どらねこクエスト〜はらペコ勇者の大冒険!!〜 その61

「アタイは容赦なんてしない、…初めっから本気でいくよ!!」

…長い髪を振り乱して雷の悪魔ねこ「カミマル」がステップを踏むと、途端に辺り一面に何本も雷が落ちました。

「ねこ天使ミクエル力をお貸し下さい…、う〜さ〜ぎお〜いしか〜の〜や〜ま〜」

神官マルミが歌うと、3人の周りがオレンジ色のバリアーにおおわれます…。オレンジ色のバリアーに当たった雷は、…バチバチ音を立てて弾けました。

…「こざかしい真似を、それならコイツを喰らうがい〜!」

低空飛行で突っ込んで来る雷の悪魔ねこ「カミマル」は…、呪文を唱え手にしたムチに電撃を疾らせます。

「みんな退がって、これはぼくが受け止める…!!」

聖戦士クリムは「にくきゅう印の大楯」を突き出し、…雷の悪魔ねこ「カミマル」の正面に出ました。…バチバチと流れる電流に、「にくきゅう印の大楯」はビリビリ震えます。

「すごい威力…、でも負けない!」

悪魔ねこ「カミマル」の電撃ムチを押し返すと、聖戦士クリムはすかさず「おおトロの剣」を振り下ろしました…。聖戦士クリムの一撃は、…ズバッと雷の悪魔ねこ「カミマル」を捉えたハズでしたが。

…「な、何だ、全然手応えがないよ」

「フフンバカだね…、アタイはコッチさ」

聖戦士クリムが斬ったのは、悪魔ねこ「カミマル」の幻影だったのです…。その隙に雷の悪魔ねこ「カミマル」は、…聖戦士クリムの背後に回ろ〜としました。

…「アンタの好きになんてさせないよ、これでど〜炎のヘクトム重ねがけ!!」

間一髪のタイミングで…、二発の火の玉が雷の悪魔ねこ「カミマル」目がけて放たれます。しかし雷の悪魔ねこ「カミマル」は、その二発をバク転とバク宙でかわしました…。

「さすがにザコとはいえ、…3匹もいると厄介だね。…お前達、出ておいで!」

怪しい呪文を雷の悪魔ねこカミマルが唱えると…、地面から煙が吹き出しソーサラーちゃんねこが2体現れます。ソーサラーちゃんねこはメイジちゃんねこがパワー・アップした魔物で、さらに強力な魔法を操るのでした…。

「ど〜、…さすがに怖くなったんじゃない?…アンタ達には初めっから勝ち目なんてないんだ、おとなしくすればフフフ。散々いたぶってから…、ゾンビちゃんねこにでもしてやるよ!!」

雷の悪魔ねこ「カミマル」は、勝ち誇って高笑いします…。

「クリム、マルミ、…聞いて」

…聖戦士クリムと神官マルミは、魔女ケレナの耳打ちに振り返りました。

「悔しいケド…、アイツら相当手強い。アタシは疲れるからホントは演りたくないけれど、こ〜なったら仕方ない…。アタシはこれから、…全ての精霊の力を借りて。…究極魔法"グランド・ドンゴロス"の準備に入る、それまでど〜しても時間がかかっちゃうから」

聖戦士クリムと神官マルミは…、力強くうなずきます。

「ぼくは、出来るだけ脚を使ってカミマルを引きつけるよ…」

聖戦士クリムの勇気ある提案に、…神官マルミもアイディアを出しました。

…「わかりました、恐らくカミマル達は魔法を中心に攻撃して来るでしょ〜。だから私は…、さき程の魔法を弾く理力。"ふるさと"を"もりのくまさん"で増やします、クリムさんはそれをうまく使って下さい…!」

勇者のパーティ一行の作戦は、…こ〜して決まったのです。

…「何をゴチャゴチャいってるんだ、悪あがきしたってど〜にもならないんだよ。お前達の運命は…、も〜とっくに決まってるのさ!!」

聖戦士クリムは、大きな声で叫びました…。

「そんなコトないさ、…お前達魔物はすぐにそ〜やって。…何でも決めつけてしまう、でも運命なんて誰にもわからない。それは…、みんなの可能性なんだから!」

雷の悪魔ねこ「カミマル」に向かって、聖戦士クリムは駆け出します…。神官マルミと魔女ケレナもそれぞれ動き、…激しい戦いの火蓋が切って落とされました。