どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その65

…「いただきま〜す!!」

聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの3人は、…最後の戦いを前にしっかり朝ごはんを食べます。神官マルミが用意したメニューは、目玉焼き、あらびきウィンナー、レタスとトマトのサラダ…。それにフランス・パンとコンソメ・スープでした…、モチロン美味しかったのですが。…3人は黙々と食べます、その表情には決意が浮かんでゆました。

「ごちそ〜さま、…じゃゆこ〜か?」

聖戦士クリムの言葉に、神官マルミと魔女ケレナもうなずきます…。魔物達の見回り小屋をあとにすると…、勇者のパーティ一行は。…城壁に沿って歩きました、そして昨日雷の悪魔ねこ「カミマル」と死闘を繰り広げた。あの荒野に出て、…聖戦士クリム達は遂に城壁の中へと足を踏み入れます。

「誰もいないね…」

女帝ゾフィネーヌの城…、「マルトム・クルメ城」の天守はも〜すぐそこだとゆ〜のに。…魔物達の姿は全く見当たりません、聖戦士クリム達はまっすぐ天守に足を向けました。

「ここだね」、…「マルトム・クルメ城」の天守は固そ〜な鋼鉄の扉に閉ざされてます。聖戦士クリムは、大きな声で呼びかけました…。

「ぼくは…、キトランの村の聖戦士クリムだ。…女帝ゾフィネーヌに用がある、さぁこの扉を開けてもらお〜!」

すると鋼鉄の扉は、…ギリギリとこすれる音を立て開きます。

「よ〜こそ、わが主女帝ゾフィネーヌさまの治める"マルトム・クルメ城"へ…。勇者クリムさまと…、そのお仲間のみなさんですな。…ゾフィネーヌさまはもはや待ちくたびれております、中へお入り下さい」

姿を現したのは、…ドルイドちゃんねこでした。ドルイドちゃんねこは地獄の破壊ねこ"メギムトゥ"に仕える、恐ろしい暗黒神官です…。そのドルイドちゃんねこに案内されて…、勇者のパーティの3人は「マルトム・クルメ城」に入城しました。…「マルトム・クルメ城」はかつて3人の訪れた、大巫女サレムさまの治める。中央神殿よりも、…ずっと大きくて複雑に入り組んでいます。

「私も、正直どこを歩いているのかわかりません…」

道順を憶えるのが得意な神官マルミも…、あっすがにお手あげでした。…「マルトム・クルメ城」の中は魔物達でひしめきあっています、しかしどの魔物も聖戦士クリム達に襲いかかって来よ〜とはしません。何故なら魔物達は3人の勇者に怖れをなしていたのでした、…だから遠巻きに眺めてヒソヒソしているのが関の山だったのです。

「マジ、ウザいんだケド…」

イライラした魔女ケレナがにらみつけると…、魔物達はコソコソ逃げ出していきました。

…「ご足労をおかけしました、こちらが大広間です。こちらの大広間で、…ゾフィネーヌさまは勇者クリムさまとそのお仲間をもてなそ〜とお待ちでございます」

豪華できらびやかな装飾の施された扉を開けると、そこは大理石の床にあやしいむらさきのじゅうたんをしき詰めた広大な空間が広がっていたのです…。イチバン奥は高くなっていて…、階段が設られていました。…そのうえの玉座から、女帝ゾフィネーヌは聖戦士クリム達3人を見下しています。

「うむ、…ご苦労。勇者クリムも、わざわざ遠いトコロをご苦労であった…。今夜はそなた達をもてなす為に晩餐会を準備している…、モチロン我が配下の魔物達も出席するが。…ど〜か、気を悪くしないでいただきたいモノだ」

玉座から立ちあがった女帝ゾフィネーヌは、…声を高くしました。

「そのワインと料理だが、それはこれから用意する…。私自身の…、直々の手によってな!!」

…突然、女帝ゾフィネーヌは炎のヘクトムを放ちます。3人は身をひるがえしてかわすと、…それぞれの武器を構えました。

「フフフ、ハハハ…。そ〜だ今夜の晩餐会のワインと料理とゆ〜のは…、そなた達の血と肉だ!…そなた達は完全にやり過ぎてしまった、ただ息の根を止めるだけではもの足りん。お前達、…出て来るのだ」

女帝ゾフィネーヌの座る玉座の下の階段の前に魔法陣が浮かびあがり、そこからバーサーカーちゃんねこが現れます…。バーサーカーちゃんねこは地獄で最も力が強く…、両手で二本の斧を操るのでした。…そして先程3人を案内したドルイドちゃんねこも、「悪魔ねこのひとみ」と呼ばれるモーニング・スターを手にしています。

「先ずは余興だ、…3対3。ど〜だ、フェアなゲームであろ〜、食事の前の軽い運動にちょ〜どい〜…。せいぜい私のはらが空くぐらいは…、あがいて欲しいモノだ」

バーサーカーちゃんねことドルイドちゃんねこは、聖戦士クリム達の前に立ちはだかりました。

「そ〜そ〜命乞いをするなら今のウチだぞ、…みっともない醜態をさらせば。…特別に"メギムトゥ"さまに、お前達の血と肉を捧げてやろ〜。お前達にとってはこのうえもない名誉である…、さぁど〜したのだ?」

…聖戦士クリム、神官マルミ、魔女ケレナの3人は、もはや何もゆいません。ここまで来たらあれこれ語る必要はなかったし、…そんな気もなかったのです。3人は、激しく闘志を燃やしてゆました…。