どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その13

戦士クリム率いる「勇者のパーティ」は、「ほりごたつの洞窟」の地下二階へ通じる階段を下ってゆます…。最初に降りた戦士クリムは…、振り返ってみんなを待ちました。…イチバン最後のミィちゃんが降り切ると、ドスンと石の壁が落ちて来て。階段がふさがれてしまいます、…その時神官マルミの「よびケロリン」が鳴り響きました。

「あっ、あそこを見て下さい…!!」

神官マルミの指差す先の天井には…、きゅうけっきちゃんねこ達がぶら下がっています。

…「ふっふっふ、ワナにかかったな〜」

一斉にはばたくきゅうけっきちゃんねこ達、…その数は前から二体うしろに一体でした。とっさに指示を出す、戦士クリム…。

「ぼくは正面の二体を引き受けた…、マルミはうしろのを頼むよ!」

…チィちゃんとミィちゃんを守るよ〜に、神官マルミは「ひらたい丸盾」を構えます。

「わかりました、…こっちはお任せ下さい!!」

「わっはっは、容赦しないぞ〜…」

正面のきゅうけっきちゃんねこは…、「ちょうおんぱ攻撃」を仕かけて来ます。

…「そんなの、も〜通用しないさ!!」

「にくきゅう印の大楯」で、…戦士クリムは「ちょうおんぱ攻撃」を弾き返しました。

「あっあぶないにゃ、それはワナにゃ…!」

思わず叫ぶ盗賊カンちゃんですが…、間に合いません。…一体の放った「ちょうおんぱ攻撃」は牽制でした。そのすきに、…も〜一体が「きゅうこうか」して来ます。「きゅうこうか」したきゅうけっきちゃんねこは、戦士クリムの右腕にかみつきました…。

「ちゅ〜ちゅ〜…、ん、健康で美味い!!」

…必死にふりほどく戦士クリム、しかしふりほどいても空中に逃げてしまいます。

「何度だって、…血をすすってやるぞ〜」

その時、盗賊カンちゃんはチィちゃんとミィちゃんに呼びかけました…。

「アイツうるさいにゃ…、チィちゃんミィちゃん石を集めるんだにゃ!」

…神官マルミのかげに隠れてゆたチィちゃんミィちゃんは、盗賊カンちゃんの声を聞くとすぐ元気になります。

「了解にゃ、…ボス!!」

「ラジャー、にゃん…!」

チィちゃんとミィちゃんは…、一生懸命走り回って山盛りの石を集めました。

…「それそれ、"ちょうおんぱ攻撃"〜」

ポケットから、…盗賊カンちゃんは「なかしっぽのスリング」を取り出します。

「そ〜はさせんにゃ、これでもくらうにゃ…!!」

盗賊カンちゃんは…、次々に石を投げつけました。

…「あいたたやられたぁ、憶えてろぉ」

きゅうけっきちゃんねこの一体は、…地面にフラフラ落ちて来てそれから逃げ出します。も〜一体のきゅうけっきちゃんねこは、「きゅうこうか」して戦士クリムに迫りました…。

「クリムも〜"ちょうおんぱ攻撃"は来ないにゃから…、そいつをやっつけるんにゃ!」

…それを聞いた戦士クリムは、力を溜めます。

「よ〜しいくぞ、…"稲光の咆哮"!!」

戦士クリムときゅうけっきちゃんねこは、正面衝突しました…。

「や〜ん…、いじわるぅ」

…きゅうけっきちゃんねこは、地獄「ねこのひたい」までカッ飛んでいきます。

「大丈夫、…マルミ!?」

うしろを振り返る、戦士クリムと盗賊カンちゃん…。

「心配なさらないで…、今決着をつけます」

…軽やかにステップを踏む、神官マルミ。

「咲いた〜咲いた〜、…チューリップの花が」

すると金色に輝く輪がきゅうけっきちゃんねこを取り囲み、光を放ちました…。

「あれここはどこで…、あたし誰にゃん?」

…光が収まると、きゅうけっきちゃんねこは一時的に。何もかも忘れてしまって、…どこかに飛び去ります。

「やったね、マルミ…!!」

戦士クリムと神官マルミは…、ハイ・タッチしました。…しかしその姿に、チィちゃんとミィちゃんは不服そ〜です。

「"うひょねこ団"も、…活躍したにゃんか」

「そ〜にゃそ〜にゃ、恩知らずにゃ…!」

それを聞いた戦士クリムは…、素直に謝りました。

…「そ〜だったね、ありがと〜ごめん」

その様子を、…少し離れたトコロから盗賊カンちゃんが見ています。戦士クリムと神官マルミは、自分達から盗賊カンちゃんに近づきました…。

「ありがと〜カンちゃん…、助かったよ」

…戦士クリムが差し出した左手を、盗賊カンちゃんはしばらく迷ってから取ります。

「ふふん当然にゃ、…"うひょねこ団"は世界一の悪党なんにゃから」

チィちゃんとミィちゃんは、ちっちゃくジャンプしました…。

「やった…、ボスはサイコーの悪党にゃ!!」

…「この二人は、手下3号と4号にゃ!」

そんな「うひょねこ団」を、…戦士クリムと神官マルミは笑って眺めてゆます。

 

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その12

「不気味な洞窟」のテーマ…

S.O.S./Portishead

https://youtu.be/WVe-9VWIcCo

 

戦士クリム、神官マルミ、それに盗賊カンちゃん率いる「うひょねこ団」の5人は…、「ほりごたつの洞窟」を覗きました。

「うわぁ、真っ暗だね…」

足許に気をつけながら、…戦士クリムは中に入ってゆこ〜とします。

…「ちょちょっと待つにゃ、灯りを用意するにゃから」

驚いたカンちゃんは…、慌てて戦士クリムを止めました。

「私に任せて下さい、ねこ天使さまにお祈りして何とかしていただきましょ〜…。ちょうちょちょうちょ、…菜の花にとまれ〜」

…おしりフリフリ踊る神官マルミに合わせて、チィちゃんとミィちゃんもデタラメに体を動かします。

「いぇ〜い…、ツイストにゃ!!」

「ノリノリの、ロックン・ロールにゃん…!」

すると5人の進む方向少し先に、…キラキラ光るミラー・ボールが出現しました。…ミラー・ボールはまばゆく輝き、「ほりごたつの洞窟」の中を照らします。

「すごいにゃぁ…、神官の理力はバカに出来んにゃ」

納得する、盗賊カンちゃん…。

「じゃあ早速いこ〜、…ぼくが先頭に立つよ魔物との戦いは任せて!!」

…こ〜して戦士クリム、神官マルミ、盗賊カンちゃんと「うひょねこ団」とゆ〜順番で、「ほりごたつの洞窟」の奥へと進んでゆきました。「ほりごたつの洞窟」の内部では…、ひんぱんに魔物に襲われます。しかし神官マルミがミラムルの村でいただいた、「よびケロリン」が鳴るおかげで…。魔物が近づけばすぐわかりますし、…やはり神官マルミの理力「ちょうちょ」のみ力で視界も充分なのでそれ程危険ではありません。…5人は力を合わせて、迫り来る魔物達を退治しながら冒険を続けました。そんな時チィちゃんが…、突然大きな声を出します。

「ボス、危険にゃ危険が迫ってるにゃ…!」

うしろを振り返る、…戦士クリムと神官マルミ。

…「えっ、魔物が近くにゆるのかな?」

「私の"よびケロリン"には…、特に何の反応もありませんが」

盗賊カンちゃんは先頭に立つと、二人を手で制しました…。

「ちょっと待つんにゃ、…必ず"にゃにか"あるハズにゃから」

…辺りの床や壁を、盗賊カンちゃんはくまなく調べます。すると…、「バタン」と音を立て。5人のゆく手に、落とし穴が開きました…。

驚いて戦士クリムと神官マルミは、…顔を見合わせます。

…「すご〜い、ど〜してわかるんだろ〜?」

「もし私達だけだったら…、危なかったですね」

盗賊カンちゃんは、してやったりの満足顔でした…。

「ふふふ、…ど〜やらよ〜やく"うひょねこ団"の実力に気がついたよ〜にゃにゃ?…さぁ、ミィちゃん出番にゃよ!!」

「は〜い…、にゃ」

スンスンしんしん、ミィちゃんはそこら中をかぎ回ります…。

「ボス発見にゃ、…スイッチにゃん!」

…ミィちゃんが指で示す方向に、盗賊カンちゃんは慎重に向かいスイッチを押しました。すぐに落とし穴は元に戻り…、足で踏んづけても大丈夫になります。

「お〜…」

「さすがです、…"うひょねこ団"」

…戦士クリムと神官マルミは、一斉に拍手しました。観音開きに立ち両手を広げた「うひょねこ団」は…、叫びます。

「こんなん、朝ごはん前のお仕事にゃ…!!これが世界一の悪党、…"うひょねこ団"の悪知恵にゃ〜!」

…どこから取り出したのか、チィちゃんとミィちゃんは。子供用の小さなラッパを吹いて…、色とりどりの紙吹雪をまき散らしました。

「ボス最高にゃ、カッコゆいにゃ…」

ガックリ肩を落とす、…戦士クリム。

…「これがなきゃね」

「まぁ…、ゆいじゃありませんか」

神官マルミは、笑顔で戦士クリムをなだめます…。

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その11

…戦士クリムと神官マルミ、それにカンちゃん率いる「うひょねこ団」の5人は。「ほりごたつの洞窟」の入り口を見つける為、…森の中をさまよってゆます。こ〜した根気のいる地道な作業は、戦士クリムはあまり得意ではありません…。

「う〜ん…、それらしい入り口は見つからないなぁ。…その地図、まちがってるんじゃないの?」

断固ゆずらない、…盗賊カンちゃん。

「そんなコトないんにゃ、この近くにきっとあるハズだにゃ…!!」

神官マルミは…、おっとり二人の間に割って入りました。

…「クリムさん、も〜ちょっとがんばってみましょ〜。強力な"はにゃ〜ぶさの剣"が手に入るかも知れないんですから、カンちゃんさんも落ち着いて」

盗賊カンちゃんの周りをウロチョロしてた、…チィちゃんとミィちゃんが突然大きな声をあげます。

「ボス、発見にゃ…」

「何やら…、怪しい石像だにゃ!」

…二人の指差す方向に、たくさんのツタが絡まるこけの生えた石像が立っていました。盗賊カンちゃんは、…と〜っても興奮してゆます。

「あ、あれにゃ、地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"の石像…。あれが"ほりごたつの洞窟"の…、入り口の目印にゃ!!」

…5人が地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の石像の前に立つと、石像はうなり何と話し始めたのでした。5人に緊張が走ります、…地の底から響くよ〜な声で石像はこ〜語りかけました。

「わしの、今日のばんめしは何だ…?」

ぼうぜんとする…、戦士クリムと神官マルミ。

…「知らないよ、そんなコト」

「申し訳ないですケド、…ど〜でもい〜ですしね」

しかし、「うひょねこ団」は大盛りあがり…。盗賊カンちゃん達は…、ノりにノって質問をぶつけます。

…「そんなコトゆわれたってわからないから、せめて三択にするんにゃ」

「そ〜にゃ、…卑怯にゃ!!」

「ブーブー、にゃん…」

しばらくうなったあと…、地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の石像は厳かに告げました。

…「では、選択肢をやろ〜。1ばんビフテキ、2ばんおやこどん、3ばん食べてない、…さぁどれだ?」

おおはしゃぎの、チィちゃんとミィちゃん…。

「どれかにゃぁ…、ビフテキがゆいにゃ」

…「え〜、おまんじゅうの方がおいしいにゃん」

戦士クリムは、…大きなあくびを一つします。

「そんなの質問して、ど〜するの…?」

神官マルミも…、眠そ〜に目をこすりました。

…「あの、お好きなモノを召したがったらいあかがでしょ〜?」

フフンと鼻で笑う、…盗賊カンちゃん。

「大した謎じゃないにゃ、この地図にはなぞなぞのヒントが書いてあるんにゃから…。え〜となになに…、ウチのにわとりがいなくなった。…フ〜ム、ど〜ゆう意味にゃろ〜?」

チィちゃんとミィちゃんも、…必死です。

「わかったにゃ、きっとにわとりはビフテキを食べに洋食屋さんにいったんにゃ…」

「にわとりだって…、おまんじゅうの方が好物だにゃん!」

…ツまらなそ〜に、戦士クリムはボソッとつぶやきました。

「だからさ、…おやこどんでしょ?」

地獄の破壊ねこ「メギムトゥ」の石像の両目が、チカチカ輝きます…。

「みごとだよくわかったな…、それでは"ほりごたつの洞窟"に入るのを許そ〜」

…そ〜ゆい残すと、石像は音を立てて崩れ落ちました。チィちゃんとミィちゃんは、…とうとうケンカになってしまいます。

「ほらやっぱり、ビフテキにゃったにゃんか…!!」

「違うにゃん…、おまんじゅうにゃったんにゃ!」

…チィちゃんとミィちゃんを、神官マルミは穏やかに諭しました。

「まぁまぁ"ほりごたつの洞窟"の入り口は開いたんですから、…さぁ中に入ってみましょ〜」

こ〜して5人の、「ほりごたつの洞窟」の冒険が始まります…。

 

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その10

「それではカンちゃんさん、ゆいお話とは一体どんなでしょ〜聞かせて下さい…」

カンちゃんに向かってたずねる…、神官マルミ。…目をキラッと光らせ、カンちゃんはもったいつけました。

「みんなには内緒にゃよ、…約束するにゃ?」

げんこつを再び振りあげる戦士クリム、カンちゃんは慌ててしみだらけの古い地図を取り出します…。

「お〜…、にゃん!!」

…「にゃんにゃにゃんにゃ」

はやすチィちゃんとミィちゃんに、…戦士クリムは。

「やかましいなぁ」、とボヤきました…。誇らしげに…、カンちゃんは古ぼけた地図を広げます。

…「この由緒ある宝の地図によれば、ここからずっと北にゆったトコロに。"ほりごたつの洞窟"の入り口が、…隠されているんにゃ!」

チィちゃんとミィちゃんは、そわそわし始めました…。

「ボス…、そこには何があるんにゃ?」

…「美味しいおまんじゅうに、決まってるにゃ!!」

得意満面で、…カンちゃんは解説を続けます。

「"ほりごたつの洞窟は、にゃんと地下深くで海と接がってるんにゃ…。そしてそこには…、も〜誰もゆない海賊船が停泊していて」

…「ワックワクにゃ」

「ドキドキなの、…にゃん!!」

しかし戦士クリムは、逆に少し飽きてゆました…。

「それで…、そこには何があるの?」

…同じ意見の、神官マルミ。

「"何か"、…冒険の役に立つんでしょうか」

ふっふっふ、とカンちゃんはふくみ笑います…。

「聞いて驚けみて驚けにゃ…、そこにはにゃにゃんと。…海賊の遺したお宝がわんさと眠ってるんにゃ、ど〜にゃ参ったか〜!」

チィちゃんとミィちゃんは、…も〜大悦びでした。

「お宝鑑定団に持ち込むにゃ…(ちょっと古いですね)」

「ゆいお仕事…、為さってますにぇ」

…ところが、戦士クリムにはガッカリです。

「ツまんないお話」、…神官マルミもあくびを一つ。

「クリムさん、そろそろ寝ましょ〜か…?」

びっくらこいて…、カンちゃんはたまげました。

…「にゃ、にゃ、にゃにをいってるにゃ、一生かかっても使い切れない。海賊のお宝にゃよ、…それをみすみす」

不機嫌な戦士クリムは、やがて怒り出します…。

「あのさ…、ぼくらは女帝ゾフィネーヌの魔の手から。…親友のサヘラを取り戻さなくちゃならないんだ、そんな宝探しごっこに付き合ってるヒマはないよ!!」

しかし目をキラリと光らせたカンちゃんは、…奥の手を出しました。

「海賊船には、船長の帯びてゆた"はにゃ〜ぶさの剣"が眠っているとしても…?」

戦士クリムの心に…、衝撃と動揺が走ります。

…「何だって、あの名剣"はにゃ〜ぶさの剣が!?」

戦士クリムにたずねる、…神官マルミ。

「知ってるんですか、クリムさん…?」

戦士クリムは…、興奮が抑えられません。

…「"はにゃ〜ぶさの剣"といえば、羽毛のよ〜に軽いのに鋼よりももっと丈夫で。何でも鉄をどろのよ〜に斬り裂くとゆ〜、…戦士ならだれでも憧れる名剣だよ」

神官マルミは、穏やかに微笑みました…。

「それなら…、お話は決まりですね」

…がぜん乗り気な、戦士クリム。

「モチロンだよ、…女帝ゾフィネーヌのマルトム・クルメ城に近づくだけ。現れる魔物は手強くなるんだ、何としても"はにゃ〜ぶさの剣"の力が必要になる…!!」

そんな戦士クリムと神官マルミを横目に…、「うひょねこ団」の三人はほくそ笑みます。

…「ふふふのフン、にゃ〜んて単純なヤツらにゃろ〜。利用されてるだけとも気がつかず、…これで海賊船のお宝はいただいたも同然にゃ!」

カンちゃんの企みに、チィちゃんとミィちゃんもにっこにこでした…。

「さすがボス…、悪党にゃ!!」

…「ボスの悪知恵は、世界一にゃ!」

こ〜して5人は、…一度テントに戻ります

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その9

戦士クリムと神官マルミは話し合い、…二人で一緒に旅をするコトに決めます。…二人は歩いてカトレム川を北上し、橋を渡ってコラヌワ地方に入りました。

「あのさマルミ…、巫女と神官って何が違うのかな?」

丁寧に説明する、神官マルミ…。

「巫女さまは、…神官よりも位階がうえなんですよ。…祈りを捧げねこ女神"オー・ラロル"さまの、ご神託を受け取られるのが巫女さまで。それを私達神官が…、み教えとしてみなさまに伝えるんです」

戦士クリムにとっては、ちょっと意外です…。

「へー、…サヘラってそんな偉かったんだ」

…二人が旅人の道を歩いて進むと、だんだん辺りが暗くなって参りました。宿の取れる街や村は近くには見当たりません…、神官マルミは野営を提案します。戦士クリムも賛成です、夜道にはどんな魔物が潜んでるかわかりません…。

「そ〜だね、…も〜今日はこの辺で休むとしよ〜」

…テントを張る戦士クリムと、火を起こして夕ごはんの準備をする神官マルミ。今日の夕ごはんは…、マルミ特製の「手作り」カレーでした。ほっかほかのカレー・ライスを、戦士クリムはスプーンで口に運びます…。

「うん、…こりゃあ美味しいっ!!」

…にっこり笑顔の、神官マルミ。

「それなら…、よかったです」

あっとゆ〜間にたいらげて、戦士クリムはおかわりしました…。

「マルミは、…お料理じょうずなんだねぇ」

…照れながら、神官マルミは美味しさの秘密を教えてくれます。

「このカレーには…、ほんのわずかですケド隠し味にチョコが入ってるんです。それで、コクが出るんですよ…」

その時、…テントの方から何やら物音がゴソゴソ聞こえました。

…「誰だ、そこで何やってる!」

カレー・ライスのお皿を地面に置くと…、戦士クリムは叫びます。するとテントの方から、ヒソヒソ話す声が聞こえました…。

「マズいにゃ〜」

「見つかったにゃ!!」

「ズラかるにゃん!」

暗くてよく見えませんが、…だいたい三人ぐらいの人影が走り去ろ〜としてゆます。

…「待てっどろぼう、逃さないぞ!!」

戦士クリムは運動神経バツグンですから…、かけっこだってお手のモノ(足ですが)。

すぐに追いついて、一人にタックルを仕かけました…。

「ボスぅ〜、…捕まったにゃあ」

…残りの二人が、うしろを振り返ります。

「ボス…、早く逃げましょ〜にゃ」

「しかし仲間は見捨てられんにゃから、しょーがない…」

立ちあがって、…先に名乗る戦士クリム。

…「ぼくはキトランの村の戦士クリム、お前達一体何モノだ!?」

三人のどろぼうは…、観音開きにポジションを取ると。

「よくぞ、よくぞよくぞ聞いてくれたんにゃ、ボス、カンちゃん…!!」

「手下1号、…チィちゃん」

…「手下2号、ミィちゃん」

三人で声をそろえて両手を開き…、バッチリポーズを決めます。

「にゃんにゃにゃ〜ん、われら世界をまたにかける…。悪党、…盗賊一味の"うひょねこ団にゃ〜!」

…戦士クリムは、呆れてしまってモノもゆえません。

「ハッハッハ…、恐れ入ったかにゃ?」

無言でげんこつを振りあげる、戦士クリム…。

カンちゃんは、…ビクッととしてヒラ謝りでした。

…「す、すまんにゃ。その代わりとゆっちゃ何にゃが、…ゆいお話があるにゃんよ?」

あとからゆっくり走って来た…、神官マルミがとりなします。

「せっかくですから、クリムさんお話だけでもうかがってみませんか…?」

戦士クリムが振りあげたげんこつを下ろすのを確認すると、…「うひょねこ団」の三人もホッと一息でした。

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その8

戦士クリムと神官マルミの二人は…、トロ〜ルちゃんねこのお部屋に。設られてゆる、巨大な宝箱を見つけます…。

「これ何が入ってるんでしょう、…クリムさん」

…「ぼくもわかんないよ、思い切って開けてみよ〜」

わながしかけられてないかを警戒しながら…、二人は宝箱に近づきました。

「ワクワクします、楽しみですね…」

「開けるよ、…それっ!!」

…巨大な宝箱のふたを開けると、そこには金銀財宝がザックザク。顔を見合わせる…、戦士クリムと神官マルミ。

「これはきっと、魔物達がミラムルの村のみなさんから集めた財宝でしょ〜ね…」

宝箱のふたを、…ゆっくり閉じる戦士クリム。

…「これは元々ミラムルの村のみんなのモノだから、みんなに返そ〜!」

戦士クリムと神官マルミの二人は…、降参したばーばりんちゃんねこ達の協力を仰ぎ。巨大な宝箱を、みんなで担ぐコトにします…。

「よ〜しいくよみんな、…せ〜のよいしょっ!!」

…戦士クリムの音頭に合わせて、みんなで宝箱をミラムルの村までえっちらおっちら運びました。ミラムルの村まで宝箱を運ぶと…、戦士クリムは捕虜にしたばーばりんちゃんねこ達を解放します。

「ありがと〜みんな、自由にしてゆいからも〜悪さするんじゃないよ…」

「ありがとにゃんにゃん、…あんた達ゆ人にゃねぇ〜」

…ばーばりんちゃんねこ達は、そろって泣きながらお礼をゆってみんなで故郷に帰りました。ミラムルの村のみんなを…、戦士クリムは大声で呼びます。

「みんな〜、ただいま帰ったよ…!!」

ミラムルの村のみんなが、…一斉に戦士クリムと神官マルミの二人の周りに集まりました。…神官マルミも、戦士クリムに負けない大きな声で呼びかけます。

「みなさんの宝物取り返して来ましたから…、ど〜ぞ取りにいらっしゃって下さ〜い!」

ミラムルの村長さんが、村のみんなを代表して前へ出ました…。

「ありがと〜ございます、…戦士クリムさま神官マルミさま。…それでは早速、みんなに宝物を返したいと存じます」

係の者を決めたミラムルの村長さんは…、帳面を用意させます。そんな様子を笑顔で眺める、戦士クリムと神官マルミ…。

「お二方には本当にお世話になりました、…お礼の言葉もありません」

…ミラムルの村長さんの言葉に、神官マルミは着ている「にゃんねこの法衣」のポケットから。首から下げる鈴…、を取り出します。

「これどなたのか存じませんが、ごめんなさい…。私気に入ってしまって、…もしよろしければいただけませんか?」

…にっこり笑顔になる、ミラムルの村長さん。

「おぉそれは…、わが家に古くから伝わる"よびケロリン"。それは魔物が近づくと、音が鳴って知らせてくれるのです…。私が持っているよりずっとゆい、…ど〜ぞお持ち下さい」

…神官マルミは、丁寧に頭を下げました。

それからは…、ミラムルの村をあげてのお祭りです。村の中央にある広場にはやぐらが組まれ、大きな太鼓からドンドン音がしていました…。村の通りにはみな屋台が出店し、…さまざまなごちそうが並びます。

…「あぁあれも美味しそ〜、こっちも美味しそ〜!!」

こ〜なると…、も〜戦士クリムは我慢してられません。あっちの屋台からもこっちの屋台からも、威勢よく呼び込まれてしまいした…。

「勇者さん達は特別大サービス、…何でもタダに負けるから好きなの食べてって!」

…片っ端からから、戦士クリムは手当たり次第にごちそうをほおばります。いか焼き、たこ焼き、焼きそば、バーベキュー串、フランクフルト…、から揚げにフライドポテト。さらに今日は、ネコミミ娘達がお祭りの時にしか飲まない「またたび酒」も振る舞われました…。それをまたシャワーを浴びるよ〜に飲む、…戦士クリム。

…「よっ勇者さま、ゆい飲みっぷり!!」

やがて戦士クリムは…、他の酔っぱらいネコミミ娘と肩を組んで歌を歌い始めます。

「ブンブンブン〜、はちが飛ぶ〜…♪」

そんな様子を、…神官マルミは笑顔で見守ってゆました。

 

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その7

…戦士クリムは、神官マルミを連れて休憩室に戻り。装備を身に着けました、…そんな戦士クリムに神官マルミはゆいます。

「これで準備出来ましたね、この魔物の砦を仕切ってるのは…。トロ〜ルちゃんねこ…、砦の最上階にいますそこを目指しましょう!!」

…戦士クリムと神官マルミは、ばーばりんちゃんねこ達の監視をかい潜り最上階に辿り着きました。そこには真っ黒い扉に、…吊り看板が下がってゆます。

「と〜っても強いトロ〜ルちゃんねこのお部屋、ノックしないと思いっ切り引っ叩くぞ…」

二人は顔を見合わせると…、大きく深呼吸しました。

…「さ、いこ〜か」

「はいっ、…がんばりましょ〜!」

扉を開けると、戦士クリムは力いっぱい叫びます…。

「ぼくは戦士クリム…、みんなを苦しめる。…悪いトロ〜ルちゃんねこ、覚悟するんだ!!」

中でロッキン・チェアに座ってくつろいでいたトロ〜ルちゃんねこは、…ビックリして転げ落ちました。

「あ〜ビックリした、何だ何だお前達は…。ノックしろって書いといたじゃないか…、おしおきしてやるぞ。…みんな、集まって来〜い!」

トロ〜ルちゃんねこの呼びかけに応じて、…ばーばりんちゃんねこが次々と押し寄せます。

「ばーばりんちゃんねこ達は、私が引き受けますから…。クリムさんは…、トロ〜ルちゃんねこに集中して下さい!!」

…神官マルミの作戦に、戦士クリムは胸をドンッと叩きました。

「よしわかった、…そっちは任せるよ。さぁゆくぞトロ〜ルちゃんねこ、"どう?の剣"の威力見せてやる…!」

しかしそ〜はゆっても…、トロ〜ルちゃんねこの体は戦士クリムの2倍近くあります。

…「え〜いこしゃくな、これでもくらえ"おにこんぼう"」

戦士クリムと同じぐらいの大きさの巨大なこんぼうを振りかざして、…トロ〜ルちゃんねこは突進して来ました。それに対し、戦士クリム「どう?の剣」を抜いて迎え撃ちます…。がっち〜んと両者の得物がぶつかり合い…、火花を散らしました。

…「ふふふのふん、ど〜したど〜した口程にもないな」

つば迫り合いは、…力のあるトロ〜ルちゃんねこに軍配があがるよ〜です。うまくかわして、距離を取る戦士クリム…。

「力押しでは…、敵わない」

…戦士クリムは、ヒット&アウェイを試みてみます。一方の神官マルミは、…「ひらたい丸盾」で身を守りながら。「ねこの手も借りたいメイス」で、ばーばりんちゃんねこ達をドンドンおしおきしていきました…。「ねこの手も借りたいメイス」は一見フツーのメイスですが…、先端がねこの手になってゆます。

…「こら、あなた達は何ていけないコでしょ〜。みんなを困らせては、…いけません!!」

ばーばりんちゃんねこ達のおしりを、神官マルミはピコピコ引っ叩きました…。

「うわ〜ん…、おしりが真っ赤にゃんか」

…神官マルミが身を守る「ひらたい丸盾」は軽いのが特徴で、食事の時にはフライパンの代わりにもなります。

「くそ〜全然当たらない、…何てすばしっこいヤツだ」

トロ〜ルちゃんねこは、「おにこんぼう」をぐるぐる旋回させますが…。戦士クリムは深入りしないので…、まともに当たりません。…戦士クリムは、足を使ってかわしながら「にくきゅう印の大楯」でしっかり防ぎ。トロ〜ルちゃんねこに隙を見つけては、…細かく突いてゆきました。しかし戦士クリムも、若干あせっています…。トロ〜ルちゃんねこの「おにこんぼう」の長いリーチのせいで…、ふところに入り切れず決定打に欠けるのでした。

…そこに、神官マルミが駆け寄ります。

「クリムさんお待たせしました、…ばーばりんちゃんねこ達はも〜近くにはいません」

ホッと一息吐く、戦士クリム…。

「ありがとうマルミ…、でもぼくは苦戦してる。…トロ〜ルちゃんねこに、決定的な隙が見出せないんだ」

神官マルミは、…得意そ〜に人差し指を立てます。

「私に任せて下さい、私の理力でトロ〜ルちゃんねこの目をくらませます…!」

戦士クリムはうなずいて…、力をため始めました。

…「わかった、よろしく頼むよ!!」

それに気づいたトロ〜ルちゃんねこは、…「おにこんぼう」をやけくそに振り回します。

「そ〜はさせん、二人共引っ叩いてやる〜…」

おしりを振って…、ターンを決める神官マルミ。

…「私にみ力をお貸し下さい、ねこ天使さま。ぞ〜さんぞ〜さん、…お〜はなが長いのね!」

突き出した神官マルミのてのひらから、ピカッとねこ天使ソフエルの輝きが走りました…。

「うわっまぶしい…、何も何も見えない」

…目をごしごしこするトロ〜ルちゃんねこですが、ねこ天使ソフエルのみ力でその視界は真っ白です。

「今です、…クリムさん」

神官マルミは、戦士クリムに叫びました…。

「ありがと〜マルミ…、ゆくぞ必殺の一撃"稲光の咆哮"!!」

…稲光に包まれた「どう?の剣」の鋭い一撃が、トロ〜ルちゃんねこに直撃します。

「きゃい〜ん、…あっこれじゃワンちゃんだ。どっちにしろ、お〜ぼえ〜て〜ろ〜…」

二人は顔を合わせて…、ニッと笑いました。