使いをよこしたのです!!逆らえばワレラ星人の呪いがある、そんな脅しと共に…。何とぞそのお力でソーナをお救い下さい、…アーシャさま!!」

…アーシャは、立ち上がって胸を張りその場にゆる全員に告げました。

「わかりました…、私は力の限りあなた達の為に戦います。私の戦いには、常に神さまのご加護があります…。闇に堕落したボヘムがどれだけのモンスターを操ろうと、…私は決して退きません!」

…村長のおウチの周りに集まってゆた人々は、一斉に歓喜につつまれます。しかし…、村長はフゥッとため息を吐きます。

「しかし、アーシャさまのお名前はあまりに知られ過ぎてゆる…。もし、…アーシャさまが戦いを挑めばボヘムは逃げ出してしまうかもわからん。…そして、アーシャさまがお去りになったら再び舞い戻ってくる。それでは同じコトの繰り返しだろう…、何の解決にもならない」

一人の若い娘が、声をあげタネシの胸に飛び込みました…。

「何かよい知恵をいただけませんでしょうか、…アーシャさま!!」

…「おぉソーナ、何てかわいそ〜な子だろう!!でも安心おし、…このアーシャさまは伝説の勇者だ。きっと、何とかして下さるから…」

ソーナを見たアーシャの頭の中に…、一つのアイディアが閃きます。…パッと見たトコロ、アーシャとソーナは年恰好が似てゆるそれなら。

「村長、…それならこんな案はいかがでしょう?ソーナさんの代わりに、別な若い娘を妻として捧げればよいのではないでしょうか…」

村長は…、びっくりたまげてひっくり返りそ〜になりました。

…「と、トンデモない!何と罰当たりなコトをおっしゃるのだ、…先程の勇気はど〜なされたのか?」

アーシャは、おしりをふると片目でウィンクします…。

「みなさん…、ど〜か勘違いなさらないで!!…妻として捧げられる別な娘とは、私です私♪」

アーシャ南の大陸に舞う その6

アーシャとぺぺは、ホレロに案内され港街ベリートを出て南に向かいます…。途中一晩野営し…、再び歩き続け現在は大きな森の中。…ホレロはらくだを引きながら、アーシャとぺぺを振り返りました。

「この森も、…も〜すぐだよ。その先には、タマラン村がある…。そこで…、少し休ませてもらおう」

…三人がしばらく歩くと、やがて森が切れそこには。

「うわぁ、…すご〜い!!」

「プイプイ…!」

田園風景が…、見渡す限り広がってゆます。…田んぼの中には、重そ〜に垂れるたわわに実った穂がいくつも。そして、…赤とんぼがそこら中を舞ってゆました。

「ホレロさん、これは何てゆ〜作物なんですか…?」

ホレロの帽子に…、赤とんぼが止まります。

…「アーシャ、これはね"イネ"だよ。垂れ下がった穂先についてゆる実の一つ一つが、…お米になるんだ。もちもちふっくらして、とても美味しいから…。タマラン村で…、食べさせてもらおうか?」

…その時アーシャの目に、田んぼに面した道を。向こうから、…牛を引いて歩いて来る男が見えました。

「きっと、実った"イネ"を刈り入れに来たんだろう…。でも…、それにしては元気が無いな」

…ホレロが口にするより早く、アーシャは牛を引く男に話しかけてゆます。

「お元気が無いよ〜に、…お見受け致しますが。もし私でお力になれるなら、何でもゆいつけで下さい…」

牛を引いた男は…、プイッとそっぽを向きました。

…「ダメだダメだ、おめぇさんみたいな。ひよわな女子じゃ、…こればっかりは手も足もでねぇよ!!兵士さん達が大勢、軍団ぐらいいねぇと…」

腰にさした剣を示しながら…、アーシャは牛を引いた男に名乗ります。

…「私は、エスタハーンのアーシャ。僭越ながら、…伝説の勇者と呼ばれてる者です」

牛を引いた男は、笑いをこらえませんでした…。

「笑かすでねぇ…、こ〜んなべっぴんな女子が伝説の勇者だってのかい!?…それなら、オラのがなんぼか強いだよ」

アーシャは、…正直ゆってカチンと来ます。

「じゃあオジさん、その手にしている杖で私を打ってみて下さい…。私は…、素手でお相手しますから」

…牛を引いた男も、ナめられたと思ったのでしょう。ムッとした様子で、…持ってる杖を振り上げました。

「そこまでゆ〜なら、オラ今むしゃくしゃしてるだ…。この杖で…、その可愛らしいツラをちょいと引っ叩かせてもらうだよ!!」

…そ〜ゆうと、牛を引いた男は力任せに杖を叩きつけます。

「アーシャ、…危ない!」

ホレロは、思わず声を出しました…。しかし…、アーシャは片手で二の腕の外側骨の硬いトコロを杖にぶつけると。…そのまま、杖を持つ腕にするすると絡みつき。すぐさま、…牛を引いた男を組み伏せてしまいます。

「まいった、降参だべ…」

アーシャはすぐに体を引き離し…、牛を引いた男を自由にしてあげました。

…「あんれまぁ、何て力の強い女子だ!!これなら、…もしかいしたらオラの村を救ってくれるかもわからんな!」

アーシャは、…にっこり笑うと頭を下げます。

「ごめんなさい痛くなかったですか、力ではないんです体術で…」

 

 

アーシャ南の大陸に舞う その5

…出発の準備を整えたアーシャ(荷物はまだ宿に置いてあります)は、港街ベリートの朝を一人歩ってゆます。いつも一緒のぺぺも、…今日は宿に残して来ました。それには、こんなワケがあるのです…。

「えっ…、出発の時間を少し遅らせて欲しいって?

…驚いた、ホレロはアーシャに聞き返しました。

「この旅は、…私のじゃないからそれは構わないが。ダオカーナ寺院まで、ここから歩いて約3日はかかる…。出発するなら早いに越したコトはない…、それは急ぎなのかね?」

…アーシャ、小さく静かにうなずきます。

「それじゃ仕方ない、…まぁアーシャがゆい出すぐらいだ。相当大切な用事なんだろう、それじゃゆっておいで…」

「プイプイ」…、一緒に宿を出よ〜とするぺぺをアーシャは制しました。

…「ぺぺを連れてゆかないのかい、そ〜かそ〜かも〜何も聞かないよ。じゃぺぺは、…私とその辺をブラブラしよう。何か、美味しいお店でも見つかるかも知れないから…」

ホレロとぺぺを宿に残して…、アーシャは一人街へ出てゆきます。

…アーシャが向かう先は、果たして郵便屋さんでした。

入り口から、…受付に向かいます。

「私、エスタハーンのアーシャとゆいます…。私宛ての手紙って…、届いてないですか?」

…受付の年輩の女性はちょっと驚いて、でもすぐににっこり笑顔で応対してくれました。

「おはようございます、…伝説の勇者アーシャさんですね。えぇ、一通届いてますよ…。エスタハーンの村から…、ご両親からかな?」

…アーシャはガッカリです、いやモチロンご両親からのお手紙は嬉しかったのです。しかし、…アーシャが期待してゆたのは。肩を落としたアーシャが、その場を立ち去ろうとすると…。

「ごめんなさい…、アーシャさんちょっと待って。…も〜一通来てました、天空のお城からです。うっかりしてたわ、…私」

アーシャの瞳に輝きが戻りました、受付に駆け寄るとお手紙を大切に受け取りました…。

ドキドキしながら…、宛名を確認すると。

…それは、やっぱりメリクル(天空の城の民"兄")からだったのです!!

近くの喫茶店に席を取ると、…アーシャはソッと封を切りました。

そこには、「親愛なるアーシャへ…。無事港街ベリートに着いて…、このお手紙を受け取ってくれると信じてゆる。…アーシャ、南の大陸に着いても油断は出来ない。天空のお城にも、…近頃南の大陸のモンスター達が不穏だと。報告がたびたび入って来ている、君の今度の旅も困難を極めるだろう…。しかし諦めてはいけない…、私は君の旅の無事を。…いつもいつでも神さまに祈ってゆる、それでは」

アーシャは、…ここでいつまでもこ〜して。メリクルからのお手紙を眺めてゆたい、そ〜想ったのです…。懐から便箋を取り出すと…、こ〜ペンを走らせました。

「…尊貴なる王子、メリクルさまへ。南の大陸への船旅は、…つつがなく終わりました。仰る通り、この港街ベリートにも闇の気配が迫っています…。私は聖なる山アルクロドに抱かれた…、ダオカーナ寺院を目指し。…闇の根源を断つつもりです、…メリクルさまは日々のご政務いかがですか?ご体調など崩されてゆませんか、よろしくご健勝なる日々を…。私も…、日々神さまにお祈り致しております」

…アーシャはそ〜記すと、昨晩押しておいたコスモスの花を挟み封を閉じました。

 

アーシャ南の大陸に舞う その4

「オジさん…、一体何があったんですか?」

怯えてすっかり腰を抜かしている、ターバンを巻いた男をアーシャは助け起こしました…。

「お、お嬢さん、…連中はも〜ゆっちまったのかい?」

…アーシャは、安心してもらおうとにっこり微笑みます。

「大丈夫ですよ…、も〜みんなやっつけましたから」

男は気持ちを取り戻して辺りを見回すと、モンスター達は既にに倒れてゆました…。

「いや、…私にもワケがわからないんだ。…お坊さんが、托鉢をやってたから」

兵士さん達が続々と集まって来て…、アーシャに倒されたモンスター達を次々とお縄にかけていきます。

「それで、私はこれもご縁だろうと想って…。少しばかりお支払いしたんだよ、…そしたら急に目の玉を見開いて」

…ターバンを巻いた男は、よほど恐ろしいモノを見たのか。顔がまだ…、引きつっていました。

「"お前には、ワレラ星人さまの思し召しがあるだろうよ…"なんて呪わしく吐き捨てると、…急に"何か"の呪文を唱えて。…魔法陣から、モンスターを次々に喚び出したんだ」

その時…、集まってゆる兵士さん達の一人がアーシャに声をかけます。

「見たトコロ、あなたは旅のお方かな…?」

アーシャは、…立ち上がると振り返りました。

…「ええそ〜です、このオジさんをよろしくお願いします」

アーシャは立ち去ろうとしましたが…、兵士さん達の一人に呼び止められました。

「これ程の業をお持ちとは、ただ者とは想えませんね…。もしよろしければ、…お名前をお聞かせ願いませんか?」

…アーシャは少しためらいます、しかしやがてハッキリと。

「私はエスタハーンからやって来た…、アーシャとゆいます」

兵士さん達の一人は、ビックリして大きくのけぞりました…。

エスタハーンのアーシャ、…つ、つまりそれは。…お、おいみんな、こちらのお方は伝説の勇者アーシャさまだぞ!!」

兵士さん達は…、ワラワラアーシャの前に集まると。

みんなで、一斉に平伏してしまいます…!

「まさか、…あの伝説の勇者アーシャさまが。…この港街ベリートにお越しとは知らず、と、とんだご無礼をつかまつりました!!」

あまりの事態に…、アーシャはちょっとポカンとしてしまいました。

「いや、私はそれ程の者では…」

そこへ、…ホレロを片手に担いだぺぺがゆっくり走って来ます。

「プイプイ」

「…いや〜、やっと片づいたみたいだね。それにしても…、ど〜したんだいこれは。みなさんで、何かの儀式でも執り行ってるのかな…?」

兵士さん達の一人は、…すぐぺぺにも気がつきました。

…「おぉ〜、コチラがアーシャさまのご相棒。MWに一匹しかいないとゆわれる…、青いぺぺろぐぅ殿ですなぁ」

アーシャ達の周りを、兵士さん達はぐるりと取り囲み…。

「伝説の勇者アーシャさまは、…まさしく戦の女神!…ぺぺ殿ともども、私達一同是非そのご栄光にあやかりたく何とぞ。一人々々と…、握手をお願い出来ませんか!!?」

「そうだゆいぞ、お願い致しますアーシャさま…!」

アーシャは、…少しドギマギしてしまいましたが。

…「私でよろしければ、喜んで」

と…、ぺぺと共に兵士さん達みなさんと。

一人々々、握手を交わしました…。

アーシャ南の大陸に舞う その3

…と、その時でした。

「うわぁ、…誰か誰か助けてくれ〜!!」

港街ベリート平和な静寂は、誰かの叫び声により打ち破られます…。

「ぺぺ…、ぺぺはホレロさんをお願い!…ホレロさん、ちょっとゆって来ます!!」

「プイプイ」、…ぺぺはホレロさんを片手で抱え上げました。

アーシャは、騒ぎのする方へまっしぐらに駆け出します…。

「あっちだあっち…、兵士さん達はまだ来ないのか!?」

…アーシャが辿り着くと、頭にターバンを巻いたオジさんがウェア・ウルフに襲われているではありませんか!!

アーシャは木の葉が風に舞うよ〜に剣を腰から引き抜くと、…目にも留まらぬ早さでウェア・ウルフに一撃をお見舞いしました。

「ぎゃい〜ん、邪魔するならこ〜だぞ…!」

すぐさまカウンターで…、アーシャに向けて何発ものパンチを繰り出すウェア・ウルフ。

…「そんなのも〜ずっと前から知ってるわ、それっ!!」

アーシャは華麗にバク転を決めると、…ウェア・ウルフから距離を取りました。よく周りを見渡すと、モンスターは一体ではなく集団ではありませんか…!体の大きなサイクロプスとウェア・ウルフ…、それにやや小柄でも力は強いオークが2体。

…「こいつは、アーシャだぞ!!お前達、…取り囲んでやっつけてしまえ!」

モンスター達の影から、…男の怒鳴り声がします。ここからではよく見えませんが、ど〜やら頭を丸めているよ〜でした…。

「そ〜はさせない…、こっちからいくわよ!!」

…アーシャは素早く距離を縮めると、再びウェア・ウルフに斬りつけます。

「ぐわ〜、…やられた!」

ウェア・ウルフは、今度こそバッタリ地面に倒れました…。

「さぁかかって来なさい…、モタモタするなら!!」

…アーシャは勢いよくジャンプして飛び込むと、着地の際に左右のオークを次々に斬ってやっつけます。

「こ〜よ、…んっ?」

「ぐお〜っ…!」

アーシャの着地を狙って…、サイクロプスが自分の体に劣らない巨大な金棒を振り下ろして来ました!!

…「重い、一撃!」

アーシャは盾を宿に置いて来てしまったので、…剣を水平にして片手を刃の峰に添えて受け止めます。

そのままサイクロプスは、力でアーシャを押し潰そ〜としました…。下手に降り被れば…、自分よりアーシャの方がずっと素早いとわかっていたからです。

…「これならど〜、思い知りなさい!!」

両手で支えている剣に角度をつけ、…金棒を受け流すアーシャ。するとアーシャは、全力で体ごとぶつかってサイクロプスを突きました…。

「ぐぉぐぉ…、ぐぉ〜ん!」

…地響きを立てながら、地面に倒れ伏すサイクロプス

「くそっ、…おのれおぼえていろ!!」

頭を丸め僧衣に身を包んだ男は、口の中で「何か」ゴニョゴニョと唱えます…。

「見ろ…、あれは魔法陣だ!」

…頭を丸めた男の前に、魔法陣が浮かび上がりました。

「あいつは魔法使いか、…いや闇に堕落した僧だ!!」

集まって来た兵士さん達が、周りを取り囲み始めます…。

「くくく…、ではさらばだぁ〜!」

…頭を丸めた男が、魔法陣の上に歩みを進めると。

不思議なコトに、…そのまま体が沈んでいき煙のよ〜に消えてしまいました。

 

アーシャ南の大陸に舞う その2

アーシャ、ぺぺ、ホレロの3人は…、宿に荷物を置くと夕ごはんまでの数時間街をブラブラするコトに決めました。

「ホレロさん、この港街ベリートの名物って"何か"ないんですか…?私、…お父さんとお母さんに贈ってあげたくて」

…「そ〜だね、このベリートは漁業も盛んだから。やっぱり…、名物とゆえば海のお魚になるだろうな。でもここから、中央大陸のエスタハーン村まで送ったら…。どんなお魚も傷んでしまうよ、…あっお酒なんかど〜かな?」

…ホレロのアイディアに、アーシャは目を輝かせます。

「ウチはお父さんだけじゃなくてお母さんも飲むから…、珍しいお酒を届けたらきっと喜びます」

ホレロは、おひげをなでるとニヤリと笑いました…。

「あるよある、…ゆいのが。…取り敢えず、私がよく立ち寄るお店にゆってみよう!!」

3人は…、道を譲ったり譲られたりしながら酒屋さんに辿り着きのれんをくぐります。

「これこれ、これはね"月下美人"とゆう銘柄で…。この南の大陸でよく食べられてる、…"イネ"から作られたお酒なんだ。…これは、ちょっとよそでは手に入らないよ」

「プイプイ!」…、ぺぺが何かに気がついて声をあげました。

「えっ、ぺぺなになに…?美味しいお酒を飲んだら、…美味しいお肴だって欲しくなるって?」

…ホレロは、納得したよ〜にうなずきます。

「これは…、ぺぺに一本取られたな。ど〜だいアーシャ、まだ時間もあるし市場の方へゆってみよう…。きっと、…何か日もちのする食べ物も置いてあるよ」

…アーシャはうなずき、3人は市場へ向かって歩き出しました。

市場で物色してゆると…、大きな看板がアーシャの目に飛び込んできます。

そこには、「冷気を詰める魔法のつぼ。ベリートの美味しいお魚を氷漬けにして遠くのあの人に…」

アーシャは興奮して、…ホレロの袖を引きたった今見たモノを伝えて。

…その魔法のつぼ屋さんに、早速ゆってみるコトにしました。

魔法のつぼ屋さんは…、テントの中で商売をしてるよ〜です。

中に入ると、アーシャは早速「エスタフ高原までお魚は大丈夫ですか?」をたずねました…。

「お嬢ちゃん、…それなら全くウチの魔法のつぼだね!!…中にお魚を入れて、この冷気を詰めると。あっちゅう間に氷漬け…、ふたを外すまでは一切氷は溶けないよ」

ホレロは、嬉しくて体を震わせているアーシャに優しく声をかけます…。

「よかったじゃないか、…これで海のお魚をご両親さんに食べさせてあげられる。…じゃあ早速お魚を買って来よう、なに市場の中なら幾らでも新鮮なのが手に入るよ」

3人は市場の中を巡り…、た〜っくさんの種類のお魚を扱ってるお店を見つけました。

アーシャは女将さんに、「月下美人」を見てもらい…。

「これに合うお魚って何でしょうか?」、…と尋ねます。

…「アンタ、そりゃサーモンだよ。今の時期なら脂も乗ってるし…、サーモンならクセが無いからキライな人はいないよ」

女将さんは、きっぷよくハキハキ答えました…。

アーシャは、…かごに乗ってる切り身になったサーモンを二切れ買うと。

…先程の魔法のつぼ屋さんに戻ります、アーシャは紙に巻いてあるサーモンの切り身を渡すと魔法のつぼ屋のオジさんは。

「今のウチにゆってくれれば…、他のモノも一緒にお届けするよモチロン料金は同じ」

とゆ〜ので、アーシャは「月下美人」も一緒に届けてもらうコトにします…。

「全部込みで、…金貨2枚になるよ!」

…これにはアーシャは少し驚きました、思わず。

「えっ…、そんなに高いんですか?」

と、声を出してしまった程でした…。

「お嬢ちゃん、…申し訳ないけれど。…この魔法のつぼは特注品なんだ、職人さん達が精魂込めて作ったのを。そこからさらに…、さる高名な魔法使いの先生に魔法をかけてもらってるんだから。その代わりじゃないケド、絶対に氷は溶けないから…。ご両親に、…ベリートの美味しいサーモンをお届け出来る!!…わしが、保証するよ!」

アーシャは少し迷いました…、でも明日には私は生きていないかも知れない。

そ〜想えば、「高くはない」と気持ちよくお金を支払ったのです…

 

アーシャ南の大陸に舞う その1

「MWⅣ」、エンディング直後の物語…

「アーシャの恋」

https://ootmarsum.hatenablog.com/entry/2021/05/20/200323

 

エンディングから少し経って…、この物語に接がる物語

「偉大なる勇者アーシャとその相棒ぺぺ新たなる栄光の旅の始まり」

https://ootmarsum.hatenablog.com/entry/2021/04/24/202712

 

モンスター・ワールドへようこそのテーマ…

「Pride of lions」 東京スカパラダイス・オーケストラ

https://youtu.be/FcWGdkoo0Fs

 

…「や〜、アーシャ船室から出て来てごらん。まだだいぶ先だが、…南の大陸が見えて来たよ」

ここは、…MWのラパダーナの都のある中央大陸と。南の大陸を結ぶ船の上、ホレロ(らくだを連れた商人)はアーシャの船室をノックします…。

「ペペ…、南の大陸が見えて来たってゆってみよう!!」

…「プイプイ!」

ホレロに連れられて、…アーシャとぺぺは甲板に出ました。

「ほら、ず〜っと遠くに見えるだろう…。聖なる山アルクロトの…、突き出した峰が」

…船の進むはるか先に、高い山とその裾野に広がる大地がかすんで見えます。

「あれが、…南の大陸。あそこにも、闇の影が…」

アーシャもそ〜でしたが…、ぺぺもやはり興奮気味。

…「聖なる山アルクロトには、神さまが住まうと言い伝えがあってね」

アーシャは、…疑問を率直にホレロにぶつけました。

「それは、私達と同じ神さまですか…?」

ホレロは…、笑って答えます。

…「MWでは、神さまとゆえばお一方さ。だから、…聖なる山アルクロトは聖地なんだ。その麓にあるダオカーナ寺院を始め、た〜っくさんの僧が住んでる。ごらん…」

ホレロは後ろの…、人々の方を振り返りました。

…「この、中央大陸から南の大陸に渡る人達は。ほとんどが、…巡礼者なんだ。MW中の人達が、一生に一度はダオカーナ寺院で開かれる大祭に…。参加したいと日々を過ごしてる…、アーシャも帰ったらお父さんとお母さんに聞いてみるとゆい」

…船は風を受けて、順風満帆で進み。やがて南の大陸に接近すると、…帆をたたんで。

たくさんのオールを船体から突き出し、数多くの船員さん達がそれを漕ぎ始めます…。

「アーシャ…、も〜入港だよ。…荷物をまとめて、船を降りる準備を始めて」

…「ぺぺそろそろ着くって、ワクワクするね♪」

「プイプイ」、…ぺぺもウキウキと大きな体を揺さぶりました。

船は、南の大陸の港街ベリートに入ります…。

アーシャとペペは…、ホレロの案内でタラップを降りてゆきますが。

…ベリートは、タ〜イヘンに大きま街だったので人でごった返しています。

「すごい人、…私頭がクラクラする」

「プイプイ…!!」

ペペが心配して…、アーシャに近づくと。

…ドスン!

別の船の船員でしょうか、…大きな体の男の人が。

すごい勢いでアーシャにぶつかり、キッとにらみつけると…。

「どこに目ぇつけてんだ…、気をつけろ!!」

…思わず尻もちを突いたアーシャに、悪態を吐いて去ってゆきました。

「君、…ヒドいじゃないか!」

「プイプイ…!!」

ホレロとペペは怒りましたが…、アーシャは立ち上がり。

…ほこりを払い落とすと、二人を制止します。

アーシャは、…何もゆいませんでしたが。

胸の中では、こ〜想ってゆたのです…。

「誰も自分のコトを知らない…、それって何て気がラクなんだろう」

…中央大陸では、アーシャはも〜すっかり勇者として有名人で。

どこへゆっても崇められてしまう、…それはアーシャにとって正直窮屈だったのでした。