どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その65

…「いただきま〜す!!」

聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの3人は、…最後の戦いを前にしっかり朝ごはんを食べます。神官マルミが用意したメニューは、目玉焼き、あらびきウィンナー、レタスとトマトのサラダ…。それにフランス・パンとコンソメ・スープでした…、モチロン美味しかったのですが。…3人は黙々と食べます、その表情には決意が浮かんでゆました。

「ごちそ〜さま、…じゃゆこ〜か?」

聖戦士クリムの言葉に、神官マルミと魔女ケレナもうなずきます…。魔物達の見回り小屋をあとにすると…、勇者のパーティ一行は。…城壁に沿って歩きました、そして昨日雷の悪魔ねこ「カミマル」と死闘を繰り広げた。あの荒野に出て、…聖戦士クリム達は遂に城壁の中へと足を踏み入れます。

「誰もいないね…」

女帝ゾフィネーヌの城…、「マルトム・クルメ城」の天守はも〜すぐそこだとゆ〜のに。…魔物達の姿は全く見当たりません、聖戦士クリム達はまっすぐ天守に足を向けました。

「ここだね」、…「マルトム・クルメ城」の天守は固そ〜な鋼鉄の扉に閉ざされてます。聖戦士クリムは、大きな声で呼びかけました…。

「ぼくは…、キトランの村の聖戦士クリムだ。…女帝ゾフィネーヌに用がある、さぁこの扉を開けてもらお〜!」

すると鋼鉄の扉は、…ギリギリとこすれる音を立て開きます。

「よ〜こそ、わが主女帝ゾフィネーヌさまの治める"マルトム・クルメ城"へ…。勇者クリムさまと…、そのお仲間のみなさんですな。…ゾフィネーヌさまはもはや待ちくたびれております、中へお入り下さい」

姿を現したのは、…ドルイドちゃんねこでした。ドルイドちゃんねこは地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"に仕える、恐ろしい暗黒神官です…。そのドルイドちゃんねこに案内されて…、勇者のパーティの3人は「マルトム・クルメ城」に入城しました。…「マルトム・クルメ城」はかつて3人の訪れた、大巫女サレムさまの治める。中央神殿よりも、…ずっと大きくて複雑に入り組んでいます。

「私も、正直どこを歩いているのかわかりません…」

道順を憶えるのが得意な神官マルミも…、あっすがにお手あげでした。…「マルトム・クルメ城」の中は魔物達でひしめきあっています、しかしどの魔物も聖戦士クリム達に襲いかかって来よ〜とはしません。何故なら魔物達は3人の勇者に怖れをなしていたのでした、…だから遠巻きに眺めてヒソヒソしているのが関の山だったのです。

「マジ、ウザいんだケド…」

イライラした魔女ケレナがにらみつけると…、魔物達はコソコソ逃げ出していきました。

…「ご足労をおかけしました、こちらが大広間です。こちらの大広間で、…ゾフィネーヌさまは勇者クリムさまとそのお仲間をもてなそ〜とお待ちでございます」

豪華できらびやかな装飾の施された扉を開けると、そこは大理石の床にあやしいむらさきのじゅうたんをしき詰めた広大な空間が広がっていたのです…。イチバン奥は高くなっていて…、階段が設られていました。…そのうえの玉座から、女帝ゾフィネーヌは聖戦士クリム達3人を見下しています。

「うむ、…ご苦労。勇者クリムも、わざわざ遠いトコロをご苦労であった…。今夜はそなた達をもてなす為に晩餐会を準備している…、モチロン我が配下の魔物達も出席するが。…ど〜か、気を悪くしないでいただきたいモノだ」

玉座から立ちあがった女帝ゾフィネーヌは、…声を高くしました。

「そのワインと料理だが、それはこれから用意する…。私自身の…、直々の手によってな!!」

…突然、女帝ゾフィネーヌは炎のヘクトムを放ちます。3人は身をひるがえしてかわすと、…それぞれの武器を構えました。

「フフフ、ハハハ…。そ〜だ今夜の晩餐会のワインと料理とゆ〜のは…、そなた達の血と肉だ!…そなた達は完全にやり過ぎてしまった、ただ息の根を止めるだけではもの足りん。お前達、…出て来るのだ」

女帝ゾフィネーヌの座る玉座の下の階段の前に魔法陣が浮かびあがり、そこからバーサーカーちゃんねこが現れます…。バーサーカーちゃんねこは地獄で最も力が強く…、両手で二本の斧を操るのでした。…そして先程3人を案内したドルイドちゃんねこも、「悪魔ねこのひとみ」と呼ばれるモーニング・スターを手にしています。

「先ずは余興だ、…3対3。ど〜だ、フェアなゲームであろ〜、食事の前の軽い運動にちょ〜どい〜…。せいぜい私のはらが空くぐらいは…、あがいて欲しいモノだ」

バーサーカーちゃんねことドルイドちゃんねこは、聖戦士クリム達の前に立ちはだかりました。

「そ〜そ〜命乞いをするなら今のウチだぞ、…みっともない醜態をさらせば。…特別に"メギムトゥ"さまに、お前達の血と肉を捧げてやろ〜。お前達にとってはこのうえもない名誉である…、さぁど〜したのだ?」

…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの3人は、もはや何もゆいません。ここまで来たらあれこれ語る必要はなかったし、…そんな気もなかったのです。3人は、激しく闘志を燃やしてゆました…。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その64

「ごめん、ちょっと待って…。アタシ…、も〜立てない」

…すっかり地面に座り込む、魔女ケレナ。

「どこかで少しやすも〜、…でも場所がなぁ」

聖戦士クリムは、頭をかきながら辺りを見渡します…。

「あっあそこはど〜でしょ〜…、さっきの魔物達の見回り小屋」

…手をポンッと打つ、神官マルミ。

「そ〜だねいってみよ〜か、…じゃあケレナぼくの背中におぶさって」

そ〜ゆうと聖戦士クリムは、背中のリュックを神官マルミに渡しました…。

「何ゆってんのクリム…、アタシそんなの絶対ムリ!!」

…魔女ケレナは、顔を真っ赤にして両手を振ります。

「何ゆってんの、…ケレナ。疲れた時はお互いさまだよ、誰も見てないんだし…」

魔女ケレナの前に…、聖戦士クリムはしゃがみました。

…「そ〜ですよ、ここじゃゆっくり出来ませんから。あそこなら、…"何か"食べるモノもあるでしょ〜」

「う…」

こ〜して聖戦士クリムは魔女ケレナをおぶり…、神官マルミは前後にリュックを抱えて魔物達の見回り小屋に歩いてゆきます。

…「あら意外、ケッコウ食材がそろってますよ」

魔物達の見回り小屋のキッチンを調べる神官マルミは、…嬉しそ〜な声をあげました。

「コッチは仮眠室みたい、あお布団も入ってる…」

キッチンの奥はたたみ張りの和室になっていて…、タンスを開けた聖戦士クリムはお布団を取り出します。

…「マルミ悪いケド、取り敢えずコーヒー淹れてくれない?」

イスに腰かけた魔女ケレナは、…そのままテーブルに突っ伏しました。

「ケレナさんが、コーヒー淹れるの人に頼むなんて…。初めてじゃないですか…、よほど疲れてるんですね」

…お湯を沸かしながら、神官マルミはついでにサンドウィッチをこしらえます。

「魔物達は戻って来ないみたいだし、…一晩ここでやすんでゆかない?ぼく、お布団干して来る…!」

聖戦士クリムは両手でお布団を抱え…、そのままお外へ出てゆきました。

…「さんせ〜、アタシは何でもゆいからとにかく横になりたい」

グッタリとした魔女ケレナは、…まるで青菜に塩です。ここで、少し時間が経過しました…。魔女ケレナはコーヒーを飲んでサンドウィッチを食べると…、そのまますぐ和室で横になります。…神官マルミはキッチンでお料理し、聖戦士クリムはパトロールがてら辺りを散歩しました。やがて、…日も暮れる頃。

「ちょっと早いケド、かんぱ〜い…!!」

勇者のパーティ一行は魔物達の見回り小屋で…、なみなみと注いだワイン・グラスをカチンとぶつけ乾杯します。

…テーブルにつく聖戦士クリム、神官マルミと魔女ケレナの前には、マルミが手間ヒマかけて煮込んだ。ビーフ・シチューと、…生ハムをスライスしたサラダが並びました。

「これ高級なワインですよ、年代モノだしお高いんじゃないですか…?」

神官マルミは…、しげしげとボトルを眺めます。

…「魔物達なんて、ど〜せ味なんてカンケーなんでしょ。だったらワインだって、…アタシ達に飲まれた方が喜ぶわよ。お酒はね、味わいのわかる本当の大人に飲まれたがってるの…」

すっかり元気になった魔女ケレナは…、グイッとワインをあおって飲み干しました。

…「うんそ〜だね、ホントのそ〜だ」

ワイン・グラスをクルクル回しながら、…聖戦士クリムは口を開きます。

「みんな、ここでしっかり元気をつけておこ〜…。明日は…、遂に最後の戦いだ。…きっと厳しい、激しい戦いになる。でも諦めず、…力いっぱい最後までがんばり抜こ〜!」

3人とも、わかっていました…。ここさえがんばり切れば…、あとはシアワセな日々が訪れると。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その63

「さぁ覚悟なさい、…これがねこ女神"オー・ラロル"さまのみ心ですよ!!」

…2体のソーサラーちゃんねこを、神官マルミは次々に「ねこの手も借りたいメイス」で打ちました。

「アイタ〜痛いやおまへんか…、ワテらをナめたらあきまへんで」

ソーサラーちゃんねこも、「スケルトンの杖」を振り回し抵抗しますが…。

「ゆ〜コト聞けない悪いコは、…もっとおしおきが必要です!」

…「ねこの手も借りたいメイス」と「ステンレスの丸盾」を駆使して、神官マルミはジリジリと押していきます。

「えぇい何てしつこいヤツだ…、これで決着をつけてやる!!」

雷の悪魔ねこ「カミマル」は、聖戦士クリムがあまりに強くたくましく成長してゆるのに焦り…。

雷攻撃を繰り出そ〜と、…魔法の呪文の詠唱を始めました。

…「マルミ、バリアーを借りるよ。マルミも…、早く中に入って!」

聖戦士クリムと神官マルミは、それぞれ手近な理力のバリアーに避難して伏せます…。するとすぐに雷の悪魔ねこ「カミマル」の喚んだ雷が、…広範囲に炸裂し嵐を巻き起こしました。…しかし神官マルミの造った「ふるさと」のバリアーに、当たっては弾けます。

「クリムさん…、まだいくつかバリアーは残ってます。カミマルだってそ〜何度も、雷は起こせないでしょ〜し…。残った"ふるさと"で、…間に合わせましょ〜!!」

…神官マルミの呼びかけに、聖戦士クリムも応じました。

「うんわかった…、カミマルも。かなり疲れてるよ、あとも〜ひと踏ん張りがんばろ〜…!」

2人の読み通り、…雷の悪魔ねこ「カミマル」は相当消耗しています。…そもそも雷の悪魔ねこ「カミマル」の得意な戦術は、パワーに任せて一気に押し切るとゆ〜モノ。こ〜ゆったなかなか決着のつかない長期戦は…、苦手だったのでした。事実、悪魔ねこ「カミマル」は肩で息をしています…。

「ぜぇぜぇちくしょうこんなハズはない、…アタイがこんな虫ケラみたいなヤツらに苦戦するなんて」

…その時、魔女ケレナの声が響きました。

「はぁ〜いみなさん…、お・ま・た・せ」

魔女ケレナは黄色のオーラをまとい、溢れ出す魔力で宙に浮かんでゆます…。

「この美貌と抜群のスタイルを併せ持つ、…天才魔女ネコミミケレナさまの。…最大最強のグレートな必殺魔法の、準備は万端よ!!ほらクリムもマルミも…、早くバリアーに入って」

動揺してバタバタ走り回る、2体のソーサラ〜ちゃんねこ…。

「カ、カミマルさま、…ワテら一体ど〜すれば」

…「うるさいね、私だって今考えてるんだよ」

悪魔ねこ「カミマル」は…、最後の力を振りしぼって雷攻撃を仕かけよ〜と魔法の呪文を唱え始めました。

「フフン今さらも〜遅い、覚悟しな"グランド・ドンゴロス…!」

魔女ケレナが叫ぶと、…グワッと大爆発が始まります。…爆発は大きくふくれあがり、何もかもを巻き込んでゆきました。悪魔ねこ「カミマル」も2体のソーサラーちゃんねこも…、城門も城壁も何もかもが砕かれ崩壊していきます。地面までが、まるで崩れるかのよ〜にゴ・ゴ・ゴと唸りをあげてゆました…。

「す、すごい爆発だ、…マルミは大丈夫だろ〜か?」

…「ふるさと」のバリアーの中で伏せながら、聖戦士クリムは神官マルミを案じます。爆発は少しずつ収まってゆき…、あとに残されたのはまるっきりの荒野でした。

「あ〜、つっかれた〜…」

魔女ケレナは、…その場にペタンと尻もちを突きます。

…「ケレナ、やったね!!」

「ケレナさんお疲れさま…、すごかったです」

魔女ケレナの元に、聖戦士クリムと神官マルミが駆け寄りました…。照れてほっぺたをかきながら、…魔女ケレナは本当のコトを告白したのです。

…「あのさアタシホントは、"グランド・ドンゴロス"って。使うの初めてだったんだ…、だからうまくゆくかど〜かわからなかったし。すごい緊張してたんだケド、ゴメン2人共黙ってて…」

聖戦士クリムも神官マルミも、…そろって首を横に振りました。

…「謝るコトないよ、スゴいじゃないかケレナ。初めてなのにあんなに大きな魔法…、やっぱりケレナは天才なんだね」

「そ〜ですよ、もしこのケレナさんの機転がなかったら…。この戦いに勝てていたかど〜か、…ケレナさんは本番に強いんですね」

…ヘトヘトな魔女ケレナでしたが、この2人と旅を続けて来て本当によかったと想ってゆたのです。

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その62

「カミマルゆくぞ勝負だ…、ぼくが相手になるっ!!」

「にくきゅう印の大楯」を体の正面に構えて、聖戦士クリムは突撃します…。

「ハッ笑っちゃうね、…い〜さやってやろ〜じゃないの!」

…雷の悪魔ねこ「カミマル」も、電撃ムチ片手に突進しました。

「ムフフ〜クリムはん…、そ〜はさせまへんで〜。雷のタムカンでも、喰らいなはれ〜…」

突撃してくる聖戦士クリムを、…2体のソーサラーちゃんねこは狙い撃ちにしよ〜とします。

…「クリムさんこれで防いで下さい、う〜さ〜ぎお〜いし〜か〜の〜や〜ま〜」

神官マルミは走ってゆる聖戦士クリムのすぐわきに…、オレンジ色のバリアーを発生させました。

「ありがとマルミ、遠慮なく使わせてもらうよ…」

素早く聖戦士クリムが、…オレンジ色のバリアーに潜り込むと。…上空に湧いた黒い雲から、二筋の「雷のタムカン」が落ちて来ますが。「雷のタムカン」は…、神官マルミの「ふるさと」に弾かれて地面を焦がしました。しかしオレンジ色のバリアー「ふるさと」も、魔法の力に耐えかねて割れてしまいます…。これはソーサラーちゃんねこの魔力が、…とても強力だとゆ〜のもありますが。…「ふるさと」は理力を歌う本人から、離れれば離れる程モロくなってしまうのでした。

「このままでは…、クリムさんが集中攻撃を受けてしまう。私も、がんばらないと…!!」

神官マルミは急いで歌って「ふるさと」を「森のくまさん」で増やすと、…精一杯大きな声を出します。

…「こら、ソーサラーちゃんねこ!悪さばかりして…、私がこれからおしおきにゆきますからね」

駆け出した神官マルミを、ソーサラーちゃんねこ達はにやにや眺めていました…。

「フン、…アンタはんなんて。…ただのザコやおまへんか、ワテらに勝てると。本気で思ってるんでっか…、炎のヘクトム」

それぞれ火の玉を神官マルミに向かって放つ、2体のソーサラーちゃんねこ…。

「クリムさんだって、…いつもがんばってるんですから。…私だって、負けません!!」

神官マルミは「ステンレスの丸盾」を構えると…、炎のヘクトムに向かって自分から走ります。

「キャアッ…!」

「ステンレスの丸盾」でソーサラーちゃんねこの放った、…炎のヘクトムを受け止めた神官マルミでしたが。…あまりの強力な魔法の力に、吹き飛ばされて転んでしまいました。

「ふふん…、やっぱザコやったな。大したコトおまへんで…」

その間魔女ケレナは、…魔法の呪文を詠唱し。…聖戦士クリムは、雷の悪魔ねこ「カミマル」と一進一退の攻防を繰り広げてゆます。

「マルミ…、大丈夫かい!!?」

「何よアンタよそ見なんてして、アタシをナめてんの…!?」

神官マルミを振り返った聖戦士クリムに、…雷の悪魔ねこ「カミマル」の電撃ムチがうなりをあげて襲いかかりました。

…「クリムさん、私なら大丈夫。カミマルに…、集中して下さい」

神官マルミは立ちあがると、土ぼこりを…。パッパと払い、…再び2体のソーサラーちゃんねこに立ち向かいます。

…「しつこいでんねんな、何度やっても結果は同じ。ホレホレ…、炎のヘクトム」

聖戦士クリムのよ〜に、運動神経が優れてるワケではない神官マルミは…。華麗に「炎のヘクトム」を、…かわしたりは出来ません。…またしても神官マルミは、2体のソーサラーちゃんねこの放った火の玉に吹き飛ばされて転んでしまいました。

「何度やっても結果は同じ…、それはコッチのセリフです。私の取り柄は粘り強さ、絶対にメげませんからね…!!」

何と神官マルミは三度、…2体のソーサラーちゃんねこに向かって走り出します。

…「ギョギョ、あんさんちょっとおかしいでっせ!」

これには2体のソーサラーちゃんねこも…、ビックリして動揺しました。神官マルミのがんばりは、聖戦士クリムと魔女ケレナには勇気を贈ります…。

「よぉ〜し、…ぼくだって負けないよ!!」

…「やるジャン、マルミ!」

こ〜して勇者のパーティは…、勢いづいたのでした。

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その61

「アタイは容赦なんてしない、…初めっから本気でいくよ!!」

…長い髪を振り乱して雷の悪魔ねこ「カミマル」がステップを踏むと、途端に辺り一面に何本も雷が落ちました。

「ねこ天使ミクエル力をお貸し下さい…、う〜さ〜ぎお〜いしか〜の〜や〜ま〜」

神官マルミが歌うと、3人の周りがオレンジ色のバリアーにおおわれます…。オレンジ色のバリアーに当たった雷は、…バチバチ音を立てて弾けました。

…「こざかしい真似を、それならコイツを喰らうがい〜!」

低空飛行で突っ込んで来る雷の悪魔ねこ「カミマル」は…、呪文を唱え手にしたムチに電撃を疾らせます。

「みんな退がって、これはぼくが受け止める…!!」

聖戦士クリムは「にくきゅう印の大楯」を突き出し、…雷の悪魔ねこ「カミマル」の正面に出ました。…バチバチと流れる電流に、「にくきゅう印の大楯」はビリビリ震えます。

「すごい威力…、でも負けない!」

悪魔ねこ「カミマル」の電撃ムチを押し返すと、聖戦士クリムはすかさず「おおトロの剣」を振り下ろしました…。聖戦士クリムの一撃は、…ズバッと雷の悪魔ねこ「カミマル」を捉えたハズでしたが。

…「な、何だ、全然手応えがないよ」

「フフンバカだね…、アタイはコッチさ」

聖戦士クリムが斬ったのは、悪魔ねこ「カミマル」の幻影だったのです…。その隙に雷の悪魔ねこ「カミマル」は、…聖戦士クリムの背後に回ろ〜としました。

…「アンタの好きになんてさせないよ、これでど〜炎のヘクトム重ねがけ!!」

間一髪のタイミングで…、二発の火の玉が雷の悪魔ねこ「カミマル」目がけて放たれます。しかし雷の悪魔ねこ「カミマル」は、その二発をバク転とバク宙でかわしました…。

「さすがにザコとはいえ、…3匹もいると厄介だね。…お前達、出ておいで!」

怪しい呪文を雷の悪魔ねこカミマルが唱えると…、地面から煙が吹き出しソーサラーちゃんねこが2体現れます。ソーサラーちゃんねこはメイジちゃんねこがパワー・アップした魔物で、さらに強力な魔法を操るのでした…。

「ど〜、…さすがに怖くなったんじゃない?…アンタ達には初めっから勝ち目なんてないんだ、おとなしくすればフフフ。散々いたぶってから…、ゾンビちゃんねこにでもしてやるよ!!」

雷の悪魔ねこ「カミマル」は、勝ち誇って高笑いします…。

「クリム、マルミ、…聞いて」

…聖戦士クリムと神官マルミは、魔女ケレナの耳打ちに振り返りました。

「悔しいケド…、アイツら相当手強い。アタシは疲れるからホントは演りたくないけれど、こ〜なったら仕方ない…。アタシはこれから、…全ての精霊の力を借りて。…究極魔法"グランド・ドンゴロス"の準備に入る、それまでど〜しても時間がかかっちゃうから」

聖戦士クリムと神官マルミは…、力強くうなずきます。

「ぼくは、出来るだけ脚を使ってカミマルを引きつけるよ…」

聖戦士クリムの勇気ある提案に、…神官マルミもアイディアを出しました。

…「わかりました、恐らくカミマル達は魔法を中心に攻撃して来るでしょ〜。だから私は…、さき程の魔法を弾く理力。"ふるさと"を"もりのくまさん"で増やします、クリムさんはそれをうまく使って下さい…!」

勇者のパーティ一行の作戦は、…こ〜して決まったのです。

…「何をゴチャゴチャいってるんだ、悪あがきしたってど〜にもならないんだよ。お前達の運命は…、も〜とっくに決まってるのさ!!」

聖戦士クリムは、大きな声で叫びました…。

「そんなコトないさ、…お前達魔物はすぐにそ〜やって。…何でも決めつけてしまう、でも運命なんて誰にもわからない。それは…、みんなの可能性なんだから!」

雷の悪魔ねこ「カミマル」に向かって、聖戦士クリムは駆け出します…。神官マルミと魔女ケレナもそれぞれ動き、…激しい戦いの火蓋が切って落とされました。

 

 

どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その60

「きみで最後だ、…やぁぁ〜!!」

…最後の一体の魔物、メイジちゃんねこを聖戦士クリムは「おおトロの剣」で退治します。

「さ〜よお〜なら〜…、やってらんな〜い」

メイジちゃんねこは、ねこ地獄へカッ飛んでいきました…。

「ふぅっ、…魔物達を片づけたらスッキリした」

…額の汗をぬぐって、魔女ケレナはさわやかに宣言します。

「出たトコ勝負でど〜なるかと想いましたが…、案外何とかなるモンですね」

神官マルミは手拭いを取り出し、「ねこの手も借りたいメイス」の汚れをふきとりました…。

「よぉ〜し、…このまま正面からゆっちゃうよ」

…やる気を出した聖戦士クリムの提案に、神官マルミと魔女ケレナもうなずきます。3人は城門を目指して…、城壁に沿って歩き出します。

「マルトム・クルメ城って、ずい分大きいんだね…」

歩きながら振り返った聖戦士クリムは、…つぶやきました。

…「元々マルトム・クルメ城は、イチバン最初の勇者。パリンによって建てられたと伝えられてゆます…、"ねこねこファンタージェン"を平和で安らかに治める為に」

神官マルミは、聖戦士クリムに説明します…。

「勇者パリンって、…聖戦士を超えた勇者なんでしょ。…何てゆったけ、聖慈英王?」

魔女ケレナの方に…、聖戦士クリムは向き直りました。

「ケレナ、勇者パリンって知ってるんだ…?」

魔女ケレナは、…慌てて両手を振ります。

…「そんなに詳しいワケじゃないケドね、それにしてもクリム。勇者パリンについて…、何も知らないの?」

聖戦士クリムに、説明を始める神官マルミ…。

「勇者パリンは、…勇者の中の勇者と呼ばれていて。…旧き古の時代、まだ"ねこねこファンタージェン"がゆるゆる混沌としてた頃。聖慈英王として君臨し…、秩序と繁栄をもたらしたのが勇者パリンです。今も残る"ねこねこファンタージェン"各地の歴史ある都市は、勇者パリンの都市計画に基づいて…。造営された街も、…少なくないんですよ」

…聖戦士クリムは、両腕を組んでうんうんうなずきました。

「そりゃあ…、偉い勇者だったんだねぇ」

髪をかきあげる、魔女ケレナ…。

「そして、…いつの頃からか女帝ゾフィネーヌが現れた」

…神官マルミは、魔女ケレナを見詰めます。

「女帝ゾフィネーヌについては…、やはり魔女ですからケレナさんが詳しいと想います」

お話がまるっ切りチンプンカンプンな、聖戦士クリム…。

「何々、…女帝ゾフィネーヌは何をしたの?」

…魔女ケレナは、嫌悪をあらわにしました。

「アイツは…、元々はアタシ達と同じ魔女ネコミミだったの。ど〜せ大した才能もなかったんでしょ、それで魔法の力を悪用して…。このマルトム・クルメ城に保管されてた、…"王者のメダル"を奪った。…"王者のメダル"は勇者パリンが身につけてゆたメダルで、持つモノにすさまじい知恵と力を与える。その力で地獄の破壊ねこ"メギムトゥの封印を解いて…、女帝なんて名乗ってるのさ」

魔女ケレナの言葉を補足する、神官マルミ…。

「そ〜なんです、…女帝ゾフィネーヌの女帝たるゆえんは。…実は聖慈英王の証、"王者のメダル"にあります。もしそれを女帝ゾフィネーヌから取り戻せたなら…、その時はクリムさんが次の聖慈英王に」

その時、鋭い声が響き渡ります…。

「よく来たね、…アンタ達!!…ゾフィネーヌさまの治めるこのマルトム・クルメ城で、おしゃべりなんてずい分余裕じゃないの。でも今にその顔が恐怖に引きつるコトになるよ…、ここがアンタ達の墓場になるんだから」

声の主は、雷の悪魔ねこ「カミマル」でした…。3人はいつの間にか、…城門の前までやって来てしまっていたのです。

…「カミマル、あの時の借りは今こそ返すよ!」

聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナは…、それぞれの武器を構えて雷の悪魔ねこ「カミマル」に対峙しました。

 

これからのぼくの身の振り方

そろそろ、…今後の予定が決まって来たのでお知らせします。

…申し訳ありませんが、「どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜」の連載が完結したら。

物語の連載は…、一度休止させていただきます。

ぼくのブログを読まれた方なら気がつかれると想うんですが、悪口とか意味があんまりない文章がケッコウあって…。

その辺をまとめて削ります、…それを全体的にやるので。

…少なく共一年ぐらいはかかるのではないかなぁ?と、それだけではなくて。

新しい物語を新しいテーマで書く為に…、考える時間も改めて欲しいんですね。

その辺にとりかかりますから、しばらく連載はおやすみさせて下さい…。

これまで読んで下さってありがと〜ございました、…いつか必ず物語連載は再開しますよ♪

…ちょっと愚痴なんですが、ブログを書き始めてから。

創作活動を全然やすんでないんです…、毎日々々何かしらは更新してゆて。

そこから気持ちを解き放って、大きな視点でブログの添削をしっかりやりたいと…。

このブログはしっかり残してゆきたいので、…キチンと演りますから。

…「どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜」は完結させますので、ご安心下さい。